【悲報】精神はまだ男の俺氏、先ほど勇者に告白されるwww   作:レモン果汁

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お待たせしました続きです。ようやく完結です。
正直今回の話過去一で難産でした。


TS娘クロムと幼馴染のエレシア・ラヴェリエール 後編

 

 

 

 私の一世一代の告白。

 

 心の内を全て吐き出した私の純粋な気持ちを聞いたクロムは、全て分かっていたとでもいいたげな顔を浮かべていた。

 

「……」

「……」

「エレシア」

「は、はい」

 

 無言でしばらく見つめあった後、ゆっくりと彼女は口を開き始めた。

 

「……オレもエレシアのことは好きだよ」

 

 表情を変えずぽつぽつと話すクロム。

 

 その口から出たのは私への好意の言葉。

 

「……」

 

 大好きなクロムに好きと言われた。本来ならそれはとても喜ばしいことだ。

 

 だけど、違う。

 彼女の言うこの『好き』は、きっと私の『好き』とは違う。

 

 今の彼女の一言で私は理解した。

 私は人の感情に人一倍敏感だ。だから、分かる。分かってしまった。

 

「だけど──」

「クロム」

「何?」

「その『好き』は、あなたの『好き』は、きっと……友達としての『好き』だよね」

「……うん」

 

 そっ、か。そうだよね。

 

 当然だ。こちらがこんなに愛しているからといって相手もそうだとは限らない。

 そんなこと、分かり切っていたことなのに。

 

 感情が高ぶって、勝手に期待してしまった。

 心のどこかで、きっとクロムもそうなんじゃないかと期待してしまった。

 

「あ、そ、そうだよね、そりゃそうだよね。ごめんね、突然押し倒して」

「エレシア」

「急にごめんね、怖かったよね」

 

 身体を起こし、足早に彼女から距離を取る。

 

 あーもう、何をやってるんだ私は。

 最初はこんなつもりじゃなかったのに。雰囲気に呑まれて、取り返しのつかないことをしてしまった。

 

 ……だめだ、胸が苦しい。顔もすごく熱い。

 頭がぐちゃぐちゃになってしまっている。

 

 よし、落ち着け、落ち着くんだ私。

 

「そう、私とクロムは友達、友達なんだよ。あー、うん、そう、そうなんだよ」

「エレシア、オレは」

「あはは、馬鹿みたいだよね私。ごめん、今日の事は忘れて……っていうのは難しいだろうから、うーん、できるだけ気にしないようにしてくれると嬉しいな」

 

 瞳から流れ落ちてしまいそうになる涙をぐっと抑え、できるだけいつも通りの声色を心掛ける。

 少しでも気を抜くと声が震えてしまいそうだけど、こらえろ私。

 

 ここで涙を見せたらクロムは優しいからきっと気負ってしまう。

 今日のは私が勝手に暴走して自滅しただけ。私がダメージを受ける分には一向に構わないけど、クロムに迷惑はかけられない。

 

 だからいつも通りを心掛けるんだ私。今日のはただの気の迷いだったんだって、そう思ってもらわないと。

 ただでさえ私の気持ちが暴走して無駄に怖がらせちゃったんだから、これ以上クロムに迷惑をかけると愛想をつかされてもおかしくない。

 

「えっと、クロム。その、今は話せそうな気分じゃないから、続きは明日でいいかな。その、ごめんね勝手で。でも、一回寝て頭を落ち着かせたいというか。あ、いや、ショックとかそんなんじゃないんだけど、ほら、こんな話をした後じゃクロムも話しにくいだろうし、今日は一旦──」

「エレシア!」

「──ッ」

 

 感情をごまかすためせわしなく部屋の中を歩き回りながら早口でまくし立てていると、突然クロムに腕を掴まれた。

 

 突然のことで一瞬思考が停止する。

 そしてその一瞬気が緩んでしまったことで、私の瞳から涙が数滴零れ落ちてしまった。

 

「あ……い、いや、その」

「話は最後まで聞いてエレシア。オレはエレシアにそんな顔してほしくて今日来たんじゃないから」

 

 こちらに話しかけるクロムは、いつになく真剣な瞳をしていた。

 いつものクロムからは考えられないような凛とした顔つきで、彼女はこちらの顔をじっと見つめている。

 

「今からオレの正直な気持ちを言うよ、エレシア」

「う、うん」

「確かにオレは今までエレシアに友情以上の感情を抱いたことはないよ」

 

 こちらを見つめるクロムの真剣な顔は、いつもよりとても可愛くて、それでいて美しくて。

 

 先ほどまで情緒が滅茶苦茶になって涙までこぼしていたというのに、それら全ては一瞬頭の中から抜け落ち、つい私は彼女に見惚れてしまっていた。

 

「でもそれって、今までオレがろくにエレシアに歩み寄っていかなかったからだと思うんだ」

「えっ、と」

「勝手にエレシアを神聖視して、勝手に壁を作って、勝手に別の世界の住民だと決めつけて。オレはエレシアに釣り合わないから、本来はオレと一緒にいるべきじゃないなんて勝手に考えて」

「……」

「でも、違ったんだって今日分かったんだ。エレシアもれっきとした一人の人間で、人並みに悩んで傷ついて、しっかりと人らしい欲望があって、オレのことを大切に想ってくれていて。それに気づいた時、今までオレはエレシアに対してなんて失礼なことをしてたんだろうって気が付いたんだ」

 

 口早に語る彼女の声は、いつしか震えていた。

 

 まるで自分が許せないとでもいいたげな声色で、必死にクロムは言葉を紡ぐ。

 

 そのあまりにも必死で健気な姿に、ついつい彼女を抱きしめてしまいたくなる。

 抱きしめて、彼女に向かって「クロムは悪くないよ」と、そう言ってしまいたくなる。

 

 だけど今それを言ってしまったら、彼女の決意を全て台無しにしてしまうような気がして。

 私はただじっと彼女の言葉を黙って聞くことしか出来なかった。

 

「だから、エレシア」

「……うん」

「オレ、もっとエレシアのことを知りたい。オレが勝手に抱いていた虚像なんかじゃない、エレシアの本当の姿を。好きなことや苦手なこと、あと、本当の性格とか」

「……」

「それで、告白の返事はその後にしたい。ちゃんとエレシアのことを知った上で答えを出したい。今までの壁を作っていた関係性でその告白に答えるのは嫌だから」

「……そう」

「すごく身勝手でわがままなことだけど……駄目、かな……」

 

 ……ああ。

 クロムは本当に、昔から正直で優しいね。

 

 今の気持ちで答えを出しても誰も怒らないどころかむしろそれが普通なのに、勝手に自分が至らないと思ったところを責めて、自分に至らないところがあったからと相手を責めず傷つけようとせず。

 自分の気持ちをはぐらかすこともなあなあにすることもせず、純粋に、ただ全力でこちらの気持ちに応えようとしてくれる。

 

 彼女のいいとこは多々あれど。

 私はきっと、彼女のそんな不器用な誠実さに心惹かれたんだろう。

 

「いいよ」

「え?」

 

 真剣な表情のクロムの手をそっと引き、抱き寄せる。

 

 もう、駄目だ。

 やっぱり、これ以上彼女への愛情を堪えられそうにない。

 

「私、頑張るから」

「エレ、シア」

「クロムが心の底から私のことを好きって思えるように。クロムの一番になれるように。クロムから、『オレも好き』って言ってもらえるように」

 

 クロムが私のことをそこまで想っていてくれたこと。

 私のためにずっと悩んでくれたこと。

 私の想いに最大限応えようとしてくれたこと。

 

 そのどれもが心の底から嬉しくて、彼女への愛情があふれて止まらない。

 

「頑張る。頑張って、クロムを惚れさせてみせる」

「……もしそうなった時は、オレの方からもう一度君に告白してもいいかな」

「……うん」

 

 クロムが幼馴染でよかった。

 クロムにここまで想われていることが知れてよかった。

 好きになった相手がクロムでよかった。

 

 こんなに恵まれている私はきっと、世界一の幸せ者だ。

 

「クロム」

「ん?」

「大好き」

「ははは、知ってる」

 

 たとえクロムに振られる結末になってしまっても。

 きっと私は今日という日を一生忘れない。

 

 だって今、こんなにも幸せなんだから。

 

「よし、じゃあ今日は一緒に寝ましょう」

「え?」

「気持ちがバレてしまった以上もう私我慢とかしないから。これからは全力でクロムへの愛をぶつけるからね」

「え、え?」

 

 とりあえず、今後はクロムへの愛情を隠さなくてもよくなったわけだ。

 

 だったらもう我慢なんてしない。

 彼女に好かれるために頑張るけど、それよりもまず今まで溜まっていた欲望もとい願望を全部オープンにしていくから。

 クロムも言ってたもんね。私の好きなことや苦手なことや本当の性格を知りたいって。

 

「寝間着は私のでいいかな。それとも一旦取りに戻る?」

「え、ちょ、エレシア?」

「なあに?」

「いや、その、えーっと……添い寝はまだ早いかなー、って」

「大丈夫大丈夫、添い寝なんてまだまだ序の口だから」

 

 クロムとしたいことなんて山ほどあるからね。

 

 今までは気持ちを伝えてなかったから我慢してきたけど、もう抑えなくていいもん。

 クロムにはぜひとも覚悟していてもらいたい。私のクロムへの愛情はそんな生易しいものじゃないから。

 

「あー、えっと……うん」

「ん?」

「その……お手柔らかにお願いします……」

「ふふ、頑張るっ」

 

 

 

 ……ああ、本当に。

 

 大好きだよ、クロム。

 

 

 

 

 

 

 

 ・

 ・

 ・

 

 

 

 

 

 

「……そういえばさ」

「どうしたの、寝れない?」

「あ、いや」

「やっぱり抱き合う?」

「いや……エレシアが描いた本あったじゃん」

「う……できれば、あれには触れないでもらえると……」

「あれの中で、おそらくオレがモチーフであろうほうが攻めだったけど」

「う、うん」

「てことは、エレシアは本当は攻められたいタイプ?」

「……その、えっと、まあ、そのー、うん……私は、どちらかというと、求めるより求められたいタイプというか……」

「ふぅん……」

「あ、いや、でも全然、クロムがそばにいてくれるだけで私は幸せだから、そうなってほしいとかそうじゃないと駄目とかじゃ」

「──好きだよエレシア。ずっとオレのそばにいてくれ」

「──ッ!?」

「こんな感じ?」

「もう……反則……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

217:一般魔術学園生徒

 以上で報告は終わりになります

 付き合ってくれてありがとう

 

218:名無しのTS

 ヘタレ

 

219:名無しのTS

 告白の返事先延ばしにするとか君さぁ……

 

220:名無しのTS

 男らしさのかけらもねえ! 

 もう身も心も女になっちまったんじゃねえのか? 

 

221:名無しのTS

 告白の返事先延ばしはいかんでしょう君

 

222:名無しのTS

 >>221

 相手が納得してるんならいいんでーの? 

 知らんけど

 

223:名無しのTS

 とりあえずお疲れ

 

224:名無しのTS

 おめでとう……はおかしいか

 お疲れ様

 

225:名無しのTS

 可愛い女の子から告白されて瞬時にOK出さないとかお前本当に男か? 

 

226:名無しのTS

 ワイやったらコンマ一秒でOK出したのに……

 

227:名無しのTS

 お疲れ様

 まあお前にしては頑張ったよ

 

228:名無しのTS

 >>227

 お前誰だよ

 

229:名無しのTS

 可愛い女の子とくっつきそうな奴がいたら呪って、くっつかなかったら怒る

 ほんまお前ら理不尽やな

 

230:名無しのTS

 お疲れ

 とりあえず彼女は幸せにしてやれよ

 

231:名無しのTS

 >>229

 人間ってのはえてして心の中に矛盾を抱える生き物なんだぜ

 

232:名無しのTS

 告白の返事は早めにしてやれよ

 

233:名無しのTS

 >>229

 あら、お嫌い? 

 

234:名無しのTS

 お疲れ様

 今後が楽しみだな

 

235:名無しのTS

 >>233

 ううん、好き♡

 ごめんやっぱり大嫌い♡

 

236:名無しのTS

 はーワイに惚れてる可愛い幼馴染がどっかから生えてこんかなぁ……マジで……頼むからさ……

 

 

 

 

 






おまけのキャラ紹介(読まなくても特に問題ないよ)


エレシア:名門貴族ラヴェリベール家の三女。文武両道、才色兼備の天才で10年に一度の天才と称されている。だがその恵まれた才覚と竹を割ったような性格のせいで子供のころからよく周りの貴族からの嫉妬に苛まれており、決して表には出さないがそのせいで少々人間不信の気がある。
だけどその分、一度気を許した相手への愛は若干重め。


クロム:名門貴族アルレオ家の一人娘。基本的に人見知りのコミュ障。ずっとエレシアの後ろに引っ付いているため周りの貴族からはエレシアの腰巾着扱いされている。
実はアルレオ家の一人娘であるということと可愛らしい小動物のような見た目のせいで若い貴族連中に密かに人気があり、下卑た欲望を持って彼女に近づこうとする若い貴族が時々現れるのだが、そういう輩は全てエレシアに返り討ちにされている。



この二人が最終的にどうなったかは皆さんのご想像にお任せすることにしますね。
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