前章までのあらすじ…は前回やったので以下略!
昨年はまさに激動の一年。しかし!
激動の二年目は、まだ、終わっていなかった!
ジャパンカップ。
それは各国からトップクラスのウマ娘を招き行われる、トゥインクル・シリーズの中でも格式高い国際招待競走。
招待に応じたウマ娘はレースまでの調整期間をトレセン学園で過ごすので学園生にはちょっとした海外交流イベントでもある。
海外ウマ娘の、中でもトップクラスが来るとあってイモくさい田舎ウマ娘私ことシロツメクサもこの時期はそれなりに盛り上がっていたものだ。
今年はまさか出る側になるとは思わなかったが。
「無理だぁ…もうおしまいだぁ…」
「まだ言ってるのかシロ。早く諦めて私と併走しろ。今日は後ろ向きで走ってやろう」
「昨日はまだデビルバットゴーストだったのにもう神龍寺戦まで行ったの?アイシールド21は意外と短いから用量用法を守らないと面白漫画ロスが辛いって言ったじゃん」
「まだ十冊以上あるし平気だろう。それまでには次に読みたいものが見つかる」
「フラグが立ったな…ところでヨルノ」
「うん?」
「ほんとにジャパンカップ出ないの?」
「出ない。今は漫画とアニメが忙しい」
「正気かお前…」
競走ウマ娘だろ。せめて呼ばれた時くらい走れよヨルノアラシ。
そういうわけで真面目な私は今日も今日とて走り続ける。
現役六年目。とてもフレッシュとは言えないけれど今度こそトゥインクル・シリーズ最後の年に。
競走生活最大の山場が待っているとも知らず。
「というわけで、併走を組んできたぞ」
「は?」
「海外から来たウマ娘と一緒にトレーニングするぞと言っている」
「言ってる意味はわかるけど言ってる意味がわかんないよヨルノ」
「…???すまん、ちょっと意味がわからん」
「なんでわかんねぇんだよ」
ヨルノアラシは唐突である。
ウマ娘ヨルノアラシにとって「計画」とは自分の中だけで成立しているものであり、他人がついて来られるか、他人が理解できるかどうかといった大事なことを一切勘案しない。おかげで私も振り回され続けている。
つまりこの場合、
『ボクに20バ身差つけて勝つって宣言したウマ娘はどこだーっ!!』
巻き込まれたのは海外のウマ娘もだ。
「英語…?わかんないけど怒ってるなぁ…」
「自分に20バ身差つけて勝つと宣言した日本のウマ娘はどこにいるんだ、とっとと出せ◯◯◯◯してやる、とのことだ」
「前半の20はわかったけど後半は嘘でしょ…ダメだよ、怒らせるようなこと言ったら」
「そんなものか」
相手は煌めくような金髪のウマ娘。見るからにオーラキラッキラの超良血。
小柄だけど全身から覇気が漲っている。
でもぷんすこしているのがかわいらしい…お人形さんみたい、とはこのことを言うんだなぁ…。
間近でそんな超美少女ウマ娘を拝めたのは眼福ではあるのでちょっとだけ感謝しつつヨルノをせっつく。
「今のうちに謝ってきなよ」
「わかった、行ってくる」
一切悪びれていない背中を見送る。さらっと英語を話しているのはなんとなく納得できるにしても、よく話しかけてトラックまで連れてきたな。
海外ウマ娘は時差ボケの解消や芝に脚を馴染ませるための期間を自分たちで決め遵守する。日本のウマ娘との交流は義務でもなんでもない、サービスだ。
本場ヨーロッパの誇りと矜持を示す為、彼女たちは戦いに来「何をしたり顔で語ってるのかは知らんが話してきたぞ」
「そう、なら良かっ…うん?」
気がつくと周囲に人が集まっていた。
大方彼女にケンカを売った奴がいるとでも聞いてきたのだろうが残念!私たちと走ってくれるほどゲストは暇じゃないんだから、本番までそのわくわくは取っておくべきだよ。ね!ヨルノ!
『このボクと走りたいってのはキミだね?』
「あれー!?」
ヨルノ!ヨルノ!話が違う!なんだかやる気っぽい!
『いいよ!へへへ、日本にもファンがいるなんて嬉しいなっ。キミ、名前は?』
「え!?えっと…し、シロツメクサ…?」
『シロ…?シロ!よろしくね!誰もが知る名を名乗るまでもないけど、ボクの名前はサーマリオン。
英国最強のウマ娘だよ!』
再開しました。ジャパンカップ編の始まりです。