執務室
「あ、そうだ、山雲?」
「なぁに?」
「ちょっとひと月空けるから、
その間は自衛に努めてくれる?」
「・・・え?」
「出向だよ、
『ある鎮守府』の監督さ、
昨日付で『大佐』になったからな、
北方海域も足掛かりは出来たし、
後は、『キス島』に居るであろう『生き残り』の捜索だけだ、
それの『下準備』も兼ねてる。」
「でも、私は連れていってくれるのでしょう?」
「・・・すまん、今回は無理なんだ。」
「なぜ?」
「相手方にも『山雲』がいるからだ。」
「・・・仕方が無いわね、誰かは連れて行くのでしょう?」
「連れて行けないんだ、
外出経験のある子達全員向こうに居る、
つまり、家から連れて行けないし、
遠征組のローテーションを崩す訳には行かない。」
「大丈夫なの?」
「あぁ、
三笠の近衛兵を借りてく心配すんな。」
「そぅ。」
▽
(チャンスね、後を付けていけるかしら?)
▽
4人「いってらっしゃーい!」
「おう、行ってきます!」
▽
護衛艦
艦橋
「お久しぶりです、艦長。」
「久しぶりですね、あっという間に『大佐』ですか、
いっその事、目的地まで操艦なさいますか?大佐殿。」
「遠慮しますよ、
『護衛艦くまの』の機嫌を損ねるのは勘弁です。」
「はは、確かに、艦娘でなくても、『私達の護衛艦』ですからね。」
流石に艦種が違うからなのか、
『重巡洋艦熊野』が乗っても動かない、
この『護衛艦くまの』は、数少なき護衛艦の生き残りで、
要人運搬、近海警戒通報艦として、今も現役だ。
「で、後方2500に艦娘がついて来てますが如何しますか?」
「・・・あれでバレてないって思ってる時点で問題にならない、
せめて、『浮き輪におにぎり』でもつけてあげて下さい。」
「ふふ、優しいですね。」
「貴女も、全員に言ってあるのでしょう?」
「あは、バレてましたか、はい、全員に周知済みです、
私から渡せば受け取ってくれますかね?」
「さぁ?因みに彼女、『納豆が好き』だそうで、
お茶と納豆巻きでお願いします。」
「お、益々話が合いそうですね♪」
この女性艦長、
船員達から、『納豆艦長』と呼ばれる程に納豆好きで、
食糧庫の中に彼女専用納豆保管庫があるぐらいだ。
いや、自衛隊の越権行為だろ?
と、言っても生き残りの護衛艦自体が少なく、
次の護衛艦建造は暫く延期されている。
・・・例の『専用艦』の犠牲になったのだ。
ある程度の範囲だが、個々の申請が通りやすくなっている。
「それじゃ、士官室で仮眠しますね。」
「はい、狭いですけど、お使い下さい、
ほんと『貴方の副業』は無くなる事は無いですね。」
「えぇ、そうですね。」
▽
(・・・あの変な艦艇から投棄物?)
(なっ!?納豆巻きに緑茶がお盆に乗ってるっ!?)
ぐ~
(くっ、流石に無補給は無理なのね・・・)
ぐ~
(手紙?)
{お爺さんから差し入れです、会いたがってましたよ?}
(・・・馬鹿ね)
▽
「どうだ?」
「あぁ、たぶん、食べてくれてる。」
「泣いてないか?」
「あぁ、泣いてるな。」
「あのご老人、長くないんだろ?」
「らしいな、そもそも100歳超えてるからな、会いたいだろうに。」
「ほんと、人間が一番悪者だな。」
「あぁ、彼女達に胸張って見せられる国にすらなって無いからな。」
「上手く彼女を『隠さないとな』」
「だな、その為の『護衛艦』だしな。」
▽
「甲板員より通達、無事食べて貰えたそうです。」
「そぅ、短艇の準備、湾には近づかず、
短艇で向かって貰うように、
『お爺さん』は、甲板へ。」
「は、準備します。」
(もぅ、意識が無いけど、せめて・・・海の上で、ね)
▽
(なっ!?短艇ですって?)
これじゃ近寄れない
どうする?
え?
後部甲板に何かが・・・っ!?
▽
「いいのか?」
「良いんだそうだ、
親族の方も、そうさせて欲しいと、要望している。」
「海の男は海で死ぬ、か、俺達もそうなれるかね?」
「あぁ、陸で最後は勘弁だな。」
〖艦娘、乗船します!〗
「お、来た来た。」
「っ!!」
「えっと、阿賀野型軽巡洋艦、矢矧さん、で宜しいでしょうか?」
「・・・そぅよ。」
「どうぞ、先日までは意識があったのですが、もぅ、意識が。」
「___なんで、こんなになるまで。」
「必死に丸太にしがみついて、泳いだそうです。」
「・・・そぅ。」
や は ぎ
「っ!?___っ!!貴方なのっ!?」
あぁ、やっと会えたね
こんな美人さんになって・・・俺はジジイになってしまったよ
「・・・___、貴方ねぇ。」
▽
「いいのか?」
「俺達は邪魔だろ?」
それに、既に心電図は止まってる
幻影なのか、魂なのか、
再開を邪魔する程空気を読めない訳じゃない
「・・・会えた、か、
俺達は『護衛艦くまの』に会えるのかね?」
「いつも会ってるし、乗せて貰ってるだろ?」
「まぁ、そうだけどさ。」
「なんだ?艦娘の熊野ちゃんに見とれてたろ?」
「なっ!?お前だってそうだろ!!」
「おに~様達?静かにして下さいな?」
「・・・子供?」
「失礼ですわ、『くまの』と言う大事な名前がありますわ。」
「・・・『初めまして、くまの』」
「『初めましてですわ』
お兄様達、ちっちゃくても、『護衛艦くまの』ですわ、
『重巡熊野』には敵いませんけど、
お兄様達を護る為にキチンと戦えますわ!」
▽
「で?」
「んふふ~///『くまの』ちゃん♪」
港に着いて一息ついてたら、
湾に近づかない筈だった『護衛艦くまの』が後ろに居て、
『護衛艦くまの』が艦長に抱きしめられていた
「どういう事だってばよ。」
「もぅ『お姉さま!』お話がし辛いですわ。」
はぅ///
あ、ダメだこの艦長どうにかしないと。
「ふぅ、改めまして『護衛艦くまの』ですわ、
矢矧さんの船員達から促され、
『艦娘化』を選びましたの、
ですが、護衛艦であるが故に、
『重巡熊野』の様に、大きくはなれませんでしたの。」
「なるほど、ロリ巨乳が何を言っているんだ?」
「セクハラですわ?」
「いや、引く、嫁は山雲達だからな。」
「そうですの、まぁ、わたくしは、
『艦娘』として、産まれたてですので、
どこまで出来るかわかりませんけど、
深海棲艦に必殺の『はーぷん』をぶち込んでやりますわ!!」
にゅっと、背中から生えて来るソレは、危ないからしまいなさい
「まぁ、程々にな?一発で、
『家二つ分の値段』だったか?お高いからね?」
「・・・そうですの?お姉さま?」
「ぁ~・・・うん、高いよ、
でも、私達がいいよって言うから、
無駄遣いをしない様に一緒に気よ付けましょ?」
「はい!お姉さま!」
はぅ~っ///
そのまま『護衛艦くまの』に拉致・・・乗り込んで出航して行った
『矢矧』も連れて
▽
「まさか、護衛艦も艦娘化するなんてね。」
「おい、猫吊るし、アレはどうなんだ?」
最近、猫吊るしは薄くなり、言葉も交わしずらくなって来ている
「あれもイレギュラーだそうよ?
彼女も、元居た場所に帰るそうよ。」
「元居た場所?」
「彼女、『艦これ』から来てたのよ、言ってなかったけど。」
「・・・そうか。」
「驚かないのね?」
「まぁ、な、
『もう一人の猫吊るし』が肩に乗り出したからな。」
その肩には、他の妖精さんと変わらないサイズの猫吊るしが居た
「転換期なのかしらね?」
「誰かさんがポコポコ子供を増やしたからな。」
「ちょ、私のせいだって言うの?」20人しか産んでないのに
「いや、思いっ切りそれ原因だろ。」
「さ、雑談は終わり。」
「あぁ、行こうか。」