名門メジロ家。
名ウマ娘を代々輩出してきた家系である。
ここ数年のトゥインクルシリーズではメジロの家名を背負うウマ娘が減った。……否、いなくなったと言っていい。
黄金期とも言われたメジロ家の快進撃。
その立役者であるメジロマックイーン、メジロライアン、メジロパーマのメジロ家豊年の後に、徐々にメジロのウマ娘がトゥインクルシリーズを騒がせる事はなくなった。
世間ではメジロ家の衰退や凋落を、鬼の首を取ったかのように騒ぎ立てた。
……実態は全くの別であったのだが、世間はそれを知る由もない。
「メジロの家名では無く、メジロの血を広く遺しなさい」
メジロのおばあさまは、そう言い遺し、計画書を三人に託し、亡くなった。
マックイーン、ライアン、パーマ、の三人ウマ娘は、おばあさまが遺した計画書を目にした時。
彼女達はその計画の魂胆に震え上がり、なるほどと納得してしまうほどに考えられた計画であった。
「まさか、メジロ家縁のウマ娘をメジロの名を冠さずに世に送り出し、密かにメジロ本家が金銭面や様々な事でサポート。後に、その子や孫が生まれればトゥインクルを目指させる」
パーマは頭の後ろで腕を組みながらニシシと笑う。
パーマは趣味であったゴルフの才能が開花したのか、プロゴルファーとゴルフコーチを両立するほどになった。
現役でレースをしていた頃から変わらず、メジロ家の異色の存在であった。
「長い時間はかかるけど、周りが気がついた時には、メジロの血を持つウマ娘がトゥインクルシリーズの重賞を総なめ。ゆくゆくは大半のウマ娘にメジロの血が。……今思っても、こわっ! おばあさまのやり方、こわっ!」
そう言いつつも筋トレをするのを止めないライアン。
筋肉は大体を解決する。……を、標語に多数のフィットネスジムを経営し、プロ野球に新球団を起こし、自らも自球団のプロ野球選手と野球に興じる時もある。
「ふふ。……でも、効率的だと思いますわよ。他所から優秀な血を取り入れるのは、費用的にも、世間体的にも問題がありますわ。成功するかどうかも、ギャンブル要素が強い行為ですし。逆に外に出せば、メジロという家名の重みで潰れてしまう娘も減り、悠々自適に暮らし、大成する娘が現れるに決まっておりますわ」
現役時代、名優と呼ばれたマックイーン。
トゥインクルシリーズでレースをしていた頃は、無理なダイエットによって成長が阻害されていた。
が、今では無理なダイエットもする必要が無くなった為に、出るところは出る、引っ込むところは引っ込むのナイスバディの美女へと成長していた。
最近はモデルとしても活躍し、銀幕デビューも果たした為に順風満帆であった。
またアグネスタキオンの様々な研究に1番に着目し、資金提供を始めようとパーマとライアンを説得したのもマックイーンであった。
かつて、トゥインクルシリーズで次代のメジロ家当主の座をかけてレースをしていたきらいがあった三名である。
しかし、当時のマックイーンのトレーナーの言によって、その考えは改めさせられた。
「そんな、面倒くさい座なんざ、三人で仲良く分担しろよ。それに誰か一人のワンマンで悪い方向に行くよりも、三人寄らば文殊の知恵とも言うし、より良い結果になるかもしれんだろ?」
……その後、合議を重ねた結果、マックイーン、ライアン、パーマの三人で当主となった。
当初は批判もあったが、メジロ家が没落せずに、経営も研究等々も軌道に乗っており、この選択が最善であったと三名ともに確信している。
「ばあちゃん達! ゴルシちゃんも党首討論に混ぜてくれよ! ゴルシちゃんのIQ200の頭脳が各政党党首の無理難題を解決しちゃうぜ」
会議も終わりかけたその時。
メジロ家当主会議室のドアを勢いよく開け放ち、ポーズを取りながら入ってくるゴールドシップ。
頭が良すぎて、他人には奇行にしか見えない行動をする、また妄想を垂れ流しているとしか思えないゴールドシップの言葉の数々。
メジロ家当主の三人にとって頭の痛い事であるが。……ゴールドシップはメジロの血を紡ぐ者であり、メジロ本家に残った最後のウマ娘である。
「ゴールドシップ。会議も終わりますから、わたくしとお出かけしましょうか」
マックイーンはそう言いながらゴールドシップのことを持ち上げ、小さい子供をあやすように高い高いをする。
「あら? ゴールドシップ、貴女はまた大きくなったわね」
「おっ! マックイーンばあちゃんよく分かってるね〜! ゴルシちゃんの体内を駆け巡る、小宇宙が高まっているのを!」
側から見れば。……背丈と顔立ちが似た美女二人が奇行をしているのである。
しかし、ライアンとパーマは苦笑いを浮かべるしかなかった。
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次話は宝塚記念となります。頑張ります!
史実通り、九月にドリームジャーニーは引退
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