鬼滅の刃〜最強の眼を持つ剣士〜   作:死徒

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下弦の陸怨魔との戦いです。


下弦の陸

 

「さあ、死ね!」

 

「くっ!?」

 

 

しのぶは迫り来る怨魔の手刀を後ろに後退することで辛くも避ける。

 

「これを避けるか! ならば連続ではどうだ?」

 

「(ま、まずい!?) 蟲の呼吸・蜂牙ノ舞、真靡き(ほうがのまい まなびき)」

 

ズドッ!

 

「ガッ!……」

 

接近された状態で手刀を連続で繰り出されることは死に直結すると悟り、しのぶは先程よりも更に速い突きを放ち、怨魔の眉間を刺し貫く。

 

刺突と同時に注入された毒により怨魔の肉体は次第に融解していく。

 

 

「……!!?」

 

それを油断なく見ていたしのぶだったが、突如殺気を感じ日輪刀を素早く怨魔の頭部から引き抜くとその場から飛び退く。

 

すると、先程まで彼女の居た場所を手刀が通り抜けていった。

 

「瞬時に俺の殺気を感じとって避けたか…良い判断だ! 避けていなければ今頃お前の心臓は俺の手の中にあったぞ」

 

 

「……(集中して見ていたのに…本体と分身が入れ替わったのが全くわからなかった…これで下弦の陸なんて…非常識にも程がある!)」

 

直ぐに殺せると思いきや、予想以上に粘るしのぶに怨魔はまだまだ楽しめそうだと言わんばかりに歓喜の表情を見せる。

 

それとは対照的にしのぶは表面上は感情を見せずに無言で返すが、内心では怨魔の強さに焦りを隠せず悪態をつく。

 

「とはいえ、その毒は非常に厄介だな…俺も分身がいなけりゃとっくにその毒で殺されてるぜ。 ったく一撃必殺ってのはこういうやつを言うのか?…まあ、ようはそれを食らわないように気をつけてりゃ何も問題ねぇよな?」

 

怨魔はそう言うとしのぶ目掛けて殺到する。

 

「っ!?」

 

接近されたら終わりだと理解している為、しのぶは距離を詰めらせまいと全速力で後方へと下がる。

 

「おいおい! 逃げんなって!」

 

怨魔は手刀を連続で振り、しのぶを斬り裂こうとするが必死に逃げに徹するしのぶを捉えられない。

 

「(やっぱりこの女…速いな…なら!)」

 

中々しのぶを殺せない怨魔は突如立ち止まると奥の手を切る。

 

「うおぉーー!! フンっ!!」

 

グググ…ズボッ!

 

「なっ!!?…」

 

怨魔が雄叫びを上げると両肩が盛り上がり、そこから肉を突き抜けて腕が生えた。

 

その様にしのぶは驚愕する。

 

 

「四手操羅(しでそうら)…腕を4本に増やすだけの至って単純な俺のもう一つの血鬼術だが、単純故に強力だぜ? 何せさっきよりも攻撃が倍になるんだからな!」

 

 

「(まだこんなのを隠していたなんて…流石に避けきれないわ…)…姉さん、私先に死ぬみたい…ごめんなさい…」

 

腕が増えたことにより先程の倍の密度となった手刀の連打にしのぶは死を覚悟し目を瞑った。

 

 

 

 

 

その頃カナエは、別の場所で出現した鬼に対し対話を呼びかけるものの案の定相手にされず、やむ無くその鬼を倒しその後、蝶屋敷へと帰還すべく走っていた。

 

そこへ!

 

『カナエ! シノブガ、十二鬼月ノ下弦ノ陸ト交戦シテイルワ! 早ク向カッテ!』

 

「えっ!? な、何故、蝶屋敷の留守を任せたしのぶが十二鬼月と戦っているの!?」

 

突然の色(しき)からの報告にカナエは目を見開き、驚きを隠せない。

 

『ワカラナイワ! デモコノママジャコロサレルワ!』

 

「っ!? 色! 直ぐに案内して!!」

 

『ワカッタワ!』

 

「(しのぶ…お願い、無事でいて!)」

 

カナエはしのぶの無事を祈りつつ、色の誘導の元、全速力で現地へと向かっていった。

 

 

 

ブシャーー

 

血が吹き出す音が辺りに響き渡る……

 

 

「(ああ…私は死んだのね…1人で鬼を殺せるなんて思い込んで…結局返り討ちに遭うなんて…フッ…自分自身情けなくて笑えてくるわ…)」

 

 

血の吹き出る音にしのぶは死を確信し、走馬灯のように自身を嘲笑う。

 

しかし、ふとあることに気が付く。

 

「(? おかしいわね…痛みを感じない…)」

 

そう、血飛沫の音がするのに手刀で刺された筈の自身の痛みが全くないのだ。

 

しのぶは不思議に思い、恐る恐る目をゆっくりと開く。

 

するとそこには…

 

「ふむ、何とか間に合ったようだ。 無事かねしのぶ君?」

 

怨魔の腕4本を瞬時に全て斬り落とし、しのぶを救った青年…悲鳴嶼大貴の姿があった。

 

「ひ、悲鳴嶼さん!? な、なんで貴方が此処に!?」

 

「な、何ぃ!? (な、何だこの男は…いや、それよりも、いつの間に俺の腕を斬った!?  しかも4本一気に!?)」

 

大貴に介入にしのぶは何故自分達の担当区域に彼がいるのかと驚き、怨魔は全く反応出来ずに自らの腕が全て斬られたことに戦慄する。

 

「まあ何、蝶屋敷で医療も兼任している君達を少しでも手助けしたいと思ったものでな。 殺丸の感じた鬼の気配を辿って偶然こちらへ辿り着いたんだ。 勝手に君達の担当区域に入ってしまって済まなかった…だが、今回はそれが功を奏したと言える!」

 

「!!?」

 

ズバッ!

 

大貴はしのぶへ返答すると唖然とする怨魔へと瞬時に斬りかかり、その頸を刎ねた。

 

「……むっ!?」

 

だが、やはり怨魔は分身を身代わりにして生き延びており、逆に大貴へと奇襲を仕掛ける。

 

大貴はその凶手を避けると、すぐさま右手の日輪刀でそれを斬り落とし、怨魔を体術で蹴り飛ばす。

 

「ぐっ!?…奇襲は失敗か…その強さ…お前、さては柱だな?」

 

怨魔は蹴られた腹部を押さえながら大貴に問いかける。

 

「その通りだ鬼よ。 ふむ、これ程特異な血鬼術…お前は十二鬼月かね?」

 

「ああ! 俺は十二鬼月下弦の陸、名を怨魔という! 柱よ! お前の名はなんだ?」

 

「名乗る気は無かったが、名乗られたらそれに応えねばなるまいな…私は鬼殺隊剣柱、悲鳴嶼大貴」

 

「悲鳴嶼か! 柱を殺せれば俺はもっと高みへと至れる! 悲鳴嶼! 俺の糧となって死ね!」

 

互いの名を確認し合うと怨魔は笑みを浮かべながら大貴に襲いかかる。

 

「生憎と私はこのようなところで死ぬわけにはいかないのでね?」

 

ズシャ!

 

「ガハッ!?」

 

だが大貴は手刀を回避すると、すれ違いざまにその腕を再び全て斬り落とし、更には怨魔をそのまま横に真っ二つに斬り裂いた上で頸を刎ねる。

 

「……(これならばどうだ?)」

 

油断なく灰と化していく怨魔だった残骸を見据える大貴。

 

しかし

 

「!? 悲鳴嶼さん! 後ろです!」

 

大貴から距離をとって戦いを見守っていたしのぶが声を荒げて呼びかける。

 

「! また奇襲かね?」

 

しのぶの呼びかけに大貴は直ぐさまその場から移動する。

 

すると、怨魔の手刀が先程大貴の居た場所の地面を貫いた。

 

「はぁ、はぁ……ちっ! また外しちまったか…」

 

大貴を殺せなかったことに怨魔は心底残念そうに呟く。

 

そんな怨魔の様子にしのぶはとあることに気付く。

 

「(下弦の陸が少し息を乱し始めている……もしかして!) 悲鳴嶼さん! そのまま下弦の陸を殺し続けて下さい! 私の推測が正しければ…その鬼は休む間もなく殺し続ければ力を失い、分身を身代わりに出来なくなる!」

 

「! 成る程、その考えは理に叶っている…試してみよう!」

 

大貴はしのぶの推測に賛同すると、両手の日輪刀を手に怨魔へと襲い掛かる。

 

「!!? (あの女…俺の血鬼術の弱点を見抜いたか…だが、死ななければ良い話だ)」

 

しのぶの予想は的中していたらしく怨魔は内心焦りを覚えるが、死ななければ問題ないと前向きに考える。

 

しかし

 

「剣の呼吸・参ノ型、剣激乱舞(けんげきらんぶ)!」

 

「ちっ!!?」

 

大貴の熾烈な剣技の応酬に怨魔は回避も迎撃もままならず頸を何度も刎ねられ殺され続ける。

 

殺される度に怨魔は分身を犠牲に生き延びるが、その表情からは次第に余裕が消え去り、焦りで歪み始める。

 

「ち、く、しょうが!! (まずい…力がどんどん無くなっていく…このまま殺され続けりゃ…本当に死ぬ!)」

 

「粘るものだな…後何回殺せば死ぬのかね?」

 

「(お、俺が…死ぬ…十二鬼月になったばっかだってのに…こんなところで……)俺がこんなところで死んでたまるかー!!」

 

怨魔は死に際に覚醒したのか腕が更に両脇腹付近から生え、その数を6本とする。

 

その増えた腕の手刀をも大貴は全て斬り裂くが…

 

「むっ!?」

 

腕からの返り血を顔面に浴びてしまい、一瞬隙が出来る。

 

「!! (今なら逃げられる!)」

 

それを見逃さずに怨魔は後方へと一気に下がり、そのまま大貴に背を向けて逃走する。

 

「(腕が再生しない…くそ! 力を使い過ぎたか…だが人間を食って、時間を置けば自然と全快する! 剣柱…悲鳴嶼大貴! いつか必ず殺してやる!)」

 

逃げながら大貴への復讐を誓う怨魔。

 

しかし、天は既に彼を見放していた…

 

何故ならば…この場には大貴の他にも鬼殺隊の隊士が居たのだから…

 

「此処まできて…お前を逃すわけがないでしょう! お前は此処でとっととくたばれ!」

 

「こ、胡蝶!? (そ、そうだ…まだこの女が居たんだった…)」

 

凄まじい速度で怨魔に迫るしのぶ。

 

自身の最期を悟り、怨魔は大貴に集中し過ぎてしのぶの存在を忘れていた自身に対し苦笑する。

 

「これが今の私の最高の技よ! 死ね! 蟲の呼吸・蜻蛉ノ舞、複眼六角(せいれいのまい ふくがんろっかく)」

 

ザクッ! ザクッ! ザクッ! ザクッ! ザクッ! ザクッ!

 

しのぶは怨魔の腹部を起点に刺突の六連打にて五角形の形を形成した。

 

すると

 

「ゴブッ!………」

 

腹部から一気に毒が回った怨魔は一度盛大に吐血すると力無く倒れ、今度こそ本当に死に、ボロボロと灰となって消えていくのだった。






というわけでトドメはしのぶさんが刺しました。
弱点が見つかってからは結構あっさりと死んだ怨魔さんでしたね。

分身の元ネタはポケモンの身代わりです。
体力を削る代わりに分身を出す技ですが、こちらでは鬼の力を削って分身を身代わり使うという技になっています。
まあ、どちらも片や体力、片や鬼の力を使い切ると使用できなくなってしまうのでチートなようでチートでもない感じです。

腕4本と6本の元ネタはBLEACHの破面ノイトラ・ジルガの帰刃です。
分身だけでは物足りなかったので腕を増やせるようにしました笑

書いていて思ったことは…戦闘シーンはやはり難しいです。

後のちハガレンのホムンクルスの能力を血鬼術として使う鬼を出そうと思うのですが、誰が良いでしょうか? 勿論、出さないという意見もオッケーなのでよろしくお願いします。

  • ラスト
  • グラトニー
  • エンヴィー
  • グリード
  • スロウス
  • プライド
  • 出さない
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