「近年の英国三冠にはあんまり価値がないって人もいるけどさぁ、ボクはそうは思わないんだよね。だってみんな好きでしょ?三冠」
「まあ、そうだね。なんだかんだと言いつつも制覇者が出れば盛り上がる。実際一流ウマ娘の決戦であるわけだからレベルは依然高いと思うよ」
「でしょ?だからボクは三冠を獲ったんだ。なんならティアラの方も欲しかったけど、そこはほら。我が国は女王陛下の国だから」
「陛下よりたくさん戴冠するのは遠慮したと?ふふっ。マリオン卿は謙虚な方だ」
「いやはや。やっぱりサー・マリオンとしてはね、なーんて」
「……マリオン」
「何?」
「すまなかった。私が誘ったせいで、君の戦績に泥を塗った」
「…ぷっ。あははは!ヴェイって頭いいけど結構バカだよね!」
「わ、わかっていたさそんな反応をされるのは!でも私は本気だ!イギリスとフランス両方から国外退去を宣告される覚悟はしているよ!」
「そうなったら一緒に日本に住もうね。ふふふっ、あはははは!!」
「むう…こういう時だけ歳上みたいな顔をする…」
「ひひひ…あー面白かった。いいギャグだったよヴェイ。…同じくらい、すごくいいレースだった」
「…負けたのに?」
「負けたからだよ。きっとこの後の人生でボクは『ここでスピードを落としたら一生追いつけなくなる!』なんて焦ることないだろうからね」
「それは…つまり」
「いや、本気で勝つつもりだったよ?併走の時あの子が本気の本気じゃないのはわかってたから、本番がずーっと楽しみだった。勝つのは当たり前に楽しいけど、一番楽しいのは強い子と走って勝つこと!その方がみんなたくさん褒めてくれるしね」
「ならなんでそんなことを言う?天才で最強な君が、負けたいだなんて」
「それが「普通」なんでしょ?」
「…普通?」
「うん。普通、普通のみんなは勝ったり負けたりしながら強くなるんだよね?」
「まあ、勝利も敗北も糧にするのが理想ではあるが」
「だったら、勝ちしか知らないボクより勝ちも負けも知ってるボクの方が強いと思わない?」
「…マリオン、君は」
「夢が叶う予感がしたんだ」
「夢…『これ』が本当に、君の望みだったのか?」
「やりたい帳最終巻最終ページ最終行、『負けたい』。全力で挑んで、その上で負けたかった。その点シロは期待通り…期待以上だったよ。お礼を言わなきゃね。あの子のおかげで、ボクはまだ強くなれる。ヴェイ。ボクはもっと速くなるよ。それでいつか、本当に最強になる!」
「…そうか。なら…仕方な「だから日本に住みたいんだけどなんか手段ない?」…は?」
「シロ!速くてかわいいボクの四ツ葉ちゃん!好きになっちゃったかも!なんて!あはははは!ねーヴェイ、なるべく早くリベンジしたいんだけどどうやったらアリマキネンに出られるか知ってる?教えてよー!」
「そ、そんなバカな…いやでも、確かあの併走の時ヨルノアラシが…」
『あとシロは桁外れの女たらしだから気をつけることだな。あいつには一度でも一緒に走った女をすぐ引っ掛ける悪癖があってな、全く私というものがありながら…くどくど…くどくど…くどく…お前の記憶の中とは言えこんなに私しつこかったか?脚色してないか?』
「う、ウソだ…マリオン…」
「こんなーレースはーはーじめてーっ♪」
「ああ…おのれ、おのれシロツメクサぁぁぁぁ!!!!!」