新・単冠湾泊地活動記   作:扶桑畝傍

31 / 36
エージと矢矧と護衛艦

執務室

「あ、そうだ、山雲?」

「なぁに?」

「ちょっとひと月空けるから、

 その間は自衛に努めてくれる?」

「・・・え?」

「出向だよ、

 『ある鎮守府』の監督さ、

 昨日付で『大佐』になったからな、

 北方海域も足掛かりは出来たし、

 後は、『キス島』に居るであろう『生き残り』の捜索だけだ、

 それの『下準備』も兼ねてる。」

「でも、私は連れていってくれるのでしょう?」

「・・・すまん、今回は無理なんだ。」

「なぜ?」

「相手方にも『山雲』がいるからだ。」

「・・・仕方が無いわね、誰かは連れて行くのでしょう?」

「連れて行けないんだ、

 外出経験のある子達全員向こうに居る、

 つまり、家から連れて行けないし、

 遠征組のローテーションを崩す訳には行かない。」

「大丈夫なの?」

「あぁ、

 三笠の近衛兵を借りてく心配すんな。」

「そぅ。」

▽

(チャンスね、後を付けていけるかしら?)

▽

4人「いってらっしゃーい!」

「おう、行ってきます!」

▽

護衛艦

艦橋

「お久しぶりです、艦長。」

「久しぶりですね、あっという間に『大佐』ですか、

 いっその事、目的地まで操艦なさいますか?大佐殿。」

「遠慮しますよ、

 『護衛艦くまの』の機嫌を損ねるのは勘弁です。」

「はは、確かに、艦娘でなくても、『私達の護衛艦』ですからね。」

流石に艦種が違うからなのか、

『重巡洋艦熊野』が乗っても動かない、

この『護衛艦くまの』は、数少なき護衛艦の生き残りで、

要人運搬、近海警戒通報艦として、今も現役だ。

「で、後方2500に艦娘がついて来てますが如何しますか?」

「・・・あれでバレてないって思ってる時点で問題にならない、

 せめて、『浮き輪におにぎり』でもつけてあげて下さい。」

「ふふ、優しいですね。」

「貴女も、全員に言ってあるのでしょう?」

「あは、バレてましたか、はい、全員に周知済みです、

 私から渡せば受け取ってくれますかね?」

「さぁ?因みに彼女、『納豆が好き』だそうで、

 お茶と納豆巻きでお願いします。」

「お、益々話が合いそうですね♪」

この女性艦長、

船員達から、『納豆艦長』と呼ばれる程に納豆好きで、

食糧庫の中に彼女専用納豆保管庫があるぐらいだ。

いや、自衛隊の越権行為だろ?

と、言っても生き残りの護衛艦自体が少なく、

次の護衛艦建造は暫く延期されている。

・・・例の『専用艦』の犠牲になったのだ。

ある程度の範囲だが、個々の申請が通りやすくなっている。

「それじゃ、士官室で仮眠しますね。」

「はい、狭いですけど、お使い下さい、

 ほんと『貴方の副業』は無くなる事は無いですね。」

「えぇ、そうですね。」

▽

(・・・あの変な艦艇から投棄物?)

 

(なっ!?納豆巻きに緑茶がお盆に乗ってるっ!?)

ぐ~

(くっ、流石に無補給は無理なのね・・・)

ぐ~

(手紙?)

{お爺さんから差し入れです、会いたがってましたよ?}

(・・・馬鹿ね)

▽

「どうだ?」

「あぁ、たぶん、食べてくれてる。」

「泣いてないか?」

「あぁ、泣いてるな。」

「あのご老人、長くないんだろ?」

「らしいな、そもそも100歳超えてるからな、会いたいだろうに。」

「ほんと、人間が一番悪者だな。」

「あぁ、彼女達に胸張って見せられる国にすらなって無いからな。」

「上手く彼女を『隠さないとな』」

「だな、その為の『護衛艦』だしな。」

▽

「甲板員より通達、無事食べて貰えたそうです。」

「そぅ、短艇の準備、湾には近づかず、

 短艇で向かって貰うように、

 『お爺さん』は、甲板へ。」

「は、準備します。」

(もぅ、意識が無いけど、せめて・・・海の上で、ね)

▽

(なっ!?短艇ですって?)

これじゃ近寄れない

どうする?

え?

後部甲板に何かが・・・っ!?

▽

「いいのか?」

「良いんだそうだ、

 親族の方も、そうさせて欲しいと、要望している。」

「海の男は海で死ぬ、か、俺達もそうなれるかね?」

「あぁ、陸で最後は勘弁だな。」

〖艦娘、乗船します!〗

「お、来た来た。」

「っ!!」

「えっと、阿賀野型軽巡洋艦、矢矧さん、で宜しいでしょうか?」

「・・・そぅよ。」

「どうぞ、先日までは意識があったのですが、もぅ、意識が。」

 

「___なんで、こんなになるまで。」

「必死に丸太にしがみついて、泳いだそうです。」

「・・・そぅ。」

や   は   ぎ

「っ!?___っ!!貴方なのっ!?」

あぁ、やっと会えたね

こんな美人さんになって・・・俺はジジイになってしまったよ

「・・・___、貴方ねぇ。」

▽

「いいのか?」

「俺達は邪魔だろ?」

それに、既に心電図は止まってる

幻影なのか、魂なのか、

再開を邪魔する程空気を読めない訳じゃない

「・・・会えた、か、

 俺達は『護衛艦くまの』に会えるのかね?」

「いつも会ってるし、乗せて貰ってるだろ?」

「まぁ、そうだけどさ。」

「なんだ?艦娘の熊野ちゃんに見とれてたろ?」

「なっ!?お前だってそうだろ!!」

「おに~様達?静かにして下さいな?」

 

「・・・子供?」

「失礼ですわ、『くまの』と言う大事な名前がありますわ。」

「・・・『初めまして、くまの』」

「『初めましてですわ』

 お兄様達、ちっちゃくても、『護衛艦くまの』ですわ、

 『重巡熊野』には敵いませんけど、

 お兄様達を護る為にキチンと戦えますわ!」

▽

「で?」

「んふふ~///『くまの』ちゃん♪」

港に着いて一息ついてたら、

湾に近づかない筈だった『護衛艦くまの』が後ろに居て、

『護衛艦くまの』が艦長に抱きしめられていた

「どういう事だってばよ。」

「もぅ『お姉さま!』お話がし辛いですわ。」

はぅ///

あ、ダメだこの艦長どうにかしないと。

「ふぅ、改めまして『護衛艦くまの』ですわ、

 矢矧さんの船員達から促され、

 『艦娘化』を選びましたの、

 ですが、護衛艦であるが故に、

 『重巡熊野』の様に、大きくはなれませんでしたの。」

「なるほど、ロリ巨乳が何を言っているんだ?」

「セクハラですわ?」

「いや、引く、嫁は山雲達だからな。」

「そうですの、まぁ、わたくしは、

 『艦娘』として、産まれたてですので、

 どこまで出来るかわかりませんけど、

 深海棲艦に必殺の『はーぷん』をぶち込んでやりますわ!!」

にゅっと、背中から生えて来るソレは、危ないからしまいなさい

「まぁ、程々にな?一発で、

 『家二つ分の値段』だったか?お高いからね?」

「・・・そうですの?お姉さま?」

「ぁ~・・・うん、高いよ、

 でも、私達がいいよって言うから、

 無駄遣いをしない様に一緒に気よ付けましょ?」

「はい!お姉さま!」

はぅ~っ///

そのまま『護衛艦くまの』に拉致・・・乗り込んで出航して行った

『矢矧』も連れて

▽

 

「まさか、護衛艦も艦娘化するなんてね。」

「おい、猫吊るし、アレはどうなんだ?」

 

最近、猫吊るしは薄くなり、言葉も交わしずらくなって来ている

 

「あれもイレギュラーだそうよ?

 彼女も、元居た場所に帰るそうよ。」

「元居た場所?」

「彼女、『艦これ』から来てたのよ、言ってなかったけど。」

「・・・そうか。」

「驚かないのね?」

「まぁ、な、

 『もう一人の猫吊るし』が肩に乗り出したからな。」

その肩には、他の妖精さんと変わらないサイズの猫吊るしが居た

「転換期なのかしらね?」

「誰かさんがポコポコ子供を増やしたからな。」

「ちょ、私のせいだって言うの?」20人しか産んでないのに

「いや、思いっ切りそれ原因だろ。」

 

「さ、雑談は終わり。」

「あぁ、行こうか。」

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。