サイコパス上司とのダンジョン探索が仕事です   作:みそすうぷ

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1話

俺の名前は西田(にしだ) 春斗(はると)。都内の市役所にある生活部環境課、環境保全係で働く二年目だ。

いつものようにデスクワークをしていると島根係長から呼び出された。

 

「はい、なんでしょ」

 

「いやー春斗君ねー、忙しいところ悪いんだけどなんか害獣がすごい出ちゃってるらしくて、ちょっとA区まで行ってきてくれないかな?」

 

「わかりました。今回は俺一人ですか?」

 

「あ、いや谷垣くんにもさっき話してて、一緒に行ってもらおうかなと」

 

「え、先輩もですか」

 

突然俺の肩に手が置かれる。

 

「あれ、春斗君ごめんねえ。僕なんかと一緒で。ま、仕事だからさ、しょうがないじゃん?頑張ろうよ。

あでも、気を付けてね。害獣だからさ、怪我とかしないように。ほんとどんな危ない目に合うかわからないからね~」

 

「う、うす」

 

この人は二年先輩で同じ係で働いてる谷垣 亮太郎先輩。イケメンだが、公私ともに徹底的なサイコパスである。こないだハチの巣ができてて呼ばれたときなんか業者が遅れてイラつき、竹刀(しない)で駆除したとか。

 

「じゃ、いこっか」

 

俺は肩を組まれながら用意をし、先輩とA区に向かった。

 

地域の人に害獣の発生源だという洞穴(ほらあな)に案内される。どうやらこの洞穴付近で見たこともないような生き物が複数目撃されているらしい。

 

「谷垣さん、それなんすか」

 

「ん?見ればわかるでしょ?竹刀(しない)だよ?」

 

「まさか獣と竹刀で戦うつもりですか?……」

 

「いやだって危ないのいたら怖いじゃん?」

 

竹刀で対抗しようとする発想があるあんたの方が怖えよ。

 

俺たちはスーツ姿で縦横4メートルぐらいの入り口から洞穴に入る。

俺の手には記録表と懐中電灯、先輩の手には竹刀が一本だ。

 

 

三分ぐらい歩くと先が明るくなっていた。

 

「出口ですかね?」

 

「さあ、生きて出口が見つかるといいね」

 

深い意味はないのかもしれないけどいちいち表現が怖い。

 

明るいところまで進むとそこにはまだ洞穴が続いており、壁がうっすらと光って中は懐中電灯がいらないほどだった。

 

「なんですかね?これ」

 

「僕が答えを知ってると思って聞いているのかな?それとも嫌がらせかな?どちらにせよ春斗君は愚かだね」

 

「こわ……」

 

俺がそうボソリとつぶやいた瞬間だった。オオカミのような生き物が俺たちに向かって突撃してきた。危ない、と思って目をつぶりかけた瞬間、谷垣さんが蹴っ飛ばす。

毛むくじゃらのそれはギャン!となき、吹っ飛んだ。

 

「いや~なんだろこれ。危なかったね~」

 

あれだけ瞬時に生き物を蹴っ飛ばせるこの人のほうが絶対に危ない。

 

「これ、ワーグみたいすね?」

 

「ワーグ?」

 

「よくファンタジーとかに出てくるオオカミみたいなやつですよ」

 

「確かに野良犬や普通のオオカミみたいには見えないね」

 

「この光る壁といい、ここ何かおかしいですよ。どうやって駆除すれば……」

 

「いや(笑)蹴っ飛ばせばいいんじゃない?」

 

「え?」

 

「え、だっていま蹴っ飛ばしたら飛んでったし。それに竹刀もあるし」

 

そこへさっきのワーグが再び突っ込んでくる。

それをなんの躊躇もなく谷垣さんは竹刀でぶったたいた。

するとワーグは光の粒子になって放散した。

 

「へ〜、ワーグって狂暴なんだね」

 

いや、あんたの方が狂暴だしもっと言うことあるだろ。

 

〜〜〜

 

俺と先輩はひとまず市役所に戻り、報告した。

 

話をまとめるとどうやらダンジョンが発生したのではという話だった。

ダンジョンは近年世界中で見つかっており、去年日本でも北海道で発見された。ダンジョンは最終ボスを倒すまでモンスターを生み出し続ける。

 

予算不足だか、人手不足だかでA区のダンジョンは市で管理することになった。

その結果環境課にはダンジョン係が作られ、谷垣さんが係長に抜擢された。

 

「いや~やっとあのサイコパス先輩とおさらばできるぜ~」

 

俺は谷垣さんのいなくなったオフィスで椅子を倒し、背伸びをした。

これでやっと生命の心配をしなくていい職場になったってもんだ。

 

すると横からおれの机に書類が置かれた。見ると谷垣さんが立っている。

 

「え?谷垣さんこれってなんの書類……」

 

谷垣さんは満面の笑みで言った。

 

「春斗君、これからもよろしくね!」

 

俺はダンジョン係に転属になった。




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