新・単冠湾泊地活動記   作:扶桑畝傍

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嫁とエージと五十鈴

時刻は既に12時を回っていた

 

執務室

「はぁ、こんなに時間が掛かるなんてな。」

結局、手術室から追い出され、

『ダブル明石』が手術を進めている

「貴方。」

「わかってる。」

目の前の書類もあるし、

また、『移動艦娘』の書類も混ざっていた

「三笠のヤツ、

 俺を託児所かなんかと勘違いしてないか?」

「ほんとね、

 酒匂?これとこれを整えて頂戴?」

「は~い。」

以外や以外、

『眼鏡酒匂』は、事務処理ができる。

しかも、『能力なし』でだ

「はい、お父さん、これが燃料の分で、こっちが鋼材分ね?」

しかも早い!!

「はやっ、酒匂?無理してないか?」

「ん~?してないよ~?」

「不思議ね~、

 酒匂?貴女は書類仕事なんてした事無かったのよね?」

「そ~なんだけど、割と、感?それに、ね。」

膝元には、こっくりこっくりと眠たそうなりべを抱えている

「酒匂お姉ちゃん・・・なんかリラックスオーラ出てるよ~。」

条件として、

りべを抱えてる時の酒匂は滅茶苦茶ハイスペックなのだが、

降ろして数分経つと『ぴゃぁ?』と、元に戻る

「まぁ、いいか。」

江風は遠征中で、執務室には、俺、山雲、りべ、酒匂の4人

マックスは、レーベレヒトの付き添いで遠征中

「あ、二人から連絡、今、折り返しに入ったって。」

「遭遇は?」

「無いって、深海棲艦、なんか大人しいね?」

「だな、大規模侵攻の前触れか。」

「この間の『海域集中攻撃』のせいかもね?」

丁度、阿賀野達が来る前日に、

太平洋方面に『ストレス発散も兼ねて全員出撃』して

太平洋方面軍を徹底的に虐めたのだ

まぁ、その分の書類16乗増しだったが

「さて、手術は進んでるのかね?」

予定では、3時間だったが、既に4時間半は超えている

「連絡は無いからまだ手術中なんだろうけど、遅いわね。」

▽

「はぁ、終わった。」

「ですね。」

私と、『呉の明石』で、兎に角頑張った

実は、義眼は直ぐ終わって、

『開腹痕』の修繕に時間を喰っていたのだ

「後は、彼女の意志次第ね。」

「このまま目覚めないのはキツイですよ。」

持てる技術、投薬、修復を施したのだ、

せめて意識が戻ってくれると願っているが

「でも、あれだけの『傷跡』

 いくら艦娘でも致命傷ばかりよ?

 なぜ、生きていたのか不思議でしょうがないわ。」

「そうですね、

 どこか五十鈴さんには、

 譲れない何かを持っていたのだと推察します。」

大小合わせて『47カ所』それだけ

『人間』に傷つけられ『艦娘』として、致命傷ばかりだった

でも、『生きていた』これがおかしい

「もしかして・・・船員達に?」

「山本長官達ね?」

「えぇ、恐らく長官達への思いが

 五十鈴さんをギリギリ繋ぎ止めていたと考えます。」

 

二人「え?」

あり得ない麻酔もまだ効いている筈なのに

「うそ、でしょ?」

起き上がった

「な、なんで・・・。」

せっかく治した筈の『傷跡』は、『残っていたのだ』

〔せっかくだけど、この子、壊れてるわよ?〕

確かに五十鈴の声なのに、

どこか『ここにあらず』と感じた

〔態々傷跡を治そうとしてくれたのはありがたいけど

 そんなにこの子に戻って来て欲しいのかしら?〕

「それはっ!!」

〔訳わかんない、この子は死んでいるのよ?〕

「それでは説明がつきません!!

 それに、『涙』を流した事にも矛盾が生じます!!」

〔・・・この子はそこで死んだのよ、アレは解放された最後の意志〕

「じ、じゃぁ・・・。」

〔この子はもう無理、靖国へ旅立っているわ〕

「では、今話している貴女は何者何ですかっ!!」

〔五十鈴達の残留思念ってトコかしら?〕

「残留思念・・・。」

唐突に扉が開かれる

「なっ?!パースさんっ!?」

「え?まだロックは掛けてた筈なのに!?」

〔壊れていて、靖国に旅立った?

 嘘も方便ね、『貴女達』彼女を手放したくないだけでしょ?〕

〔な、なにを〕

〔もう少し休めたら良かったんだけど、

 この子、以外と意地っ張りなのよ、

 だから、『五十鈴を帰しに貰いに来たわ』〕

〔帰さない!!こんな世界に五十鈴を帰してたまる物か!!〕

〔貴女達の意志は関係ない、

 その身体は『五十鈴』の物よ?『貴女達』には、過ぎたる宝物〕

「ちょっ、パースさん?なんの話しを。」

〔・・・『五十鈴』貴女、

 エージに抱き着いた根性を持ってるんでしょ?

 なら、『そんな奴ら』とっとと弾き飛ばしなさいよ〕

〔届く訳が無い!!聞こえる筈も!?〕

「なっ!?五十鈴さんが!?」

〔さ、自力で手繰り寄せなさい、貴女の未来を〕

 

「随分と言ってくれるじゃない、パースとやら。」

〔なぜだっ!?〕

「なぜ?あのね?『私は長良型軽巡洋艦、五十鈴よ?』

 貴女達なんか知った事じゃないわ!!」

〔おのれぇえっ!!〕

「・・・五十鈴を舐めないで!!

 『開・神』五十鈴の力、見せてあげる!!」

 

バカナ  ナゼ  コンナ  チカラガ

 

「教えてあげる、

 私が輩出した艦長、船員達はね?

 皆優秀なのよ?そして、山本五十六は大将にまで上り詰めた、

 山口多聞も提督となった、

 あの人達の艦として、誇りは失っていないわ!!

 貴女達は『帰りなさい』そして、

 『新たな司令の元へ』靖国の英霊達に恥じる行為は許さないわ!!」

 

「長良型軽巡洋艦2番艦、『五十鈴』

 只今着任致しました!!」

▽

執務室

「そしてパースは原因不明の昏睡状態か。」

「はい、眠っている以外正常です、

 流石に栄養点滴はつけていますが。」

「それは五十鈴が説明するわ、

 彼女、パースは『巫女』なのよ、

 海神の巫女の役割があるの、

 でも、あの子の身体はその力に『馴染んでいないの』

 完全に馴染むまでは、昏睡を繰り返すでしょうね。」

「海神(わだつみ)か、

 まさか、『右目の義眼』以外、

 完全復活とは驚いたよ、五十鈴。」

「完全じゃないわよ、

 幾つかのお腹の傷は残ってるわ、

 確認してみる?貴方には、裸見られてるし、

 私が『戻って来る切っ掛け』になったのだから構わないわ?」

「しない、それに言ったろ?『お前を抱けない』と。」

「傷だらけの身体を嫌ってって意味じゃ無いなら、

 今の身体を「やめろ」

 ・・・冗談が過ぎたわね、ごめんなさい。」

「あえて執務室に、明石二人、五十鈴、俺だけにした意味を

 履き違得るんじゃない。」

「そうね、こんな話し、重くて貴方の『家族』に、

 さし水所じゃない物ね。」

「その通りだ、

 それに『俺じゃなくても良いだろうに』」

「あら?」

「明石、呉の明石、

 現状の五十鈴は『どっち寄りなんだ?』」

「私は、『艦娘』と。」

「私は、『人間』とみて取れます。」

「つまり、今のお前は『あやふやな存在だ』

 下手に関係を持っても『繋ぎ止めたお前』を失いかねんし、

 お前にはもっと良い人が見つかるだろうに。」

「居ないわよ、貴方以外なんて。」

「それはお前が『外』を知らないからだ、

 来週、本土に行く用事がある、

 2、3人連れて行くから、その時、秘書艦補佐としてついて来い、

 これは『『命令だ』』」でしょ?」

「全くもぅ、これでもこの身体(改二)には自信あるのに、

 なんで『小ぶりと無い子を選ぶんだか』」

 

 

「ねぇ?五十鈴。」

「誰が小ぶりで?」

「誰が。」

「無いって?」

 

「山雲、マックス、りべ、酒匂、程々にな?」

4人「慈悲は無い。」

 

 

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