鬼滅の刃〜最強の眼を持つ剣士〜   作:死徒

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相変わらずの亀更新で申し訳ありません。


珠世

 

「えっ!?」

 

「!?…カナエ、今何と?」

 

カナヲと共に剣屋敷に帰ってきたカナエの唐突な爆弾発言に大貴と玄弥は驚愕する。

 

「あら? 聞こえなかったかしら? 遂に鬼の協力者を見つけることが出来たのよ♪ しかも4人も!」

 

いつも以上にニコニコと上機嫌ですと言わんばかりの笑顔を見せるカナエ。

 

「…大貴さん、それに玄弥。 カナエ姉さんの言ってることは本当よ。 私も正直今でも夢みたいだけど…」

 

「…ふむ…カナヲ君がそう言うのなら間違いないのだろうな」

 

「そうですね」

 

「ちょっと大貴君に玄弥君? カナヲが言うのなら間違いないってどういうこと? 私が言うことは信じられないってこと!?」

 

「い、いやカナエさんが言うことが信じられないってわけじゃ…」

 

聞き捨てならないとカナエは大貴と玄弥に迫り、その迫力に玄弥はしどろもどろとなる。

 

「カナエ、私達が君を信じていないわけがないだろう。 ただ…心配しているんだ…君は今まで遭遇した鬼全てに対して対話を試みようとして悉く失敗してきた…それに鬼の中には嘘をつき私達を油断させる輩もいる…君も以前経験がある筈だ」

 

「そ、それは…」

 

以前鬼に騙された経験があるのかカナエは言葉が詰まる。

 

そんな時

 

「ニャー」

 

何処からともなく小型の鞄を背負った一匹の猫が現れた。

 

その胸元には目のような模様の入った紙が貼られている。

 

「猫?」

 

「何処から入ってきたんだ? すいません、俺が外に出してきます」

 

「…待って玄弥。 カナエ姉さん、この猫って…」

 

「ええ、珠世さんの使い猫の茶々丸で間違いないわ」

 

「「珠世さん?」」

 

剣柱師弟はその名に疑問を持つ。

 

「あっ! 珠世さんはこの子の飼い主の女性よ」

 

「成る程…だが、ただの女性ではないのだろう? 先程の話から察するにその女性は鬼の協力者の1人ということで間違いないかね?」

 

「ええ」

 

大貴の問いにカナエは頷く。

 

「ニャー」

 

猫…茶々丸は首を自身の背にある鞄に向けると一鳴きする。

 

「ふむ、その背にある鞄を開けろということかね?」

 

「師匠、俺が開けますよ」

 

「うむ、頼む」

 

玄弥が茶々丸の背にある鞄を開けると、その中には手紙が入っていた。

 

「あら、珠世さんったら態々手紙まで書いてくれたのね」

 

「…随分と親切な鬼なんですね……というか鬼から手紙って…まるで鬼じゃねえみたいだ……師匠」

 

「ああ」

 

鬼からの手紙という信じられない状況を前に、珠世という女性は本当は人間なのではないかと玄弥は錯覚しながら困惑気にその手紙を大貴に手渡す。

 

大貴は玄弥から手渡された手紙を開封すると中には

 

 

【拝啓 剣柱・悲鳴嶼大貴殿

 

 お初にお目にかかります。 私の名は珠世と申します。

 私が何者であるかは貴方の奥方であるカナエさんから伝えられているかとは思いますが、改めてお伝えします。

 私は鬼です。

 ですがあの男の呪いと支配からは自身の肉体を改造することで解放された為、人間の方々に危害を加えることは無いと私の命を賭けて断言します。

 生きていく上で必要な血に関しては自身の肉体を改造したことで必要な血が少量で済むようになったことと、私自身生業として医者をしている為、人間の方々から献血として血を戴くことで足りるようになっております。

 勿論、他の3人も少量の血で済むよう私が処置しております。

 鬼である私の言葉は簡単に信じて戴けないとは思いますが、私達は貴方…否、鬼殺隊の方々と敵対するつもりは御座いません。 

私にとって敵はあの男…鬼舞辻無惨です…私はあの男が殺しても殺し足りない程憎い…ですが私や他の鬼3人だけでは蜚蠊のようにしぶとく生き汚いあの男を殺すことは到底出来ないでしょう…

 例え人間と鬼であっても手を取り合って協力することは出来るとカナエさんから伝えられた時私は胸の支えが取れ、目が覚めたように感じました。 カナエさんには感謝しても仕切れないです。

 自分勝手なのは充分承知の上で言わせて戴きます…悲鳴嶼大貴さん…どうか私達に力をお貸し下さい】

 

と書かれていた。

 

「…成る程、手紙の内容から見ても嘘をつくような方では無さそうだ」

 

「ええ、珠世さんは裏表の無いとても優して親切な女性だったわ♪」

 

「…大貴さん、珠世さんに力を貸してあげて下さい」

 

「カナヲ君?」

 

「…珠世さんが鬼になった経緯は自分が不治の病になってしまって、旦那さんや子供の為にも何が何でも絶対に生きるって誓ってその病気と必死に戦っている時に鬼舞辻無惨が現れて鬼になれば病気は治ると言って珠世さんを鬼にした…結果鬼になった珠世さんは一時的に理性を失い旦那さんと子供、そしてその町の人達を食い殺してしまった…そのことを涙ながらに話していた珠世さんを呪いと支配から解放されても尚苦しめる鬼舞辻無惨を私は自分のことのように許せない…」

 

「カナヲ君…」

 

「「カナヲ…」」

 

「…だから…だから…大貴さん…珠世さんに力を貸して…いや…珠世さんを助けてあげて下さい!」

 

涙を流しながらも力強い目で自分の意思を大貴に告げるカナヲ。

 

その姿からはかつて彼女が銅貨の裏表で物事を決めていたとは到底思えなかった。

 

そんなカナヲを見た大貴は彼女に近付くとその頭に手を乗せる。

 

「君にそこまで言われたとあっては珠世さんに協力しない訳にはいかないだろう」

 

「…だ、大貴…さん…」

 

元より協力するつもりだったがねと苦笑しながら言う大貴の表情はとても朗らかなものだった。

 

「玄弥もそれで良いか?」

 

「…本当は鬼と協力とか考えたくないんですけどね…」

 

玄弥の脳裏にかつての悪夢…鬼となった母親が自分と兄以外の弟妹達を殺した光景が映る。

 

「けどまあ…カナエさんが信じ、カナヲが泣いてまで懇願して、師匠も認めた…俺だけ嫌とか言えないでしょう? それに手紙の内容もそうだがこの茶々丸って猫が自分の危険も顧みずに手紙を俺達に届けた…飼い主のことを慕っていないととてもじゃねえけど出来ない…珠世さんを信じるには充分ですよ」

 

茶々丸を見ながらそう言った玄弥の表情は優しげで嫌悪感は全く感じられなかった。

 

「フフッ♪ 大貴君、玄弥君は良い子に育ったわね♪」

 

「ああ。 私は視野の広い寛大な心を持った良い継子を得たものだ」

 

「恐縮ですよ。 俺がこう思えるようになったのは貴方達夫婦やカナヲ、行冥さんにしのぶさん…色んな人達のおかげです。 かつての俺だったら全力で否定していた筈…今の俺があるのは皆さんのおかげなんですよ」

 

「玄弥君…」

 

「本当に成長したな玄弥」

 

感動した表情で玄弥を見るカナエと大貴。

 

「ニャーニャー」

 

「…皆…茶々丸もう帰りたいみたい」

 

手紙を渡して用件が済んだものの雰囲気的に帰れなくなっていた茶々丸がもう帰りたいと言わんばかりに鳴き出す。

 

「あらあら」

 

「猫はきまぐれですからね」

 

「茶々丸、済まないがもう少しだけ待ってくれ。 珠世さんに返事を書かねばならんからな」

 

「ニャー」

 

大貴の言葉を理解しているのか茶々丸は仕方ないなといった感じに軽く頷きながら一鳴きする。

 

 

「…うむ、こんなところか? さて、待たせて済まなかったな」

 

数分後、珠世への返答を書き終え、大貴はその手紙を茶々丸の背にある鞄に入れる。

 

「茶々丸、珠世さんによろしく頼むよ」

 

「ニャー」

 

茶々丸は任せろと一鳴きすると周囲に溶け込むように姿を消した。

 

「…まさか鬼と協力し合う時が来るとはな」

 

茶々丸が去った後、大貴は感慨深げにカナエを見る。

 

「カナエ、君の長年の理想が本当に現実となったな」

 

「ええ♪ でも本当に鬼と共存していく為には元凶である鬼舞辻無惨を倒さないといけないわ」

 

「…うん」

 

「そうですね」

 

カナエの言葉にカナヲと玄弥が同意する。

 

「倒そう鬼舞辻無惨を。 私達の代で絶対にな!」

 

大貴の発言に3人は強く頷く。

 

こうして人間と鬼との長い戦いの歴史の歯車は少しずつだが、確実に終わりに向けて回り出していくのであった。

 

 

 

小話

 

 

数日後、珠世から再び茶々丸を通し返事が届き、近い内に直接会って話をする運びとなった。

 

 

「こうもとんとん拍子で話が進むと流石に不安になるな」

 

とある夜、ふと自分とカナエの暮らす部屋でポツリとそう漏らす大貴。

 

「う〜ん、私も少し不安だわ」

 

「何がだね?」

 

自分の理想が実現しているにも関わらず、不安というカナエに大貴は疑問を持つ。

 

「大貴君が珠世さんに惚れてしまわないか」

 

頬を膨らまし、カナエはそう返答する。

 

「カナエ、私が君以外を好きになるわけがないだろう?」

 

「でも不安なのよ…珠世さんはお淑やかで美人で魅力があって…大貴君が珠世さんの元に行ってしまわないか…不安なの!」

 

涙目で大貴に訴えかけるカナエ。

 

どうやらカナエは大貴が自分ではなく、珠世の元へ行ってしまうという最悪の状況を考え、その不安からやきもちのようなものを感じてしまったようだ。

 

そんな彼女を大貴は優しく抱きしめる。

 

「だ、大貴君////」

 

「私は君を愛してるそれは一生変わらない。 何があってもだ」

 

「う、うん////…」

 

「カナエ、君が不安なら何度でも言おう。 私は君を愛してる、好きだよ」

 

「私も好き! 大好きよ////」

 

大貴がどんなことがあっても自分を愛してくれると再確認したカナエは彼を抱きしめ返す。

 

この夫婦は結婚してからも以前と変わらずのバカップルぶりを遺憾なく発揮していた。

 

こうして互いの愛を確認し合い、夜は更けていく。

 

それを月明かりが優しく見守る。

 

そして朝を迎えるのだった。





というわけで珠世さんと協力する運びとなりました。

協力者の中に大貴と因縁のある彼が居ますがどうなることやら…

次回も気長にお待ちください。
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