TSして魔法少女になったけど質問ある? 作:TS百合好きの名無し
投票してくださった方々には本当に感謝。モチベーションにつながってます。
ついでに最近ハーメルンでまたTS系が流行ってて嬉しい。
嬉しさのあまり次話が書けたので投稿です。
前回に引き続きリラックスして読んでね。
212:TS魔法少女
ただいまー!
ごはん食べてなんとなく開いたら昨日のスレがまだ残っててびっくりなう
213:魔法少女を愛する名無し
お、イッチやんけ!
214:魔法少女を愛する名無し
おかえりー
215:魔法少女を愛する名無し
君の帰還を信じて保守しとったで
216:魔法少女を愛する名無し
わいも!
217:魔法少女を愛する名無し
それはそうと昨日はお仕事お疲れ様や
218:魔法少女を愛する名無し
お疲れー
イッチたちのおかげで俺たちは今日も平和を享受できとるからな
ほんまに感謝しとるで
219:魔法少女を愛する名無し
お疲れ様です
220:魔法少女を愛する名無し
そういやイッチってどこの地区担当なんやろ
221:魔法少女を愛する名無し
たしかに
場所によっては出現する魔獣の強さに結構差が出るからな
222:TS魔法少女
>>220
一応東京のとある地区をいくつか担当してるよー
223:魔法少女を愛する名無し
東京!?
普通に激戦区やんけ!?
224:魔法少女を愛する名無し
東京かあ……そこそこ高い頻度で上位魔獣が出るから、現場へ出る魔法少女たちの力量も平均的に高いって聞いたことがある
225:魔法少女を愛する名無し
しかも複数担当できるってことはほぼ確定でエース級やん
226:魔法少女を愛する名無し
ついでに言えば昨日もエリア3で上位一歩手前のBランク魔獣が出とったな
出現してから討伐されるまでがめっちゃ早かったけど
227:魔法少女を愛する名無し
へえ〜
俺んとこは田舎だから下位のD、Eランクしかみたことないわ
228:魔法少女を愛する名無し
ワイの住んどる大阪もなかなかの激戦区やな
229:魔法少女を愛する名無し
>>225
それな、俺も思ったわ
ところで、東京都のエース級魔法少女と言えばみんなは誰が好き?
230:魔法少女を愛する名無し
アリス
231:魔法少女を愛する名無し
アリスだね
232:魔法少女を愛する名無し
アリスかな
233:魔法少女を愛する名無し
サファイアたん
234:魔法少女を愛する名無し
アリス様
235:魔法少女を愛する名無し
サニーちゃん
236:魔法少女を愛する名無し
サニーとサファイア
237:魔法少女を愛する名無し
サファイアとアリス
238:魔法少女を愛する名無し
アリスちゃん一択
239:魔法少女を愛する名無し
私はホワイトローズかな
240:魔法少女を愛する名無し
ホワイトローズとアリスの二人
241:魔法少女を愛する名無し
サファイアたそ
242:魔法少女を愛する名無し
サニーちゃんとアリスちゃん
243:魔法少女を愛する名無し
ミントちゃん
244:魔法少女を愛する名無し
やっぱアリスちゃんかなー
245:魔法少女を愛する名無し
アリス強すぎワロタ
でもわかる
246:魔法少女を愛する名無し
アリスちゃんは私的にもうビジュアルがドンピシャ
247:魔法少女を愛する名無し
不思議の国のアリス風の衣装+金髪美少女とか完璧な組み合わせすぐる
そして何より天使級の可愛さ
248:魔法少女を愛する名無し
リボンスカーフがウサミミにしか見えなくて初見時に悶絶したわ
ほんと可愛いの暴力
249:魔法少女を愛する名無し
東京在住の俺氏、現場で彼女を見たことあるけど戦闘時の真剣な表情と仲間や市民に向ける微笑みとのギャップがもうなんかあれで気づいたらファンになっとったで
250:魔法少女を愛する名無し
小さい子たちからの人気もすごいからな
俺の娘も彼女が一番のお気に入りだよ
よく魔法少女アリスごっこして遊んでる
251:魔法少女を愛する名無し
実は俺、彼女を初期の頃から知っとる古参勢
彼女に関することで今でも鮮明に覚えている出来事があるんだが聞きたいやつおるか?
252:魔法少女を愛する名無し
>>251
初期勢ニキ!?
ぶっちゃけアリスの新人時代のことよく知らんからめっちゃ聞きたい
253:魔法少女を愛する名無し
ワイも聞きたい
254:魔法少女を愛する名無し
おけ、話すわ
これは二年前に俺がとあるショッピングモールへ買い物に出かけた時の話
当時そこに魔人が突然現れて市民を無差別に襲い始めたんだが、現場にちょうど居合わせた新人魔法少女ちゃんが俺たちを守るために一人でそいつに立ち向かってくれたんだ
ところが実力差がありすぎて新人ちゃんは見ているこっちが辛くなるほど敵から一方的に嬲られることになっちまった
後から知ったんだが相手の魔人は中位のCランクで、間違っても魔法少女に覚醒したばかりの新人が一人で挑んでいいレベルじゃなかったらしい
例えるなら一般人がライオンに素手で喧嘩を挑むような自殺行為だとね
全身血まみれで、衣装も血が滲んでボロボロ、今にも死にそうなくらいの満身創痍になっても立ち上がる彼女を見てみんな泣いてた
たしかに自分たちが助かりたいという気持ちもあったけど、それ以上に小学校すら卒業していないであろう幼い少女が自分たちのために悲惨な目に遭っている光景を見せ続けられることに心が耐えられなかった
なんで俺たちには戦う力が無いんだって怒りと、大人なのに見ていることしかできない罪悪感で死にたくなったよ
もういい、やめてくれ、もう十分だ、これ以上君が傷つく必要はないって俺たちは彼女を止めようとしたさ
だが、彼女は絶対に諦めようとはしなかったんだ
守るべきものがある限り、私は倒れない。ここにいる私がみんなにとって最後の希望だからって笑ってな
そうして彼女は戦い続けて――ついには遥か格上の魔人を見事討伐してみせたんだ
その時の新人魔法少女ちゃんが今のアリス
255:魔法少女を愛する名無し
泣いた
256:魔法少女を愛する名無し
え、ちょ、かっこよすぎん?
257:魔法少女を愛する名無し
マジモンの主人公やんけ
258:魔法少女を愛する名無し
小学生とは思えない覚悟の決まりように驚愕
259:魔法少女を愛する名無し
ますます彼女を推したくなったわ
聞かせてくれてありがとう
260:魔法少女を愛する名無し
は? こんなん惚れるわ
261:魔法少女を愛する名無し
ああ、やっぱりアリスが最強なんやなって
262:魔法少女を愛する名無し
あの日以来彼女のことが忘れられなくってなぁ……
今もできるだけ活躍を見守るようにしてるし、たまに感謝や応援の手紙を魔法少女機関に送ってる
263:魔法少女を愛する名無し
>>262
初期勢ニキの気持ちめっちゃわかる
自分たちのためにそこまで体張ってくれる子がいたら惚れる気しかしない
264:魔法少女を愛する名無し
……なんというか、アリスちゃんがみんなから愛される理由の一端が分かった気がする
265:魔法少女を愛する名無し
先月にあった東京都所属の魔法少女を対象とした人気投票もぶっちぎりの一位だったからな
しかもそれに対して他の魔法少女たちも納得してる模様
266:魔法少女を愛する名無し
ついでに小中学生女子に聞いた『憧れの人』部門でも一位でしたね
この話を知った後だと納得しかない
267:魔法少女を愛する名無し
素晴らしい話が聞けてワイ大満足や
このスレ覗いた甲斐があった
……ところでさっきからイッチの反応が全くないんやが
268:魔法少女を愛する名無し
せやな
おーい、イッチ生きとるかー?
269:TS魔法少女
>>268
あ、はい、生きてます
ちょっと暑くて部屋の換気してた
270:魔法少女を愛する名無し
イッチの好きな魔法少女も聞いてみたいから教えて?
271:魔法少女を愛する名無し
誰やろなー
272:魔法少女を愛する名無し
東京所属らしいし十中八九アリスじゃね
273:TS魔法少女
>>270
サファイアとサニーとホワイトローズ
ぶっちゃけ魔法少女はみんな好き
274:魔法少女を愛する名無し
>>273 ぶっちゃけ魔法少女はみんな好き
わかるマーン
275:魔法少女を愛する名無し
なるほど
サファイアとサニーもやっぱ可愛いよな
アリスとチーム組んでるからよく一緒に出てくるし、魔法少女と聞いてすぐに顔が出てくるメンバーだわ
276:魔法少女を愛する名無し
ホワイトローズはいいぞぉ
無表情系ロリっ娘最高
メディアや一般人に塩対応だけどそういうとこも含めてすこ
277:魔法少女を愛する名無し
ホワイトローズちゃんもいいよね……
278:TS魔法少女
あの子ああ見えて結構甘えん坊だけどね
279:魔法少女を愛する名無し
……!?
280:魔法少女を愛する名無し
……!?
281:魔法少女を愛する名無し
なん……だと?
282:魔法少女を愛する名無し
……いやイッチ、なんでそんなこと知っとるん?
283:魔法少女を愛する名無し
ホワイトローズ推しの俺氏
彼女が誰かに甘えている姿なんか見たことも聞いたこともないんだが
284:魔法少女を愛する名無し
ホワイトローズと言えば他の魔法少女と一切関わりを持とうとしないことで有名な娘やぞ?
イッチマジで何者や
285:魔法少女を愛する名無し
さすがに嘘やろwww
すぐバレる嘘はつかん方がええぞイッチwww
286:魔法少女を愛する名無し
>>285
同意
あのホワイトローズが甘えん坊とか全く信じられんわ
俺、ああいう愛想のないガキはマジで嫌い
内心で何考えてるか分からんしな
287:魔法少女を愛する名無し
>>286
おうてめえ表出ろや
288:魔法少女を愛する名無し
無愛想なのもホワイトローズちゃんの魅力だろうが
289:魔法少女を愛する名無し
>>288
それが薄気味悪いんだよ
きっと親も苦労してんだろうな
290:魔法少女を愛する名無し
おいおい、落ち着けってお前ら
291:TS魔法少女
>>286
ローズちゃんは良い子だよ
私が保証する
これが証拠
【画像】
292:魔法少女を愛する名無し
>>291
えっ、何これ……
293:魔法少女を愛する名無し
>>291
おかしいな……いつでも無表情がデフォルトのはずの娘が微笑んでこっちを見ているというお宝写真が画面に表示されとるんやが……幻覚かな?
294:魔法少女を愛する名無し
>>291
え、ちょ、誰この天使
すんごく抱きしめたくなる可愛さ
295:魔法少女を愛する名無し
俺氏、推しの神画像で無事死亡
ありがとうイッチ、これでもう思い残すことはない……
296:魔法少女を愛する名無し
これってもしかしなくてもとんでもない貴重画像なのでは?
それこそ彼女のファンたちが見たら喜びのあまり発狂しかねんくらいの
パッと見では本物っぽいけどまさか本当に……?
297:TS魔法少女
>>296
本物だよ
一応本人に許可とって載せてる
298:魔法少女を愛する名無し
>>297
画像はこれだけなん?
いや、これだけでも十分すぎる衝撃なんやが
299:TS魔法少女
>>298
許可をもらえたのはこれだけ
もちろん他にもあるけど本人が恥ずかしいからダメって言ってるので……
300:魔法少女を愛する名無し
すげえ、この短時間でホワイトローズのイメージがどんどん変化していく
こんな可愛い娘やったんか
301:魔法少女を愛する名無し
>>291
すまないイッチ、俺が間違ってたよ……
こんなに可憐な笑みを浮かべることのできる子が薄気味悪いとかありえない
反省して今日からずっとこの子推します
302:魔法少女を愛する名無し
とんでもないカウンター決めてて草
さすが俺たちのイッチやで
あ、画像はもちろん高速で保存しました
303:魔法少女を愛する名無し
恥ずかしいからダメとか普通に可愛い
今日からホワイトローズも推しに加えようかな
304:魔法少女を愛する名無し
これはまごうことなき神スレ
305:魔法少女を愛する名無し
あぁ〜無表情系白髪ロリっ娘のクッソ可愛い微笑みで浄化されるぅ〜
306:魔法少女を愛する名無し
いやいやちょっと待って
確かにホワイトローズの貴重画像もすごいけど、それ以上にこれを当たり前のように何枚も持ってるイッチが気になって仕方ないのは俺だけ?
307:魔法少女を愛する名無し
それな
308:魔法少女を愛する名無し
イッチの魔法少女名がめっちゃ知りたい
309:魔法少女を愛する名無し
なんか普通に知ってる名前出てきそう
310:TS魔法少女
私の魔法少女名は秘密!
みんなのご想像にお任せするよー
ついでにたった今家に来客があったので、今回はこの辺りで抜けます
またどこかでスレを立てると思うのでその時はよろしくー
ではまた!
311:魔法少女を愛する名無し
おつ
また君に会える日を楽しみに待っとる
312:魔法少女を愛する名無し
おつー
名残惜しいがひとまずのお別れか
応援してるから今後も頑張ってくれ
313:魔法少女を愛する名無し
イッチありがとう!
君のくれたお宝写真は家宝にします!
314:魔法少女を愛する名無し
……イッチは行ったか?
315:魔法少女を愛する名無し
行ったな
316:魔法少女を愛する名無し
いやー、なかなか謎の多い人物やったな
317:魔法少女を愛する名無し
ほんそれ
正体が気になる
318:魔法少女を愛する名無し
うーん……いや、まさか……
319:魔法少女を愛する名無し
>>318
お、どうした
何か気付いたことでもあるんか?
320:魔法少女を愛する名無し
やっぱり何でもない
多分気のせいや
それに、魔法少女の個人情報をあんまり詮索しすぎるのも良くないしな
イッチはイッチ、それでええんや
321:魔法少女を愛する名無し
>>320が何に気づいたのか気になるが……確かにその通りだ
322:魔法少女を愛する名無し
次はいつ会えるんやろな
323:魔法少女を愛する名無し
案外すぐに会えそうな気がするのは俺だけ?
324:魔法少女を愛する名無し
ワイも同意見
多分数日以内に新しいスレ立ちそう
325:魔法少女を愛する名無し
これから毎日スレをチェックしなきゃ
東京都某所にある日本魔法少女機関本部。その建物内に用意された個室にて一人の銀髪少女がパソコンと向き合っていた。
「うんうん、どうやら彼らもローズの魅力をきちんと理解してくれたようでなにより」
そう言って銀髪少女――姫宮凛は満足げに頷いていたが、ふと耳に聞こえてきた『コンコン』という物音に画面から目を離して自室の窓の方を見た。
「あれ? ローズ?」
外側から窓を叩いていたのは一輪の真っ白なバラを髪飾りのようにつけた白髪のおかっぱ少女。白を基調としたフリフリのドレスに身を包んだ少女の正体は世間からホワイトローズと呼ばれている魔法少女であった。凛はパソコンへ素早く何かを打ち込んで閉じながら彼女へ声をかける。
「いらっしゃい。入ってきても大丈夫だよ」
「……」
開いていた窓からするりと室内に入り込んだホワイトローズはそこですぐに変身を解く。そうしてその場に現れたのはノースリーブの黒いワンピースを着た黒髪のおかっぱ少女だ。凛と同い年かそれ以下に見える少女の顔立ちは非常によく整っており、無表情であることも合わさってまるで精巧な日本人形のようであった。
少女――真白ひな子は一瞬チラリと凛が操作していたパソコンへと視線を向けた後、ゆっくりとその口を開いた。
「……あの写真以外は見せてない?」
「もちろん! というか頼まれても見せるつもりはないよ。だってあれ以外の写真は私だけの宝物だもん」
「……ん。ならいい」
どこかホッとしたような様子でひな子はつぶやき、そのままトテトテと凛に歩み寄って正面から抱き着いてくる。それに対して凜は慣れた様子で微笑みながら彼女を受け止め、その頭を優しく撫でていた。
もしもこの光景を事情を知らぬ第三者が見ればさぞ驚いたことだろう。ホワイトローズは常に無表情かつ無愛想で誰とも関わりを持とうとしない排他的な人物……それが世間一般の彼女に対するイメージであるからだ。加えて彼女は機関に所属していない野良の魔法少女であるため、情報が少なく謎の多い人物であった。
さらに言えば、こうして二人が交流関係を持っていることも本人たち以外は知らない事実である。
「……でもねひーちゃん、写真うんぬんはともかく、少しずつ私以外の人とも話せるようにならないと今後大人になった時に困っちゃうよ? しっかりしたコミュニケーションが取れないと人の心はどんどん離れていくものだから」
しばらくひな子の頭を撫でていた凛であったが、ふと手を止めて心配そうな表情で自分に身を委ねる小さな少女へと声をかける。
凛は自分の言葉にひな子の体が小さく震えたのが分かった。
「……私がこのままだったら凛はどこかに行っちゃうの?」
ぎゅうと抱き着く腕に力がこもる。
凛の顔を見上げながらそう聞く彼女の瞳は隠し切れない不安の色に染まっていた。
「私はどこにも行かないよ。でもこのままひーちゃんの世界が私とあなただけで完結してしまうのはとても寂しくてもったいないことだと思ってる。ひーちゃんも本当はもっと色んな人と仲良くなりたいはずだよね?」
「……うん」
かすかにこくりと頷いた彼女の頭を再び優しく撫でる。
世間から無愛想で排他的な人物とされている少女。その正体はなんてことのないただの人見知りが激しいだけの女の子であった。
「よし! それじゃあ今ここでしっかり目標を決めておこっか!」
「……目標?」
「うん。ひーちゃんは将来的に何人くらいの友達が欲しい?」
「……よ、四人……くらい?」
「じゃあまずは半分の二人を目標にしてみようか。そのための第一歩として……まずはお礼の言葉を素直に受け取ることから始めよう」
「……?」
「ひーちゃんって、いつも魔獣から助けた相手からのお礼の言葉を恥ずかしがって無視して帰っちゃうでしょ? 今日からはそれを素直に受け取って何かリアクションを返すようにしようか。ちなみにこの取り組みをさぼっていることが分かったら、今後一切ひーちゃんに私のお手製デザートは提供されません」
「……!?」
凛が最後に付け加えた文言に激しく動揺するひな子。凛に甘えることと彼女のお手製デザートを食べさせてもらうことを最大の幸せとする少女にとってそれは文字通り死活問題であった。
凛はこちらへすがるような目を向けてくるひな子に内心「少し強引だったかな……」と思いつつも、言葉を取り下げることはしなかった。この人見知り少女はこのくらい強く言わないとまず間違いなく日和って行動を起こさないのだ。
凛が静かに見守る中、ひな子はやがて覚悟を決めたように口を開く。
「分かった。がんばる」
「ひーちゃん……! うん、吉報を楽しみにしてる! 私も応援するから頑張ってね!」
「……うん」
「よーし、それじゃひーちゃんの一大決心を記念して今日はデザートを奮発しちゃうよ!」
「……!」
ぱあっと表情を輝かせるひな子をテーブルの前へ座らせ、冷蔵庫へと向かう凛。
数分後、彼女が食器や飲み物とともに持ってきたのは大量の苺が乗った美味しそうなタルトケーキであった。
「わぁ……!」
「じゃーん、今回ご賞味いただくのは新作の苺タルトだよ。なかなかの自信作なんだ」
手際よく準備を終えた二人は揃って手を合わせる。
「「いただきます!」」
「あむ……うん、やっぱり上手く出来てる」
「……~~っ!」
タルトを口に入れるや否や幸せそうな表情で食べ始めたひな子の姿に凛は頬をゆるませる。
(いやぁ、タルトは初挑戦だったから苦労したけどこんなに喜んでもらえたなら作った甲斐があったよ)
あっという間にタルトを食べ終えた二人は仲良く食器を洗い、休憩のためソファーへと移動する。
ソファーでは凛の隣にぴったりとくっつくようにひな子が腰掛け、彼女の肩に自分の頭を乗せていた。
「……タルトは美味しかった?」
「うん……お店よりも美味しかった」
「ありがとう。ついでに次回のリクエストは何かある?」
「……凛の作るものなら何でも美味しい」
「そう? じゃあにんじんたっぷりのキャロットケーキでもいい?」
「……」
「いや、冗談だからそんな目をしないで」
「……にんじん、きらい」
「でもこれが意外と美味しいんだよ?」
「……」
「……」
「……うぅ」
「ごめんごめん、別のメニューを考えておくから安心して」
凛はちょっぴり泣きそうになっているひな子を見て慌てて宥める。軽く抱きしめたり頭を撫でたりしながら何度か謝るとすぐに彼女の機嫌は良くなった。
その後は彼女にせがまれてくっついたままのんびりと時間を過ごす。会話らしい会話もなく、ただ静かに彼女と過ごすだけのこの時間が凛は嫌いではなかった。そうして数十分ほどの時間が経過した頃、ひな子はぼんやりとどこかを見つめながら凛へと話しかけた。
「……凛は」
「……ん?」
「私に友達がたくさんできたら嬉しい?」
「嬉しいし、なにより安心するかな。信頼できる人が増えればひーちゃんは今よりもっと幸せになれるはずだから」
「……」
「大丈夫。ひーちゃんはとっても優しい子だからすぐに友達だってできるよ、私が保証する」
「……うん、がんばる。でも……」
ひな子はそこで言葉を切る。気になった凛が彼女を見ると、こちらへ何かを訴えようとする瞳と視線が合った。
「……い、一番は凛だから」
「え?」
「凛が私の一番大切な人だから」
「う、うん」
頬を赤らめながらも真っ直ぐな瞳でそう言い切った彼女に凛は妙な気恥ずかしさを感じて視線をそらした。
だがそんな凛へとさらに畳み掛けるように彼女は続ける。
「凛は……?」
「えっ!?」
「凛が一番大切に――」
「せんぱーい! 理沙、ただいま戻りま――だ、だだ誰ですかその女ーーっ!?」
「……あっ」
その瞬間、突然開いた自室のドア。
そこからこちらを驚愕の瞳で見つめてくる理沙の姿を見て、さあどうしたものかと凛は頭を抱えた。
( ̄∀ ̄)やあ、こんにちは。
また会えて嬉しいよ。
最近調子はどうだい? 私の方は……ぼちぼちといったところかな。
そういえば今朝の新聞はもう読んだかい?
おや、まだ読んでいないのか。ならここにあるから是非読んでみたまえ。面白い記事が書いてあるよ。
……どうだい?
ふふふ、驚いた顔をしているね。私も最初に読んだ時は驚いたものだよ。
実をいうと、ここに来るお客さんの中にも彼女……ホワイトローズと短いやりとりをしたという人がいてね。
とても可愛らしい声で『どういたしまして』と会釈を返されて驚いたと言っていたよ。
一体彼女にどんな心境の変化があったんだろうね。
まあ理由がなんであれ、良い変化であることに違いはないと私は思うけどね。
……さて、それでは今日の注文を聞こうか。
※補完用人物紹介
★真白ひな子(魔法少女ホワイトローズ)
あだ名はひーちゃん。小学6年生。
東京都で活動する野良の魔法少女。
無表情がデフォルト。他者と一切の関わりを持とうとしないことから世間では愛想のない排他的な人物であるとされている。
しかしその正体はただの人見知りが激しい少女であり、唯一アリスの正体である凛には懐いている。ちなみに彼女が素を見せるのはアリス(凛)と二人きりになった時のみである。
魔法少女として抜群の戦闘センスを持っており、遠近共に高いレベルでこなすことができるバランス型。
無表情系キャラが信頼した相手にだけ見せる笑顔っていいよね。
★姫宮凛(魔法少女アリス)
お菓子作りが趣味の一つ。作ったものをよく周囲の人間に振る舞っており、腕前はかなりのもの。そのせいでチームメイトが最近体重を気にしていることは知らない。なお本人は太りにくい体質の持ち主。
ひな子(ホワイトローズ)のことは可愛い妹のように思っている。
★氷川理沙(魔法少女サファイア)
仕事が思いのほか早く終わってルンルン気分で凛の部屋を訪れたら、メスの顔で自分の想い人に迫っている謎の女を発見した。修羅場勃発である。
今後読んでみたい話は?
-
街歩いてたらアイドルにスカウトされた話
-
凛が性的に襲われてしまう話(お酒回)
-
仲間の誰かとデートする話
-
悪のメスガキ魔法少女を拾った話