別邸
リビング
「あ・な・た?」
「はい。」
「どう言う事かしら?」
「ちゃんと聞きました。」
「で?妹なの?お姉ちゃんなの?」
「あ、それは聞いてなかった、
酒匂?どっちがいい?」
「ぴやぁ、決めてない~。」
「史実だと、酒匂の方が後だからな、一応、妹になるのか。」
「妹?まぁ、阿賀野型で言えばそうなるけど。」
「酒匂『お姉ちゃん』?」
「ぴゃぅ!?お、お姉ちゃんっ!?酒匂が?」
「(背丈的に無理だし)うん、
なんだかお姉ちゃんって呼びたいかな?」
「ん~、いいよ?りべちゃん♪」
「お?」
「あら?」
「ふぅん。」
「酒匂お姉ちゃん、倒れたりしないの?」
「ぴゃぁ?わかんないけど、
倒れないよ?妹って、こうなんだな~って。」
頭ナデナデ
「むふ~///」
「ふふっ、それじゃ改めまして、
阿賀野型軽巡洋艦4番艦、酒匂、
これより『家族になります』これからよろしくね?」
3人「いらっしゃい、酒匂!」
▽
阿賀野型
私室
「酒匂ちゃん、あっさり認めてたね。」
「ちっ、あの子の見る目は確かだから、安全なのは確かね。」
「・・・ふぅ。」
(どうして?
私達姉妹の方が良いんじゃ無かったの?
酒匂、貴女、あんな男に何を感じたの?)
「矢矧ちゃん、
あのお爺さん、『会わなかったね』どうして?」
「姉さん、
『かつての搭乗員』って言われて、
懐かしくて会いたいなんて言いますか?」
「それは・・・。」
「矢矧の言う通りよ阿賀野姉、
確かに私達には『艦艇』の記憶がある、
でも、私達は『艦娘』なのよ?
「でも・・・。」
「アイツの裏、調べてみるわ。」
「能代ちゃん?」
「そうね、私も、私なりに動いて見るわ。」
「矢矧ちゃんまで。」
▽
「えっと、こんなにアメリカ艦艇が・・・。」
「フレッチャーよ?こっちが。」
「ジョンストンよ、ノーザンプトンさん。」
「サミュエルよ?」
「えへへ、私はラッキージャーヴィスよ!」
「え?」
「あぁ、ジャーヴィスはイギリスの子よ、
それと、私はコロラド、
ある意味、初めましてね?」
「こっ!?コロラドさんっ!?」
「えぇ、ノーザンプトン、
貴女はどんな事を過ごして来たのかしら?」
「ごっ、ごめんなさい!!
辛かったわね?大丈夫よ、ここは決して
そんな事を強いる所じゃないわ。」
「・・・ホントニ?」
「てか、なんで『しおラド』になってるのよ?」
「誰?『しおラド』って言ったの?」
3人「ジャーヴィス。」
「ちょっ!?裏切り者っ!!」
「はぁ、広めて無いわよね?」
4人「・・・。」
「ちょっ、まさか。」
「ぷふっ///」
「なぁっ、ノーザンプトン~!」
「ふふふ、ごめんなさい、
コロラドって、はっちゃけてるって伝え聞きだったから。」
「ぅ~、確かにそうよ?
でも常にそのキャラじゃないわよ?私だって淑女なんだから。」
5人「その恰好で?」
ジャージは淑女とは言わないだろう
「なによ?着心地が楽で
着飾らなくていいんだからいいでしょ?」
しかも『眼鏡』を付けてゲームをしている
「どうするのよ?もし、エージが来たら?」
「来ないわよ、夜だし、
見回りは『当番制で』確か今日じゃ無かった筈よ?」
コンコンコン
おーい、いい加減寝ろよ~
「え?」
5人「あ。」
そっ閉じ
寝ろよ~
「いやぁああっ!?」
▽
「なっ!?悲鳴?」
「そうね~。」
コンコンコン
「は~い。」
「もう寝たか~?外に灯り漏れてるから、
カーテンぐらい閉めてくれよな?」
「ねぇ?さっきの声、誰かしら~?」
「コロラドだよ、
ジャージ姿で眼鏡かけてゲームしてたからな。」
「てめぇ!!」
「うおっと、はぁ、お前ら?艤装つけたまま寝るのか?」
「んだよ!?悪いか!!」
「まぁ、あんまり良くは無い、
海上で作戦中なら兎も角、
今は休養中の筈だ、艤装も休ませないと、
金属疲労が鰻登りだぞ?」
「あら、そう言って、私達を襲うつもりかしら?」
「・・・確かに見芽麗しい女性二人だ、
そう言う思いもあるだろうが、
龍田、そんなに震え、怯えるお前を俺は手を出さん、
天龍をずっと庇ってたそうだな。」
「おい、なに言ってんだよ?」
「龍田、俺からは言わない、
お前のタイミングで言ってやれ、
泣き顔より、笑顔の方がお前には似合うのにな。」
(どうしてこのひとは・・・そんな辛そうな顔をするの?)
「龍田っ!?おい!!大丈夫なのかっ!!」
「・・・どうして。」
「ん?」
「わたしからいわせるのですか?」
「・・・わからん。」
「お前なぁっ!!さっきから無視しやがって!!」
「ふん、お前も震えているぞ?天龍?」
「ふざけんな!」
「てん、りゅう、ちゃん。」
「た、龍田。」
「龍田、俺は外す、ゆっくりでいい、
先ずは姉妹の仲を治す事から、一つずつな?」
「はぃ。」
▽
「ふぅ。」
ここは流石にキツイな
コンコンコン
「入るぞ?」
返事は相変わらず無い
くらい室内の隅っこにうずくまる『長良型』
「『五十鈴』・・・おにぎり、食べて無いのか。」
乾燥が進みぱりぱりになっていた
「ほれ、お粥だ。」
動こうともしない
「はぁ、『命令だ、お粥を食べなさい』」
漸くもそもそと口と手を動かしだす。
「おま・・・着替え、持って来る。」
廃人
その表現は正しく五十鈴に当てはまる
彼女は『目の前で姉妹を解体され』
『新たに建造された姉妹の前で汚された』
時には他の艦娘の前で汚された
生食行為を一切諦め、完全に塞ぎ込んだ
でも『生きては居た』
三笠が見つけた時には、既にこの状態だったそうだ
でも、『三笠を見た時、涙を流した』らしい
「可能性があるなら、か、
馬鹿言え、『助けて欲しい』って事じゃねぇか。」
『命令』は受け付ける事が出来る
ただ、それ以外は自身が出した物で汚れても何もしない
『命令だけ応じて行動する』
それが五十鈴の選んだ自分を守る行為だった
「ほれ、服・・・『もう良い、食事を止めろ』」
かつん、かつん、
お皿の底を叩く音はキツイ
「『立て』」
ゆっくりと立ち上がる
「『服を脱げ』」
汚れた服を回収し、お湯で温めたタオルで拭いて行く
「『服を着ろ』」
身綺麗には出来たが
『身体に残された傷跡は消えなかった』
抜糸されずそのまま残った開腹痕が幾つもある
「・・・五十鈴、嫌だったら抗えよ?」
左目の眼帯を取り、目薬を点眼する
今の所、治る見込みがあるのはコノ左目だけ
右目は虚空になり、後日『義眼』を埋め込む予定だ
余りにも衰弱していて『手術には耐えられない状態だった』
頬にも傷痕が残り、元の五十鈴の顔の名残は無い
では、先ほどの食事はどうしていたのか?
『動作を身体が覚えているから』
例え見えなくても、『艦娘の感覚』は生きていて
ソナーの応用らしい
「五十鈴、お前は生きていたいのか?」
反応は無い
生きていたいと、言って欲しいか?
正直、解体し、艦娘を辞めた方がマシな人生を歩めるのでは?
提督権限で『艦娘の意志を尊重せずに解体出来る』が
「はぁ、
『就寝しなさい、明朝、0800に起床』」
布団に潜りこむ五十鈴
「・・・明日、俺も付き添うからな。」
頭を撫でる
義眼を埋め込まないと頭蓋骨が変形してしまう
命と繋ぐために必要な事だが
「・・・嫌だよな、辛いよな?」
見知らぬ場所、見知らぬ人間に
身体を拭かれ、世話をされる
更に明日、義眼を埋め込む手術をする
「すまない。」
撫でるのを止め、明石に連絡を入れる。
▽
「ようやく眠ってくれたよ。」
〖わかりました、直ぐ向かいますね〗
「あぁ、部屋の外にい・・・。」
〖どうされましたっ!?〗
「いや、30分後でいい。」
〖・・・わかりました〗
▽
別邸
「お疲れ様、貴方。」
「あぁ、五十鈴を責めるなよ?」
「しませんよ。」
「『抱かない』そう言ったら布団に戻ったよ。」
「ソレをすれば、溺れるでしょうね。」
「だろうな、
俺にそんな気兼ねは無いし、
山雲、マックス、りべ、酒匂も居るんだ、
既に一杯一杯なんだよ。」
「・・・私は?」
「・・・ダメだ、お前も溺れるぞ?」
「そぅ、かしら?」
「キスだけでコレなんだぞ?
せめて北方海域が終わってからだ。」
「・・・深海棲艦め。」
(いや、山雲だけなら良いんだけど、
なんか3人の気配もオカシイんだよな、
いや、無茶言うなよ?
4人全員とかきついからな?)