古代に生きた存在の日記を読むだけの物語   作:天月蒼留

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予定時刻より執筆が遅れてしまったので即更新しました!!


ご先祖様の日記 洞月③

洞月16日

一晩中、虫に攫われてきた子供の様子を観察していたものの今のところ目を覚ます気配はない。

うっすらと汗もかいており、苦しそうに呼吸をしている。肌に触れてみればまるでインフルにかかったかのような体温をしていて、脈も速い。これはもしかして、毒虫から食らった毒の影響だろうか。

解毒薬なんて都合のいいものは手持ちにないし、だからと言って放置するわけにもいかない。

 

幸いにも今日も外に出られそうなので青い野草と水を第四広間へ取りに行ってこようと思う。

記憶違いでなければ私がいつも食べている青い野草は毒を緩和できるはずだ。少なくとも水を飲むときに青い野草も一緒に食べておけば比較的にお腹を壊しにくいので効果はある、はず。そう信じたい。

問題はどうやって水を汲んでくるかだが、まぁ、現地で考えよう。

 

(体感二時間)

油断すると背後をいつの間にか取られるし、地味に羽が当たった時切り傷ができるのがうざい。

今回遭遇したのは二匹だったが針を突き刺そうとしてきた瞬間に動体に蔦を巻き付けて力任せに壁に何十回も地面や壁に叩きつけていたら砕け散ってしまった。もう一匹も同様。

結構素早いがよく観察してみれば一定パターンがありそうでそれを見抜くことさえできれば今よりも楽に倒せるかもしれない。たぶん。

 

虫を一通り駆除した後は青い野草から数枚ほど葉を入手して、ふと、種が実っているものがあったので種も栽培ができるかもしれないので回収。

まじで水を汲める容器が欲しい。現地に来てみたもののやっぱり水を汲める器がないためそのまま退散するしかなかった。

 

最近は拠点以外で記録を書くのはかなり危険な状況になっている。

羽音で虫が近づいてくることはわかるものの何かに集中していると気が付きにくい上に、あれは暗所でも平気で活動して、こちらが見えてない所から襲ってくるなんてさっき経験したこと。どうやって対策すればいいんだろう。問題ばかりが積み重なってもう泣きそう。

 

(体感五時間)

青い野草を磨り潰して汁を飲ませてみたり、磨り潰した野草を少量ながら子供の怪我した部分に張り付けたりしているけどこれ、効果あるのかな?一応、呼吸は落ち着いたみたいだけど熱は下がってない。いつから熱が出ているのかわからないが高い熱が続けば命の危険がある。

一切水も飲めていないし、意識もない。このまま私は弱っていくこの子を見ていることしかできないのかな?

 

 

洞月17日

今日も目覚める気配がない。熱はまた上がってる。

そういえば、紫蜥蜴が青いキノコを食べた後は疲れ果てていたとしても元気になっていたような気がする。蜥蜴に効いたから人間に効く。なんて保証はないが可能性は試したい。

 

まずは昨日と同様に青い野草とキノコを採取してこよう。今日は羽音が多いが遠くに行った隙に取りに行ってくる。

 

(体感四時間)第四広間

隙を見て外に出たのはいいが中々拠点に戻ることが出来ない。

一応、目当ての物は確保してあるがどうやって帰ろう。

数匹程度なら追いつかれないように走り抜けるなり、誘導しつつ応戦するなりすればいいんだけど毒虫は軽く数えても20を超える。そんな危険地帯に突撃する無謀さは流石に私でも持ち合わせていない。

これが第三広間でなく他の広間だったら迂回するなり諦めるなりできたんだけど、毒虫がいるのは第三広間。拠点に直接隣接してるから避けようがない。

もう少しだけ様子を伺って、それでも居なくなる気配がなさそうなら強行して拠点に戻るべきか?

いや、でもそんなことをして無理矢理戻ろうものなら今度こそ外に出られる機会が無くなってしまうかもしれない。

 

自分だけなら辛うじて生き抜けるだろうけど、閉じ込められるのも拠点を失うのもごめんだ。策も特に浮かばないのは痛い。

 

(体感二時間経過)

虫は少なくなるどころか増えつつある。

ここまで増えるといっそ拠点に戻るのではなく、毒虫が現れた第二広間を見に行った方がいいかもしれない。あんまり、光虫を触りたくないが途中で光を失うわけにはいかない。今回は手に持った状態で探索しに行く。

 

洞月18日

ずっと記録を書く暇がなかったからあれだが、最後に記録した時から18時間以上経過していると思われる。ただでさえ眠いのに休む暇すらなかった。

 

現在いる場所はおそらく恐竜もどきの巣だと思う。

肝心の恐竜もどきは姿をあまり見ないが、さっき第二広間で見

 

(体感30分ほど)

恐竜もどきが巣に戻ってきた。

第二広間からではなく、日が差している方の通路からバラバラになった猪と思われる肉片を咥え持ち帰って来たのでその通路は外につながっていると思う。おそらく、第一広間の崖上に。

つまり、この洞窟を抜けるためには毒虫を搔い潜りながら、恐竜もどきの巣を経由していかないといけないということになる。

結局、拠点近くの毒虫を追い払う手段は思いつかなかったし、無駄に時間を食ってしまった。体感とはいえ丸一日経ってしまったから子供の命が心配だ。

 

(体感三時間経過)拠点

恐竜もどきの巣から退散しようとしたらうっかり石を蹴ってしまい、一つの群れに追い回された。

真っ暗なはずの第二広間も私が光虫を手で持っているせいで簡単に見つかってしまうし、明かりにつられて虫まで増えるしで散々だった。途中で光虫を手放さなかったら未だに拠点に戻って来れなかった気がする。

 

丸一日放置してしまったようなものだから子供の様子が心配だったが呼吸もちゃんとしていたし、脈も確認した。腫れていた場所に張り付けていた青い野草はカラカラに干からびていたが、ちゃんと効果があったみたいでパンパンになっていた腕はだいぶ引いていた。

でも、熱は下がっていないのでまだまだ油断しない方がいいかもしれない。

とりあえず、体力回復してくれることを祈って、(持ち帰ってくるまでの間に乾燥して萎れてしまった)青いキノコと青い野草を磨り潰して団子のようにした、が。どうやって摂取させるか考えていなかった。完全に乾燥していたら粉末に、もっと水分が含まれていたら絞って汁を飲ませたりできたのかな。何もしないよりはましだと信じて、腫れの引いた腕に塗るように張り付けておく。水気が少ないから皮膚から吸収できるかかなり怪しいけど。

 

 

洞月20日

ここ数日眠れていなかったからか睡魔に抗えず寝てしまっていた。

目が覚めたと同時に慌てて子供の様子を確認したら、あれだけあった高熱も落ち着き、脈も正常に打っていてホッとした。あとは目を覚ましてくれるのを待つだけだが、目を覚ましてくれるだろうか。

 

少なくとも五日間くらいは毒に侵され、食事もとれていないとわかっている。

一応、少ない水分を定期的に口に含ませてやることはできるがそれだけでは栄養も水分も足りない。ただでさえ自分自身も栄養失調気味だというのに、意識のない人間に栄養を取らせて生きながらえさせようというのは無理がある。このまま目を覚まさなかったら低栄養で命が危なくなってくる。

早く目を覚ましてくれることを祈るしかない。

 

昨日、恐竜もどきや毒虫の群れに襲われたから警戒状態になっていると考え、安全のために拠点から出るつもりはないが時節外を覗いてみようと思う。例え、外に出なくとも辺りを警戒しておくことに越したことはないはず。

 

(体感2時間)

昨日、あんなことがあったのにとても静かだ。

毒虫や恐竜もどきどころじゃない。この洞窟にいる小動物すら息を潜めている。

 

近くに何かがいるのか?それとも、何かが来るのか。何が起きているかはわからないが、この状況が異様だということはわかる。

 

何事も、起きなければいいけど。




次回の更新はお休みです。
金曜日には再開したいけど、火曜日になるかもしれません。

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