久しぶりの投稿です。
ますます文才が消えており申し訳ありません。
「…その禰豆子さんという鬼の方…直接お会いすることは出来ますか?」
唐突に珠世はそう口にした。
「だ、駄目ですよ! 珠世さんといえども禰豆子ちゃんに注射を打つのは私が許しません!」
「カナエさん、私が禰豆子さんにお会いしたいと思ったのは血を採取するのが目的だからではありません」
「えっ!?」
流れ的に珠世が禰豆子に会うのはてっきり彼女の血を採取する為だと思い込んでいたカナエは珠世の言葉に目を丸くする。
「私はただ純粋に禰豆子さんに興味があるのです…あのどうにもならない鬼舞辻の呪いによる呪縛を私や零余子さんのように肉体を手術によって作り替えた訳でも、愈史郎のように元々鬼舞辻の眷属という枠組みから外れている訳でも、硬欲さんのように強欲による圧倒的な自我で破壊した訳でもなくどのように彼女がアレから逃れられているのかを…」
「珠世さん…」
「分かりました。 禰豆子君の兄の竈門君も交えてにはなると思いますが、後日お会いさせると約束しましょう」
「だ、大貴君、お館様の了承も取らないでそんな勝手に…」
「大丈夫だカナエ。 珠世さんなら禰豆子君を悪いようにはしない…そうでしょう?」
「勿論です」
「それに…お館様ならば私達が言わずともこのことも全て予知しておられることだろう」
「お館様ならそうかもしれないけど…流石に後で報告はあげるわよ?」
「分かっているさ」
「ありがとうございます」
珠世は大貴へお礼を言うと不意に時計を見る。
「もうこんな時間ですね。今宵はここまでにしましょう…皆さんにこれを渡しておきます」
珠世はそう言うと、懐から取り出した小さな箱をテーブルの上に置いた。
そして箱を開けると、中には簡易式の採血用注射器が10本ほど整然と並んでいた。
「簡易式ですが採血用の注射器です。十二鬼月との戦闘で血を採れる機会があればこれを使って下さい。ですがあくまで採れたらで構いません。厳しいようなら無理せず自身の命を最優先でよろしくお願いします」
「珠世さん…本当にありがとうございます。でも、禰豆子ちゃんに会うのは…本当に血を採るためじゃないんですよね?」
先程の珠世の言葉を信じながらも注射器を見てカナエは少し懐疑的に珠世を見るが、当の珠世は優しく微笑みながら頷く。
「ええ。 純粋に興味があるのです。 禰豆子さんが鬼舞辻無惨の呪縛からどうやって逃れているのか…ただそれだけを」
「珠世さん…」
珠世はもう一度丁寧に頭を下げ、注射器の箱を大貴、カナエ、カナヲ、玄弥の順でそれぞれ手渡していく。
「……一々面倒くせえ話だな…だがその小娘が親父殿の呪いを何らか手段でぶっ壊してるってのは面白れぇな…そのことに感しちゃ少し興味があるぜ。 馬鹿子、お前はどうだ?」
「だから私は零余子だっての! 全く! まあ、その子がどうやってあいつの呪いを破壊しているのかは気になるかって聞かれたら気になるけどね」
不意に自身の特等席である珠世の膝の上でゴロゴロと喉を鳴らしていた猫の茶々丸が「にゃー…」と気の抜けた鳴き声を上げると、珠世はそれに軽く笑いながら立ち上がる。
「では、後日の対面を楽しみにしています。 今宵は本当にここまで。 皆さん遅くまでお疲れ様でした」
「珠世さんもお疲れ様です」
こうして、今宵の対談は静かに終了した。
珠世と愈史郎は奥の研究室へ、茶々丸は珠世に抱かれて同じく研究室へ、硬欲と零余子は隠れ家の奥へそれぞれ姿を消していった。
それから少しして大貴、カナエ、カナヲ、玄弥の四人が玄関に向かうと、珠世が外まで見送りに出てきた。
「皆さん、気をつけてお帰りくださいね。 本当なら遅いので今宵は泊まっていただいても構わないのですが…」
「珠世さん…気遣っていただきありがとうございます。 ですが貴女も無惨に追われる身」
「私達が泊まることで無惨に居場所を知られる危険性がある…なら私達が帰るのは当然のこと、お気になさらずに大丈夫ですよ♪」
「…皆さん…本当に申し訳ありません」
珠世は4人に向かって頭を下げる。
「禰豆子君との後日の対面は私が竈門君に話し段取りをします。 決まり次第連絡しますので」
「薬の開発の件も私から妹のしのぶに伝えてまたお返事しますね♪」
「ええ、よろしくお願いします」
「それではまた」
「はい、どうぞお気をつけて」
珠世は優しく微笑みながら頭を下げ、4人から促され静かに屋敷に戻っていく。
珠世が屋敷の中に入ると同時に愈史郎の血鬼術が発現し、屋敷は周りの風景に一体化し、姿を消した。
「では帰ろうか?」
「ええ♪」
「「はい」」
大貴の呼びかけにカナエ、カナヲ、玄弥の3人は返事をすると4人は剣屋敷へと帰路へつく為歩き出す。
そこへ
『カァー! カァー!! 各柱! 各柱ニ通達!』
『突然ダガ明日日中臨時デノ柱合会議ヲ取リ行ウ!』
『繰リ返ス 明日〜〜〜』
「「「「!!?」」」」
浅草での珠世との対談は終わりを告げ、新たな幕が開く。
その会議の内容は鬼殺隊の長い歴史の中でも大改革になるとこの時鬼殺隊当主である産屋敷耀哉以外誰も知る由もなかった。