新・単冠湾泊地活動記   作:扶桑畝傍

11 / 36
嫁と艦娘と資材が無い!!

入渠ドック

・医務室

 

「ふぅ、状態安定してます、

 じきに意識は回復するかと思われます。」

「っ、悔しいわ~、流石専門職。」

「いえ、山雲さんの『医療知識』とか、

 『研究段階の治療法』は、

 私が知りえない物です、尊敬こそすれど、

 謙遜は私が許しません。」

「そぅ、それならよかった。」

「しかし、

 ドラム缶の中に艦娘が入ってたなんて、

 今までの報告に無かった案件だぞ?」

「そうですね、

 損傷状態から、恐らく『大破着底』

 『大戦時のまま』と推測できます、

 使用されている『刻印』から、

 『オーストラリアの艦艇』だと、断言できます。」

「オーストラリア・・・

 今は内戦状態になってるアノ国か。」

「近隣のニュージーランドは、

 その避難民受け入れで、貧困が極限状態との事ですが事実で?」

「・・・聞かない方がいい、

 明石、状態には常に注意しててくれ、

 もしもの時は。」

「・・・保証出来かねます。」

「せめて俺を呼んでくれ。」

「はぃ、わかりました。」

▽

廊下

 

「アナタ。」

「なんだ?」

「ドコ見テタノ?」

「・・・いや、発育の良い子だなぁ、と。」

「処スル?」

「勘弁してくれ、普通の反応だ、

 それに、山雲とは・・・な?引退が出来る時に、な?」

「バカ。」

「さて、今日と言う今日は、

『シロッコ』に出て来て貰わないとな。」

「そうね、喰っちゃ寝艦娘に

 タダ飯を食べさせる余裕は無いわ、

 最低限『温室畑』の手入れだけでもやらせないと。」

 

コンコンコン

 

「『シロッコ』いい加減出て来い、

 家にはタダ飯を食わせてる余裕は無いんだ。」

「出て来なさい、こうして扉のノックだけで留めてるのは

 かなり譲歩してるのよ?」

 

 

「返事は無し、か。」

「もう、マスターキーはこっちが持ってるのよ?

 それでも開けないで、

 貴女から出て来るのを期待してるんだから。」

 

カチ

 

「っ!?伏せろ!!」

「ちょっ!?」

 

扉が吹き飛び、反対側にさらなる大穴が出現する

 

「いたた・・・大丈夫?あ・・・エイジっ!?」

「・・・少し切っただけだ、

 頭の切り傷は見た目以上に

 軽傷な事も・・・おい、山雲?」

 

「ユルサナイ、コンナノ、ユルサナイ。」

「山雲っ!!」

「絶対に許さない!!」

 

服装が変わり、灰色の制服があらわになる

 

「教えてあげる、

 失敗するとわかってても、

 たとえ、勝ち目がなくても、

 最後まで戦う意志を、覚悟を決めた、

 『西村艦隊』の力を。」

 

轟音と共に部屋には穴が開き、海には

なにかが跳ね飛んで行った

▽

「いっつぅ、山雲の奴。」

(もぅ、海は嫌なのに)

「立て。」

「うわっ!?」

咄嗟に飛び退くとそこに水柱が際立つ

「実弾っ!?なに考えててんのっ!?」

「さぁ、艤装を。」

「ふざけんな!せつめいしろよ!!」

「説明?貴女が撃った砲弾で、エイジが怪我したのよ?

 なら、それがどう言う事か解らせてあげる、

 それでいいかしら?」

「っ!?」

砲弾ではなく、腹に重たい一撃がめり込んでくる

「ぐぅぉ・・・。」

「あら?実弾が嫌なら、『拳』で良いのかと、

 違ったかしら?」

「や、まぐもぉおおっ!!」

殴り返す

「せっかく筋はいいのに。」

「くそっ。」

距離をあけようとするが

「命中。」

「ひっ!?」

水しぶきがシロッコを隠す

「まだ沈まない筈よ?大破よね?」

「い・・・いたぁぃ。」

「あら、可愛い声ね、

 もっと泣かせてあげようかしら?」

「この、クソアマっ!!」

主砲を構えるも

「あら、そんな所に主砲が。」

ゴキン

「ぁ゛あ゛あ゛う゛ぁ゛っ!?」

振り下ろされる踵落とし

〖山雲っ!!いい加減にしろっ!!〗

「・・・わかったわ。」

(・・・痛みいがい・・わかなら・・い)

「『シロッコ』

 貴女のここでの仕事は畑の管理よ?海じゃないわ。」

(・・・きこえない・・・いたい・・・こわい)

「海が嫌いな艦娘が居たっていいのにね。」

▽

医務室

 

「山雲さん、やり過ぎです。」

「・・・。」

「その姿、例の『スリガオ』の時のだな?」

「え?」

改めて自身の姿を確認する

「・・・そぅ、ね。」

「余計な事も頭に入れて来たんだな?

 『知ったんだろ?』過去の海戦の結果も。」

ウン

「ほれ、お前を隠せるぐらいは出来るぞ。」

しっかりと、強く抱きしめる

イタイワヨ

「おぅ、わざとそうしてる。」

ハナシテ

「嫌だね。」

キライニナッタデショ

「いや、無いな。」

ハナシテヨォ

「お前が泣いても離さない。」

バカァ

 

徐々に服装が普段の服装に戻っていく

 

(ふぅ、こんな事も起こるんですね、

 感情における『仕様外』の力、

 私にも起こりうるのでしょうか?)

 

「うぅ、ココは?」

「ここは、単冠湾泊地、管理を、『日本国』がしています。」

「ニホンっ!?」

ベットを翻し、障害物とする

「ちょっ!?安静にしてなさいよっ!!」

「ワタシをオーストラリア海軍と知ってて、

 どう言う了見だっ!!」

「貴女を保護したからに決まってるでしょう!!

 それに、今は『2030年』なのよっ!!」

(嘘だ!!今はまだ、1942年でしょう!!)

「ちょっと、医務室でなんの騒ぎ?」

「ジャーヴィスか、すまない、

 この子に現実を教えてあげてくれ、

 俺は山雲を独り占めするので忙しい。」

ハナシナサイッテバ~///

「バッドディだわ、

 私は『J級駆逐艦ジャーヴィス』よ?

 イギリスの『艦娘』なの、貴女の名前は?」

「・・・『パース級軽巡洋艦』パース、

 生まれはイギリス、所属はオーストラリア海軍。」

「そう、同郷同士、お話ししましょ?

 今の西暦からかしら?」

「っ、そうよ、

 今は『1942年』なんでしょ?そうよね?ね?」

(お願い、そうだと言って!!)

「ふぅ、残念だけど、

 『2030年』貴女が『戦没』してから、

 それだけ時間が過ぎたのよ、パース。」

「うそだ・・・艦長達は?オーストラリアは?

 ワタシは・・・。」

「貴女は『艦娘』として、新たに生を受けたの、

 過去の事は辛いでしょうけど、

 これらは、全て現実よ。」

「いや・・・いやぁ、

 かえして!!ワタシを1942年に帰してよぉおっ!!」

「出来ないわ、

 私はどっちかというと『現実』を生きるので手一杯なの、

 それに、『艦娘』の姿で戻れば、

 間違い無く貴女は『そう言う扱い』をされるわ。」

「・・・なにを、いっているの?」

「明石?姿見の鏡はあるかしら?」

「えぇ、今、出しますね?」

▽

「コレ、だれ?コレが、私なの?」

▽

「ショック、ですよね、

 でも、『艦娘』としては、健康良好、

 何処も悪い所はありません。」

「私の船体はっ!?

 この身体はなんなのっ!?教えなさい!!日本の船!!」

「『明石』です、

 艤装は外しています、流石に裸じゃ不味いので、

 服は私が着せました。」

「これじゃぁ、ただの学生・・・これじゃぁ、

 1942年に戻れないじゃないっ!!

 治しなさい!!治しなさいよっ!!お願いよぉっ!!」

「パース、それは出来ない、

 それに、今や各国は内戦を抱えたり、

 『深海棲艦』に海の自由を奪われ、『貧困』に喘いでいる。」

「この変質者は誰?少女を抱え真面目な言葉を言われても、

 説得力すら感じないわ。」

プハ、ヤットハナシテモラエタ

「・・・嫁を抱きしめて何が行けない!!」

「その背丈から見ても、少女にしか見えないし、

 だいだいお前はなんなんだ?」

「ここ、単冠湾泊地の提督で、

 扶桑・瑛士と言う、昨日付で『中佐』になった、

 山雲の旦那だ!!」

「モゥ///嫁の山雲ですぅ~。」

「・・・ニホンは、変態の国だったのか。」

▽

(やっべぇ起きたくない)

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。