童磨編第2話です。
「姉さん遅いわね…何かあったのかしら?」
落ち合う場所にいつまで経っても現れないカナエにしのぶは訝しむ。
そこへ
『シノブ! カナエガ上弦ノ弐ト交戦シテイルワ!』
しのぶの鴉…艶が現れ、カナエが童磨と戦闘を開始したことを告げる。
「じ、上弦!? 艶! 早く案内して!」
『エエ! ワカッタワ! コッチヨ!』
「(まさか上弦の鬼が現れるなんて…姉さん、何とか持ち堪えて!)」
しのぶは祈りながらカナエの元へと急いだ。
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『カー! 花柱胡蝶カナエガ上弦ノ弐ト戦闘中ダ! 急ゲ!』
一方、全速力で現地に走る大貴の元にも彼の鴉…殺丸が艶と同様の報告を流す。
「わかっている!(カナエ君! 生きていてくれ!)」
大貴は表情を更に固くすると限界以上の速度を出し、遂にカナエ達の居る町へと到着、現地に急行した。
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「はぁ、はぁ、はぁ」
カナエは息を切らし、膝をつく。
「やっと膝をついたね。 正直ここまで粘るとは思わなかったよ…偶然とはいえ、俺の粉凍りをまさか爆弾の爆風で吹き飛ばして肺が凍るのを防ぐなんてさ。 でも最初の粉凍りは吸ってしまっていたからなー、肺胞には少なからず負担が掛かっている筈だぜ?」
「コホッ コホッ……これくらいならまだ戦えるわ!」
見えない氷の粒子に対しカナエは大貴から貰った天元の爆弾で対処していたものの、初見で吸ってしまっていたこともあり肺を押さえて咳き込む。
しかし、まだ軽症ということもあり、自身を奮い立たせ日輪刀を杖に立ち上がる。
「勝てないと分かっているのに向かってくるその気概。 本当に君は尊いなー! 早くその苦しみから救ってあげたいよ!」
そんなカナエに童磨は笑みを深めると更なる血鬼術を放つ。
「血鬼術・蔓蓮華(つるれんげ)」
童磨は右手の扇子を振ると蓮を模した氷の蔓が扇子を通して四方八方からほとばしり、カナエを絡めとろうとする。
「くっ!?」
カナエはそれを必死に回避し反撃の機を伺うが、気付かぬ内に散布される粉凍りを警戒して中々呼吸での攻撃が出来ず、どんどん追い詰められていく……
そして遂に…
ズバッ!
「うぐっ!?」
ドサッ
童磨の扇子により右太ももを斬られてしまい機動力を奪われてしまった。
これには堪らずカナエは地面に倒れ、蹲ってしまう。
「本当女の子なのに良く頑張ったよカナエちゃんは! ご褒美だ、今から救ってやるよ!」
余裕を見せ勝ち誇った表情で童磨はカナエにとどめを刺そうとゆっくり彼女に向かって歩いてくる。
「はぁ、はぁ、はぁ……(私はもうこれまでね…しのぶ、こんなお姉ちゃんでごめんね…貴女を1人にさせてしまうわ…本当にごめんなさい……悲鳴嶼君…必ず戻るって約束守れそうにないわ…好きよ…死んでも貴方を愛してるわ…2人共…さようなら…)」
自身の最期を悟り、カナエは目を閉じ、心の中でしのぶと大貴への言葉を吐露する。
そんな時、奇跡が起こった
ドスッ!
「えっ!?」
鈍い音共に童磨の口から漏れた驚きの声を聞き、カナエはどうしたのかと目を開く。
すると、カナエの目の前には腹部に刀が突き刺さった童磨の姿があった。
更に
「剣の呼吸・弐ノ型、双牙!」
「! おっと!」
ギン! ギギギギ……
遠距離から童磨に刀を投擲して突き刺した男…悲鳴嶼大貴が両手の日輪刀で刺突による奇襲を仕掛ける。
しかし、流石というべきか童磨は大貴の接近に気付くと直ぐ様迎撃、同じく両手の扇子によって防ぐ。
「全くいきなり刀を投擲して腹に突き刺すなんて酷いことをしてくれるな君は。 中々に痛かったぜ?」
「…そう言う割に君からは全く苦痛が見えないのだがね? 痛いというのならもう少しそれらしい表情をして欲しいものだ」
「おやおや、これは一本取られたな! 済まない、生憎これが俺の表情なもので」
ギン!
大貴と童磨は多少軽口をかわすと刀と扇子を弾き合い、互いに一定の距離を取る。
ズボッ! ガン! ガララン!…
童磨は腹から刀を抜き取ると地面に投げ捨てる。
その腹からはドクドクと血が流れ落ちるが、瞬く間に傷が塞がり血も止まってしまった。
「…流石は上弦の鬼、大した再生速度だな」
今まで戦ったどの鬼よりも早い再生速度に大貴は目を細め、両手の日輪刀を童磨に向け警戒を露わにする。
「ならば、再生の追い付かない程に斬り刻むべきかね?」
「それは勘弁して欲しいな。 いくら直ぐ再生すると言っても痛いものは痛いんだぜ? というより君とは直ぐに戦ってあげるから先ずはカナエちゃんを救わせてくれないか?」
「…救うとは何だね?」
「食べてあげるってことだよ。 俺に食われて俺の血肉になればもう苦しむことなんてないだろ? だから俺はカナエちゃんを食べて救ってあげるんd「下らん!」っと! 話してる途中なんだから斬り掛からないでくれないか?」
童磨の発言に怒りを更に増した大貴は会話の途中で斬り掛かる。
「これ以上の問答など意味が無かろう? ようは貴様はカナエ君を殺したいわけなのだからな」
「殺すって…俺の中で永遠に生き続けていけるのだから別に死ぬってわけじゃないだろうに」
「私達と貴様とでは生き死にの価値観が違うのだよ。 良いから貴様はもう喋るな…貴様の声を聞いていると何故だか無性に腹が立つ…何度殺しても足りない程にな」
「うーむ、辛酸な物言いだ。 初対面でだいぶ嫌われてしまったようだね…まあ、鬼殺隊の人間で尚且つ男なら嫌われても別に構わないか!」
扇子を煽ぎながらニコニコと不気味な笑みを浮かべる童磨。
「ひ、悲鳴嶼君……コホッ コホッ…」
「!! カナエ君、肺をやられているのかね!?」
童磨へ注意を向けながら大貴はカナエに駆け寄る。
「コホッ コホッ…ええ、あの鬼の氷の粒子による血鬼術を少し吸っちゃって…でも、悲鳴嶼君に貰った宇髄君の爆弾のおかげでそこまで酷くは無いわ…どちらかというと斬られた右足の方が重傷ね…」
カナエの言う通り、彼女の右太ももからは血が止めどなく流れていた…
「これはだいぶ深く斬られているな…とりあえず私の羽織を使って止血をしよう」
大貴は両手の刀を地面に突き刺し、羽織を脱ぐとそれをカナエの右太ももに巻き付け、強く縛り付ける。
「うっ!?」
緊迫止血の痛みにカナエは声を上げ、顔を顰める。
「痛いと思うが少し我慢してくれ! これだけの出血は止めねば不味い」
「ええ大丈夫よ。 ありがとう」
止血をしてもらい、カナエは大貴にお礼を言う。
警戒はしているもののカナエへの応急処置の為、両手が塞がる大貴。
しかし、意外にもその間童磨が仕掛けることは無かった。
最後に大貴は肺を痛めているカナエを気遣い、隊服の上着を脱ぎ、彼女に掛けた。
そして地面に刺した2本の日輪刀を抜き取ると再び童磨と対面する。
「意外だな、動かず待っていてくれるとは…」
「俺はカナエちゃんを救うのだから死んでは俺も困るんだよ。 君が止血をしてくれると言うんだ、邪魔する理由はないさ」
「成る程、そう言う理由かね…本当に貴様は言動の一つ一つが癪に触る…実に腹立たしいよ」
「どうやら君にとって俺は相容れない存在のようだな…仕方ない、男は不味いから食う気はないが、柱ならとりあえず殺しておけばあの方もさぞ喜ぶだろう」
童磨は座った状態から立ち上がると扇子を広げ構える。
「鬼殺隊剣柱、悲鳴嶼大貴だ。 貴様の声を聞こえないようにする為にもその頸さっさと斬り落としてやろう」
「おー怖い怖い! 俺は十二鬼月上弦の弐、童磨だ。 夜明けも近いし短期決戦と行こうぜ」
キン!
名乗りを終えると両者は再び刀と扇子を交える。
長い夜はまだ終わらない…
童磨との戦いは今回で終わらせるつもりでしたが、長くなりそうだったので次回まで延長することになりました。
タグでネタバレしていたと思いますが、カナエさんはこのまま生存します。
死んでしまったらヒロイン居なくなっちゃいますし…
とりあえず次回をよろしくお願いします。
後のちハガレンのホムンクルスの能力を血鬼術として使う鬼を出そうと思うのですが、誰が良いでしょうか? 勿論、出さないという意見もオッケーなのでよろしくお願いします。
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ラスト
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グラトニー
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エンヴィー
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グリード
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スロウス
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プライド
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出さない