過去編が終わり、再び現在の話になります。
1909年・蝶屋敷・道場
「はっ! ふん!」
カナエは朝から木刀による素振りで鍛錬をしていた。
そこへ大貴がやって来る。
「おはようカナエ君」
「あっ、おはよう悲鳴嶼君♪」
「精が出るな、朝から鍛錬か?」
「うん。 これでも花柱だもの、率先して鍛錬して下の子達の手本にならなくちゃ」
「流石はカナエ君だ、その向上心は素晴らしい。 そうだ久しぶりに手合わせでもしないか? 柱同士の決闘はご法度だが、修行を兼ねた鍛錬ならば問題あるまい?」
「そうね、久しぶりに手合わせしましょう♪ ふふっ、昔を思い出すわ」
まさに花のように満面の笑みを浮かべるカナエ。
「確かに、昔はしのぶ君も交えて3人で良く鍛錬をしたものだ。 カナエ君、勝敗の判定はどうする?」
「朝に全力を出して疲労を溜めるのも良くないし、う〜ん…無難にどちらかが1本取ったら勝ちで良いんじゃないかしら?」
「そうだな、それでいくとするか」
ルールが決まると大貴は木刀置き場に行き、手頃な木刀を1本取る。
「悲鳴嶼君、2本使っても良いのよ? 悲鳴嶼君は2本で戦うのが主流でしょ?」
「確かにそうだが、今回はあくまでも軽い手合わせだ。 それに実戦で武器破壊でもされて1本になった場合にも対処出来るようにせんとな…だから今回は1本でやるよ。 別にカナエ君を侮っているわけではないからそこはわかってくれ」
「そういうわけなら仕方ないか。 でも負けた時に1本だったから負けたとか言っちゃダメよ?」
「これは手厳しいな。 わかっているよ、負けた時は言い訳などしないで素直に負けを認める…それで良いかね?」
「よろしい♪ それじゃ始めましょうか!」
そう言うとカナエはいつものフワフワしている穏やかな顔を一変させ、真剣な表情になる。
普段はとても穏やかで悪い言い方をすると頼りなさそうなカナエだが、やる時にはこのように瞬時に鬼殺隊花柱としての姿へと変わることが出来る。
「…久しぶりだな、カナエ君のその闘気。 普段の姿が嘘のようだよ…なら私もそれに応えねばな」
カナエに対抗し、大貴も目を細め闘気を発する。
「…流石悲鳴嶼君ね、まるで隙がないわ…」
カナエの額から冷や汗が流れる。
「でも…負けない!」
カナエは先手必勝と言わんばかりに駆け出す。
そして
「花の呼吸、肆ノ型・紅花衣!」
大貴との距離をつめると木刀を大きく振り、円を描くようにして斬りつける。
だが、大貴はそれを紙一重でかわし
「剣(つるぎ)の呼吸、弐ノ型・独牙(どくが)」
その回避した際の遠心力を利用し、木刀による至近距離からの突きを繰り出す。
しかしカナエもそれをこれまた紙一重でかわし、両者は一定の距離を空ける。
「(危なかったー…初手でいきなり1本取られちゃうとこだった…やっぱり悲鳴嶼君は強い…気を抜いたらあっという間にやられちゃう)」
「(ふむ、今のは確実に獲ったと思ったが…カナエ君も以前よりだいぶ力をつけているな…こちらも油断は出来ん)」
2人はどちらも互いに対し気を抜けない相手だと改めて認識する。
「今のをかわすとは…やるなカナエ君。 では今度はこちらから行かせてもらおう」
そう言うと大貴は一気にカナエへ向かって走り出す。
「剣の呼吸、伍ノ型・百剣連呀(ひゃっけんれんが)」
そして超速で突きを連打で繰り出す。
その速度は凄まじく、相手はまるで百本の刀で突かれているように感じる程だ。
しかしカナエも負けてはおらず、一箇所に留まらずに移動を繰り返し、その猛攻を回避し続ける。
「(なんて速い突きの応酬なの!? このままじゃやられる…)」
だが、内心では余裕は全くないらしく、カナエは敗北を悟る。
そんな時、回避をしながらふとカナエは大貴の眼帯を目にする。
「!! (その手があったわ!)」
何かを閃いたのか、カナエは突きをかわしながら徐々に大貴の”左側”へと回り込み始める。
「! (成る程、私の死角に入り、動きを制限しようと考えたか…ならば…)」
カナエが自身の死角に入り、攻撃を最小限に抑えようとしているということを悟ると大貴は新たなる手をうつ。
「剣の呼吸・肆ノ型、円陣真空斬(えんじんしんくうざん)」
大貴は突きを止めると勢いをそのまま剣を持つ手を水平にし、身体ごと回転を始める。
すると、直ぐさま剣を通じ大貴を中心として円形の剣圧…衝撃波が発生する。
「!? (これは避けきれない!) 花の呼吸・弐ノ型 御影梅!」
大貴の近くに居た為、それを回避しきれないカナエは自身を中心として周囲を連続で斬る技である御影梅を咄嗟に放つ。
そして互いの技はしばらくの間拮抗し合うがついに…
バギッ! バギッ! ガン! ガラララ……
勝負が着く前に先に木刀が限界を迎えてしまい、両者の手合わせは引き分けに終わるのだった。
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「木刀が折れてしまっては勝負は引き分けだな」
「そうね。 でもあのままやっていたら確実に私が負けていたわ…正直終始悲鳴嶼君に翻弄されていたもの…」
「いやそんなことはないぞ、カナエ君の身のこなしには正直驚かされた。 仕留めたと思った突きをかわされ、更には私の死角に移動をして行動を制限しようとするなど素晴らしかったよ」
「フフッ、少しは一矢報いることができたかしら?…本当はその眼帯を外させたかったのだけどそこまではまだいけないみたいね…正直くやしいわ」
「一応昔は君としのぶ君に多少は教えていた身だからな、まだそこまで行かれては困るよ…それに、コレは制限時間もあるしな」
大貴は眼帯を指差しながらそう答える。
「そういえばそうだったわね。 でもそれだけに強力なんでしょ?」
「ああ。 正に切り札といっても差し支えない程にね」
手合わせが終わり、大貴とカナエは暫し会話に興じる。
そこへ
『カーカー柱合会議ヲトリオコナウ! オヤカタサマカラノメイダ! カクハシラハシュウゴウセヨトノコトダ!』
大貴の鎹鴉…殺丸が現れ、柱合会議が突如始まることが告げられる。
「! いきなりかね? 何故また急に?」
『ナンデモ、アタラシイハシラガセンシュツサレタラシイ』
『柱合会議ハ、フダンナラハントシニイチドダケレド、コンカイハハシラノクウセキガオオイカラリンジデトノコトヨ』
カナエの鎹鴉…色(しき)も現れ、殺丸の言葉を補足する。
「そういえば確かに今の柱は私とカナエ君、義兄上に宇髄君、後は前回の柱合会議で鱗滝さんに代わり水柱となった富岡君だけだったな…5人しかいないのでお館様も気にしておられたな」
「それじゃ臨時みたいだし、早くいきましょう。 お館様をお待たせするのも気の毒だもの」
「そうだな、それでは早く向かうとしよう」
大貴とカナエは自身の鴉を通じてそれぞれ了承の意をお館様に飛ばすと、身支度を手早く済ませ、カナエは蝶屋敷をしのぶに任せると共に柱合会議へと赴くのだった。
次回は1年前倒しでとある男が柱となります。
富岡さんはこの作品では数ヶ月前の柱合会議で鱗滝さんから柱の座を譲られ、水柱になったということにしています。
鳴柱の桑島さんも歳を理由に前回の柱合会議で柱を勇退し、育手に専念したということにしています。
後のちハガレンのホムンクルスの能力を血鬼術として使う鬼を出そうと思うのですが、誰が良いでしょうか? 勿論、出さないという意見もオッケーなのでよろしくお願いします。
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ラスト
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グラトニー
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エンヴィー
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グリード
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スロウス
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プライド
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出さない