運命/世界の引き金   作:アルピ交通事務局

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テイルズの方を更新しようと思ったら、こっちばかりが進んじまう。主人公チートなのに戦わないのが原因だろうか。


国宝VS重要文化財

「詰んだな、爺さん」

 

 手で持って武器として使うタイプの黒トリガーの弱点は手で持てなくすること。

 ヴィザの両腕は肘の部分までキレイに切り落とされており、星の杖(オルガノン)は起動時には文字にした通り杖の状態なのでもう持つことが出来なくなっている。

 星の杖の能力はサークルを出現させて円線上に物凄い切れ味のいい刃を複数乗せて超高速で動かすという至ってシンプルであり、中々に殺意が高いもの。何がやばいってとにかく早くて切れ味が抜群だ。

 

「僕達と一回殺り合った分、角付よりも上手く立ち回れると思っただろうが、甘かったな」

 

 だがまぁ、今はもう関係の無い話だ。要となる腕は既に切り落としている。

 過去に1度だけ殺り合った経験があるので少しは上手く立ち回れると思ったが、過去の苦々しい思い出が逆に邪魔をした。

 

「渡辺綱……」

 

 勢いに任せて真名をポロッと言ってしまった。

 レイジさんは真名を呟くのだがあまりピンと来ていない。渡辺綱は歴史の教科書で出てくるか出てこないかと聞かれれば出てこない。平安時代といえば源、藤原ばっか出てくるイメージで細かなところを学んでいない限りはあの渡辺綱なのかとはならない。う〜ん、残念。

 

「ヴィザ翁、大丈夫ですか!?直ぐに、穴を防ぎます」

 

「……万能だな」

 

 黒い欠片を腕に集めて擬似的に手を作り出しヴィザの爺さんにくっつける。

 磁力がチートなのは色々な漫画で証明してるがこれは中々に反則だ。トリオン漏れを防いでいる。出来ればそのままトリオン漏れのトリオン漏出過多で生身の肉体に戻ってしまえばよかったんだが無理になった。

 

「申し訳ありません、油断を……いえ、警戒をしすぎました。サーヴァントは黒トリガー数百本分のトリガーを持っていると自負しそれに見合う実力を持っていますが、その実態を忘れるとは……あの時とは違うと言うのに」

 

「セイバー、お前あの爺さんを知っているのか?」

 

 こちらのことを知っている素振りを見せるヴィザの爺さん。

 顔見知りかとレイジさんは聞いてきたので僕は首を縦に振ってちびレプリカをぶん投げる。

 

「2年前の殲滅作戦の事を暇が出来たらちびレプリカから聞いてくれ。そん時にドン引きするぐらいにボコボコにしてやった……具体的にどんな力かといえば以後刃は(1588)禁止とだけ言っておく」

 

「以後刃は禁止、豊臣秀吉か」

 

 あの時は我ながらというかなんというかハイってやつになっていた。

 渡辺綱はピンと来ないが流石に豊臣秀吉は知っておりピンと来るレイジさんだが、豊臣秀吉でどうやって勝ったんだと少しだけ疑問に思う。

 その人の逸話が必殺技になってるとかの説明をしていなかった。まぁ、今はしたところで豊臣秀吉じゃない僕には刀狩りは出来ない。

 

「じゃあ、あの磁力使いを頼む」

 

「ああ、任せろ」

 

 流石に二人同時相手は疲れる。

 鬼切を握り、ヴィザの爺さんに向かって突撃するとヴィザの爺さんは杖を剣にするのだが、何処か動きはぎこちない。

 

「その場しのぎの義手じゃ僕を倒せないよ!」

 

 ヴィザの爺さんの義手はヒュースが使う黒い欠片を集めて出来たものだ。

 無理矢理くっつけてはいるので腕の部分を動かせば連動して動くが手先を動かすのは無理な様で動きに制限がある。

 

「直ぐにフォローに、っち!」

 

 万全の状態でなければ僕の相手は不可能だ。

 ヒュースはその事を直ぐに理解し、フォローに回ろうとするのだがレイジさんの通常弾(アステロイド)(機関砲)で攻撃をしてきた為に黒い欠片を傘の様な形状に収束して攻撃を防ぐのに意識を持っていかれる。

 

「老人の介護をしながらの戦いは大変だねぇ」

 

「失礼な。私が年配なのは事実ですが、そこまでではないです」

 

 おっといけないいけない、つい口が滑って本音が出てしまった。

 ヴィザの爺さんは口では怒りながらも冷静さを保っており、上手い具合に僕の攻撃を受け流しつつも、ヒュース達との距離を開けていく。

 

「以後刃は禁止!」

 

「同じ手はくいませんよ」

 

 明らかに人気の無いところに誘い込んでいるヴィザの爺さん。これはあれかな、星の杖の真の力を開放しようというのだろう……随分と甘くみられたものだ。

 近隣の住居の倒壊なんて傍迷惑な事をやられると後々の処理で責任を押し付けられることになるのでそろそろ決めに行く。

 

「臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前──我が剣、魔性を斬る!」

 

 鬼切を立たせる様に持ち九字を切ると背中に九字が出現してぐるりぐるりと円を描く様に動く。

 九字を切り終えると、鬼切を鞘に納めて腰を深く降ろし、目にも止まらぬ。早さで突撃する。

 

「そう来ると思っていました」

 

 ニヤリと笑みを浮かべるヴィザの爺さん。

 手にしている星の杖が複数のサークルを作り出しているところから、こちらが攻め入ってカウンターを撃ち込むのが狙いだろう……うん。

 

「遅いな」

 

「な!?」

 

 腕がまともに使えない以上は自分から攻め入ることは得策ではないだろう。

 カウンターを狙うという行為は間違いではない……唯一、今自分が九字を切って自己暗示で自分にバフを掛けている状態でなければそれに成功していた。

 ヴィザの爺さんがカウンターを決めるよりも更に早く鬼切の刃はヴィザに爺さんの喉元に届き、一閃。脳伝達神経と思わしき部分を破壊するとこれでもかと言わんばかりに爆炎を巻き起こす。

 

「神秘と混沌に溢れる魔の都、京都を守護せし我が剣は人界において最強の剣……あんたが国宝ならばこちらは重要文化財の剣を使わせてもらった。あんたの敗因を上げるとするならば、一番最初に僕を警戒しすぎた事だ」

 

 トリオン体が破壊されると同時に豪炎は消え去り生身の肉体に戻ったヴィザの爺さん。

 僕との苦々しい思い出が逆に足枷になっており、それさえなければ対等に渡り合えたかもしれない。腕を持っていかれたのは本当に痛い。

 

「予想外だろうな、今回の総指揮官は。アフトクラトルの国宝使いが真っ先に倒されて、倒した相手がサーヴァントだってのは」

 

「いやはや、耳の痛い話です」

 

 アフトクラトルが今回送っている戦力の中で一番とも言うべき存在が真っ先に倒された。

 倒されただけでなく黒トリガーと冠トリガーを合わせた感じのヤベー奴が待ち構えているとなると顔色が真っ青になるだろう。

 

「ここで命と黒トリガーは取らないのですか?」

 

 生身に戻ってしまえば歴戦の勇士もただの老人に過ぎない。

 ヴィザの爺さんはある程度の覚悟はしているようで、何もしてこない僕を疑問に思う。 

 

「生憎、僕は血生臭い事は苦手でね……いや、本当にね」 

 

 殺してほしいのならば殺してやるが、出来れば非殺生なのがいい。殺したとなるとボーダーへの印象が悪くなる。

 今回はボーダーに力を貸して僕達が有能で話し合った方がいい存在だとある程度は見せつけておかないと上がうるさい。こういうところは怖いんだよ、あの人は。

 

「あんたを倒しておけば、後はこちら側のトリガー使いでもどうにかなる……僕の1番の仕事は終わりだ」 

 

「買い被り過ぎですよ」 

 

 いやいや、今回は勝つことが出来たけども次やったら勝てない可能性がある。

 能力系の黒トリガーならばまだしもこういうシンプルな黒トリガーって逆に相手をしづらいんだよ。今回は運良く渡辺さんを引き当てることが出来たけど、一級じゃない英雄を引き当てていたら負けていたかもしれない。

 僕達のトリガーは強い反面、ハズレを引いたときがヤバい。一寸法師とか引いた時はそれはもう酷かった。 

 

「いやいや、地球の進歩も目覚ましいですよ……まぁ、僕達と比べれば劣るけど」

 

「随分と自信がごありなんですね」

 

「ならば貴方に問おう。生身の肉体で鉄で出来た刃物を用いて岩を真っ二つに出来ますか?」

 

「流石にそれは……星の杖を使えば簡単だが」

 

「ならば覚えてた方がいい。こちらの世界の歴史上の偉人、英雄達は岩を真っ二つに切る、水の上を走る、雷を切り裂く、2500km程の矢を放つなどの偉業を生身の肉体でやっていて僕達はそれと同じことを出来る」

 

「……本当ですか?」

 

「嘘だと思うならばこちらの情報をカルデアから買えばいいさ。凄まじいよ、この世界の英雄達は」

 

 特に僕みたいな凡人型の転生者は実感させられる。英雄達がどんだけチートなのかを。

 特にステラとか頭おかしい。この世界の住人達1キロの狙撃出来たらスゲ~の中、50km先からの狙撃とか普通に出来るからね。

 

「それは是非とも見てみたいですね……残念ながらここまでのようです」

 

 ヴィザの爺さんは何処からともなく開いた門を経由して自身の遠征艇へと帰っていった。

 

「さて来るか……」

 

 爺さんの目の前に門が出現したのはアフトクラトルの黒トリガー、窓の影使いであるミラの力だろう。

 何処かに潜んで僕を攻撃するチャンスを伺っているのかと警戒を怠らないが襲ってこない……それほど星の杖が大事かそれとも予想外過ぎたのか、どちらか……まぁ、後者だろうな。

 

 

 

 

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

 

 

「ちょっと離れてってるわよ!」

 

 セイバーがヴィザと剣をまじ合わせている頃、小南は徐々にセイバー達が自分達から離れていっている事に気付く。

 

『心配する必要はない。彼は勝てると思ったから挑んでいる』

 

 自分達から離れていっているのはセイバーも理解している。

 その上で誘いに乗っているのだとちびレプリカは小南を落ち着かせて目の前の敵に集中させる。

 

「レイジさん、一気に決めていいかしら?」

 

「いや、少し待て」

 

 機関砲の通常弾を黒い欠片を収束して傘の様な形にして弾いている。

 レイジの弾を防ぐのは中々に強力な物だが自分の武器ならば真っ二つに切れると自信があるが、セイバーが磁力使いだと事前に教えている為、無理に手出しをすれば危うくなるとレイジは判断し機関砲から突撃銃へと切り替える。

 

「何度やっても同じ――!」

 

 武器の種類が変わろうが黒い欠片の盾に弾かれる。隙あらば攻め入ろうとヒュースは様子を見ていると、側面から弾が飛んできて頬を掠る。突撃銃の弾を通常弾から追尾弾に変えて盾の真横に弾を撃つことで盾を無視して弾を当てる事に成功した。

 

「どう来る……」

 

 攻撃の手は緩めず、相手の出方を見る。

 レイジはもう一度追尾弾(ハウンド)を撃つと今度は読まれたのか、黒い欠片を渦の様にぐるりぐるりと回して360度あらゆる方向からの攻撃を防ぐのだがこの展開をレイジは読んでいた。

 

「今だ|」

 

「OK、レイジさん」

 

 黒い欠片も万能に見えるが全能でない。

 今の様にぐるりぐるりと回して360度全方位から弾を防ぐ様に扱えば黒い欠片は拡散し、傘の様な形状の時と違い防御力が激減する。具体的に言えば普通の弾は防ぐことが出来るけど、攻撃手の近距離攻撃は防ぐことは出来ない。

 小南の巨大な斧、双月(コネクターON)が振るわれ、手薄となった部分を斬りに行くと違和感を感じつつもヒュースの頭を撥ねる事に成功した。

 

「危なかった。これ、レイジさんととりまるじゃ失敗してたわ」

 

 攻撃をする際に黒い欠片にほんの僅かだが触れてしまい、磁力により攻撃とは全く真逆の方向に引っ張られる。

 これが普通の攻撃手だったら思う様に動けず攻撃力が軽減されてしまうが、そこはそれ玉狛トリガー。トリオンの消費量は多いものの一撃の威力は半端でなく、磁力で若干の軽減をされながらも切り落とす事に成功した。

 

「……っ!」

 

 ありえない。

 歴戦の猛者とは言わないがアフトクラトルの強化トリガー使いになるべく必死になり、今に至り驕りも慢心もしていなかったのにただ一度の些細なミスが原因で負けるとは思いもしなかった。

 本来ならばここで攻撃するのがレイジならば防ぐことが出来たのだが、セイバーが根刮ぎトリオン兵をぶっ倒しヴィザの相手をした為に手持ち無沙汰になってしまった小南がやってしまった。

 

「レイジさん、ここ任せるわね。アイツの援護に行って」

 

「終わったぞ」

 

 とりあえず生身の肉体に戻ったのは確認できたので、ここをレイジに任せようとするとセイバーが戻ってきた。

 それを見たヒュースはありえない様なものを見る目でセイバーを見る。

 

「バカな、この短時間でヴィザ翁を倒したと言うのか!?」

 

「見たらわかるだろう……国宝使いの歴戦の猛者と言えども腕がまともに使えなければ弱くなるし、星の杖は周りの事を気にせずに戦える状態じゃないと真の力を発揮しない。後、シンプルに僕が強かった」

 

 もう少し形が違えばこうなることはならなかった。

 要因を上げるとすれば一番最初の言葉に騙された事で、それさえなければ凄まじい勝負にはなっていた。

 

「そちらが国宝のトリガーを使うならばこちらは国の重要指定文化財の一振りを使った」

 

「なんか締まらないわね」

 

 国宝VS国宝とならないのは是非も無し。

 

「僕だってね、国宝級の刀剣持ってきたいよ。でもこればかりは運だから……触媒があったらな……」

 

「触媒?」

 

 また新しいキーワードが出てきたぞと耳を傾ける小南。

 

「僕達の使うトリガーは毎回能力がランダムだけど、望んだ者を当てる方法があるんです」

 

「そんなのあるなら使いなさいよ。あんた達のトリガー、ランダム要素あるんでしょ」

 

「望んだ者を当てる方法がこれまた面倒くさくて、英雄達に関連する触媒が必要なんですよ……何個か持ってますけど、万が一に備えて国に保管されててそれ以外を現地調達出来るならしてこいって結構な無茶を言う……でも、アレあったら凄く便利なんですよ」

 

「アレってなによ」

 

「秘密です……多分、言っても分からないだろうし」

 

 小南の事は決して馬鹿にはしていない。面白がってるけども馬鹿にはしていないのだが英雄達に関する話をしたとしておりますちんぷんかんぷんなのは目に見えている。

 

「倒した爺さんは何処だ?」

 

「ああ、帰ったよ」

 

「帰ったって捕まえなかったの?」

 

「生憎、血生臭い事は苦手でね、向こうも万が一に備えている……相手を捕縛して黒トリガーをぶん取る事は出来たけど、それすると後で揉める未来が待ち構えてそうだし、相手は国宝だからこっちで変な事すると逆襲が怖い」

 

 色々と考えた末に逃した合理的な判断をしたと見せるセイバー。

 いざという時に帰るプランは用意していたのがわかるとレイジ達の視線はヒュースに向く。

 

「どういう感じで帰還していた?」

 

「どこでもドアみたいな感じで遠征艇に帰っていった」

 

 同じ国からの刺客ならば帰還するかもしれない。

 生身の肉体に戻ったがまだ油断は出来ないとヒュースに突撃銃を構えるのだが、一向になにも起きない。

 

「!?」

 

 そう、何も起きないのだ。

 万が一自分達が倒された時にミラの助力で帰還する手筈なのだが、ヒュースには一向に迎えに来ない。警戒を最大にされて近寄り難い状態になっているがミラの黒トリガー、窓の影ならば突破することは出来るが来ない。

 

「来ないわね」

 

 目の前に敵はいるので警戒心を緩める事はしないが、なにもないのはそれはそれで困る。

 

「上が揉めてるんじゃないんですかね……なにせ星の杖(オルガノン)が真っ先に倒されたんだから」

 

「あの爺さん、そんなに凄いの?」

 

『私の記録が正しければアフトクラトルの国宝と呼ばれる黒トリガーの筈だが……やはり最初の一撃が大きかったか』

 

 勝利の決め手となる要因は言うまでもなく一番最初の両腕を切り落としたこと。

 それさえなければもう少し上手く立ち回ることは出来たのだろうが、そう上手く行かないのが勝負である。

 

「さてと、修達のフォローに行ってくるか……修達はどうなっている?」

 

 1番の山場は切り抜けたものの、まだまだ問題は山積みだ。

 修達は既にここから見えないぐらいには離れてはいったもののラッドという何処からでも門を開く存在がいるので油断はならない。

 

『修達は本部に向かっている……が、ラッドが門を開いてトリオン兵を送り込んでいる。キトラ達が上手く対処しているが時期にこの状態が崩れる』

 

「じゃあ、さっさとフォローに」

 

「待て、小南……来るぞ」

 

「ああもう、次からわらわらと」

 

 フォローに回ろうとするとこの近くにいたラッドが門を開き、ラービットを含むトリオン兵が出現をする。

 

「小南、オレはこいつを捕縛する。後は任せたぞ」

 

 迎えが来ないヒュースを誰かが抑えておかなければならない。

 レイジがその役を買って出て、出てきたトリオン兵を小南に託す。

 

「セイバー……修達を頼む」

 

「あんまり期待はしないでくれ」

 

 ハードルは低い方が飛び越えやすい。

 セイバーは鬼切を納刀し、修達が向かった方向に走り出した。




運命/世界の引き金こそこそ裏話

セイバーの源頼光を引き当てた場合、ヒュースとウィザの両方を纏めて相手に圧倒することが出来た。

感想が作者のやる気を起こさせる
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