運命/世界の引き金   作:アルピ交通事務局

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大規模侵攻開始!

「はぁ、疲れた」

 

 遅刻してきた為にクラスから注目を受けたもとい、ボーダーの公式HPに載った事により三好くん(ボーダー大好きクラスメート)からのおめでとうコールに始まり、一躍クラスの人気者に。

 なんだかバック・トゥ・ザ・フューチャーを見ている気分になり、助けてくれのサインを僕に送るが躊躇いなく見捨てる。君はヒーローなんだよ。

 

「人気者だな、オサム」

 

 お昼どき、屋上に逃げても周りの視線は熱い。流石は修だと誇らしげになる遊真。

 

「それだけの素質が彼には眠っている……そう、人徳の王の素質が」

 

「煽てないでくれ、僕はそんなんじゃない」

 

 いや、冗談抜きで修は乙女ゲームの主人公か劉備玄徳ぐらいの素質はある。

 疑似鯖になった時、修は多分劉備になる……中の人も劉備やってたし。ガンダムだけど。

 

「それでなにかいい案が閃いたか?」

 

 授業を受けている修は何処となく上の空だった。勿論、アフトクラトルがやってくることを考えているからだ。

 事前に遊真から話を聞かされいったいどんな国なのか知っている。そのせいか表情は暗い……う〜ん、これはいけないな。

 

「無理に1人で背負い込もうとするな。君はかの人徳の王並に恵まれた環境下にいるんだ……頼れる仲間は多いだろ?」

 

 三雲修という人間は特段のバカじゃないが、優秀というほど賢くはない。多少、人よりは考えるだけだ。

 しかし、クソがつくほどに真面目なメガネであり悪に染まろうとしない正しくあろうとする人間であり……まぁ、いいやつだ。

 

「修くん、遊真くん」

 

 そんな事を言っていると頼れる仲間がやってくる。屋上に居たんだねと嬉しそうに手を上げる千佳ちゃんはいとエモし。

 

「!」

 

 2人に近付いていると僕の存在に気付く千佳ちゃん。

 なんでここにと一瞬だけ戸惑うので僕は人差し指を千佳ちゃんに見えるように立てる。あの時の事は本当に内緒にしてほしい。

 

「あれ、あの人って確かメガネ先輩が助けた時に騒いでた生徒会長」

 

 おっと、お客様が一人じゃないか事を忘れていた。

 何処となく猫目な千佳のクラスメート、名前は……なんだっけ?

 

「はじめまして、僕は越前龍我。気軽にコシマエと呼んでくれ」

 

「あ、どうも。夏目出穂っす」

 

 そうそう、思い出した思い出した。夏目ちゃんだ。

 意外性がありすぎるキャラだから素で忘れてる……なにせ何度も還暦を迎えちゃってるからね。

 

「なにやら大事な話がありそうだし、僕はちょっとオサラバという名のお手洗いを行かせてもらうよ」

 

 彼の周りに人が集まったのならば、僕が無理にしゃしゃり出ることはしなくていい。

 修がまだ力を貸してほしい、聞きたいことがあると目で訴えてくるが残念な事にここまでだ。

 

 

 

 

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

 

 

 コシマエが去り残された修達。

 修は携帯電話を取り出してチラチラと時間をこまめに確認する。

 

「なにそんなに時間を気にしてるんすか?」

 

 昼休みは始まったばかりで、昼御飯を食べるにはまだまだ時間がある。

 事態を知らない夏目は修の行動に首を傾げる。

 

「C級にも連絡が来てただろ?大規模な侵攻があるって……もしかしたら今日かもしれない」

 

 コシマエの事をポンポンと喋ってはいけないのでそれっぽい理屈を並べていく遊真。

 C級隊員にも事前に連絡が来ていたことを二人は知っているのでその事について心配をしてることに納得する

 

「メガネ先輩、来るものは仕方ないっすよ」

 

 あれこれ考えても意味はない。

 頭を悩ます原因を知らないので夏目は軽口を叩けるのだが、コシマエの事を知っている千佳はもしかしてと勘付く。

 

「コシマエさんになにか言われたの?」

 

「それは……」

 

「隠さなくていいよ。私、知ってるよ」

 

 コシマエが近界民関係者のことを。

 一応は知らぬ存ぜぬを決め込まなければならないが、大事な人が頭を抱えてるのを見過ごすわけにはいかない。後で物凄く怒られると思っているのだが、全く関係のない第三者に教えたわけではないので怒る案件じゃない。

 

「コシマエ先輩もボーダー関係者なの?」

 

 どうせ今日で全てがバレるのだから。

 その場にいた夏目はなんのこっちゃとなるので、まぁそんな感じと適当に対処して一先ずの休息を得るべく弁当をパクリと食べる。何時も通りの味で何処となくホッとする。

 

「……!」

 

 軽い談笑、何気ない日常が続くかに思われたその時だった。

 千佳がなにかに気付いたかのようにハッと立ち上がった。

 

「……!?」

 

 急に立ち上がった千佳に驚く修。

 なにかあったのかと聞こうとした瞬間だった。その日は快晴とは言えないものの雲行きは普通な天気だったのに一瞬にして雲行きが変わる。

 

「なっ!?」

 

 目に見える変化に気付かないほど修達は鈍感ではない。

 屋上から見えるボーダー本部側を見ると黒い亀裂のようなものが何十個も走っているのが見えた。

 

――ヂヂヂヂ

 

 これはいったい、そう修が口にしようとする前に修が持つボーダーから支給されている端末に連絡が入る。

 

「緊急呼び出し……もうなのか!?」

 

 コシマエから昼過ぎに来るとは言われていたが、こんなに真っ先に来るとは思いもしなかった。

 連絡を受けた修は内容を確認すると急いで自分のクラスに向かって走っていく。

 

「なにあれ……」

 

「基地の方が真っ暗だ」

 

 大規模侵攻があることを事前に知らされているのはボーダー関係者のみ。

 修達しか知らないことなのでクラスメート(一般人)達は状況を掴むことができない。

 

「先生!」

 

「三雲くん」

 

 そんな中で現れる修。

 担任の教師は三雲がやってきたことに少しだけホッとする。事態がこれで飲み飲むことができるのだから。

 

「呼び出しがあったのでこれから現場に向かいます。学校の皆をなるべく基地から遠くに避難をさせてください」

 

「わかったわ」

 

 修からの言葉で少しだけホッとして安心する先生。これからなにをすればいいのか分かり、少しだけホッとする。

 しかし、ホッとしたのは担任だけでクラスメートは静まらない。

 

「三雲!」

 

「もしかしてこれってヤバいのか……」

 

 つい最近、学校が襲われた事を思い出すクラスの面々。

 またあんなことがと不安がっており、修の返事を待っている。

 

近界民(ネイバー)が防衛ラインを超えるかもしれない。先生に協力して避難をさせてくれ、頼んだぞ」

 

「わ……分かった」

 

「気をつけてね……」

 

 修の言葉に恐怖を感じながらも、クラスの面々は真面目になる。

 これで良しと前回と違い学校側が襲われる心配はないとホッとするのも束の間、コシマエがこの場にいないことに気づく。

 

「先生がコシ……越前は何処にいますか?」

 

「越前くんなら、ついさっきトイレに、そうだわ!もし僕に用事があったらこれを渡せって頼まれてたの」

 

「手紙?」

 

 この場にコシマエはおらず、残されたのは手紙な事に疑問に思う修。

 この学校の何処かのトイレにコシマエは居るはずで声掛けぐらいはしておきたいが事態は一刻を争うので探すことを諦め、校舎から出る道を歩みながらコシマエが残していった手紙を開封する。

 

「黒い丸?」

 

 手紙を開くと大きな黒い丸が書かれていた。

 これがいったいなにを意味しているのだろうかと疑問に思っていると手紙の黒い丸が急に動き出し、形を買えて文字となる。

 

【やれやれ、力になるとは言ったけれど早々に僕に頼るのはよろしくないな】

 

「文字が動いた!?」

 

【なにちょっとした手品だと思えばいい。僕になにか用件があって手紙を開いたんだろ】

 

 基本何でもありのコシマエにいちいち驚いていてはキリがない。

 こういうものだと直様受け入れて、本題に入る。

 

「警報音が聞こえてるからわかると思うけど、緊急事態だ。力を貸してくれ」

 

【う〜ん……やだ】

 

「な!?話が違うじゃないか!」

 

 力を貸して情報を与えると公言していたのにいざとなったら力を貸さない。それは話が違う。

 修の怒りは最もであるが、その事については意見があるのか手紙の文字は変化をしていく。

 

【確かに力を貸すとは言ったが君は僕の力をどう使うつもりだ?君に力を貸したくないと言ったのは君が曖昧な事を言っているからであって、決して約束がめんどくさくなったからじゃない】

 

「曖昧……どの辺りがだ?」

 

【力を貸してくれという言葉だ。君にとって今欲しい力はなんだ?知恵か知識かトリオンか】

 

「それは」

 

【違うだろう。君は僕を使える駒的な感覚で接しているが、今回僕が君に貸す力はただ一つ、暴力という力だ。今から君達は市民の避難とか色々とやらなきゃならないだろう。そこに暴力は不要、僕はそれに関しては一切関与しないつもりだ】

 

 人助けするならばテメーがやれ。あくまでもこっちは戦うだけで、その辺りは一切関与しないスタンスを貫く。

 意外と非常かもしれないが、そういう風に約束している。

 

「だったら、一緒に」

 

【君達だけで解決出来そうな敵をわざわざ倒しにはいかないよ。なに、本当にヤバそうな時は出てくる……今ちょっと上に連絡をしていて忙しいんだ。また後でだ】

 

「っ!?」

 

「コシマエ先輩が残していった手紙が燃えたぁ!?」 

 

 携帯の通話を切るかの様に燃えて塵となる手紙。

 既に校門の前に立っており、校舎の何処かにいるであろうコシマエを引きずり出すために後戻りをすることは出来ない。

 

「相変わらず変な技術使ってるな……オサム」

 

「ああ……コシマエが来るって言うなら信じるしかない」

 

 最初からついて来てくれると期待していた分、ショックは大きいものの直ぐに持ち直す。そして今からすべき事に目を向ける。

 

「千佳、お前はこの場に残って皆を避難させてくれ。警戒区域には絶対に近づくな。必要な時は迷わずトリガーを使って皆を助けるんだ」

 

「うん、わかった」

 

「夏目さんは千佳の事を頼む」

 

「了解っす」

 

「空閑、一緒に来てくれ。トリオン兵を食い止めるぞ」

 

「そうこなくっちゃ」

 

 その場の最年長として各々にすべき事を指示する修。

 やるべきことは決まったと学校を出ようとするが、その前にと遊真は千佳にちびレプリカを渡した。

 

「危ない時は呼んでくれ。おれかオサムが助けに行くから」

 

「……うん」

 

 危険な事に挑む千佳だが、その目には怯えていない。

 ちびレプリカを渡した遊真は修と一緒にトリガーを起動し、警戒区域へと向かっていった。

 

「ふぅ、なんとか行ってくれたみたいだね」

 

「ぅお!?」

 

「コシマエさん!」

 

 2人が完全に学校から消え去るとひょっこりと姿を現したコシマエ。

 2人が完全に去ったのを見て何処かホッとしているのだが、彼等が去っただけで脅威が去ったわけではない。

 

「メガネ先輩が探してたっすよ」

 

「HAHAHA……これでも結構忙しい身でね。色々とやることやってたんだよ」

 

「こんな非常事態に何やってたんすか?」

 

「なにちょっとばかし増援を頼んだんだ……あの人に頼むとロクな未来待ち受けないからホントは嫌なんだけど一応は表に顔出すからね……万が一が起きなければいいが」

 

 いや〜ヤバいことは勘弁となにかに困り果てた様子のコシマエ。

 言っていることがイマイチ分からない二人はなんのことだと頭に?を浮かべており、色々と知っているレプリカが代わりに喋る。

 

『増援を呼んだということは元日に出会った、ミユキが力を貸してくれるのか?』

 

「アイツはアイツで今、やってることがあるから……まぁ、少しぐらい力を貸してくれるんじゃねえの?僕が呼んだのは別人だ」

 

 あいつは系列だけ言えば僕の直属の上司に当たるけども、現場で動いたりあれやこれや言ったりする権力はそんなにない。

 ある物を今から三門市に持ってこようと、それなりの時間を消費するだろうが、それでもなんだかんだで力を貸してはくれるだろう。あの女は理不尽な暴力は嫌い、言葉による正論をぶつけて笑顔を曇らせたりするのが好きな変態だが、決して悪人じゃない。秩序・善に分類される……謎だ。

 

「コシマエ先輩もボーダーっすよね?メガネ先輩を追いかけなくていいんすか?」

 

「ん〜……違うよ」

 

「……え!?」

 

『コシマエ……いや、もはやなにも言うまい』

 

 どうせ今日バレるのだから、なにも問題はない。

 今までは秘密にしていたが、語るときが遂に来たのだとコシマエは懐から全身を甲冑を纒った騎士が描かれたカードを取り出す。

 

「我こそは嘗て近界(ネイバーフッド)を荒らしに荒らした世界界賊、サーヴァントの1人にして現カルデア7人の最高幹部の1人。序列7位、剣の英気を集いし者、セイバー(Saber)なり。我が剣は人類史が打ち鍛えし剣、我が剣術は人が生み出した技、一騎当千、戦国無双足りうる剣よ」

 

 見よ!と言わんばかりに高らかとカードを掲げるコシマエ。

 何時もと違う雰囲気を醸し出しており、見ている2人は口を開けてポカーンとしていた。

 

「本当なら、ここでこのトリガー(ということになっている転生特典)を起動してカッコいいトリオン体を見せてやりたかったんだがそれするとトリオン反応が出て大変な事になるんだよな……」

 

 もう少しカッコいい登場をする事が出来ないのだろうか。

 固まっている2人に真剣な眼差しを向けると意識は元に戻り、ハッとなる。

 

「ええっと、つまりコシマエ先輩はボーダーの関係者じゃないってことっすよね……」

 

「ボーダー以外にトリガーを持って向こうの世界で活動していた日本人(約1名を除く)だよ」

 

「ま……マジなんスか」

 

 あまりの驚きのせいで大声を出さなくなってしまった夏目。

 今まで見知っていた情報が一気に破壊されていくのか頭からプシューと白い煙の様なものが出てくる(ギャグ描写)

 

「ボーダー以外に活動してる組織なんてあったんすか!?そんなん初耳っすよ!!」

 

「僕も本邦初公開だからね!夏目ちゃん、もしこの戦いで無事に生き残ることが出来たら色々と教えてやるよ」

 

「ちょ、それは死亡フラグっす!やめてください!」

 

 死亡フラグ程度で怯えていてはいけない。

 なにせ修には死の未来が待ち受けていてその上で未来をひた走ろうとしているんだ……修の未来がコシマエ達の介入のせいで見にくくなっているのは言わぬが花だ。

 

「越前くん、ここにいた。早く避難するわよ」

 

 そんなこんなとアホをやっていると担任の先生が迎えにやってきた。

 先生はガッチガチの一般人なのでトリガー云々は言えないと、そそくさと避難民に紛れ込んだ。

 

「レプリカ」

 

『うむ、そうだな……コシマエ自身が語るならば、もう問題はないだろう」

 

「じゃあ!」

 

『だが、その前に学校の皆を避難させるんだ。それからでもゆっくりできる』

 

「うん。出穂ちゃん行こう」

 

 千佳は出穂と一緒に避難誘導へと向かった。




越前龍我《えちぜんりゅうが》

【PROFILE】
クラス:セイバー
年齢 :15歳
誕生日:12月23日
身長:180cm
血液型:O型
星座:鍵座
職業:中学生兼カルデア最高幹部序列7位
好きなもの:オレンジ、エモいもの、キラキラと心の底から輝く笑顔

【FAMILY】

父、母

【RELATION】

三雲修←3年間クラス一緒だった友達
空閑遊真←今後ともいい関係を築こうじゃないか
迅悠一←残念なことにボーダーの利点を奪ってすまない(笑)
雨取千佳←これから君が頑張れば未来は大きく変わっていくよ。
蛇喰深雪←本当に困った超弩級の変態
日浦茜←守りたい、この笑顔

【PARAMETR】(通常トリガー使用時)

トリオン 9
攻撃 15
防御・援護 9
機動 12
技術 16
射程 1
指揮 6
特殊戦術 1

TOTAL 69

レプリカ㊙レポート

 

 サーヴァントについて。

 

 サーヴァントとは嘗て近界を荒らしに荒らした世界界賊の通り名で全部で7人いる。

 

 それぞれが絵札型の特殊なトリガーを持っており、そのトリガーは一説には黒トリガー数百本分の価値があると言われている
 近界でその名を轟かせている冠トリガー、黒トリガー使いを撃破して破壊したという記録が残っている。
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