執務室
「大湊警備府、第四艦隊、旗艦、軽巡洋艦『多摩』、
此度の救援感謝するにゃ。」
「単冠湾泊地、提督の扶桑・瑛士だ、
固くならなくていい、損傷の修理は出来るが、
生憎、燃料不足でね、大湊警備府までは出せない、
明日の午後、その大湊警備府から物資輸送船団が来る、
それに便乗して帰還して貰いたい。」
「感謝するにゃ、連絡も?」
「してある、何やらオマケもつけて輸送船団を送るとか言ってたが、
なにが来るのやら、
『多摩』以下、『満潮』『峯雲』『朝雲』は、
単冠湾泊地にて休養後、明日の輸送船団にて便乗、帰還してくれ、
それまでは自由行動とする、以上だ。」
「了解にゃ。」
「了解。」
「わかりました。」
「わかったわ。」
▽
間宮食堂
「はい、お待たせ、特性間宮お汁粉よ?」
「いっ!?いいんですかっ!?」
「朝雲ちゃん、みんなが無事のお祝いも兼ねてるのよ?
ちゃんと食べてね?」
「いただきます!!」
「おいし、間宮さん!美味しいです!」
「峯雲ちゃん、ありがとうね。」
「あの・・・。」
「なぁに?満潮ちゃん?」
オカワリアリマスカ?
「はぁい、今持って来るわね。」
「しかし、単冠湾泊地、か。」
「多摩、久しぶり、さっきはごめんなさいね?」
「山雲、久しぶりにゃ、
大戦時はすれ違いばかりだったけど、
こうして話せるのは本当に良かったにゃ。」
「貴女は建造から?」
「そうにゃ、大湊警備府じゃ最古参だにゃ、
練度もかなり上がってた筈だったけど、
流石に任務後に襲撃されると後手に回るにゃ。」
「貴女には、私はどう見えるのかしら?」
「・・・場所を変えるにゃ、
3人共、ちょっと山雲を借りるにゃ。」
「え?あ、はい、わかりました。」
(多摩さん?)
「山雲、また後でね。」
「峯雲・・・コノ胸雲。」
「ちょっ!?山雲姉さんっ!!」
「確かに、大きいのよね同じ姉妹なのに。」
「朝雲っ!?」
「ソウネ、ワタシナンカ・・・。」
「満潮姉までっ!?」
▽
工廠裏
「ここなら大丈夫かにゃ?」
「えぇ。」
「貴様、何者だ?」
「そうね、朝潮型「そうじゃない」あら。」
「本当に山雲なのか?」
「そうね、そうであってそうでないかもしれないわ。」
「答えになっていないぞ。」
「多摩、貴女は知ってるかしら?『艦これ』を。」
「・・・元はゲームとか言ったな、
それがなにか?」
「私はそこから生まれて来たの。」
「っ、そうまでしてアノ提督に付きたかったのか?」
「えぇ。」
「艦長達が泣くぞ?」
「それがねぇ、後押ししてくれたのが、艦長達なのよ。」
「・・・はぁ、聞かなかった事にするよ。」
「懸命ね。」
「呆れただけだ、私は『第二次世界大戦』の方が濃い、
例え場所が違えど状況が違えど、
『大日本帝国国民』を護る為に動いている。」
「確かに今の『日本国』を動かしているのは子孫たちよ、
でも、それを護る義理立ては必要無いんじゃなくて?」
「無い、だがな?・・・いや、いい。」
「会ったのね?かつての乗員達に。」
「会ってしまったが正解だ、
偶々、警備府の外に買い物に出た時に、な。」
「話せた?」
「最初は、泣いてしまったよ、往来関係なくな。」
「生きているのだから喜ぶべきね。」
「それと同時に辛かった。」
「そうね、老いるのは人間の宿命、
整備さえしっかりしていれば、『老いない艦娘』
その感情は大事よ?」
「だからこそ、護る為に思いを新たにしたんだ。」
「そう、その人に孫は居るのかしら?」
「・・・居たが、既に亡くなっていたよ、事故だそうだ。」
「ごめんなさい。」
「その奥方もつい先月亡くなったそうだ、
私は・・・引退も考えたんだ。」
「でも、出来なかった?」
「いや、
『老いは当たり前だ、ならお前さんは、
ワシらを護る為に生きてくれ』とな、それと、
『幸先短いおいぼれより、お前の子が見たい』なんて言われた。」
「ぶふっ!?」
「正直、一般教養が私自身に身について居たから良かったが、
知らなかったら、相当不味かったと内心安堵したよ。」
「へ、プクク、返事はしたの?ウフフ。」
「・・・今の提督と出来てはいる、と言った。」
「あらぁ。」
「・・・ただな、アイツに見せられなかった。」
「・・・。」
「老衰だった、休暇の時、顔だしついでに家に寄ったんだ。」
「顔はどうだったの?」
「あのやろう・・・満足した顔でなぁ・・・
写真を抱えて・・・くそ・・涙なんて・・・。」
「私にもその辛さ、分けて頂戴?」
「いやだ・・・これは私だけの物だ・・・。」
「そぅ、なら、隠してあげるわ。」
「・・・ぅああああっ!?わぁああんっ!?」
「ほんと、艦娘なってから、
『見送る側になるなんてね』・・・つらいわ。」
▽
翌日、午後
単冠湾泊地・港湾
「多摩ちゃんっ!?どうしたのっ!?」
「ちゃん言うなっ!!」
真っ赤に晴れた目元はそりゃぁそう言うよ
「ちょっといいかしら?大湊警備府の提督さん?」
「キミは、山雲かい?どうして多摩ちゃんがこうなってるか
教えて貰えるかい?」
コショコショ
「・・・多摩ちゃん。」
「だから、ちゃんはやめっ!?」
「ぉ~、熱い熱い。」
「バァカァ///恥ずかしいだろう!!」
「大変ねぇ。」
「火に油どころか、テルミットぶち込みやがって。」
「あら?テルミット単体じゃ発火しないのよ?」
「うっせ、
満潮、朝雲、峯雲、その二人をとっとと持って帰ってくれ。」
「提督、アトデオハナシね。」
「ほんとよ、乙女達の前で随分ハレンチね。」
「ほぇ~。」