金色の暴君は遥かなる夢の旅路を行く   作:豚ドン

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幕間:タマモクロスの経験

「ペイザバドラーになれ。……って、あのペイザバドラーですか!?」

 

 熱せられた鉄板の前でナカヤマフェスタは素っ頓狂な声をあげる。

 

「せや、ウチとオグリンに凱旋門賞ウマ娘のトニービンも、まとめて負かしたウマ娘。ペイザバドラーや」

 

 熟練の手つきで、お好み焼きの生地を空気を含ませるように混ぜるタマモクロス。

 

「いや、確かにペイザバドラーもジャパンカップで勝利するまではアメリカのG1は0勝でしたでしょうけど。……」

 

 アメリカではダートが主流である。

 さらに日本の砂ダートとは違い、土のダートである。

 そのダートで成績が出なかったが、日本の芝には適合し、並み居る強豪を打ち破ったのがペイザバドラーである。

 

「せやな。まぁ、よう似とるで〜、頭がええというよりも策士なところとか。……今回のレースで全く注目されてへんところとか……」

 

 懐かしむようにしながらも、タマモクロスの手は止まらない。

 鉄板にお好み焼きの生地を鉄板にあける。少し厚めに拡げられた生地は香ばしい匂いと良い音をたてながら熱せられる。

 

「で、や。ウマ娘ちゅうのはレースの最中に他のウマ娘が、後ろだろうが横だろうが、近くに寄ってくると闘争心が漲ってくるやろ?

最後の直線でバ体を併せられると、こなくそってなって、併せてきた相手も自分も信じられんような脚を使える。……けどな」

 

「ペイザバドラーはジャパンカップの最終直線でタマモクロス先輩から、わざと離れて距離のロスを覚悟で、進路妨害のリスクも負いながら内ラチ沿いにいった」

 

 タマモクロスはお好み焼き二つをさっとひっくり返す。

 食欲を唆る、狐色に焼けた面が表に来る。

 

「向こうはレースの前に、ウチらの事をよく調べてたんやろうな〜。最終直線での追い比べとか叩き合いになれば、ウチが確実に勝ってた。なんたって闘争心とハングリー精神の塊やからな!

それを知って、ペイザバドラーは併せない作戦を取った、完璧な作戦勝ちやな。……今回の宝塚記念の面子も闘争心が高そうな面子やないか? ブエナビスタとか、ドリームジャーニーとか」

 

「なるほど。……併せずに少しでも離れて交わして、差す。……なるほど。それか一枚誰かを壁にして、その外から……」

 

 タマモクロスの話に聞き入っていた、ナカヤマフェスタ何度も首肯しながらも頭の中で宝塚記念をシュミレーションする

 

「ついでに渋ったバ場はピッチを上げて、芝を抉るように蹴るぐらいしかウチには言えんなぁ〜。……それこそエルコンドルパサーに聞いた方が早いんちゃうの?」

 

 タマモクロスは、お好み焼きにソース塗りマヨネーズをかけ、鰹節とあおさを振りかける。

 

「さあ、出来たで! 本場のお好み焼きや! 間違ってもピザ切りにしたらあかんで、格子切りして食べるんやで! このコテ(・・)で!」

 

 ナカヤマフェスタにコテを手渡す。

 

「え? コテ。……ヘラでは?」

 

「はあ? コテやろ。ヘラやったら大工道具やないか!」

 

 コテか、ヘラかの論争をしながらもお好み焼きに舌鼓を打つ二人であった。

史実通り、九月にドリームジャーニーは引退

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