鬼滅の刃〜最強の眼を持つ剣士〜   作:死徒

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時は流れ、炭治郎達の最終選別編になります。

手鬼が居ない為、オリジナル展開となりますのでご了承下さい。


最終選別・前編

 

大貴が目覚めてから瞬く間に1年の月日が流れた…

 

この間に大貴とカナエは少人数でのささやかな祝言を挙げ、晴れて結婚。

 

大貴の下へ嫁いだカナエは名を悲鳴嶼カナエと改め、祝言を挙げた後も2人は変わらず仲睦まじく幸せに暮らし、お互いの継子である玄弥とカナヲに最終選別へ向けて厳しくも優しく修行と鍛錬を行っていた。

 

そして、遂に最終選別当日を迎えるのだった…

 

 

〜鱗滝家〜

 

 

「いよいよ最終選別ね…カナヲ、無理はしないで気をつけて行ってくるのよ?」

 

「…うん、絶対に戻ってくるから」

 

カナエの言葉に静かながら強い意志を見せるカナヲ。

 

「炭治郎…くれぐれも油断はするな」

 

「鱗滝さん、炭治郎なら大丈夫ですよ! 炭治郎も不安に思わずに今までやってきたことを思い出して頑張って!」

 

「はい! お二人から学んだことを活かして絶対に生きて戻ります! 禰豆子、兄ちゃん行ってくるからな」

 

「……」

 

鱗滝と真菰からの激励に炭治郎は力強く答え、先日から冬眠状態のように急に長い眠りについた禰豆子の頭を優しく撫でる。

 

「玄弥、お前は以前より遥かに力を付けた。 有象無象の鬼などお前の相手にならんだろう…アレは使うまでもないだろうが、例え使わねばならない状況になった場合には……分かっているな?」

 

「はい! 多用はするな…ということですね?」

 

「分かっているのなら構わん……ふむ、竈門君は鱗滝さんから渡されているから大丈夫だな…玄弥、これを持っていくと良い」

 

「カナヲも」

 

大貴は腰に差してある自身の日輪刀を1本取り出すと玄弥に手渡し、カナエもそれに倣うように自身の日輪刀をカナヲに渡す。

 

「まだお前達は日輪刀を所持していないからな」

 

「素手で戦うよりは持っていた方が良いでしょう?」

 

「師匠、ありがとうございます! 大切に使わせてもらいます」

 

「…カナエ姉さんありがとう。 必ず返すからね」

 

「うむ。 では皆、気をつけてな」

 

「「行ってらっしゃい(♪)(!)」」

 

「…皆、必ず戻れ」

 

「「「はい!(…はい) 行ってきます!(行ってきます)」」」

 

それぞれの師匠達と真菰に送り出され3人は最終選別へと向かっていくのだった。

 

 

〜藤襲山(ふじかさねやま)〜

 

大貴、カナエ、鱗滝、真菰に送り出された玄弥、カナヲ、炭治郎の3人は最終選別の行われる藤襲山へとやって来ていた。

 

「結構俺達以外にも参加者はいるんだな」

 

「そりゃそうだろ? 鬼殺隊に入ろうと思っている奴らが全て来ているんだからよ」

 

「…ねえ2人共」

 

「ん?」

 

「どうしたんだカナヲ?」

 

「…あの人さっきから俯いて独り言言ってるみたいだけど大丈夫かな?」

 

若干引き気味にそう言うカナヲに炭治郎と玄弥も彼女の視線の先を見る。

 

すると

 

「死ぬ…俺は今日此処で死ぬんだ…奇跡が起きて今日死ななかったとしても明日には確実に死ぬ…終わりだ…何もかも…じいちゃん…死んだら化けて出てやる…」

 

暗い表情でネガティブ全開な発言を連発する黄色…蒲公英のような髪が特徴的な少年が居た…

 

「な、なんだあいつ…」

 

それを見た玄弥も冷や汗を流しながら後ずさる。

 

「…よし2人共、見なかったことにしよう!」

 

対して炭治郎は現実逃避をしたのか元気よくそう言う。

 

完全に蒲公英頭のことをスルーするつもりのようだ…

 

「ああ…」

 

「…そう、だね…」

 

そんな炭治郎に玄弥とカナヲは同調し、3人は蒲公英頭の少年を見なかったことにするのだった。

 

それから少し経つと、黒髪と白髪の違いはあれどほぼ瓜二つの見た目をした子供2人…鬼殺隊お館様・産屋敷耀哉の子供である輝利哉とかなた…が最終選別の参加者の元に現れる。

 

その後、2人は参加者達に最終選別のルールや合格条件などを説明する。

 

「「では、行ってらっしゃいませ」」

 

そして、輝利哉とかなたの合図と共に参加者達は鬼の巣窟である藤襲山の奥地へと向かっていった…

 

 

 

それから暫く経ち、炭治郎、玄弥、カナヲの3人は生存率を上げる為にも変わらず行動を共にしていた。

 

「…鬼の匂いがどんどん強くなっていく」

 

奥に進むにつれて鬼の放つ醜悪な匂いが強くなり始め、匂いに敏感な炭治郎は警戒を強める。

 

「炭治郎、警戒するのは良いがあまり力むな…肩に力が入ってるといざって時に反応が鈍るぞ」

 

「!!…ふぅー……ありがとう玄弥、知らない内に肩に力が入っていたみたいだ」

 

「まあ気持ちは分かるぜ。 俺もお前に偉そうなこと言っておきながら…震えが止まらねえからよ…」

 

深呼吸をして礼を言う炭治郎に玄弥は冷や汗を流しながらそう答える。

 

「…そういえば炭治郎」

 

「ん?」

 

「…真菰さんに聞いたんだけど、前にこの山に凄く強い鬼が居たって本当?」

 

「ああ、俺も鱗滝さんと真菰さんから聞いた…なんでも”手鬼”という無数の手を自在に操る巨大な鬼で過去に最終選別の参加者達を50人以上食べて力を付けていた厄介極まりない鬼だったらしい」

 

「50人以上!? 何でそんな鬼が最終選別の鬼の中に混ざっていたんだ?」

 

鱗滝と真菰から聞いた炭治郎の話に玄弥は驚愕し、声を荒げる。

 

それはそうだ、基本的にこの藤襲山に居る鬼達は人間を殆ど捕食していない力の弱い鬼…ようは最終選別の参加者でも実力があれば何とか渡り合うことの出来る初歩的な相手なのである。

 

それに加え、その鬼達は日輪刀を所持しているある程度の実力者には頸を落とされ、毎回少なくない数が討伐されている。

 

しかし件の”手鬼”は実力者達をも返り討ちにすることで長年生き延び、50人以上人間を捕食していた異例中の異例…

 

驚かないことが無理な話であった。

 

「元々それなりには強かったみたいなんだが、長年生き延び続けて最終選別の参加者を食べてどんどん力を付けていってしまったらしい…その鬼を捕らえてこの藤襲山に入れてしまったことを鱗滝さんは悔いていたよ」

 

「捕らえて? その鬼を捕らえたのは鱗滝さんだったのか?」

 

「どうやらそうみたいだ…過去に最終選別に向かわせた弟子達も10人程その”手鬼”に殺されたと聞いた…」

 

「…悲しい話だね…」

 

「ああ…」

 

「…それで、その”手鬼”って奴はどうなったんだ?」

 

「現水柱の冨岡さんの親友で、真菰さんの兄弟子の錆兎…俺にとっても兄弟子だな…彼との戦いで相討ちになって斃れたらしい…」

 

「50人以上も人間を食った鬼を相手に相討ちに持ち込むなんて…その錆兎って人強かったんだな…」

 

「…ああ、彼は本当に強かった。 俺も実際に修行をつけてもらった!」

 

「……えっ!!?」

 

「ちょっと待て炭治郎!? 修行をつけてもらったって…その錆兎って人は”手鬼”と相討ちになったってことはもう死んでるんだよな?」

 

「? そうだけど、それがどうかしたのか?」

 

「どうかしたのかじゃねえよ! 何で死んだ相手に修行つけてもらえるんだ! ありえねえだろ!?」

 

「…炭治郎、夢でも見ていたんじゃないの?」

 

死んだ錆兎に修行をつけてもらったという炭治郎の不可解な発言に玄弥は取り乱し、カナヲは彼を案じているのか心配そうな面持ちで問う。

 

しかし、炭治郎は至って真剣な表情で

 

「…いや、夢や幻じゃない…錆兎は霊体の状態でまだこの世に留まっている。 真菰さんも以前彼に修行をつけてもらっていたと言っていたから間違いない。 彼は鱗滝さんの弟子達が最終選別から戻って来られるよう影ながら支援してくれているんだ…弟子達が最終選別から戻って来なかったら鱗滝さんが悲しむからな…」

 

「…死んでからも霊体としてこの世に留まり続けて鱗滝さんの弟子達に修行をつけているなんて…その錆兎って人、本当に鱗滝さんのことを慕っているんだね」

 

「ああ。 俺も錆兎に絶対に鱗滝さんを悲しませるなと釘を刺されたからな…彼の為にも俺は生きて絶対に鱗滝さんと真菰さんの元に帰らなければならない!」

 

「本当凄いな錆兎って人は……そうだな、俺も才能の無い俺を継子として育ててくれた師匠達の元に必ず戻る!」

 

「…私も姉さん達の元に絶対に生きて戻る!」

 

「「「(…)2人共、頑張ろう!!」」」

 

3人は手を合わせ、決意を新たに最終選別を必ず生きて戻ることを誓った。

 

そこへ

 

「人間ダー! 腹減ッタ!」

 

「食ワセロー!」

 

「俺ガ先ダ! オ前ラハ、引ッ込ンデロ!」

 

空腹からだらしなく涎を溢す3体の鬼が小競り合いを続けながら3人の元に現れた。

 

「…2人共大丈夫?」

 

「…ああ、不思議とさっきまでの震えが無くなった! 問題ねえよ」

 

「俺も大丈夫だ! やれる!」

 

3人は意識を集中させ、直ぐにでも攻撃に移れるように感覚を研ぎ澄ませる。

 

「人間共、何ヲゴチャゴチャト…」

 

「早ク食ワセロー!!」

 

「肉ー!!」

 

それを知ってか知らずか鬼達は真っ正面から3人に襲い掛かる。

 

「水の呼吸・壱ノ型、水面斬り(みなもぎり)!」

 

「…花の呼吸・壱ノ型、初椿(そめつばき)」

 

炭治郎とカナヲは日輪刀を瞬時に鞘から抜くと、それぞれの呼吸による斬撃で一撃で自身に向かってきた鬼の頸を落とす。

 

「ナッ!? ナラバ、オ前ヲ食ッテヤル!」

 

同胞をあっさりと殺され、残された1体の鬼は焦りながら先程唯一行動を起こさなかった玄弥をその鋭い爪で貫こうとする。

 

しかし

 

「…遅えよ」

 

「ナン…ダト!?」

 

玄弥は軽い身のこなしで鬼の凶手をかわすと、大貴仕込みの凄まじい体術で繰り出された凶手を両腕で掴むとその遠心力を逆に利用し、鬼を投げ飛ばし地に押し倒す。

 

そして大貴から借り受けた日輪刀を鞘から抜き取ると

 

「あばよ」

 

と一言告げ、その頸を胴体と泣き別れにする。

 

「ギャーー!!……」

 

すると鬼は断末魔を上げて灰と化し消滅した。

 

「…前より遥かに強くなってる…呼吸を使えなくても鬼と戦える!…師匠達には感謝しかないな」

 

低級の鬼とはいえその動きを完全に見切り、瞬殺出来た自身の成長ぶりに玄弥は改めて師匠である大貴とわざわざ時間を作って稽古をしてくれたカナエ、そして初期に弟子として訓練してくれた行冥に改めて感謝する。

 

そこへ炭治郎とカナヲが駆け寄り、玄弥に声を掛ける。

 

「やったな玄弥!」

 

「…完全に鬼の動きを読んでいたね」

 

「ああ! 師匠達のおかげだ」

 

「…うん、私も前より強くなってるのが実感出来たよ」

 

3人は皆、自分の成長を喜ぶ。

 

「…一気に3体も鬼がやって来た。 此処にずっと居るより先に進んだ方が良いのかもしれないね」

 

「そうだな。 玄弥、行こう!」

 

「ああ、分かった!」

 

カナヲの言葉に炭治郎と玄弥は同意し、3人は先に進もうと歩み出す。

 

そんな時!

 

「おいおい…折角食おうと思ってたのによ…殺すんじゃねえよ」

 

「「「!?」」」

 

突如前方から声が聞こえ、3人は動きを止め、各自警戒をあらわにする。

 

直後、先程の鬼達とは明らかに違う完全に人型の人間だと20歳程の見た目をした男鬼が姿を現した。

 

「ん? こんな小僧小娘にやられたのかよ…食ったところで大した力は得られかったなこりゃ…」

 

何やら呟き、片手で頭をやれやれと言いたげに抑える男鬼。

 

「(な、なんだコイツ…明らかにさっきの鬼達とは別物だ…)」

 

「(…言葉もさっきの鬼達と違って理性を感じる…)」

 

「お、お前は何だ!? この吐き気がするような嫌な匂いといいさっきの発言といい…まさか鬼を…同族を食っているのか!?」

 

「俺か? 俺の名は喰吞(くのみ)という。 小僧、てめえら鬼狩りは俺ら鬼を滅したいんだろ? 俺は同族を食って鬼の数を減らしてんだ…てめえらとは利害が一致してると思うが…何をそんな嫌悪の表情で俺を見る?」

 

甚だ理解出来ないと言いたげに炭治郎に声を返す鬼…喰吞。

 

「良く言う…お前…鬼だけでなく人も食っているだろ!」

 

「ん? そりゃ鬼を食うだけじゃ俺も生きていけねえから当然だろ? 寧ろ俺の血肉となって俺の力になれるんだ…感謝して欲しいぐらいだぜ?」

 

「き、貴様!!……!?」

 

喰吞の人間を食糧としか思っていない発言に炭治郎は激昂し、今にも斬りかかろうとするが、それは玄弥とカナヲに手で制される。

 

「炭治郎落ち着け!」

 

「…私も炭治郎の気持ちは良く分かるよ…でもただ怒りに任せて向かっていったら相手の思う壺だよ!」

 

「!?……ありがとう2人共、おかげで目が覚めた」

 

2人の言葉に炭治郎は冷静さを取り戻し、喰吞を油断なく見据える。

 

「…へえー。 諭されたとはいえ、ガキの割には冷静な判断が出来んのか?…面白えな」

 

「お前…喰吞っていったか?」

 

「そうだが?」

 

「…あなたから感じる気配…さっきの鬼達とは全く別物…何故あなたのような鬼が此処に?」

 

「! 何故俺が此処に居るか、か? そりゃわざと鬼狩りに捕らえられて此処に入ったからに決まってんだろ?」

 

カナヲの問いかけに喰吞は、さも当然な顔でとんでもないことを口にした。

 

「わざと捕らえられただと!?」

 

「どういう訳だ!?」

 

それに対し炭治郎と玄弥は驚愕し、声を荒げる。

 

「どういう訳も何も…この山に入れば弱いとはいえ、手軽に鬼を食えるからに決まってんだろ? 俺の血鬼術は鬼を食えば食うほど力を増すことが出来、その鬼が血鬼術を持っていた場合はそれも俺のものとすることが出来るって代物なんだからな。 力を増すのにこんな最適な場所は中々ねえぜ?」

 

自分の血鬼術を説明し、不敵に笑う喰吞。

 

「…あなたは危険…この場で絶対に倒さなきゃならない!」

 

「ああ!」

 

「必ず滅してやる!」

 

「ガキ共が…どの道、見られたからにはてめえらは殺すって決めてたが良いだろう…人間を食ったところであまり強くはなれねえがてめえらは気に食わねえ…完膚なきまで叩きのめした上で殺し、そして食ってやるよ!!」

 

「「「!?」」」

 

自身を倒すと意気込む炭治郎、玄弥、カナヲに喰吞は舐められていると感じたのか怒りに身体を震わせると、その醜悪な気配をより巨大ななものとし、殺気を強める。

 

最終選別の戦闘とは思えない激戦が今、幕を開ける……




というわけでまたもやオリジナルの鬼登場の回でした。

手鬼が錆兎と相討ちになり不在、それに加え真菰が生存しているので原作よりも炭治郎が多少強化されており、玄弥も大貴とカナエにより強化、カナヲもカナエ生存により花の呼吸を原作の同時期よりも使いこなしている為、最早最終選別の雑魚鬼では話にならないということで、鬼を食ってその力と血鬼術を取り込むという規格外を敵として迎えました笑

結構無理矢理にその鬼…喰吞には藤襲山に入ってもらいましたが、彼の血鬼術の相性的に藤襲山は絶好の場所でしたので…

原作にからして藤襲山は手鬼というヤバい奴が長年居たのに何の対策もされていなかったので、手鬼の後にこんなヤバい鬼が居ても放置されるのではないかと…

とりあえず、次回は最終選別編後半ということでよろしくお願いします!
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