長くなりそうだったので前後編に分けました。
日常編となります。
1910年・1月中旬
蝶屋敷・昼
あれから3日後、カナエとの約束の為、大貴は蝶屋敷へと訪れていた。
ちなみに今日の大貴はいつもの隊服ではなく、冬用の黒い外套に同じく黒の着物を着用し、小雪が降っていた為傘を差した所謂外出用の服装であった。
「こんにちはアオイ君、カナエ君は居るかね?」
入り口付近で何やら作業をしていたアオイを見つけると大貴は声を掛ける。
「! も、申し訳ありません剣柱様、気付くのが遅れてしまい…」
「気にしないでくれ」
「ありがとうございます! カナエ様なら今支度をしている筈です。 ご案内しますね」
「作業中のところわざわざすまないね」
「いえいえ、こちらへどうぞ」
アオイの案内の元、大貴は蝶屋敷の中を進む。
そんな時
「………」
進行方向に雪の降る中、ボーと何処かを見て佇む”胡蝶”カナヲがいた。
「カナヲ? 雪の中傘も差さずにそんな所に立っていたら風邪を引きますよ?」
「カナヲ君、どうかしたのかね?」
大貴に問われるとカナヲは徐に懐から銅貨を取り出して上へ投げ、それを両手で掴む。
手を開き、その銅貨を見るとカナヲは問いに答えた。
「…カナエ姉さんが剣柱様を待っていたから…私は剣柱様を案内する為に此処で待っていました…」
どうやらカナヲは大貴をカナエの元に案内する為にずっと此処で待っていたらしい。
「なら此処じゃなくて屋敷の前で待っていたら良かったでしょう! それに傘くらい差しなさい!」
「…屋敷の前はアオイが作業していたから邪魔になると思って…傘は…差すの忘れてた…ごめんなさい…」
「全く貴女はしょうがない娘ですね!…剣柱様、申し訳ないのですが、此処からはカナヲに案内を任せます…よろしいでしょうか?」
「構わないよ。 カナヲ君、私の傘だが使うかね?」
大貴はそう言うとカナヲに傘を差し出す。
「剣柱様! 傘なら私のをカナヲにw「それではアオイ君が雪まみれになってしまうだろう?」っ! しかし!」
「………」
カナヲは無言で差し出された傘を取ると、自身と大貴が入る形…所謂相合傘のような状態にする。
「…これなら剣柱様も濡れません…これで大丈夫…」
「ふむ、流石はカナヲ君。考えたな」
大貴に褒められたカナヲは無言ではあるものの何処か嬉しげな雰囲気を漂わせる。
「カナヲ、確かにそれなら誰も濡れませんけど、それは……」
「? アオイ君、何か問題でもあるのかね?」
「……以前しのぶ様が剣柱様を朴念仁と裏で言っていた理由が今良くわかりました…」
相合傘状態でありながら問題なさげにする大貴にアオイは呆れ、額を押さえながら小声で呟く。
「? 何か言ったかね?」
「いいえ別に! それではカナヲ、案内を任せましたよ!」
「……うん、わかった…剣柱様、あちらです…」
「?? うむ、よろしく頼む」
言っても無駄だと思ったのかアオイは話を切り上げて案内をカナヲに任せる。
首を傾げながらも大貴はカナヲに着いていった。
ー
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建物内に入り、しばらく屋敷の中を進むと部屋越しにカナエとしのぶのやりとりが聞こえてきた。
「しのぶー! 服はこれで大丈夫!? しのぶから見て私変じゃないかしら!?」
「服も姉さんに合ってるし、変じゃないわ…ってこれで同じやりとり何回目よ!? 早く準備しないと悲鳴嶼さん来ちゃうわよ!」
「大変!? もうこんな時間!? 急がなきゃ!!」
「姉さん! 今日は隊服じゃなくて着物なんだから走ったりしたら転ぶわよ!」
スルッ
「!? キャッ!?」
余程焦り、急いでいたのかカナエは部屋を出て、床に足が付いた瞬間滑ってしまい転びそうになる。
ボフッ
「大丈夫かねカナエ君?」
だが危ないところを大貴に受け止められ、カナエは転倒せずに済んだ。
「ひ、悲鳴嶼君…あ、ありがとう…////」
顔を真っ赤にしながらお礼を言うカナエ。
それはそうだ、咄嗟とはいえカナエは大貴に所謂お姫様抱っこというものをされていたのである。
「全く! だから走ったら転ぶって言ったのに! 悲鳴嶼さん、ありがとうございます」
「いや、礼には及ばんよ。 カナエ君が怪我をせずに良かった」
「ひ、悲鳴嶼君…そ、そろそろ…降ろしてもらっても…////」
「! おっとすまない」
カナエをゆっくりと大貴は降ろす。
「ひ、悲鳴嶼君、危ないところを助けてくれてありがとね!////」
「うむ、カナエ君が大事ないようで何よりだ。 先程から顔が赤いが大丈夫かね?」
「だ、大丈夫! ちょっと準備でバタバタして発汗しただけだから!」
「それなら良いのだが…」
「そ、それよりも悲鳴嶼君…わ、私、変じゃないかな?…」
不安そうに大貴に尋ねるカナエ。
問われた大貴はカナエの姿を見る。
ちなみに今日のカナエの服装は大貴同様鬼殺隊の隊服ではなく、桃色の着物に蝶をあしらった可愛らしいものであり、その上に厚手の白の羽織を羽織った姿となっている。
顔の方は薄く化粧が施され、口紅も薄く塗られていた。
「……(こうして見るといつもとは全く雰囲気が違う…カナエ君はやはり美人だな)」
問いに対し無言の大貴だが、内心は花柱としての胡蝶カナエではなく、16歳の女の子としてのカナエの姿に言葉を忘れ見惚れていた。
「や、やっぱり、へ、変だよね?」
「…いや、そんなことはない。 寧ろいつものカナエ君と雰囲気が違ったものでな…そのなんだ…とても綺麗だ」
「き、綺麗!? 本当に!?////」
「ああ。 だが、私と出かけるというだけなのだから化粧などは施さなくても良かったのではないかね?」
「ひ、悲鳴嶼君と!……で、出かける…から//// ボソッ」
大貴と出かけるから服装や化粧を頑張ったと言おうとしたカナエだったが、恥ずかしさが勝り途中からは小声で呟くように話してしまう。
「? 今何と言ったのかね? すまない、聞こえなかった」
「うぅ////……」
案の定大貴には聞こえておらず聞き返されるが、恥ずかしすぎる発言だったのかカナエは両手で顔を隠しながら返答せず悶絶するばかりだった。
「はぁー(本当に姉さんは恋愛に奥手過ぎるわ……悲鳴嶼さんも前よりはマシだけど相変わらずの朴念仁だし…)」
そんな2人にしのぶは溜息をつく。
「…しのぶ姉さん、どうしよう?…」
普段無口のカナヲですら今の現状に困惑しているのか小さな声でしのぶに呼びかける。
「カナヲは気にしないで大丈夫よ。はぁー…姉さんも悲鳴嶼さんも出かけるのなら早くしないと夕方になるわよ?」
困惑するカナヲを諌めると、しのぶは2人を煽り、自身の懐からお金を取り出す。
「悲鳴嶼さん、先日は本当にありがとうございました。 金銭で申し訳ありませんが、私からお礼の気持ちを込めてお渡しします。 今日はコレで姉さんと甘味を楽しんできて下さい」
「それは有難いのだが、良いかね?」
「勿論です。 貴方は私の命の恩人なのですから! それに、この程度で恩を返せたとは思っていませんのでまた別の機会に何かしらお礼をします」
「寧ろコレで充分なのだがね?」
「それでは私の気が済まないので! 私の顔を立てると思って此処はどうか折れて下さい!」
「…うむ、ならば次の機会に何か頼むよ」
「はい、わかりました…って姉さんいつまで悶絶してるの! 早く行きなさい!」
「ふ、ふぇ!? う、うん、悪いけど留守の間お願いね」
「ええ、いってらっしゃい」
「…カナエ姉さん、剣柱様も気をつけて…」
しのぶとカナヲに見送られ、大貴とカナエはそれぞれ黒と白の傘を差すと街へと向かっていった。
カナヲが栗花落ではなく胡蝶なのはオリジナル展開です。
以前は苗字が無かったカナヲですが、不死川さんが柱になった話から怨魔戦の間の数ヶ月のうちに苗字を決める話があり、たまたまその場面に出くわした大貴から本当にカナエとしのぶを好きなのなら時には甘えることも良いと言われ恐る恐る2人に抱きつき、その後は2人に対してたまに甘えることがあるようになります。
苗字は原作同様栗花落になりかけますが、カナエ姉さんとしのぶ姉さんの妹でありたいとカナヲ自身が銅貨を投げた末ではありましたが決め、胡蝶性に決まった次第です。
その話も番外編などで後々書こうと思います。
ちなみに、なほ、すみ、きよの三人娘は現在蝶屋敷に居るのですが、この時たまたま別の場所で掃除等の作業をしていたので大貴に会いませんでした。
後のちハガレンのホムンクルスの能力を血鬼術として使う鬼を出そうと思うのですが、誰が良いでしょうか? 勿論、出さないという意見もオッケーなのでよろしくお願いします。
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ラスト
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グラトニー
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エンヴィー
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グリード
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スロウス
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プライド
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出さない