白銀圭の敬愛   作:おろしぽん酢

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圭ちゃんがちょっと...キャラ崩壊してる気がしなくも無いです。


家庭教師と松坂牛

「結局行くのか行かないのか、どっちなんだ白銀ェ!!」

 

「い、行きます!」

 

「よし、それでいいな四宮?」

 

「いいわけないでしょ!!!!!」

 

 

全く持って理不尽だと言わんばかりに顔を顰めるのは秀知院生徒会庶務の八雲日向。

彼は腹から声をあげ否定の意を唱えた少女を見る。

 

 

「何がいけないんだ。俺は完璧なプランを唱えた。だよな、石上?」

 

「そうですね...まぁ言い方はともかく完璧だとは思いますけど。」

 

「だろ。なのに文句を言い出す始末だ。あーあーこれだから金持ちってヤツは。自分の思い通りにいかなかったから怒ってんのか?」

 

「違います。第一、あなたのプランには欠点があります。」

 

 

恋愛頭脳戦(笑)を繰り広げる二人を除いて満場一致で賛成なプランを否定されまたもや顔を顰める。

最近顔を顰めるのが癖になりつつあると少年は感じている。

 

 

「ほう、では聞かせて頂こうじゃないか。もし欠点たりえないようなら膝をついて頭を下げてもらおう。」

 

「いいでしょう。欠点、それは......私が会長と映画を見に行きたがっていると想定していることです!」

 

「...わかったか石上、これが次代を担う四宮グループの御令嬢だ。コレにものを教える俺の気持ちにもなれ。」

 

「そうですか。今度ラーメン食べに行きましょうね。先輩の奢りで」

 

 

生徒会庶務を務める八雲日向はバイトとしてかぐやの家庭教師を務めている。

四宮グループ、そして生徒会副会長としてその名に恥じぬ成績を誇る彼女の成績を上げるというのは並大抵のことではない。

しかし、八雲に家庭教師を頼んで以降かぐやは確実に点数を伸ばし続けている。

そのことに危機感を覚えている男がいるとかいないとか。

 

 

「でも八雲先輩、なんで四宮先輩の家庭教師なんてやってるんです?」

 

「金払いが良かったんでな。まさかこんなポンコツの世話までさせられるとは思ってなかった。」

 

「四宮グループをしてもかなりの額を支払っていると思うのですが。」

 

「まぁまぁ、私の年収はどうでもいいじゃないか。そんなことより石上君、君も家庭教師が欲しくないかね?私なら一日10分で学年50位には持っていけるぞ。」

 

「ほんとですか!?いくらで?」

 

「年200万だ。」

 

 

八雲が働かなくても生きていけるのに未だ四宮の家庭教師を続けている理由の一つは、彼が貯金に命を捧げていることである。

彼の趣味は銀行預金の利息を見てニマニマすることだ。

 

 

「高すぎるでしょ!!!どこのボッタクリバーですか!」

 

「そうか。じゃあ白銀、お前はどうだ?安くしとくぞ?」

 

「いや、俺が上げれるのは後2、3点ぐらいだぞ...誰がそれに200万もかけるんだ。そもそも、うちにはそんな金は無い。」

 

「そうだな、残念だ。圭ちゃんにならタダで教えてもいいぞ。」

 

「絶対に近寄らせないぞ。」

 

 

この男、以前白銀圭と会った時から兄白銀御行に接触禁止命令を受けているのだ。

それがなぜかは詳しくは言わないが、世界経済が一人の少女の手に委ねられかけたとだけは言っておこう。

 

 

「いやいや白銀、圭ちゃんに教えると言ったってお前の家でだ。別に秀知院でも構わないが。それに、圭ちゃんに教える横でお前も勉強すればいい。そうすればどんな質問でも答えてやろう。」

 

「......」

 

 

危機感を覚えていた男は妹を悪魔に預けようとしていた。

 

 

「いやいや会長、ダメですよ。妹さんを世界崩壊装置のストッパーに任命したいんですか?」

 

「世界崩壊装置とは失礼な。俺の教え方は世界どころか銀河一なんだぞ。」

 

「そうなんですか?」

 

「そうね、癪だけれど上手いわ。そうでもなければ何年も四宮家の家庭教師なんて勤められませんし。」

 

「だろう?つまりお前は今人生の分岐点にいるわけだ。もしここで俺を受け入れるならこれから先の未来は明るいだろう。お前は今の段階でも十分に頭はいい。が、如何せんバイトの時間もあって24というちっぽけな枠では生活しきれてないじゃないか。俺とタッグを組めば学習時間は三分の二でいける。その分を生活向上のための何かに当てればいい。なんなら俺とお前で圭ちゃんに教えてやってもいい。そうすれば世界でも有数の天才になれるぞ。」

 

 

八雲は自身の持つ最大限の速さで白銀城を陥落させる方法を考えた。

 

 

「くっ.........わかった、一日だけお試しと行こうじゃないか。」

 

「会長!」

 

「しょうがないだろ、むしろここが落とし所だ。今なら俺にも圭にも利があるが、もしお金を毎日ポストに投函するようにでもなればどうだ、俺は圭を差し出すほかないじゃないか。」

 

「いやいや流石に八雲先輩でもそんなことはしませんよ。ね?」

 

「いい考えだ。参考にさせてもらおう。」

 

「ヒエッ...」

 

 

かくして八雲は白銀家出禁の称号を解かれたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで━━、そうそう。やっぱ圭ちゃん頭いいよね。」

 

「そんなことないですよ。日向さんが教え上手なだけで...」

 

「いやいや、中学生でこれなら高校生になった時には全国一も夢じゃないよ。」

 

「本当ですかっ?」

 

「うん。君のお兄ちゃんが頷いてくれたらね。」

 

「......色々言いたいことはあるんだが、まず...お前誰だよ!!!」

 

 

白銀圭に嫌われたくない八雲はその一心で猫を被りまくっているのだ。

それを見させられている白銀はとても気まずかった。

誰にも止められない悪口モンスターが自分の妹にはペコペコしているのはさぞ惨めな気分だろう。

 

 

「なんで怒ってるんだ?そうか、持ってきたお肉のグレードが低かったか。松坂牛は古かったな、やはり時代は但馬牛だよな。今から取り寄せよう。」

 

「え...八雲?今なんて...」

 

「但馬牛はどんぐらい欲しい?全員分で400はいるか?」

 

「ちょっ、日向さん!それいくらしたんですか!?」

 

「4万ほどだ。大した出費じゃない。」

 

「大した出費だよ!うちの家賃5万なんだぞ!」

 

 

貯金が趣味ではあるが金をケチることは趣味じゃないのだ。

八雲の中のカーストにおいて堂々の頂点に存在する白銀圭への手土産には最上級の品を用意する必要がある。

かといって白銀御行が施しを嫌うのと同様、白銀圭も施しを受けないだろうと考えた八雲は消耗品ならセーフという謎理論を持ち出す。

そうして、皇族御用達ティッシュと迷った末の松坂牛というセレクトだった。

 

 

「但馬牛はもういいから松坂牛を焼いちゃおう。持ってきたものを受け取らないのも勿体無いしな。」

 

「さすが会長、物分かりがいいね。」

 

「日向さん、今度からはこんなことやめてくださいね。」

 

「圭ちゃん、俺が稼いでるのは圭ちゃんに貢ぐためでもあるんだから遠慮しないでいいんだよ?」

 

「日向さん...」

 

「ちょっとそこの男!人の妹を口説くな!」

 

 

自分の妹が口説かれているところを見た白銀は最初の疑問を思い出した。

 

 

「そういえば圭、いつから八雲のこと下の名前で呼んでるんだ?」

 

「...お兄には関係ないでしょ?」

 

「まぁまぁ圭ちゃん。白銀も可愛い妹のことが心配なんだよ。教えてあげよう?」

 

「そんな...可愛いだなんて...えへへ。」

 

 

八雲はこの後に及んで圭を口説いた。

 

 

「わかったわかった、言うからその顔やめろ。」

 

「最初からそうしろよ...それで?圭と八雲の間に何があったんだ?」

 

「いや、最初はお前のせいなんだよ。」

 

「俺?」

 

 

そう、始まりは白銀の家庭学習への不満だった。

四宮の隣に立てる男になる為に文字通り必死で勉強をしている白銀は同じ部屋で過ごす圭のことを蔑ろにしてしまったのである。

ただただ夜中も勉強しているだけなら、高校生は大変だなと遅くまで勉強する兄を応援していただろう。

しかし凡人である白銀が天才である四宮に追いつくにはそんな普通の勉強法では無理だ。

 

白銀の勉強法は、部屋中に自分を追い込む言葉を書いた紙を貼り、一日10時間の勉強をし、教科書や参考書を朗読すること。

その中でも特に部屋を埋め尽くさんばかりの恐怖の紙、夜中も頭に響く教科書や参考書の文言は白銀圭には刺激が強すぎた。

テスト期間が来るごとに睡眠不足に悩まされるのに嫌気がさした圭は同じ生徒会の仲間から一言言ってもらおうと考えたのだ。

そこで八雲日向にあった圭は、そのルックスと同級生より大人びた思考に一目惚れ...とまではいかないが気になってしまったのだ。

 

 

「ね?お前が悪いだろ?」

 

「まぁ...なんらかの責任があると認めるのはやぶさかではない。」

 

「お前誰に影響されてそんな言葉使い出したんだ。」

 

 

白銀とて妹に迷惑をかけているとなれば何かしらの対策を考える。

しかし、白銀が今の点数を維持できているのはこの勉強法だからこそと考えており、そこに変更の余地はないのだ。

 

 

「そう、確かに今の勉強法で維持しているかもしれない。だが、そこに俺という家庭教師を入れるだけで教科書の朗読だけでも止めることができる。」

 

「む。」

 

「これはお前の為だけではない。圭ちゃんのためでもあるんだぞ。私情を抜きに合理性を取るのが秀知院生徒会長というものではないのか?」

 

「むむ。」

 

「大体俺が家庭教師をすることになんのデメリットがあるんだ。精々俺と圭ちゃんが会うことぐらいだろう?そんなの圭ちゃんの自由だ。あまり束縛しすぎると反抗期で泣くはめになるぞ。」

 

「むむむ。」

 

「もういいじゃんお兄、空いてる時間が増えればバイト増やしたり好きな人と遊んだりもできるんだよ?」

 

「!」

 

 

白銀は好きな人と遊ぶ時間が増えるという部分に大いに興味を持った。

バイトの分配を詰めることで、丸一日暇な日を作り四宮や生徒会のメンバーと遊ぶことが出来るようになる、これは白銀にとって甘い甘い蜜だった。

それに、バイトの時間を増やせば圭の洋服や1ヶ月に一度食べるか食べないかの豪華な食事も回数を増やせる。

考えれば考えるほど良いことしかないことに違和感を感じるが気のせいだろうと無視した。

 

 

「......そうだな。圭ちゃんの成績が上がるなら...わかった。いいだろう、お前を家庭教師に任命しよう。だがもしお前がいながら圭ちゃんの順位が下がるようなら即解任だ。」

 

「構わん。そんなことは有り得ん。」

 

 

八雲日向は安堵した。

口先で丸めるのに少々手間のかかる後輩が居ないうちに許可を取り付ければ圭の順位が下がらない限り約束を違えないだろうと踏んでいたのだ。

白銀は元々八雲と圭を合わせたくないが為に断っていたのにそれを忘れて許可してしまった。

 

 

「よし、じゃあ今から勉強だ。次の小テストからその結果がはっきり出るぞ。楽しみにしとけ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「会長、最近は生徒会にいる時間が長いですけど大丈夫なんですか?」

 

「いや何、バイトの時間を少し後ろにずらしたんだ。勉強の時間を減らしたからな。」

 

「え...まさか...」

 

 

石上は恐怖した。

かの邪智暴虐の男を必ず倒さねばならぬと決意した。

 

 

「そうだ、八雲庶務を雇ったんだ。」

 

「えぇえええええぇえぇぇぇぇ!!!!!!」

 

「何を驚いているんだ。実際、白銀のQOLは上昇傾向にある。これは俺のお陰でしかない。」

 

「いやいやいやいや、会長!忘れたんですか!会長が拒否していたのは妹さんと近づけない為でしょう!?」

 

「...まぁ、今のところなんの害もないし良いかなぁって思って...」

 

 

八雲はこの口煩い生徒会会計の男を黙らせることにした。

 

 

「石上、ちび◯子ちゃんのゲーム欲しがってただろう?今度あれをくれてやろう。」

 

「ほんとっすか!?あれめちゃくちゃ高いし手に入らないんですよ!」

 

「欲しければ...分かるな。」

 

「ええ、もちろんです。会長、八雲先輩は良い家庭教師です。雇って正解ですよ。」

 

「いや、俺の前で賄賂を渡すなよ...」

 

 

ここ最近生徒会では生徒会内部での賄賂が頻発している。

 

 

「これは賄賂ではない。日頃の活躍に対しての感謝の気持ちだ。この前白銀にも渡したろう?」

 

「あれそうだったのかよ!」

 

「何渡したんすか?」

 

「松坂牛。」

 

「今度焼肉も行きましょうね。先輩の奢りで。」

 

 

石上は焼肉でなんでもする男だ、間違いない。

 

 

「大体石上はなんで俺が家庭教師になるのを嫌がるんだよ。おかしいだろ。」

 

「確かにそうだな。俺もそれは気になっていた。」

 

「いや、簡単な事ですよ。八雲先輩ってモテるじゃないですか。」

 

 

秀知院モテモテアンケートにて八雲は堂々の一位を誇っている。

もし白銀の目つきが良ければ日頃の行いの差で白銀が一位だったろう。

 

 

「僕はねぇ、それが許せないんですよ!!」

 

「私怨だろう、それはモテないお前が悪いんじゃないか?」

 

「なんてこというんですか!今全モテない男を敵に回しましたよ!!」

 

 

石上が言ったことは若干間違っている。

すでに秀知院内では反八雲派閥が出来ている。

だが彼らは知らない。

前反八雲派閥は皆世界中に飛ばされたことを。

憐れ男よ、強く生きろ。

 

 

「それに会長も他人事じゃ有りませんよ、妹さん大丈夫なんですか?」

 

「ああ、そのことか......既に大丈夫じゃなくなった...」

 

「まさか...」

 

「既に俺と圭は下の名前で呼び合う仲だ。次のステップに行くまで秒読みだな。」

 

「ああぁぁぁぁぁああぁなんでこの男があぁぁぁああぁぁ!!!!!」

 

「落ち着け石上、まだ何の仲でもない!八雲の言い方が悪いだけだ!」

 

「まだって言っちゃってますよ!」

 

 

この日生徒会室前を通った生徒の証言によると、生徒会室前のガラスは割れる寸前だったらしい。

 

 

「さて、俺はそろそろ帰るとするかな。」

 

「よく今の状況で帰ろうと出来ますね。そのメンタルだけは尊敬しますよ。」

 

「今日は何の予定だ?」

 

「四宮のところだな。あそこは授業料の支払いだけは良いからな。蹴るには惜しい。」

 

 

八雲は交渉に来た四宮幹部を眠らせ、有り金全部を抜いた後アメリカに飛ばした前科がある。

それを知った別の幹部が報酬を叫びながらインターホンを押す事で八雲を釣る事に成功した。

成功した幹部は生きたまま二階級特進した稀有な例となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうだ、よく分かったな。」

 

「馬鹿にしないで下さい。私も日々研鑽を重ねているんです。」

 

「そうだな、俺の課題でな。」

 

「違います、早坂の用意したものです。」

 

「何、やるじゃないか早坂。」

 

「仕事なので。」

 

 

主人の課題を用意することは早坂に課された業務では決してないのだが、かぐやの熱烈な要望に応えた結果だ。

そのせいで早坂の睡眠時間が削られたがかぐやには知らぬところである。

 

 

「だが四宮、早坂の負担を増やすのは頂けない。早坂に頼むなら何か仕事を一つ減らせ。」

 

「...そうですね。すみませんでした早坂、やはり課題はこの男の用意したもので済ませることにします。」

 

「いえ、問題ありません。」

 

 

問題大アリだったがそんなことは言えない。

 

 

「それにしても貴方、早坂にはやけに優しくないかしら?」

 

「俺は誰にだって優しいじゃないか。昨日だってゴミのポイ捨てをしていた奴にそのゴミを返してやった。俺は犯罪者を一人減らしたんだぞ。」

 

「それが優しいかどうかは人によってかなり別れるところだと思いますが...にしたって他の使用人にならこんな事は言わないでしょう?」

 

「まぁ、俺が苦労して手に入れたからな。加減を知らない女に潰されると困る。」

 

 

四宮かぐやの家庭教師になる前、早坂と黄光の関係に気づいた八雲は家庭教師になるついでに雁庵に持ちかけたのだ。

早坂家をうちの専属の使用人にしろ、と。

これには雁庵も悩みに悩んだが、かぐやの値段に比べてみれば格安で四宮幹部の子供にも勉強を教える条件で許可を出した。

そうして早坂愛を手に入れた八雲は黄光との関係をかぐやに話した。

当然大喧嘩に発展し、早坂はかぐやからの信頼を失うところだった。

しかし、八雲の取りなしと、八雲が苦労して手に入れたんだからそんなこと許されるかと半ば脅迫気味に言うことで元の信頼関係を取り戻した。

 

 

「誰が加減を知らない女ですか!私も最近は常識を学んでいるのですよ?」

 

「そうか。早坂、お前は何時から何時まで働かされている?」

 

「学校での時間も含めれば6時から11時の17時間です。」

 

「ふむ、俺の中での常識を上書きせねばならんようだ。」

 

 

四宮は常識を白銀や四宮家から学んでいる。

しかし四宮家はもちろん、白銀も最近では落ち着いたが今までは勉強かバイトしか無い日々だった。

そうなると常識というのは少々歪んだものになる。

その結果、早坂の働きすぎにも気がつかなかったのだ。

 

 

「ですがその分の給料は頂いております。」

 

「当たり前だ。これで給料も少ないようなら労基へ駆け込むぞ。」

 

「ろうき?」

 

「...早坂、ここはこういう所だ。自分の身は自分で守れ。それが無理なら俺に頼れ。」

 

「はい。今その恐ろしさを再確認しました。」

 

 

早坂は死んだ魚の目をしている。

 

 

「よし、今日の夜は奢ってやろう。何が良いか考えておけ。」

 

「焼肉がいいです。」

 

「お前ら俺に焼肉奢らせるの好きだな。」

 

 

早坂はガラスのような目をしている。

早坂の象徴たる綺麗な青の目は、その麗しさを3倍にしている。

焼肉でここまで機嫌が良くなる女もいまい。

 

 

「私は?」

 

「お前はここでフレンチでも食ってろ。これは早坂への労いなんだよ。労わなきゃいけない原因がついてきて良いわけあるか。」

 

「そんな言い方無いでしょう!私も焼肉食べに行きたいの!」

 

「使用人にでも用意してもらえ。...よし、もう8時だ。早坂が着替えたら行こう。玄関で待ってるぞ。」

 

「はい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうだ、美味しいか。」

 

「美味しいです。」

 

「そうか、それは良かった。」

 

 

二人の焼肉は気まずかった。

 

 

 

                                                                                   






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