殺さずの剣客、そして人斬りの君   作:沖田愛好家

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押し借り御免

「つ、つぇぇ……」

 

 倒れる武士のうち一人がそう呟いた。

 喉から辛うじて出せた一言である。そのか細い声だけで、赤衣の剣客の強さが見てとれた。

 

 7名の武士は一人残らず地面に叩き伏せられ、残るは巾着を持った武士のみ。小供も、気の弱そうな男も、あまりに一瞬の出来事、息をすることすら忘れて見惚れた。

 

 そんな赤衣の活躍に沖田だけは「ま、当然ですね」とどこか誇らしげである。一体、何から目線で言っているのか、是非とも聞いてみたい。

 

「残るは一人……もう二度と横暴な真似はしないと、平野屋の皆さんに誓うでござるよ。あとはこの者達を連れて、どこへなりと好きに逃げればいい。某は追わぬ」

 

 赤衣が目を鋭く細めて言った。

 あまりの出来事に息をすることすら忘れていたのは、巾着を持った武士も同じこと。己と相手の力量差が分からないほど、この武士も馬鹿では無かった。

 

 だけれども、武士は下がることができない。

 

 一度、抜刀した癖に、それを無かったことにして逃げるなど、剣客としての恥だ。背中の傷が政治的致命傷となった話も、ここ最近の話である。なりふり構わず逃亡を図った殿内が珍しいだけで、意識の高い剣客は怯え逃げることを一切好まなかった。

 

「ふ、ふざけるな! そんな真似が武士にできるか!!」

 

 だから武士は巾着を投げ捨て、叫び、振りかぶる。

 五行の構えの一つ——上段の構え。

 その特性は圧倒的な攻勢にある。

 胴、籠手、足を全て曝け出しながらも、相手の攻撃よりも早く、振り下ろすことで敵を悉く蹴散らす姿勢は、まさに明白な殺意であった。

 

「やむを得んか」

 

 赤衣はそれを見て、諦めたようにぶらりと右手で刀を持ったまま、それを垂れ下げた。

 見たことのない構え。

 だが、その自然体に近い姿勢から発生する奇想天外な動きは、どんな流派でも体験することのできない技の派生攻撃を意味する。

 

 武士は赤衣の構えに怪訝そうな表情を浮かべる。そして数舜、赤衣の動向を観察した後、己に打ち込まれるよりも早く、男へと突撃した。

 

「死ねいやああああああああああ!」

 

 巨躯から振り下ろされる剛剣。

 一切合切の物質を斬り捨てるため打ち出された必殺の剣撃。

 確かに早い。その大柄な体から放たれているとは思えないほどの俊敏性がそれにはある。例え受け止められたとしても、その刀ごと斬ってしまいそうな勢いが、それには乗せられていた。

 

 が、その基準は一般的な武士と戦うときの話である。

 

「遅い!」

 

 ——上から声がした。

 

 誰もいるはずのない頭上から響きのいい声がした。武士は目を見張る。信じられないものを見た時、人は声が出なくなるというが、まさにそれと同じだ。

 

 口を開け、目を見開き、体が固まる。

 

 頭上には天井を地面とし、こちらへ刀を向けている赤衣が一人。武士が刀を振り下ろしたところで誰もいない。目の前にはすでに男は消え失せてしまっているのだから。一切合切を薙ぎ払う袈裟斬りも、さらに上空へ飛ばれては全てが無意味と化した。

 

 ならばどうする。振りかぶった刀をどうすればいい?

 

 そんな考えが逡巡するその瞬間、赤衣の男から刀が振り下ろされた——。

 

「す、すごい……」

 

 小供がそう呟いた。

 目の前には、先ほどまで自分や番頭を痛ぶっていた武士集団が、全員倒れ伏している。生死を確認しようと近づいてみれば、全員気絶しているだけで、呼吸音が口や鼻から絶え絶えながらも聞こえた。

 

 神業だ……。

 

 この時代、何かと物騒なこともあり、こう言った斬り合いの場面で、全員を気絶させた男の所業はまさに神業と言っても差し支えがない。そもそも、真剣を使っているのだから、死者が出ること自体、別におかしな話では無いはずなのだ。その理屈を捻じ曲げている男の方が可笑しいのである。

 

「一人も殺してないよ、この兄ちゃん!! みんな気絶してるだけや!」

 

 小供がもう一度そう叫ぶ。

 そうすれば、野次馬根性を働かせていた町人が一気に色めき立った。

 

「お、おおお、俺あいつ知ってる! 赤衣の剣侠だ! 京で誰も殺さず人助けをしちまうっていう、伝説の剣客だ!!」

 

 小供の叫びに呼応するかの如く、町人の中の一人がそう言った。

 その一石に、誰もが熱気をさらに高まらせる。

 だが、赤衣の剣客と呼ばれた男だけは、その一石を投じた人間に「む?」と言った表情で見やった。

 

「大阪にそんな物凄い剣客が来たのかよ!」

「うおおおお! 俺、感動しちまったあああ!」

「あんたは英雄だ!」

「怪我はない、大丈夫!? お名前は!?」

 

「え?」

 

 赤衣の剣侠が向けた視線など気が付かないのか、平野屋の外で観戦していた町人が、一斉に赤衣へと殺到する。まさに決壊したダムのようだ。人の波がどんどん平野屋に押入り、赤衣の男を襲った。

 当然、目の前で陣取っていた土方や近藤たちもそれに巻き込まれる形となる。

 

「あわわわわぁぁぁ、そんな大量に来られても困るでござるぅぅ」

 

 町人に集られている赤衣は、人混みに目を回しながら、好き放題、抱きつかれたり、肩を叩かれたり、髪の毛を引っ張られたりした。

 もみくちゃにされている赤井の剣侠。近藤や土方はそれに巻き込まれながらも、改めて、赤井の強さを認識した。

 

「あれが赤衣の剣侠か……沖田に勝ったってのは嘘じゃねぇな」

「そうらしい。強いな、彼は。芹沢さんはとんでもない者を引き受けたのやもしれん」

「呑気なことを言ってる場合ですか!? あの人、あのままだと民衆に押しつぶされますよ!?」

 

 土方と近藤の論議を聞いた沖田は、そう言って、民衆に潰されかけている赤衣のところへと人垣を割りながら向かった。

 いつの間にか難を逃れていた芹沢は、それを見て鼻で笑う。そして、新見にも助けるよう命令すると、襲われそうになっていた平野屋の人間達に近づいた。

 

「どうも、危なかったようだね」 

 

 小供に視線を合わせて、しゃがみ込む芹沢。

 それを少々、強張った様子で見たのは気の弱そうな男である。

 

「あなたは……」

「あれの主人と言ったところだ。なーに、私も少しお金を借受に来た身。その際に、今の騒動を見てしまってね。助けさせたが、怪我はなかったかな?」

 

 芹沢は小供を見ながら告げた。

 小供はそれに「うん」とだけ答える。

 

「それは何より」

 芹沢はその返事を聞いて笑顔を浮かべると、立ち上がり、町人の波へ向けて踵を返した。

「しかし、この騒動のせいで金の借受は難しそうだね。違う店にでもお願いしに行くとしよう」

 

「お待ちください」

 

 しかし、それを呼び止める男性がいた。

 芹沢が呼び止めに反応し、首を声のした方向へと向ける。

 

「ん? 君は?」

「私はこの平野屋9代目当主 高木五兵衛でございます。この度はうちの者どもをお助けくださり誠にありがとうございました」

 

 聞けば、その人物とはここの主人だったらしい。

 騒ぎを聞きつけて駆けつけたにしては、あまりに登場が早すぎる。このタイミングで出てきたことを鑑みれば、この男がどこかから、この騒動を見守っていたことに芹沢は気がついた。

 大方、主人が居ないと言って、あの武士集団をやり過ごすつもりだったのだろう。いささか強引な連中だったために、そのやり方ではトラブルを回避できなかったようだが。

 

「ふっ、ただの偶然だよ。気にしないでくれたまえ」

 

 鉄扇を振りながら、芹沢は謙虚にそう返した。

 瞳には獰猛な喜悦を滲ませている。どうやら、このあと当主がどのような返しをしてくるのか、手に取るように分かっているらしい。

 

「いいえ。それでも命とお金を守っていただいたことは事実。お礼がしたい。お金の借受の件、私たちに任せてはもらえないでしょうか」

 

 案の定とも言うべきなのか、芹沢が予測していたことを当主が口にした。

 差し出されたのは、武士集団が持っていこうとした100両。資金調達を目的に大阪へと渡ってきた彼らにとって、その金額は十分な量であった。

 芹沢はその差し出されたお金を少しだけ吟味すると、閉ざしていた口をゆっくりと開ける。

 

「……なるほど。相分かった。そう言うことなら頼むとしよう」

 

 そのとき芹沢が浮かべた表情は細く、獰猛であったと誰かが言った。

 

 

 

 

― 壱 ―

 

 

 日はすっかり落ち、空には白い星々が浮いている。まだ4月ということもあり、夜はいっそう冷え込んだ。

 そんな冷え込む時期だからこそ、酒というものは格別に効く。強い酒を飲めば、それだけで体は温まるし、何より気分が向上した。芹沢もその例に漏れず、自身の好きな酒を煽りながら、対面に座している家里に話しかけた。

 

「万事うまくいったよ、家里。君はやればできる侍らしい」

「は、はは、良かった……本当によかった」

 

 重苦しい声でそう言われた家里が、ようやく憑き物が取れたような表情を浮かべた。

 家里の格好を見てみれば、昼頃、「あれは赤衣の剣侠だ!」と叫んだ町人と非常に酷似している。もしかすると、この格好と芹沢の言う「万事うまくいった」は、何かしら関係性を帯びているかもしれない。

 

「さ、さささ、最初は護衛職に就いた人間を勧誘し、悪質な押し借りをさせろと言われて驚きました……。ししし、しかも、中野屋が外敵に繋がっていると嘘までついて……」

 

 家里が芹沢に注がれた酒を一口飲み、安堵したように声を漏らした。

 大阪へ出奔するよう命じられた時は、どうなることかと家里も思ったのだろう。しかも、本題として出された書状には、明らかな犯罪行為が記されていた。命を助けてもらうためだとは言え、将軍の護衛職を悪用するなど武士には考えられない。

 

 けれど、それを考えついてしまうのが芹沢という男である。

 家里はそれに対し、さらなる恐怖心を増大させていた。

 

「私は何事も念には念を入れたくてね。平野屋に今後、金を無心するためにも、恩を売っておくことは大切だったのだよ」

 

 芹沢はそう言って、空になった盃に溢れんばかりの酒を投入する。

 盃に溜まった酒が映し出す芹沢は、まるで全てを見通すかのように笑っていた。

 一体、いつからこのようなことを計画していたのやら。

 赤衣の剣侠という武器を手に入れてからなのか、それとも家里が命乞いをした時からなのか、はたまた殿内暗殺を沖田に唆した時からなのか……。それは芹沢にしか分からない。

 ただ一つだけ言えることはある。

 それは、彼の計画がここで終わりでは無いということだ。

 

「そ、そそそ、それで芹沢さん……私はこれからどうすれば。おおお、押し借りを仄めかしたのが、もし私の仕業だと知られれば、いい、一大事。こここ、このまま壬生浪士に戻っても、よろしいのでしょうか……!」

「ふむ——」

 

 家里が懇願するように尋ねると、芹沢は口につけようとした盃を一旦離した。

 

「いや、君には最後の仕事がある」

 

 戦場を駆ける矢の如く放たれた言葉。

 最後の仕事、というのに違和感を覚えた家里は声と顔を強張らせた。

 

「さ、最後ですか……?」

「ああ」

 

 芹沢は緊迫に満ちた家里とは打って変わり、飄々とした様子で懐から短刀を取り出した。

 それはまさに汚れを知らない短刀と言えるだろう。

 誰かが強く握った形跡もない艶やかな柄。鞘には傷一つないところを見れば、これが新品であるということが分かる。一体こんな綺麗な短刀で何をしろというのか。受け取った家里は小首を傾げずにはいられなかった。

 

「え、ええと……こここ、これで何を?」

 

 家里は腑に落ちない様子で尋ねる。

 

「決まっている。斬れ」

 

 けれど、芹沢は当然のようにあっけらかんとした態度で言い切った。

 

「え、え? なな、なにを、です……?」

 

 未だに理解ができない家里は、主語を求める。

 

「決まっているだろう、はらを、だ」

 

 それに対し、芹沢は再度、臆面もなくそう言った。

 家里はそれでも意味が分からないのか、「はら? ははは、はら、はら?」と何度も呟いた。綺麗な短刀を握り返し、まじまじと見つめながら「はら」とは何なのかを考えた。

 

 結果、その言葉が指し示す一つの単語に行き着く。

 

 斬る、はら、短刀。

 ——斬る、腹、短刀。

 

 つまり芹沢は、今この場で家里に切腹を命じたのである。

 それが分かった瞬間、家里は盃と料理が乗った膳を倒しながら颯爽と立ち上がった。

 

「そ、そそそそ、そんな! 話が違っ!」

「文字通り命は助けてやった。一、二週間は飯を食べ、眠りにつけただろう? それ以上に君はなにを望むというんだ?」

 

 家里の反論など聞く耳を持たない芹沢は、図々しいまでの理論を打ち立てる。

 芹沢曰く、一時的に見逃してやったことで約束は果たされたと言いたいらしい。しかし、家里からしてみれば、そんなのは約束の反故に相違ない。そんなペテン師も目を見張るほどの詐欺など見たことはなかった。

 

 ——命を助けてもらうために、惨めになりながらも働こうと思っていた。

 ——いつかは壬生浪士組に戻り、それなりの成果をあげるつもりでいた。

 ——いや、殿内や根岸らと共に一緒に壬生浪士組の天下をとりたかった。

 

 けれど、それらは全て夢幻である。芹沢に命乞いをした時点で、家里の判断は間違いだったのだ。これがもし、武士のプライドなんか打ち捨てて、近藤側へ与していれば、もしかしたら未来は変わっていたかもしれない。

 まあ、所詮はタラレバの話である。現実にもう一度なんていうものは存在しない。セーブ地点なんてものはあり得ない。その時、その時を必死にもがき生きていくのが生命の営みである。

 

「ううう、嘘だ、そんな、嘘ですよね……!? だって、そんな……あああ、あんまりなことって」

「家里、君は知らないようだから教えてやる。私はね——冗談は言わない主義なんだよ」

 

 ともすれば、家里がこれから行う動きなど手にとるように分かった。

 今この時。一瞬でも一刻でも長く他人より生き延びたいと考えた時——家里の体は出口に向かって走っていた。芹沢が最後に浮かべた笑顔。口角をニヤリと持ち上げ、瞳には深い闇だけが映し出されている。

 

 あれから逃れなければ家里に未来はない。いや、あれに見られた時から家里に未来はなかったのかもしれない。そんなことを考えていると、家里が飛び出そうとした出口から、一つの影が飛び出してくる。

 

 ——新見だった。

 

 あらかじめ家里の逃亡を予見していた芹沢が、最初から全ての裏事情を知っていた新見を配置していたのだ。

 出てきた新見は、走る家里を軽く組み伏せる。そしてそのまま、彼の後ろ側へ張り付き、そのまま芹沢が渡した短刀の鋒を家里の腹に突き立てた。横一文字に切り裂かれる腹。血が溢れ、鉄の匂いが充満する。

 

「じにだくな”い、じじじ、じにだくな”い!!」と家里は泣きながら言った。口からは唾液が、鼻からは鼻水が垂れた。

 けれど、そんな彼を嘲笑うかのように芹沢は己の刀を抜き放つ。

 切腹では中々死ねない人間のために用意される役。首を落とし、苦しみから解放するため、芹沢は刀を使って家里を断頭したのだった。

 

「……泣かなければ立派だったのだけどね」

 

 それだけを呟いた芹沢に一つの笑みも見受けらはれしない。

 

 

 

 

― 弐 ―

 

 

 同時刻、団子屋。

 星空が見える茶屋が売り文句らしいその店で、沖田は念願の団子を赤衣に強請り、頬張っていた。大阪に折角来たのだからと、芹沢が一泊することを推奨したためである。そのため、近藤と土方は大阪の街をふらつき、沖田と赤衣の剣客はこうして茶屋を巡っていた。

 そんな中、赤衣が何やら感じ取ったのか、ふと顔を上げる。

 

「む?」

「ふぉうしふぁんれす? ごくん……急に?」

「いや……何か聞こえた気がしたのだが」

 

 そう言われて、沖田は周りを確認してみる。

 だが、騒ぎらしいものは一つもない。至って穏やかな日常風景だけが店の外に広がっている。あとはキラキラと輝く星と月が、地上の人間を見下ろすかのように、空で鎮座しているくらいであろうか。

 

「んー、別に何もないですけどねぇ」

 

 沖田は関心を早々に失ったのか、串に刺さった団子を再度口に入れた。

 それに合わせて赤衣も、「気のせいでござるな」と呟く。昼頃に武士集団と出会したせいで、変に気が立っているのだろうと思ったからだ。

 

「こんな星と月が綺麗な夜に、誰かが悪さをしようなどとは思わないでござるな」

 

 赤衣が茶を啜りながら、夜空を見上げた。

 雲一つない夜空だ。淀みなく月明かりが辺りを照らしている。沖田や赤衣以外にも、チラホラと同じようにして夜空を見上げる人がいた。

 

「そうですね。団子のお供に非常に良いです」

 

 沖田も赤衣に同意なのか、そんな綺麗な宝石箱を、まるで童のように見上げた。

 

 こんなにも夜空が綺麗なのだから——。

 

 そう皆が思い、争いをやめたのならば、日ノ本ももっと平和になるのかもしれない。何気ないことに一喜一憂し、誰もが死の恐怖に、理不尽な事柄に怯えなくてもいい世界になれたなら……ああ、それはどれだけ美しいのだろう。

 

 けれど、世界はいつだって残酷だ。そんな夢物語を許容するはずもない。国やなんだと興味のない赤衣ですら、それは理解している。

 だからこそ、赤衣の男はふと思った。

 

 些細な平和でいい——。

 こんな日常の一幕を、目の前に映る大切な人々を——。

 それだけは守れるように、これからも頑張っていこう、と。

 

「そう言えば、赤衣の剣侠って言われた時、どこか睨んでましたけど何かあったんですか?」

「む? いや、見たことがある顔だなと思っただけでござる」

「なんですか、それ」

「んー、はっきりとは見えなかったので、某も誰かまでは分からなかったのだが……」

「なんか怖いですね。もしかしたら、誰かに嵌められたんじゃないです?」

「……沖田殿、なんか怖いでござる」

 

 策略、謀略、戦略、計略。

 数多の言い方はあれど、それが指し示す意味は一つしかない。

 今回のことも、芹沢に全て仕組まれていたとは露知らず、二人は仲良く団子を齧り続ける。

 それが幸せなのか、不幸なのか。それはまだ誰も知らぬこと。この先の物語は、みなさんがその目で確かめることなのですから。




これにて二話完結!
最初は三分割で抑えるつもりだったけれど、四分割になってしまいました。
んー、まとめるの難しいですねl。


と言うことで、ちょっことだけ豆知識を置いていきますね。

・家里次郎
次郎と書いて、実は「つぐお」と呼びます。
第一話で殺されかけていた殿内と同じく、彼も京に残った浪士組を取りまとめるよう仰せつかっていた人物。
史実でも、殿内が殺され、根岸らが逃走したことにより、彼も大阪へと出奔します。そして、大阪にて近藤や芹沢らに士道不覚悟として切腹させられました。
この時、みなさんが知っているような俗に言う「局中法度」がすでに作られていたのかは不明。ただ、私の解釈ですと、もしかしたらこういう事柄を元に、隊律は作られたのかもしれません。
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