古代に生きた存在の日記を読むだけの物語   作:天月蒼留

6 / 6
遅くなりました!新話更新です!


洞月④

洞月21日

今日も洞窟はシンとしているどころか、昨日よりも生き物の気配が薄まった。目が覚めてすぐに第二広間と第五広間を見に行ったけど虫の羽音も恐竜もどきの姿も何もない。

ただ恐竜もどきがいなくなったことで目の前の危険は無くなって、恐竜もどきの巣があった第五広間がどこに繋がっているのか探索できそうだったから見てきた。予想通り第一広間の崖上に繋がっていた。

崖上に出口はあったけど、ちらっと外を覗いたらなんとなく以前より危険そうな雰囲気を感じて、戻ってきた。いちいち遠周りして。

本当は直接崖を下れたらよかったんだけど、飛び降りるにはあの崖はあまりにも高すぎる。

だって、下から見た時アパートの三階くらいの高さはあったし。ショートカットするには梯子なりロープなり準備してこないと無理そうだった。軽い気持ちで崖上で蔦の種を植えてきたけど、崖の上に植えたところで下に降りられるわけがなかった。蔦は上に伸びるのに。

 

 

(体感12時間経過)拠点

虫も恐竜もどきもいなくなったことを洞窟内をぐるりと散策して再確認してきた。ついでに洞窟内の情報が描かれたページの情報を追加修正した。

 

追加情報の中で一番役に立ちそうな情報といえば、第一広間の自分が落ちてきた穴と崖上の入り口。そして、第四広間の水辺のずっと奥。この三か所が現在確認できている洞窟の出入り口だってことだろうか。

 

自分が落ちてきた場所と水辺の外へ通じる道はどうにもできないけど、第一広間にある洞窟への大きな入り口をどうにかできればこの洞窟全体を比較的安全地帯にできるんじゃないかって。

柵とかが作れれば恐竜もどきとかの侵入は防げそうだけど、それを作るには木とか運搬道具とかが必要だから作るにしてもまだまだ先の話になりそう。

 

ノートの裏にやりたいことリストを追加してみたけど、課題がたくさんあるなぁ。

ペンのインクもノートもまだ余裕があるけど、二つとも消耗品だからそのうち代わりの記録方法を考えなくちゃいけなくなるんだよね。ほんの少し前まではお店に買いに行けばすぐに手に入るものだったのに、こんな貴重なものになるなんて想像してなかったよ。

 

 

洞月22日 第四広間

やっと子供が目を覚ましたかと思ったらかなり怯えられた。

今はなんとか泣き止んではくれたものの言語は通じないし、お腹が空いているはずなのに何も食べてくれない。下手に近づこうものなら隅の方に逃げてしまうし、この子にどう接していけばいいかもわからない。

 

目の前で記録を取ろうとしたら予想以上に警戒されたし。

しかたなく、第四広間まで来て日記を書いている。私が拠点から離れて日記を書くだけで不安が和らぐならまぁ、良いんじゃないかなって思う。

 

(第一広間の崖下に日が差し込む時間)

外に行くとしたら、やっぱり縄梯子でも作ってショートカットできる方がいいと思う。

少しずつでも蔦で梯子を造れるように色々試しながら編んでみようと思う。完成して行き来できるようになったら時間的にも体力的にも楽になるはず。

でも、まずは洞窟内でできそうなことから順に片付けていこう。今、外に出てもやることが増え過ぎそうだし。

とりあえず蔦でなんかしら作れればいいなぁ、と思って編んではいるけど私は想像以上に不器用みたいで以前から何の進展もないのは泣けてくる。誰かに聞いたり、検索出来たらよかったのに。

 

 

洞月23日

保護した子供の怯えは昨日よりはマシになったと思いたい。

少なくとも日記を書く私に過剰な警戒は無くなった、と思われる。それだけでもだいぶ進展だと思うけど、隅っこにいるのは変わらない。

何回か言葉らしき言語を口にしていたような気がするが自分が耳にしたことのある言語とも違う。

どちらかといえば獣のうなり声のような感じだ。言語だとするなら何を言っていたんだろう。どうにかして言葉以外のコミュニケーション方法を考えた方がいいような――

 

(体感10時間)

うっかり寝てしまったらしく、その間に子が行方不明になっていて焦った。今はもう見つかって、拠点に戻っているので心配ない。

 

どうやら、子どももどうにかして私とコミュニケーションを取りたかったらしくその方法を探しに外へ出たらしい。見つけた時にはあの甘ったるいような匂いのある色落ちしてくれない実を潰した染色料だと思わしき液体で拠点の壁面に絵を描いていた、んだけど。よくわからない。どう判断すればいいんだろう。

 

 

洞月24日

ふと、気がついたことといえばあの甘ったるい実を取りに行けたということは子どもは洞窟の外に出たということになるよね。つい、「無事で良かった」って抱きしめてしまった。

ジッとしていてくれたのは意味が通じたのかな?

 

あと、ずっと青い野草の葉っぱしか食べてないせいかなんだか腕が細くなった気がする。やっぱり、全体的な栄養もエネルギーも足りていない。

そういえば、以前植えた豆や青い野草の種の様子を見たら小さな芽が出ていた。うまく行けば、というのは気の長い話だけど少しずつ増やしていったら食糧難が改善されるかもしれない?

 

 

26日

27日

久々に蜥蜴が拠点にやってきたけど、何かに怯えている様子だった。そういえば昨日から子どもも落ち着きがなくて、拠点から私が出ようとしたら腕を掴んで引き止めてくる。

 

私には何も感じないけど、

 

ヤバい?

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。