【完結】僕のリュウソウアドベンチャー   作:たあたん

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ダイノフューリー、本家のトワよりここのイズクより女性であるはずのイジーのほうが強そうなビジュアルなのが流石アメリカだな〜と思います


31.美しき逃亡者 3/3

 中途半端な時間帯を迎えて人気のなくなった水浴施設。その中に、ただひとりタマキの姿があった。

 彼は俯きがちに降りそそぐ水を浴びながら、ぼうっと立ち尽くしている。虚空を見つめる瞳に力はなく、心の奥底にある仄暗いものが漏れ出しているかのようだった。

 放っておけば永遠にそうしていそうなタマキだったが、唐突にそれは終わりを告げた。

 

「!?、熱っ……」

 

 突然、水が熱湯へと変わったのだ。湖の水を技術上精一杯の濾過をして汲み上げているだけで、温度調節機能などはないはずなのに──外で起こっていることを知らないタマキが疑問に思ったときにはもう、シャワーはただの水に戻っていた。

 

「……?」

 

 呆気にとられながらも、現実に引き戻されたタマキは水を止めた。

 

 

 布で頭を拭きながら、備え付けの鏡を見る。そこに映っている顔は陰鬱で冷たくて、とてもリュウソウ族の騎士のそれではない。一瞬よぎった"勇猛の騎士"の称号を継いだ少年の朗らかな笑顔に、タマキは腹の奥底で滞留し続ける澱みが蠢いたような錯覚を覚えた。

 否、それは錯覚などではなかったのだ。

 

(ごめんミリオ、みんな)

 

(俺は……)

 

 項垂れたタマキが顔を上げる。──その瞳は、紫色に光っていた。

 

 

 *

 

 

 

「アンブレイカブル、」

「フルスロットル、」

 

「「──ディーノ、スラァァッシュ!!」」

 

 赤と青、ふたりの騎士による渾身の斬撃が、群青の道化師めがけて炸裂した。ステッキを構えたまま、その痩せたボディが大きく後退した。

 

「Ouch……と見せかけて耐えぬく!」

「ワァオ、さっすがワイズルーさまぁ!」

 

 クレオンが横で囃し立て、満更でもない様子で胸を張るワイズルー。余裕たっぷりのドルイドン側に対して、リュウソウジャーは非常に厳しい状況にいると認識していた。

 

「あーもうっ、いつもながらのらりくらりと……!」

「イズクくんっ、まだ保たせられそうか!?」

 

 ギャクソウルで温度変化に対抗し続けているグリーンが応じる。

 

「正直、そろそろきつい……っ。マイナソーの火力がどんどん強くなってる……!」

「あの宿主のおっさんのせいだわ、クソが!!」

 

 ワイズルーたちに守られるように立っている、人間の男。その身体からエネルギーが抜け出し、湖中のマイナソーに注ぎ込まれている。そのたびに男はどんどんやつれていくが、表情は凄絶な笑みに染まったままだ。

 

「いいぞ、涸らせ……!この湖の水ぜんぶ、まとめて涸らしちまえ……!」

「ッ、どうしてそこまで……!この湖の水が涸れちまったら、大勢の人たちが苦しむんだぞ!?」

 

 我慢できなくなって、レッドがそう声を張り上げた。ドルイドンであるワイズルーたちがそう言うなら、業腹であっても理解はできる。しかし同じ人間であるこの男が、何故己の命をかけてまでそれを望むのか。

 男の血走った目が、騎士たちを鋭く睨めつけた。

 

「知ったことか……!オレの娘はなぁ、この湖に喰い殺されたんだ!ちょっと足を滑らせただけで、浮き上がってきたときにはもうモノ言わぬ骸になっていた……!その気持ちがお前らなんかにわかってたまるかぁ!!」

「……ッ、」

 

 愛する我が子をこの湖で失った──なるほどそれは確かに、その原因となったものを、たとえそれがただ存在しているというだけでも恨んでしまうのは当然かもしれない。

 

「でも……だからって……!」

 

「──だからって、大勢の人たちを苦しませて良いわけがねえ」

「!」

 

 皆が振り向けばそこには、水の底で生まれ育った、黄金の騎士の姿があった。何故かコタロウを横抱きにしている。

 

「ショート……!」

「ショートくん!」

「遅ぇんだよ、半分野郎!!」

「……ってか、もういい加減降ろしてもらえませんか」

「悪ィ」

 

 コタロウを地面に降ろしつつ、改めてワイズルーたちと対峙する。とりわけ視線が交錯するのは、かの宿主の男だった。

 

「なんだ、おまえは……!」

「栄光の騎士、リュウソウゴールド。あんたの想いを否定するつもりはねえ、でもやってることは間違ってる。だから、止めに来た」

「お前らに何がわかるッ、どいつもこいつも詭弁を弄しやがって……!──おい怪物ゥ!!」

 

 男が叫ぶと同時に、水中からボコリとあぶくが飛び出す。

 

「オレの全部をくれてやる!だからこいつらも湖もこの街も、全部まとめて燃やし尽くせぇぇぇぇ!!!」

 

 刹那──男の身体から、ひときわ大きなエネルギーの塊が抜け出した。

 

「うっ」

 

 うめき声とともに、男の身体が地面に倒れ伏す。そしてまるでシーソーゲームのように活性化したウィル・オー・ウィスプマイナソーが、ついに臨界点を超えた。

 

「カレロォォォォォ──ッ!!!」

 

 つまり、巨大化。同時に灼熱波が周囲一帯を襲い、リュウソウジャーもドルイドンも無差別に吹き飛ばされた。

 

「ぐぅ……ッ」

「ッ、コタロウ大丈夫か……!?」

「ええ……あなたが庇ってくれたおかげで、なんとか」

 

 この中では唯一生身のコタロウである、庇護してやらねば今ので大怪我をしていたかもしれなかった。

 ともあれ巨大化したウィル・オー・ウィスプマイナソーはさらにその火力を増し、接触している水分は次々蒸発してその容積を減らしている。このままでは本当に、遠からずして湖が干上がってしまう!

 

「ショート、水に浸かっての戦いなら我々の専売特許だぞ」

「わかってる。みんな、あとはまかせろ」

「ッ、ああ……!でも気をつけろ、あいつ普通の攻撃を通さねえ!」

 

 言うが早いか、レッドの手からクラヤミソウルとカガヤキソウルが投げ渡される。それらを受け取り、ゴールドとモサレックスは改めて戦いに臨んだ。

 

「──竜装合体!!」

 

 モサレックスが従者アンモナックルズとひとつとなり、海神キシリュウネプチューンへと姿を変える。

 

「行くぞ、キシリュウネプチューン」

 

 水中での戦いなら、こちらが有利……と言いたいところだが、浸かっているのは大腿部のあたりまでである。それに相手は火炎そのものの姿かたちでありながら、その高温でもって水分を気化させ続けているような怪物だ。

 手始めにとばかりに、ゴールドはネプチューンにアンモナックルを射出させた。超高速で敵に肉薄するそれは標的の血肉を弾けさせ、骨を砕くだけの威力を誇る。

 しかしそれほどの拳は、むなしくマイナソーのボディを素通りしてしまった。

 

「なるほどな、エイジロウが言ってたのはこういうことか」

『わざわざ遊ぶな』

 

 すかさずモサレックスの叱責が飛んでくる。

 

「遊んだんじゃない、自分の目で確かめたかったんだ。──なら、」

 

 コスモソウルを構えるゴールド。宇宙エネルギーを纒った弾丸による攻撃なら通用すると考えたわけだが、それを試行するより前にマイナソーが動いた。

 

「カレロ、カレロォォ!!」

「────!」

 

 マイナソーのボディがかっと赤熱する。よもやと瞠目した瞬間、凄まじい衝撃が襲いかかった。

 

「ぐぁ──!?」

 

 なすすべなく吹っ飛ばされるネプチューン。何が起こったのか一瞬わけがわからなかった。衝撃でコスモソウルが落下し、本来のふたつのソウルに分離してしまう。

 

「ッ、何が……」

 

 良くも悪くも正面切って敵を見据えることになる騎士竜の体内からでは、何が起きたのかすぐに把握できないのも無理はない。

 一方で傍らから見守っていた面々は、その光景をはっきりと捉えていた。

 

「なんだ……?あいつの身体が光った途端、水が爆発した……」

「水素爆発だ」

「すいそばくはつ?」

「水分が常軌を逸した高温の物質と接触することで、瞬間的な蒸発により体積の飛躍的な増大が起こり、まるで爆発を起こしたように一気に弾ける現象のことだよ」

「クソナード。つーかクソでも魔法使いならそんくれぇ知っとけや、丸顔」

「わ、忘れてただけやもん!」

 

 言い訳になっていない。それより、

 

「HAHAHA、流石はオニビでできたマイナソー!この調子で、ネプチューンをねぶってやりまショータァイム!!」

「ワイズルーさま、それを言うならなぶってやれっす」

「……てめェら、いつまで居座ってやがる?」

 

 ブラックがひと睨みとともにリュウソウケンを構えると、彼らは「やべっ」と声を揃えて脱兎のごとく逃げ出した。

 一方で、ワイズルーのひと言に引っかかりを覚えている者がいた。

 

「オニビ……?火だけでできている身体……──もしかして」

 

 はっとした表情で前に出ていこうとする"彼女"の腕を、あとから追ってきたもうひとりの少女が掴む。

 

「ちょっ……何やってんですか、お嬢様!?まさか、あんなのに立ち向かう気じゃ──」

「……キョウカさん。少しだけ見ていてください。わたくしの推測が正しければ、彼らの助けになれるはずです」

「……?」

 

 訝るキョウカの前で、モモは呪文の詠唱を開始した。どこかで聴いたことのある、麗しい言葉の数々。これは──神官が唱える祝詞ではないか?キョウカは物心ついた頃にモモの遊び相手兼将来の腹心として彼女の生家に雇われ、そういった神聖なる儀式に参加することもあったのだ。

 

「………」

 

 暫し考え込んだ末、キョウカは彼女を見守ることにした。確かにモモは、幼い頃から()()だったのだ。ただ意志が強いというだけではない、物事の心理を鋭く見抜く力がある。

 一方、パワーを増したウィル・オー・ウィスプマイナソーは、嬉々としてネプチューンに火炎攻撃を繰り出していた。態勢を崩した海神にそのすべてをかわす芸当はできない。ともに致命傷を覚悟するショートとモサレックスだったが、

 

「ヌゥンッ!!」

 

 彼らの間に割り込み、ネプチューンを庇う者があった。ウィル・オー・ウィスプマイナソーに負けない、鮮やかなオレンジ色のボディは、

 

「……ディメボルケーノ……!」

「そもさん、汝に問う……!下は大火事、上も大火事……つまり、なんだ!?」

「……貴様の出番だ、我が兄弟」

 

 モサレックスが応じる。するとディメボルケーノは満足げに「正解だ!」と告げた。──確かに、マグマの中で永きを過ごしたその身体なら、火を受け止めることは容易いだろう。

 とはいえ、今この状況で彼にできるのは防御のみだ。得意の火吐きは、マイナソーをかえって活気づかせてしまうので。

 

(ただ守られてるだけじゃ勝てねえ……!いちかばちか、今度こそコスモソウルで──)

 

 そのときだった。光の矢が地上から放たれ、マイナソーを貫いたのは。

 

「──!」

 

 視線をおろすゴールド。そこに立っていたのは、

 

「モモ……!?」

 

 かの少女は、確りとこちらを見上げて声を張り上げた。

 

「見てくださいショートさん、その"鬼火"の反応を!」

「オニビ……?──!」

 

 再び正面の敵に目を向け、ぎょっとした。

 

「グァ、ア゛ァァ……!!?」

 

 あらゆる攻撃をやり過ごしていたウィル・オー・ウィスプマイナソーが、悶え苦しんでいる。まさか、あの光の矢を受けたために?

 

「その怪物は、邪なる不死生物です!ですから聖なる力には極めて弱いのですわ!」

「!、そうか……!──ショートくん、カガヤキソウルを使うんだ!」テンヤが叫ぶ。ついでに、「ところで、貴女はどちら様ですか!?」

「モモと申します、以後お見知りおきを」

「はっ!?ひょっとしてショートくんの駆け落ち相手……!?」

「そ、それはちょっと早計じゃないかな……?」

「なにトチ狂ってやがんだ、丸顔」

 

 実際、女の勘は侮れないというべきか、当たらずしも遠からずではあったのだが。

 ともあれ最適解は出た。ゴールドはすかさずカガヤキソウルを拾い上げ、モサチェンジャーに装填する。

 

『ドンガラ!ノッサ!エッサ!モッサ!──めっさ!ノッサ!モッサ!ヨッシャ!!』

 

『──強・竜・装!!』

 

 ゴールドのボディに、純白の鎧が装着される。カガヤキソウル──騎士竜シャインラプターの加護を得た、聖騎士の鎧。

 

「おまえの力を借りるぞ……シャインラプター!」

 

 カガヤキソウルを投げる。と同時に亜空間から純白の騎士竜が姿を現す。ふたたび、竜装合体だ。

 

「キシリュウネプチューン、シャインラプター!」

 

 麗しき純白の頭部と、右手に聖剣。今海神は、新たな姿へと生まれ変わった。

 

「突撃する。ディメボルケーノ、悪ィがこのまま盾になってくれ」

「その物言いは気に喰わんが……我が兄弟の誼だ、良かろう!」

 

 ディメボルケーノを前面に、彼らは走り出した。ウィル・オー・ウィスプマイナソーが烈しい火炎攻撃を仕掛けてくるが、炎の騎士竜の身体がことごとくそれを受け止める。そうして肉薄し、

 

「今だッ!」

 

 ディメボルケーノが跳躍する。と同時に、ネプチューンはカガヤキソードを横薙ぎに振るった。

 

「グァァァ……!?」

 

 マイナソーがうめきながら身体を折る。激しく揺らめく火炎は、それだけ苦しみが大きいことを示してもいた。

 

「ショート、決めるぞ」

「ああ、────」

 

 

「キシリュウネプチューン、ディヴァインコンセントレーション!」

 

 カガヤキソードが円月を徐に描き──頂点に到達した瞬間、垂直に振り下ろされる。

 聖なる煌めきを纒った刃は一瞬にしてウィル・オー・ウィスプマイナソーを両断する。炎でできた身体に本来剣など通用しないはずだが……もはや言うまでもあるまい、上述の通りである。

 

「カ、レ……──ユノォ……っ」

 

 それはおそらく、宿主の男の亡き娘の名だったのだろう。その言葉を最期に──マイナソーは、火花が弾けるようにして消滅したのだった。

 

「……せめて、栄光の輝きの中で眠れ」

 

 悼むように、ショートはつぶやいた。

 

 

 *

 

 

 

「この方は、わたくしが然るべきところへお連れします」

 

 ぐったりした男性に肩を貸す形で、モモが言う。仲間たちからの妙に生温かい視線に居心地の悪さを感じながらも、ショートはそれに応じた。

 

「悪ィな、任せちまって」

「いえ、これも勇者(ヒーロー)の務めのひとつですので」

 

 傍らのキョウカが複雑そうな表情を浮かべるが、彼女はもう何も言わなかった。未だ完全に受け入れられたわけではないのだろうが、それでも無理に連れ戻そうとしないだけ、彼女の勇者としての技量を認めたということだろう。これからのことは──彼女たち次第だ。

 

「俺たちも暫くこの街にいるつもりだ、何かあったらいつでも呼んでくれ」

「……ありがとうございます。では、また」

「ああ」

 

 去っていく少女たち。それをどこか微笑ましい想いで見送っていると、にやにや笑う仲間たちが歩み寄ってきた。

 

「なんかイイ感じじゃねーか、ショート?」

「きみ、ひょっとして逢引のためにあそこ抜け出したん?いけずやわぁ〜」

「まったく、そうならそうときちんと言ってくれれば良いものを!」

「……なんの話だ?」

 

 ショートは本気で首を傾げている。恋愛事に……というわけではなくとも、人の機微にはそれなりに敏い幼なじみコンビとコタロウは、呆れた様子でその光景を眺めていた。

 

「……アホかあいつら。あのボケボケ王子にンな甲斐性あるわきゃねーだろうが」

「い、いやそれは……ん〜、どうなんだろうね?」

「まあ確かに、そういう雰囲気でもなかったとは思いますけど……」

 

 そんなことより、そろそろ宿探しに行かねば日が暮れてしまう。鼻を鳴らしつつ、カツキが踵を返したその直後だった。

 

「!?、──てめェら伏せろ!!」

「え、」

 

 にわかに襲いくる衝撃が、彼らを紙のように吹き飛ばす。頑丈なリュウソウ族の少年たちはまだしも、コタロウのちいさな身体が耐えられるものではなかった。

 

「う、うぅ……っ」

「ッ、コタロウ!大丈夫か……!?」

「いったい、何が──!」

 

 砂塵の中から現れたのは、ワイズルーたちに次いで因縁の相手となりつつある存在だった。

 

「てめェ、ガイソーグ……!」

「………」

 

「その"強さ"……俺によこせぇぇッ!!」

 

 そのくぐもった声は、もはや正常なものではなかった。リュウソウケンに似た剣を構え、襲いかかってくる。

 

「チィッ……行くぞてめェら!!」

「ッ、ああ!」

 

 立ち上がると同時に、リュウソウチェンジ。皆で一斉に、ガイソーグに躍りかかる。

 果たしてガイソーグは強力だ。その剣技も、分厚い盾も、ことごとくがリュウソウジャーの攻守を上回っていく。

 

「やっぱこいつ、強ぇ……!」

「気圧されてんじゃねえ!!」声を張り上げるブラック。「こいつの剣筋は単調だ、破れねえようなモンじゃねえわ!!」

「!、カツキ……!」

 

 その言葉はカツキからエイジロウたちスリーナイツへの評価の裏返しでもあった。ならば必ず、今日ここで打ち勝ってみせる!

 

「いくぜテンヤ、オチャコ!」

「うむ!──メラメラソウル!!」

「オーケー!──ドッシンソウル!」

「コスモソウル!!」

 

 三つの強竜装。まず先陣を切ったのは、巨拳を携えた剛健の騎士だった。

 

「どりゃあああああっ!!」

「……ッ、」

 

 盾を構えて防御しようとするガイソーグに対し、とかく拳を叩きつけまくる。如何に直接の殴打は防いだところで盾越しに衝撃は伝播するのだ、最初は耐えていたガイソーグも徐々に態勢を崩していった。

 そしてそれが明らかな状態にまで達したところで、レッドとブルーが同時に肉薄する。

 

「おらぁッ!!」

「はぁっ!!」

 

 宇宙のエナジーと、火炎。いずれにせよ強力な力のオーラを纒った刃が、次々に炸裂していく。盾を構え直す間もないガイソーグはせめて剣で受け止めようとしているようだが、強竜装の前に正面切るには些か力不足と言うほかない。

 

「……ッ!」

 

 ずりずりと後退したガイソーグは、我武者羅に必殺の剣撃を放った。

 

「エンシェント、ブレイクエッジ……!」

「!」

 

 来た!──予想はできていたことだ。三人は頷きあい、同時に迎え撃った。

 

「コズミック、」「ボルカニック、」

「「──ディーノスラッシュ!!」」

「ディーノソニックブロー!!」

 

 膨大なエネルギー同士がぶつかりあう。湖周辺の木々が根こそぎちぎれ飛びそうなほどの衝撃が奔り、コタロウなどはショートに守られながら蹲っているほかない。

 

「ぬぅおぉぉぉ……!」

「私たち、もう──」

「──絶ッ対、退かねえ!!」

 

 勝負を分けたのは、その気概だった。

 エンシェントブレイクエッジの剣波を、スリーナイツの放ったトライ・アタックが打ち破る。ガイソーグはその結末に一瞬呆然としたようで、そのために回避が遅れた。

 

 刹那、小規模な爆発が起きる。ガイソーグの姿がその向こうに消えた。

 

「はぁ、はぁ、はぁ……」

 

 肩で息をしながらも、前面を見据え続ける。奴は……どうなった?

 やがて、ごとりという重たい音とともに、鋼鉄の兜が地面に落下する。直後、粉塵の中から現れたのは──

 

「え……?」

「な……っ!」

「うそ……」

「………」

 

 

「タマキ、センパイ……?」

 

 深いやみいろの三白眼が、少年たちを睨みつけた。

 

 

 つづく

 




「タマキ先輩が……ガイソーグ……?」
「それでもっ、俺はタマキセンパイを信じてえ!」
「甘ぇんだよ……っ、てめェは!!」

次回「日蝕」

「やっぱりきみは、太陽なんだな……」


今日の敵‹ヴィラン›

ウィル・オー・ウィスプマイナソー

分類/アンデッド属ウィル・オー・ウィスプ
全長/不定形(人型の場合は211cm〜44.4m)
体重/7.2kg〜3.5t
経験値/414
シークレット/人魂が火の玉の形状をとった通称"鬼火"のマイナソー。全身が炎でできているため通常の攻撃が通用しないほか、水中に潜っても消えることなく周囲の水分を蒸発させてしまう高温の持ち主だ。一見弱点などないかのように思われたが、アンデッド属の宿命か聖なる力にはめっぽう弱かったぞ!
ひと言メモbyクレオン:うらめしやーーーってか!!
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