大貴担当の刀鍛冶が初登場します。
表現が苦手で駄文ですが、ご愛嬌ということで…
カナエとカナヲが大貴の屋敷に住み始めてから早1週間程が経過していた。
この頃になると共に暮らしているということもあってか、カナヲは大貴のことを剣柱様から大貴さんと呼ぶようになっていた。
それと過去に姉2人に甘えることも大事と言われたり、何も考えずに直感で自分が思った通りに行動すれば心のままに生きられるとアドバイスを受けたりしたことでカナヲは少しずつだが、大貴のことを兄のように慕い始めていた。
1912年・12月
悲鳴嶼大貴屋敷(剣屋敷)
秋から冬へと移ろい、まだ雪は降ってはいないものの気温がだいぶ下がり、季節の変化を肌で感じられるようになり始めた。
「……」
そんなとある日カナヲは屋敷の入り口で箒を使い、掃除をしていた。
すると
「おや? 君は悲鳴嶼大貴の新しい使用人かい?」
黒の着物を着用し、黒く長い髪を纏めることなく無造作に下ろし、更にはひょっとこの面を被った謎の人物がカナヲに声を掛けてくる。
その手には鞘に納められた2本の日輪刀が握られていた。
「…私は…花柱の継子…です…」
「花柱の継子が何で悲鳴嶼大貴の屋敷に居んの?…まあ良いや、あの男は中に居るのかい?」
「…大貴さんは中に居ます…失礼ですがあなたは?…」
「! そういえば自己紹介がまだだったっけ? ボクの名は金打死与(かなうちしあ)って言ってあの男…悲鳴嶼大貴の担当刀鍛冶だよ」
「!…大貴さんの担当刀鍛冶の方…」
「そうそう! 刀を打ち終わったから持ってきたんだ…ったくあの男は壊し過ぎなんだよ。 まっ、こっちとしてもその方がやり甲斐があって良いんだけどさ…おっと、あまり話してると長話になっちゃうな! あの男の所まで案内してもらって良いかい?…えっと…」
「…カナヲ…胡蝶カナヲです…」
「カナヲちゃんね! 良し、覚えたよ。 カナヲちゃん、早速案内頼むよ」
「…はい…こちらです…(何だか不思議な人…)」
軽い自己紹介を終えカナヲは箒を置くと死与を連れ、大貴のところへ向かった。
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悲鳴嶼大貴屋敷(剣屋敷)・道場
大貴とカナエは木刀を手に向かい合っていた。
これはここ数日見慣れた光景であり、実戦をひと月以上していない大貴の勘を取り戻す為の木刀を使った実戦さながらの鍛錬である。
「剣の呼吸・弐ノ型、双牙!」
不意に大貴が目付きを鋭く変えると足に力を入れて踏み込みカナエに急接近、2本の木刀を彼女に突き出す。
「!…花の呼吸・参ノ型、煌蘭閃(こうらんせん)!」
それに対しカナエは木刀を横に一閃する。
するとそこから6つの斬撃が同時に発生し、それらは不規則に様々な方向へと迸る。
「!」
あまりに不規則に動く6つの斬撃に大貴は強制的に攻撃を中断させられ、後退を余儀なくされる。
「…花の呼吸の参ノ型か…相変わらず動きが読めんな…」
「それを即座に回避出来るなんて流石は大貴君ね…そう簡単には勝たせてもらえないか…」
「初手でやられるわけにはいかんよ…さて次と行こうか?」
再びカナエに向かおうと大貴が木刀に力を込めた時だった…
ヒュン ヒュン
「!?」
ガガン!
急な風切り音と共に鞘に納まった2本の日輪刀が大貴の両目目掛けて投げつけられ、それを大貴は咄嗟に木刀で払い斬り何とか防いだ。
「な、何!? 大丈夫大貴君!?」
「う、うむ、何とかな…」
鍛錬を中断し、心配し駆け寄るカナエに大貴は返事を返すが、その額からは冷や汗が流れ出ていた。
「へえー、臨戦態勢に入った状態で今のを防ぐかー。 また強くなったんじゃないの悲鳴嶼大貴?」
「…やはり君だったか金打君…危うく失明させられる所だったよ…」
軽口と共に先程の奇襲を掛けてきた下手人…死与がひょっとこの面越しでも分かる程ニヤニヤと笑いながら現れた。
その後ろではカナヲが戸惑い、オロオロと焦っていた。
「またまた〜! あんなのを食らうあんたじゃないでしょうが?…っと待てよ…病み上がりの上に実戦を暫くしていないのなら食らっていた可能性もあったってことかー。 まっ、結果的に防げたのなら良いじゃない?」
「相変わらず恐ろしいことを普通に言うな君は…」
顎に手を置き、あっけらかんと口にする死与に流石の大貴も肩をすくめる。
「だ、大貴君、この人は?」
「あ、ああ、カナエ君には言っていなかったな…彼女は金打死与君…私の担当刀鍛冶だよ」
「よろしくー。 君は花柱の胡蝶カナエだよね?」
「え、ええ、そうですけど…」
「ふぅーん、成る程ねー…」
名を呼ばれ困惑するカナエをまじまじと見つめる死与。
すると
「悲鳴嶼大貴、水臭いじゃないかー。 一応ボクはあんた担当の刀鍛冶なんだから花柱と祝言を挙げたのなら連絡くらいしてくれても良いんじゃないの?」
「「ブッ!?」」
死与の爆弾発言に大貴とカナエは吹き出す。
「…金内さん…大貴さんとカナエ姉さんは…恋人同士です…」
「へ? いやいや、どう見てもこの2人は夫婦(めおと)でしょ!? 雰囲気といい色々とさ!」
カナヲの補足に死与は珍しく驚き、軽く動揺する。
「…まだ違います…2年以上は付き合っていますが…」
「…あのさー、悲鳴嶼大貴に胡蝶カナエ…それにカナヲちゃん。 あんたら見てるとボクには普通に家族にしか見えないんだよねー。 というかさ悲鳴嶼大貴、あんた何で2年以上も付き合ってこの人と婚姻しないわけ?」
「それは…何故だろうか?」
「いや、ボクに聞き返されても困るんだけどさ…何なの、あんたはこの人と祝言を挙げる気は無いわけ?」
「そんなわけは無いだろう。 いずれは挙げるつもりだよ」
「へえー…だったらさっさと挙げなよ。 あんまり悠長にしてると他の男に取られちゃうよ? 此処までの別嬪さんは早々居ないから狙ってる男も1人2人じゃない筈だ…手遅れになってもボクは知らないよ?」
「分かっているよ…カナエ君とは直ぐにでもk「大貴君、ちょっと良い?」カナエ君?」
煽るように迫る死与に大貴は反論しようとするが、他ならぬカナエが口を挟んだ。
「金打さんでしたか? 例え他の男性が私に言い寄って来た所で私は大貴君以外を好きになることは有り得ません!」
「…へぇー、絶対にかい?」
強くそう宣言するカナエに死与は目を細める。
「絶対にです! というより、私達がいつ婚姻しようが貴女には関係ないじゃないですか! 私達の婚姻に対して貴女にとやかく言われる筋合いは無い筈です!」
「ククク…アハハハハ!! うんうん、そりゃそうだ! 胡蝶カナエ、あんた中々肝が据わってるよ! 試した甲斐があったってもんだ!」
「えっ!? た、試した?」
「そうそう、悲鳴嶼大貴に対してあれだけ煽れば絶対にあんたが口を挟むだろうと思ったんだ。 本当にこの男のことが好きで夫婦となる覚悟があんたにあるのなら、好いている男があれだけ言われて口を挟まないなんてことは有り得ないからね…あんたら2人なら何年月日が流れようとも問題なく夫婦になれるよ! ボクがお墨付きをあげるんだから間違いない」
「えっと…ありがとうございます」
「うんうん、礼を言えるなんて根も素直だ…良いものも見れたし、頼まれてた日輪刀も渡したことだ、ボクはそろそろ失礼させてもらうよ?」
「相変わらず君は…色々引っ掻き回してくれるな…」
「引っ掻き回される方が悪いんじゃないの?」
「それはそうかもしれんが…全く、君には口で勝てた試しが無い…」
「精々勝てるよう精進することだねー。 んじゃボクは帰るよ…あっ! それとさ、あんたに言っても無駄かもしんないけどもうちょっと刀は大切にしなよ? ボクは刀鍛冶の中では異端だから壊されても特に何も言わないし、壊されても自分の力量不足って思ってるから気にしないけどさ…中には壊されると難癖つけてくる刀鍛冶も存在する…まっ、そんな刀鍛冶に敵視されないよう気をつけることだねー」
「…忠告として有り難く受け取っておこう…ありがとう」
「どういたしまして…それじゃあ壊したらまた鴉の殺丸を使って連絡してくれ。 カナヲちゃん、屋敷の入口までまた案内を頼むよ」
「…は、はい…」
そう言い残すと死与はカナヲと共に去っていった。
「…本当にいつもいつも嵐のように現れて嵐のように去っていくものだ」
疲れたように額に手を置く大貴。
「ねぇ大貴君、私達近いうち祝言挙げる?」
「むっ? 私としては構わないが、突然どうしたんだ?」
突然のカナエの一言に大貴は驚く。
「さっき金打さんにいつ婚姻しようが勝手とか言ってしまったけど…何といえば良いのかな…私も大貴君が他の女性に靡かないか不安なの…だから…その…「カナエ君」!?」
「私は今のままでも君以外を愛する気は無いが、君がそこまで不安に思うのなら…直ぐにでも祝言を挙げようと思う」
「えっ?…い、良いの?」
不安気に自然と上目遣いになるカナエ。
「勿論だとも。 そうだな…遅くとも1年の間には挙げよう…それで構わないかね?」
「う、うん! 大貴君大好き!」
カナエは嬉し涙を流すと大貴に抱きつき、2人はそのままキスをするのだった。
やっと大貴担当の刀鍛冶の登場です。
ちなみに素顔はハガレンのエンヴィーにそっくりで中性的ですが、れっきとした女性です。
この女性喋り出したら止まらず、それを自身で理解しているので強制的に話を切ったりします。
というわけで遂に祝言、婚姻…結婚を決めた2人ですが、さてさてどうなることやら…
日常回が多いのでそろそろ戦闘回も入れないといけないと思うので、何とか頑張ります。