新・単冠湾泊地活動記   作:扶桑畝傍

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嫁と食豪と雨雲の涙

村雨私室

 

はぁ、あっという間に一週間

この状況に慣れちゃった自分を

たくましく感じるわ

 

山雲、大淀、霧島、コロラド、蒼龍、明石、間宮さん

 

そして、目の前で『変身おもちゃ』で遊んでいる

プリンツ・オイゲン

 

彼女らは『艦これ』の世界から『自力建造』で

この世界に来たと言う

 

「ねぇ?オイゲンさん?

 それって、『使い捨て』なんでしょう?

 資材、なくならないかしら?」

 

そう、確か各資材を2500使うのよね?

 

「コレはちゃんとした『おもちゃ』ですよ?」

「え?」

以外だ、てか、その背格好で

『仮〇ラ〇ダー』ごっこは、かなり複雑に思う

「むらむらもやる?」

「遠慮するし、ナチュラルにむらむら呼びしないで頂戴?」

北上さんならいざ知らず、

海外の艦娘で、なおかつスカートが短すぎる彼女は

体型と精神年齢が合っていない

「も~、楽しいのに~。」

エージ曰く『オイゲンは捕まえられない。』との事

先の私が復活した一件に関わっておらず、

『むらむらって言うの?私と同じ胸ね♪』

いきなりセクハラされた

「それは貴女だけでしょ?」

「そうとも言う。」

はぁ、気が付くと目の前に居たり、食堂に居たりと

「ほら、スカート直しなさい。」

短すぎるスカートは守るべき物を護れていない

「ありがと、むらむら♪」

「村雨よ、

 ねぇ?オイゲンはいつもなにしてるの?」

流石に資材が厳しいのか、

既に遠征のローテーションに入ってる私は、今日は非番だ

「遊んでるよ?」

「ライダーごっこ?」

「うぅん、別なこと。」

「・・・どんな事?」

「まずはね~、

 『えくすかりばーる』で、深海棲艦を殴り殺して。」

まって?いきなりおかしな事言ってるんだけどこの子

「次は、『エスカリぼるぐぅ』で、

 深海棲艦を殴り殺して。」

いやいや、やってる事変わってないわよね?

「『ツヴァイハンダー』で切り飛ばして~。」

なんでそこは普通の武器なのっ!?

「『ドーラドルヒ』で砲撃して~。」

列車砲っ!?

「『はうにぶー』でお空のお散歩して~。」

は、はうにぶー?なにそれ?

「あ!そうそう!

 『ヨルムンガンド』で爆撃もした!」

爆撃機っ!?

「後はねぇ、『れーるがん』で狙撃したりもしたよ!!」

・・・白露姉さん、時雨でもいいから、誰か来て

私の常識が崩れ切る前に

 

 

間宮食堂

 

「では。」

「いざ。」

二人「勝負!!」

 

「あの二人は何をしてるの?」

「サミー、あれは確か『ワンコ蕎麦』って言う奴よ。」

「ワンコ?」

「あぁ、『椀子蕎麦』と書くんですよ、

 お椀に入れられたお蕎麦を食べると直ぐにお代わりが入れられて、

 一瞬の隙をみて、蓋をしないと、延々と食べ続けるの。」

「霧島さん、やった事あるんですか?」

「やらないわよ、

 お残しすれば『間宮さんのオシオキ』ですから。」

二人「ぁ~。」

「所で。パースさんに、サミュエルさんはお昼ですか?」

「そのつもりだったんだけど。」

「マミヤが、鬼の様な顔してたからどうしようかと。」

 

厨房では千手観音の如く手が動く間宮がいた

 

「ぁ~・・・そうだ、私の私室に来ますか?

 お昼ごちそうしますよ?」

「え?霧島料理出来るの?」

「えぇ、間宮さん程では無いですけどね。」

「ごちそうになるわ、

 リクエスト出来るのかしら?」

「あはは・・・材料があるだけなのでお手柔らかに。」

 

食堂の『雲龍』VS『コロラド』はまだ終わらない

「あれ?霧島。」

「村雨とオイゲンさん、珍しい組み合わせですね?」

「お昼に行こうと思ってね。」

「あぁ、今止めといた方が。」

ごにょごにょ

「うわ。」

「ワンコ蕎麦ですか、

 オイゲンはゆっくり食べたいですね。」

「貴女達も一緒にどうかしら?

 これから私室でお昼を作るのよ。」

「その方がよさそうね。」

「いきます!!」

「それじゃ、行きましょ。」

霧島私室

 

「はい、沢庵チャーハンよ?

 オイゲンはうんと甘くしたからね?」

「わ~いっ!!いただきま~すっ!!」

「頂きます。」

「召し上がれ。」

 

「あ、おいし♪」

「ほんとね、タクワンのコリコリ感がたまらないわね!」

「ほ、ほんとね、美味しい。」

「どぅ、村雨?大分慣れて来たかしら?」

「えぇ、貴女の自炊スキルには驚くけど。」

「ちょっと、これでも『女』なんですよ?

 流石に『自活』程度は出来ないとアレなので。」

「そぅ、よね。」

「村雨?」

「あのね?艦娘としては知識はあるのよ?

 でも、『自活』とか、金銭感覚、

 知らない事だらけなの。」

「貴女、『味覚』は?」

 

「え?」

「村雨?」

「むらむら?」

 

「どうして言わなかったの?」

 

「き、きっと甘い物なら!ほら、

 綿飴食べて!ね?ね?」

 

「そんな・・・。」

「いいのよ、

 そもそも、『深海棲艦』から『艦娘』に

 戻ったって言っても『まがい物』よ、

 ごめんね、オイゲン、『あまい』もわからないの。」

「そんなことない!!

 きっと『眠ってるだけ』!!」

「オイゲン、貴女優しいのね。」

「私、明石さんに相談してくる。」

「私も良くわ、霧島、

 村雨を捕まえて連れて行くわよ?」

「オーケー、さぁ、逃がさないわよ?」

「ちょ、はなし・・・オイゲン。」

「なおそ?ねぇ、

 なおしていっしょに味をたのしみたいよ、

 むらむらの『ほんとの笑顔』みたいよ、ね?」

ボロボロ泣きながらも両手を離さない

「・・・ずるいわよ、その顔。」

「・・・わかりません、

 もしかしたら『病気』では無いのかもしれません。」

「え?」

「あかし!!なんで治せないのっ!!」

「『病気』じゃないんですよ、

 これは・・・「呪いね」雲龍さんっ!?」

「うんりゅう?なおせる?なおせるの?

 むらむら、あじ、ちゃんとわかるようになるの?」

「ほら、泣かないの、

 村雨、貴女は『深海棲艦』の時、

 『誰かに会ったかしら?』」

「え?」

「もしかしたらそれが原因かもしれない。」

「でも、ほとんど覚えてないのよ。」

「・・・まぁ、その程度些細な問題ね。」

「えぇっ!?」

「私の『能力』の一つは、

 『陰陽師』呪いのエキスパートよ。」

って、

なんでキスされて・・・舌っ!?舌からめてなにすんのっ!?

「はい、『解呪』完了、

 『お腹空いたから』また食堂に行くわ、

 オイゲン、もう村雨の『悪いとこ』全部治したから、

 もう大丈夫よ。」

「ほんとっ!?うんりゅうっ!!ありがとうっ!!」

・・・オイゲンさん、これは私『明石』に対する当てつけかしら?

「雲龍さん、後学の為に教えて「だめ」えぇっ!?」

「これは、私の能力、明石には無理よ。」

「そんなぁ。」

「オイゲン、村雨も連れて来て?一緒にたべよ?」

「うん!!いこ!村雨!!」

「ぬぅ、むねん。」

 

「間宮、まだ在庫あるかしら?」

「ぇ?」

「な・・・ナンダッテ?」

「村雨の『味覚』治した記念よ。」

「・・・それなら。」

 

「はい、村雨さん。」

「・・・はむ。」

 

 

「良かったわね、それじゃ、『カツ丼』30人前で。」

全員「は?」

「それと、味噌汁も10リッターで。」

 

その後、間宮が倒れたと一報を聞き、

エージが、死に物狂いで料理を作った。

 

「けぷっ、やっと八分目ね。」

 

それを聞いてエージも倒れたのは言うまでもない。

 

執務室

「・・・喰う母が増エタ。」

「書類・・・いやぁ~。」

 


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