鬼滅の刃〜最強の眼を持つ剣士〜   作:死徒

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最終選別編がようやく終わります。


最終選別・後編

 

「!!…炭治郎、あの人!?」

 

「!! あれは…あの時独り言を呟いていた彼か!?」

 

特徴的な髪の色から叫び声を上げて吹き飛ばされた人物が善逸だと知る炭治郎とカナヲ。

 

「……」

 

吹き飛ばされた衝撃で意識を刈り取られた善逸は地面を転がり続けていく…

 

「……!」

 

しかし唐突に体勢を立て直すと受け身を取り、俊敏な動きで立ち上がる。

 

そして…

 

「…雷の呼吸・壱ノ型、霹靂一閃…」

 

「グゥ!?」

 

凄まじい速度の抜刀術で喰吞に斬り掛かり、不意を突かれた喰吞は本能的に両腕をクロスさせ、咄嗟に防御するものの仰け反る。

 

「…君達、今だ!」

 

「! 水の呼吸・ 弐ノ型、水車(みずぐるま)!」

 

「!…花の呼吸・肆ノ型、紅花衣」

 

善逸の作り出した喰吞の隙をつき、炭治郎とカナヲはそれぞれの呼吸で技を放つ。

 

仰け反った状態では回避はおろか防御もままならず、喰吞は弱点の頸は辛うじて守ったものの、炭治郎とカナヲの斬撃をその胴体にまともに食らう。

 

「ギッ……ガアァ!!!」

 

しかし理性を失っている喰吞は一瞬だけ斬られた痛みに動きを止めるが、次の瞬間には怒りからか叫び声を上げて暴れ出す。

 

「くっ! 浅かった…」

 

「あの打撃を直接受けるのは危険だ! とりあえず回避に徹しよう!」

 

「…(この黄色い人、まるで別人みたい…それは兎も角)炭治郎、この人の言う通り、今は避けることに集中して!」

 

「! 分かった!」

 

暴れ回る喰吞の剛腕を直接受けるのは死を意味する為、炭治郎、善逸、カナヲの3人は必死に避ける。

 

「ガウァー!!!」

 

尚も暴れ続け、両腕を振り回す喰吞に3人は防戦一方となり、体力が削られる。

 

しかし避けねば死あるのみである為、避けざるをえず、ジリ貧状態となってしまう。

 

このままでは不味いと皆が思った次の瞬間!

 

「!? ウガァ!!?」

 

大量の黒い触手が喰吞を取り囲むように現れ、それらは喰吞の五体を締め上げ、その動きを止める。

 

暴れ狂い、時には引き千切り、必死に触手から逃れようとする喰吞だが、圧倒的な物量によりそれは叶わず、どんどん締め上げられていく…

 

「何だあの触手は!?」

 

「あれは!?」

 

「…さっきあの鬼が使っていた血鬼術!?」

 

突然の触手の介入に善逸は目を閉じながらも驚きを隠せず、炭治郎とカナヲは先程は敵だった触手が自分達を救ったことを不審がる。

 

そこへ

 

「待たせたな!」

 

何かをする為、一時離脱していた玄弥が声高らかに現れた。

 

「玄弥!?」

 

「…玄弥…その姿は一体!?」

 

しかしその姿は顔には不気味な紋様が刻まれ、歯は鋭い犬歯となり、腹部から足にかけて大量の黒い触手を纏った異様な姿へと変貌していた。

 

玄弥の変貌ぶりに炭治郎とカナヲは驚きを隠せない。

 

「俺の姿に関しては後だ! 一先ずアイツを倒すぞ!」

 

「彼の言う通りだ! この隙を逃さずに一気に畳み掛けよう!」

 

あまり余裕が無いのか玄弥は額に汗を浮かべながら喰吞をこの勢いのまま倒そうと促し、善逸も彼に同調する。

 

それに対し、炭治郎とカナヲは小さく頷き

 

「水の呼吸・陸ノ型…」

 

「…花の呼吸・陸ノ型…」

 

「雷の呼吸・壱ノ型…」

 

「!? ウオォーーオー!!!」

 

意識を集中させ、呼吸をしながら強力な技を出そうとする3人に喰吞は本能的に危険と判断したのか今まで以上に暴れ、力任せに触手を千切り、拘束から何とか逃れようともがく。

 

だが玄弥がそれを許す筈は無く…

 

「逃してたまるかよ!」

 

「!!?」

 

千切られた触手を次から次へと再生させ、圧倒的な物量を以て喰吞の身体を逃すまいと絡め取っていく。

 

「てめえはこのまま大人しくしていやがれ!」

 

「ガアァー!!!」

 

尚も荒れ狂い、暴れる喰吞だが、玄弥に動きを制限された彼は最早詰み状態だった。

 

そして…

 

「ねじれ渦!」

 

「…渦桃(うずもも)!」

 

「霹靂一閃!」

 

「ウギャァ!!?」

 

拘束された状態で3人から一気に弱点の頸目掛けて集中攻撃を受けた喰吞はそれらを防ぎきれず、あっさりとその頸を落とされた。

 

それにより喰吞の筋骨隆々とした面妖な肉体は急激に縮み始め、元の姿へと戻る。

 

「……バ、カ、な…こ、こんな…こと…が…」

 

姿が元に戻ったことで理性を取り戻した喰吞は自身の頸が落とされ、敗北したことを受け入れられず動揺する。

 

「こ、この…お、俺が…こ、ん、な…ガキ…共…に…お、おのれ…」

 

4人を睨みつけ、呪詛を吐くように途切れ途切れ言葉を発する喰吞だが、頸を落とされた影響からその肉体は徐々に灰と化していく…

 

「…み、認めん…お、俺は…こんな…ところで…死ぬ…わけが…ない…お、俺は…選ばれし…生物…他者を食らい…力を増し…無限に…進化する…このような…このようなところで滅びるなど…有り得んのだ!!!………」

 

血走った眼でそう叫び声を上げると喰吞は完全に灰となり消滅した。

 

「はぁ、はぁ、はぁ…殺ったか…」

 

玄弥は息を切らせ、安堵すると限界だったのか地面にへたれこむ。

 

するとその腹部から下を覆っていた多量の触手と顔の紋様が消え、犬歯も元に戻った。

 

「強かった…」

 

「…誰か1人でも欠けてたら危なかったね」

 

「ああ、そうだな……えっと…そこの黄色髪、お前のおかげで助かった。 ありがとな!」

 

「そういうば名前を聞いて無かったな、俺は竈門炭治郎」

 

「俺は不死川玄弥だ」

 

「…私は胡蝶カナヲ…貴方の名前は?」

 

「俺は我妻善逸だ。 同じ道へ進もうとしている仲間なんだから助けるのはとうぜn……」

 

自己紹介をし、更に言葉を続けようとする善逸だったが突如無言となり、そのまま地面にうつぶせに倒れる。

 

「お、おい!?」

 

「だ、大丈夫か!?」

 

「しっかりして!?」

 

急に倒れた善逸に3人は驚愕し、必死に彼に呼び掛ける。

 

すると

 

「んっ…」

 

何事も無かったかのように善逸は”目を開き”、ゆっくりと立ち上がる。

 

「痛た……あれ? 此処は何処だっけ?」

 

記憶が曖昧なのか周囲を見渡し、キョトンとする善逸。

 

「目を覚ましたぞ!」

 

「…良かった」

 

「善逸無事か!?」

 

その様子に玄弥とカナヲは安堵し、炭治郎は善逸の肩を掴み、彼の安全を確認する。

 

だが

 

「無事って何!? というか俺お前に名前教えた覚え無いんだけど!? 何で知ってんの!?」

 

「な、何を寝ぼけたことを言っているんだ善逸? さっき君自身が名前を教えてくれたんじゃないか!?」

 

先程自分自身で名前を言っていたにも関わらず、教えた覚えが無いと言う善逸に炭治郎は困惑する。

 

「えっ!? 意味わかんないんだけど!? どういうこと!?」

 

それは善逸も同じらしく、彼はやたらと高音で口煩く喚き散らす。

 

「…カナヲ、アイツもしかして?」

 

「…うん…あの人は多分さっきまで意識を失った状態だったんだと思う」

 

「そんな状態で話したり行動出来る奴が存在するんだな…」

 

「…信じ難いけどね…そういえば前にカナエ姉さんとしのぶ姉さんに聞いたことがあるわ…寝たり、意識を失った状態で行動する人のことを別名”夢遊病患者”というんだって」

 

「夢遊病患者か…成る程な…意識を失ってた時のアイツは不覚にも格好良いと思ったが…平常時のアイツ見たら…一気に幻滅しちまったな…」

 

一時的とはいえ、意識を失っていた状態の善逸に少し憧れを持っていた玄弥だったが今の喚く善逸を見て肩をすくめ、げんなりする。

 

「…(確かにさっきまでの彼…善逸は少し格好良かったかな?……でも…)」

 

カナヲはチラッと苦労しながら善逸を諌める炭治郎を見る。

 

「(戦っていた炭治郎はもっと…もっと格好良かったな////)」

 

鱗滝の家で初めて会った際に炭治郎に心を奪われてから今に至るまで、カナヲの炭治郎に対する恋心は全く変わっていないらしく、彼女は横目で炭治郎を見ると顔を赤く染め上げる。

 

胡蝶カナヲ16歳…銅貨を投げることでしか物事を決められなかった彼女だったが、大貴やカナエ達の尽力と炭治郎への恋心により物静かではあるものの、しっかりと自らの意志を出すことの出来る普通の女の子へと成長を遂げていた。

 

「!!? おい、お前炭治郎って言ったな!? てめえは此処に何しにきやがった! 遊びじゃねえんだぞ!!」

 

そんなカナヲの様子に女好きで人の発する音…聴覚に人一倍敏感な善逸はいち早く気付き、炭治郎に嫉妬心丸出しで怒り出す。

 

全く、こんなんだから惚れた女に嫌われるわ、性悪な女に騙され、借金を背負わせられるという散々な目にあったりするのである…

 

「どうしていきなり怒り出したんだ!? 何をしにって見てわかるように最終選別に来たんだ。 遊びになんて来ていないぞ!」

 

それに対し天然ゆえか律儀に対応する炭治郎。

 

「いいや! 俺は騙されないね! あー! ムカつく! あー! イライラする! お前みたいな奴が何でモテる!? 何で俺はモテない!? というかお前俺に謝れコラァ!?」

 

「?? 俺がモテる?…何だか良く分からないが、気を悪くさせたのなら謝る! ごめん!!」

 

善逸が怒る意味が理解出来ないものの、炭治郎はまたもや律儀に対応、全く悪くないのにも関わらず善意100%で謝罪する。

 

だが、それは逆に善逸には逆効果だったらしく…

 

「はぁ!? 何本当に謝ってくれちゃってんの!? これじゃ俺が悪者みたいじゃん!? 嫌だよー! 俺は悪者じゃない!!」

 

炭治郎に普通に謝られると思っていなかった善逸は自身が悪者のように感じ、今度は泣き叫ぶ。

 

「泣くな! というか君は俺にどうさせたいんだ!?」

 

感情と言動がコロコロ変わる善逸に流石の炭治郎も限界なのか頭を抱える。

 

「「……」」

 

あまりにも無様な善逸の醜態ぶりに玄弥とカナヲも絶句していた。

 

「ン? 美味ソウナガキガコンナニ! 今日ハ最高ダ!」

 

そこへ空気を読まずに1体の鬼がやって来た。

 

「オイ! ガキ共! 黙ッテ俺ニ食ワレロ!」

 

「ええー!? 鬼ぃー!? 嫌だ! 怖いよー!!」

 

「ナッ!? マチヤガレ!!」

 

善逸は鬼を見ると我先に逃げ出す。

 

その速度は尋常でなく、善逸は恐るべき逃げ足の速さでその場を離脱していった…

 

「あの野郎…逃げやがった…」

 

「…最低…」

 

「善逸ー! 気をつけるんだぞ!」

 

そんな善逸に玄弥は唖然、カナヲは軽蔑し、炭治郎だけは彼を心配する。

 

「1人逃ゲタガ…マアイイ、オマエラヲ食ッテヤr………エッ!!?」

 

 

まんまと善逸に逃げられた鬼は仕方ないと割り切ると炭治郎達を食おうと向かっていこうとするが、話している途中であっさりと四肢と頸を落とされ灰となり消滅する。

 

「うるせえよ!」

 

「…静かにして」

 

「2人共…容赦無いな…まあ鬼だし仕方ないのか?…」

 

その下手人は玄弥とカナヲであった。

 

2人共、先程の善逸の言動や自分達を置いて逃げるという行動に苛立っているらしく、鬼はその怒りの捌け口とされてしまったようだ…

 

炭治郎は冷や汗を流しながらそんな鬼を憐れむ。

 

こうして波乱に満ちた最終選別1日目が終わった。

 

 

それからは喰吞程強い鬼は現れることなく、瞬く間に時は過ぎ、7日後…最終日となる。

 

そして…

 

藤襲山・集合場所

 

3人は最終選別を終え、集合場所へと戻ってきた。

 

「「お帰りなさいませ」」

 

輝利哉とかなたがそんな3人を出迎える。

 

「ありがとう!」

 

「お、おい炭治郎! もっと畏まった態度をとれって!」

 

「? どうしたんだ玄弥? そんなに血相を変えて?」

 

「どうしたもこうしたもこの方々はな!」

 

「あの、すいません…」

 

「私達は気にしませんのでどうかいつも通りでお願いします」

 

「そうはいきません! あなた方に粗相をしたとあっては俺が師匠に殺されてしまいます!」

 

「成る程………ならこうしましょう…この場において私達は唯の最終選別監督役」

 

「年齢のこともありますし、この場ではあなた達とは対等の立場ということで…どうです、これなら粗相も何もないでしょう?」

 

「!? 分かりました…」

 

輝利哉とかなたにそこまで言われたとあっては玄弥も折れるしか無かった。

 

「? 良く分からない…どういうことだ?」

 

「…炭治郎、この方達は偉い立場の人達だよ」

 

「えっ!?」

 

「…でもこの場においては気さくに接してくれて構わないと言ってくれているわ」

 

「そ、そうか…分かった!」

 

実は状況を理解出来ていなかった炭治郎だったが、事前にカナエから輝利哉とかなたのことを伝えられていたカナヲが端的に説明する。

 

「…あんなに居たのに…これだけしか生き残らなかったのか?」

 

炭治郎が辺りを見渡し悲しげにそう口にする。

 

そう、開始時は少なくとも30人は居たであろう参加者達だったが、集合場所に集まったのは自分達3人を含めて”10人にも満たない数”だったのである…

 

「! おーい! 善逸! 無事だったか!」

 

そんな中、特徴的な蒲公英頭を見つけ、炭治郎は声を掛ける。

 

「ひぃ!? ってお前か炭治郎、脅かすなよー!」

 

生き残ったにも関わらず相変わらず俯き、ネガティブ発言を繰り返していた善逸は突然声を掛けられたことに驚き悲鳴を上げるが、声の主が炭治郎と分かると安心したのか警戒を解く。

 

「…また会ったね…敵前逃亡者…」

 

「良く顔を見せられたもんだな…」

 

「えっ!? あ、あの…その…ごめんなさい……」

 

しかし、あの時逃げたことをカナヲと玄弥は許していないのか善逸に冷たい視線を浴びせる。

 

2人の発する不穏な音を優れた聴覚により察し、不味いと思った善逸は直ぐさまその場に土下座し謝る。

 

「2人共、善逸も反省しているんだ、許してやろう」

 

「…まあ、仕方ねえな」

 

「…炭治郎がそう言うならしょうがないね(全く、炭治郎は甘いんだから…そこがまた良いところなんだけど////)」

 

炭治郎に諌められ、玄弥とカナヲは不満気ながらも善逸への矛先を緩める。

 

カナヲは内心惚気ていたが…

 

「!? くうぅー……」

 

それを音を通じて理解した善逸は炭治郎に嫉妬するものの、彼に庇われたということもあり、何も言うことが出来ずに渋い顔を作るしか無かった。

 

 

その後、主に連絡用として隊士1人1人につけられる”鎹鴉(善逸のみ鴉ではなく雀)”をつけられ、自身の日輪刀を作る材料である”玉鋼”を選び、隊服は後日担当の”隠”が直接渡しに行くと伝えられ、その場は解散となる。

 

「生き残ったな」

 

「そうだな」

 

「…帰ろう、鱗滝さんの家へ」

 

そして各々は各自帰路につき、炭治郎、玄弥、カナヲは自身の師匠達の待つ鱗滝の家へとしっかりとした歩みで向かっていくのだった。




ちょっと端折った部分がありましたが、最終選別自体は終わりました。

原作より生き残りが多いのは3人が共に行動していた為に雑魚鬼が3人と遭遇して直ぐに殺されたことが要因です。

その影響で他の参加者の鬼との遭遇率が減ったという…まあ、生存者達にとってはラッキーといえますね。

3人の実力ですが、炭治郎は蝶屋敷にて薬学を覚えた真菰の存在により多少の怪我でも訓練を続けられたということで原作より多少強化、玄弥も大貴とのブラッドレイ式訓練での剣術や体術、カナエを交えての稽古で強化、カナヲもカナエ生存により花の呼吸を独学ではなく、カナエ自身から直接教わるということで練度が上がり、大貴にも稽古をつけてもらう時があり各自が原作よりも強化されています。

正直原作のままだったら喰吞にやられていましたね…

とりあえず、次回は最終選別を終えた炭治郎達が鱗滝の家に戻る話となる予定です。

次回もよろしくお願いします!
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