新・単冠湾泊地活動記   作:扶桑畝傍

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嫁とハイライトが消えた駆逐艦達

って、言われたけどさ?

一人でどうしろと?

そう、この単冠湾泊地に人間は俺だけ。

ゲーム上でうじゃうじゃいるらしい『妖精』は、

未だ発見の報告も無いし、

『見れる』事も報告に無い。

「・・・つんだんじゃね?コレ。」

秘書艦?いません。

乗って来た護衛艦はもう遥か彼方の水平線に隠れる

「・・・あの子でも居れば、

 俺は何とかなると思うんだけど。」

そう、かつて『艦これ』の提督だった俺は、

晴れて『本物』の提督になったのだ。

しかし、画面でポチポチと違い、

所詮人間一人、

やれる事なんて極僅かしかない

「山雲が居れば俺は良いんだけど、

 流石にいきなりは無理だよな・・・。」

勿論、『艦これ』の時にケッコン済

常に秘書艦として第一艦隊旗艦に居て貰った。

「なにが無理なのかしら~?」

は?

「この世界では初めまして~、

 朝潮型駆逐艦6番艦、山雲です~。」

・・・山雲だ。

「ちょっ、なんで泣いてるのよ~?」

え?

あぁ、嬉しいんだな

「す、すまない、

 山雲、提督の扶桑・瑛士だ、

 改めて、これからもよろしく頼む。」

「ふふっ、は~ぃ、ア・ナ・タ///」

「へ?」

「ほら?貴方がくれたのでしょう?」

その指に光る指輪は・・・

「やっと・・・アナタに会えた。」

「・・・あぁ、俺も、大好きなお前に

 やっと会えた・・・山雲。」

▽

〈あの~、いちゃつくのは後にして貰えませんか?〉

「「っ!?」」

〈あ、どーも、通称、猫吊るしです、

 エイジさん、とっとと指示してくれませんか?〉

「しゃっ、喋れるのかっ?!」

〈は?そりゃぁ普通に、

 てか、単冠湾泊地の設営で来てるんですから

 早く支度して下さい、山雲さんは、

 そのボンクラがうろちょろしない様に

 しっかり手綱を握って下さいね?〉

「はっ、はぃ!」

▽

荒れ果てた港湾に何人か見える

「あ、やっと来まし・・・嫉ましい。」

「や~ねぇ、貴女も大概でしょう?」

「・・・大淀。」

「はい、大淀型軽巡洋艦一番艦・大淀です。」

「・・・そのスカート、どうにかならない?」

分かるよね?わからないとは言わせない。

そのきわどいスリットのスカートから見えるのは、

生足・・・な訳で。

「山雲、何か代えの衣装なり、

 スリットの入って無いスカートとかないのか?」

「・・・あれ、艤装の一部だから諦めて。」

「・・・マジか。」

「マジよ。」

「変態。」

「わたしの旦那を変態呼ばわりは、

 例え『連合艦隊旗艦』でも、容赦しないわよ?」

主砲連撃装備と、

五連装に換装した魚雷発射管を展開する山雲

「・・・そうでしたね、

 提督の寵愛を一番に受けてたのは貴女でしたね。」

「それだけ俺は山雲を愛してるからな。」

ぼん

あ、真っ赤になった山雲も可愛い!!

「バカァ~///」

胸に顔をうずめて小声でそんな事言われたら

たまらん!!そうだろう!!

だが!!誰にも譲らん!!

〈はぁ、

 ここは、ちゃんとやっていけるのかしら?〉

▽

山雲とイチャイチャしながら

工廠妖精さんに最低限の2ドックを依頼し、

設備妖精さんに厩舎の設営、補助設備の建設を依頼、

滑走路はあるが、ボコボコの穴だらけだったので

手隙の妖精さんに修繕を依頼、

各航空機の試運転で使う為だ。

〈・・・イチャイチャを除けば、

 案外有能なんですね、貴方は。〉

「ん?山雲が可愛い?当然だな!」

「モゥ///」

〈はぁ、

 司令部からの指示書では、

 当面の近海解放を主軸に、

 アリューシャン列島方面の解放を

 優先して欲しいとの事ですが?〉

「・・・資材に余剰は?」

〈ないですね、

 遠征しようにも、駆逐艦は山雲さんが一人、

 出れませんね、大淀さんも

 任務艦娘の任があるので、当面出れません〉

「でもぉ、今はそれ所じゃ無いんでしょう?」

〈それ所でなくても、

 大淀さんは『艤装』が無いんです、

 泳ぐぐらいは出来ても浮かべませんので〉

「やっぱり、ゲーム上のアレか?」

〈ゲーム上の?はよくわかりませんが、

 大淀の場合、一隻だけの建造、

 最後の連合艦隊旗艦であった事、

 遠洋における経験不足もあって、

 艤装は後回しにされているのです〉

「ふむ、確かに遠洋に

 経験者を充てるのは筋が通ってるな、

 そうすると、家には、

 山雲以外の艦娘がいないのか。」

〈・・・いるにはいます〉

「誰かしら~?」

〈旧・ソビエト連邦の駆逐艦です〉

「ちょっ、まて?

 激レア艦娘の一人じゃないか?!

 なんで家にいるんだっ?!」

「アナタ?浮気ハユルサナイワヨ?」

「違う、その艦艇って。」

〈タシュケント、普通は特定海域での

 保護(ドロップ)しか、確認されていません〉

「タシュケント?

 確か、ヴェルちゃんのお友達よね?」

「まぁ、あっちはソ連の純国産駆逐艦だ、

 ヴェルは、響だってわかってて言ってるだろ?」

「わかってるわよ~、

 でもおかしいわね~、普通は建造、保護、

 それ以外では『初期艦』達だけ、

 艦娘の出現条件にどれも当てはまらないわ。」

「・・・会えるか?」

〈3番ドックで、うずくまってる筈です、

 言葉は通じますが、返事だけで

 会話が成り立つかどうか〉

「山雲、一緒に来て貰えるか?」

「は~い、山雲、抜錨しま~す。」

〈・・・他にもいるんですけどね、

 って、人の話は最後まで聞きなさいよ!!〉

▽

「は?へ?」

「ちょ・・・これは。」

いるわいるわ『海外艦娘の駆逐艦』が

恐らく、ドイツ、イタリア、アメリカ、

って、アレはジャービスなのでは?

「オール海外駆逐艦艦娘ね。」

「だな。」

「ダレ?」

「・・・此度、ここ単冠湾泊地に着任した、

 扶桑・瑛士だ、階級はまだ少佐だけどな。」

「ソ、タシュケントよ。」

「・・・寂しいのか?」

「・・・イイエ。」

「ソビエト連邦が無い事か?」

「・・・ソレもアルワ。」

「・・・ほら、隠してあげるから、ね?」

山雲がタシュケントを優しく抱きしめる

周りの海外艦娘達も

つられて泣き始めた

「・・・辛いよな、

 知り合いは勿論、かつての故郷の状況すら

 わからないんだからな。」

数分か、数十分なのか、しばらくして

「ゴメンナサイ、

 貴方が提督なのね?」

「無理はしなくていい、タシュケント、

 辛いのは『生きている証拠』だ、

 感情は殺すなよ?」

「オドろいた、そんな事言う人ガいるナンテ。」

「悪いけど、

 順番に自己紹介を頼めるか?」

流石に海外艦娘までは把握しきれてないからな

「・・・わかった、

 北の国産まれの巡洋艦、タシュケントだ、

 嚮導駆逐艦として建造されたんだ。」

「よろしく、タシュケント。」

「J型駆逐艦、ジャーヴィスよ、

 今は、正直アンラッキーだけどね。」

「ジャーヴィス、よろしく。」

「フレッチャー、姉妹は沢山いたわ。」

「・・・よろしく、フレッチャー。」

「ジョンストンよ、

 どうしてこんな所にいるのかわからないけど。」

「それは今後の課題としよう、よろしく。」

「ジョン・C・バトラー級

 サミュエル・B・ロバーツ、

 サムって呼ばないで。」

「・・・サミュエル、で良いかな?」

「うん。」

「マエストラーレ級駆逐艦、ネームシップです。」

「よろしく。」

「グレカーレ。」

「・・・そうか、よろしく。」

「リベッチオ、寒いんだけど、何かない?」

「・・・山雲、俺の持ち物から、

 防寒着を、それと、〈猫吊るし〉!!

 全員に防寒着を!!」

〈・・・はいはい〉

「シロッコ、眠いから起こさないで。」

「待て待て、外で寝たら凍死するから起きてろ、

 間も無く施設の仮設が終わるから、

 そこでストーブも焚いて貰ってるから。」

「ほんと?」

「あぁ。」

「レーベレヒト・マース、

 マックスには手を出さないで。」

「・・・嫁の山雲が居るからな、

 助けはするが、手は出さんぞ?」

「嫁で~す。」

「マックス・シュルツ、

 貴方が提督?ふぅん。」

「おぅ、よろしく。」

「耐氷型貨物船・宗谷です、

 輸送なら手助け出来ますよ?」

「・・・はぁっ!?

 あの南極観測船の宗谷っ!?」

「えぇ、そうですよ?」

「久しぶりねぇ、宗谷。」

「あら、山雲ちゃん、南方以来ですね、

 70年?もっと振りかしら?」

「・・・歳は言わないで。」

「山雲、安心しろ、俺がお前の旦那だ!」

「っ~、えへへ~///」

「あらあら、見せつけくれちゃって、もぅ、

 でも、提督がここに来たと言う事は、

 私達に出撃命令を告げに来たのでしょう?」

あ、全員がビクついた

「如何せん資材が足らない、

 辛いだろうが近海の掃海と、

 遠征における資材を確保したい。」

「でも、全員・・・燃費に問題アリよ?

 それでも遠征を出さないとダメかしら?」

「宗谷さん、燃費云々じゃないんです、

 俺は“資材”と言ったんです、

 鋼材、ボーキサイト、弾薬、これらも資材です、

 燃料に関しては

 近場の大湊警備府から手配をかけています、

 この単冠湾泊地に赴任するだけでも

 かなりの提督候補が嫌がって来ませんでした、

 それなりの優遇措置が無ければ

 誰も来なかったんでしょう。」

「貴方は?」

「俺ですか?

 俺は、最初に、燃料は本土から輸送前提、

 それ以外の資材は状況に応じて請求、

 不足分を遠征にて確保すると、

 契約で結びました、

 ですが今日はその初日、

 最初の輸送船団が来るのは三日後、

 つまり、三日間持ちこたえるだけの

 必用資材さえあれば、暫くは運営出来ます、

 ですが、任務の一つである『建造』に必要な

 鋼材、ボーキサイト、弾薬すら足りないのです、

 無理を承知で頼みます。」

俺は頭を下げる。

「・・・幾人か、ここ、単冠湾泊地に来ましたけど、

 頭を下げたのは貴方だけです、

 ロシアの方々も一時期は居ました、

 けど、私達を運用しなかった、

 罵声、怒号、叱咤、虐待も行われてきました、

 それでも、

“日本国”を守る為に働けと言うのですか!!」

「・・・いえ、ここを守る為に戦って欲しいのです。」

「ドウイウ、こと?」

「タシュケントさん。」

「タシュケント、

 俺は国云々よりも、

 お前達を守りたい、その為にいずれ増える艦娘達に、

 安心して貰える泊地作りをしたいんだ。」

「絶対嘘だ。」

「サミュエル、俺を信じろとか

 そう言う事は言わない、

 現に、お前達に防寒着を無償で渡しているぞ?」

「・・・それは、そう、だけど。」

「山雲、

 全員を修繕ドックへ案内してくれるな?」

「覗かないでよ~?」

「・・・俺は執務室に行く、

 早速大本営にカチコミの一報を

 叩きこんで来る。」

「私だけなら良いのに~。」

「・・・いつか、な、

 今はそうじゃない、ケッコンはしたけど、

 『(仮)』だ、

 本当の結婚指輪を渡せるように、

 俺もやれるだけやるから、待っていてくれるな?」

「・・・何人ならいいの?」

「・・・言わなきゃだめか?」

全員(私達は一体何を見せられているのだろう)

「・・・3人、ぐらい。」

「えへへ~///は~い。」

「とっ、兎に角、先ずは全員の修繕が優先だ、

 明日、明朝06:30から行動を開始する、

 それまでは自由にしてくれ、以上だ。」

 

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