アスカやシンジたちが世界を救ってから5年がたった。
ヴィレ・EU支部に加持とアスカはいた。
大学をすでに出ていたアスカは自然とヴィレの職員になっていった。
とはいえ、名前は変わっただけで以前と変わらない。
違うのは使徒がいなくなったというだけだった。
相棒であったシンジ18歳でミサトと結婚した。
同じく相棒であった綾波は大学で生物学を学んでいる、カヲルは宇宙飛行士になるためNASAに留学兼アメリカ支部の支部長として活躍している最中だ。
ところが、アスカには誤算があった。
相田ケンスケがドイツに来たことである。
そしてもう一つの誤算は古い知り合いがこっちにくることだ。
「はぁ~…。」
アスカは自分のデスクにいた。
すると、メガネをかけたケンスケはドアをこじ開けてやってきた。
「アスカ!!マイ・ハニィ~~!!!」
「はいはい。」
「俺がいなくて寂しかっただろ、マイ・ディアー!?でもね、ケンケン・イズ・ヒアぁぁぁぁぁぁ!!!」
はあ、なんでこいつがこんなところにいるんだか。
相田ケンスケは大学生になっていた、なんとドイツの大学に留学していたのだ。
ケンスケの父はネルフの古参であったことから、彼の影響でなんとヴィレのバイトとしてこっちにきているのだ。
「わかってる、そのため息は俺の愛へのため息だろ。」
「よーくわかってるじゃない。」
アスカはため息をつきながら言った。
「うーん、やっぱり俺のことをわかってくれるのはたった一人。アスカだけだね!君しかいない!オンリーワン!」
「わかったから…。」
アスカの呆れた顔を無視するとケンスケは自分の話をつづけた。
「それからいっておくと、このカメラは新品なんだ!そうネットオークションで売り飛ばしたんだ!」
「なにを?」
「決まってるじゃないか、アスカの写真を!」
「はああああああああ?!」
アスカはデスクから身を乗り出した。
何やってんの、このクソメガネは。
「噓でしょ!?」
「売れたよ!えーっと全部で30万円ぐらいかな。あ、でも一番売れたのは水着写真!うん!これはね…」
「消えろっ!!」
アスカは怒号をあげると、ケンスケを自分の執務室から追い出した。
ケンスケは舌打ちをすると大人しく外に出ていった。
「なんだよ、そこまで邪見にしなくていいじゃないか。金ならやるのに…。」
アスカは冷たい。
最近特に冷たい。
SNSでは何回もやりとりしてたのに、実際に会うとこうだ。
ケンスケは真剣だった。
アスカにあうためこの数年以上頑張って成績をあげた。
それがこの扱いか。
「もういいや、なんか写真にとろう。」
ケンスケはヴィレEU支部の屋上にきた。
奇麗な青空だ。
そこに戦闘機が並んでいる。
「すごいなあ、あれヴィンテージもんだよ。」
ケンスケは思わずカメラを取り出すとシャッターを押し始めた。
戦闘機が過ぎると、VTOL機がやってきた。
「あ、あれ旧ネルフのやつじゃないか!」
すると、機体から何かがおりてきた。
「すごいすごい!輸送か!」
ケンスケは夢中でシャッターを切り始めた。
すると、中からパラシュートが開いた。
「すごいぞ!」
ふと、それは人のように見えた。
「人だ!あれがうわさに聞く新しいパイロットか!」
撮ろう、こんないい機械はない!
ケンスケは一心不乱に欲望の赴くままシャッターを開いた。
そんな時だった。
「どいて!!」
「どいて?日本語?なんであいつ日本語いえるんだ。」
「いや、だからどいてほしいっていってるニャ!」
「え?誰に言ってるんだろ。」
ケンスケがとぼけていると、空中にいたそれは突如落下してきた。
「うにゃ!?」
「おみゃ!」
ケンスケとマリはぶつかると、そのまま地面に倒れた。
ケンスケの手に持っていたカメラは大破してしまった。
気が付いたケンスケは体を起こすと悲鳴をあげた。
「うわ~っ!俺のカメラが!」
大破したカメラを抱えたケンスケは悲鳴をあげた。
「だからどいてっていってたじゃニャいか!」
声がする方を振り向くと、そこには赤い髪と赤いメガネをした若い女性が立っていた。
年齢は10代後半か20代前半だろう。
ケンスケは怒りで震えると女の前に立った。
「うるせー!てめえのせいだ!」
「なんでニャ!わたしはどいてって言ってたニャ!」
「俺に対して言ってると思わなかったんだよ!っていうかなんだよ、ニャて!今どきその語尾はねーだろ!昭和世代の新人類かよ!おニャン子クラブか!ニャースか!どっちだ!いや、ニャースは世代が違う。おニャン子クラブに至っては世代が違うのでわからない。っていうかあれは語尾がニャだったのか。まぁいい。いずれにせよ語尾がニャはない!萌えない!」
「な、なんだかよくわからないけどアンタが失礼ってことはわかるニャ!」
「失礼なのはお前だ!この赤メガネ!着地するなら屋上じゃなくてもっとフカフカなところ探せ!このバカ!」
「ニャニャニャニャ!!」
すると、屋上のドアが開く音が聞こえた。
「ここで何をしているんだ。」
男の声。
加持リョウジ、ヴィレEU支部の支部長だ。
「こんにちは加持支部長。私、真希波・マリ・イラストリアス。よろしくニャ。」
「加持リョウジだ、よろしく。」
「ちょっと加持さん、聞いてないよ!こんなのが空から降ってくるって。」
加持は頭をかくとケンスケに指を指した。
「おい、お前。勝手にアスカの写真撮って売ったろ。」
「うっ!」
「給料、今月半額な。」
「ひ、ひどいよ加持さん…。」
ケンスケは頭を抱えた。
マリはそんなケンスケを無視すると、加持に釣られて突き進んでいった。
目的は知り合いのアスカにあう事。
マリはアスカをみつけると、さっそくとびかかっていった。
「姫ェ!お久しぶり!元気だった!?」
「げっ!コネメガネ!」
アスカはマリを知っていた。
かつてドイツ支部にいた二号機パイロット候補者の一人であった。
結局は落選したそうだが、妙になれなれしいこの態度は永遠に忘れられなかった。
「なんでそんなひどい言い方するの?」
アスカはマリを遠ざけると、そのまま立ち去ろうとした。
「そんで、8号機は?」
「時期に届くよ。」
「なんで、そんなにエヴァを増やす意味があるのかしら。もう使徒はいないのに。」
加持はアスカの疑問に答えれなかった。
「俺、夜でかけてくるから。なんか飯作って食っておいて。」
「わかった。」
「えっ、姫まさか同棲してるの?ひどい、私というのがいながら…。」
「あーもうわかったわかった!」
すると、ドアが開いた。
そこには金髪青目のCIAの男がいた。
ダニエル・ソーンバーグ。
「へへへ、相変わらずここはやかましいねえ。加持くん。」
ソーンバーグ、CIAからきた査察官。
なんだかんだで加持に情報を渡す男ではあるがゲスく信用がもてない飄々とした人間だ。
「そろそろ時間か。」
「いくぞ。楽しい楽しいオークションの時間だ。」
ソーンバーグは加持とともにアスカの執務室を去っていった。
やがて、ソーンバーグの連れたVTOLに乗り込むと二人は去っていった。
「へへ、お前の元カノも来ちゃうぜェ。お前よりは頼りになるだろ?喧嘩じゃあな。」
ソーンバーグはおどけながらそう言った。
ミサトもくるのか。
「で、今回は何なんだ。」
「びっくりするなよ、第一使徒のアダムだよ。」
彼は加持にファイルを手渡した。
そこには冷凍保存されたアダムがあった。
「アダム?」
「そう、アダムだ。」
「あれは本部にあるはず。」
「そう、だがゼーレのお偉方どもはすでに作っていたのさ。クローン量産化にな。だからエヴァシリーズができた。言っておくが、これが売られてる1部に過ぎない。闇マーケットではもっと多く出回ってるらしい。だから俺らが手に入れる必要がある。そのすべてをな…もう手遅れかもしれねェけどよ。」
アダムの量産化。
これを意味するのはエヴァや使徒を使った生物兵器の完成。
「そうだ、言っておくがこのオークションの主催者はゼーレだぞ。」
「ゼーレ?」
「この数年間の間で状況はおかしくなった。連中は軍需産業と手を組んで使徒やエヴァを兵器化しようとしてる。この5年間は平和すぎた。まるで嵐の前の静けさってもんよ。で、お前の方はどうなんだ。情報は。」
加持はファイルを手渡した。
「以前ドイツのネルフで幹部をやっていた男がいた、そいつは獄中で死んだ。一応は自殺だが、殺されたと思ってる。だが書記をのこしていた。そこに書かれていたのはお前の国の兵器産業とゼーレの癒着だよ。」
「アメリカを叩けば悪の埃が出るってな。」
「名前を観たらびっくりすると思うぞ、大物議員とビジネスマンの数々がそこに残ってる。」
加持とソーンバーグがやり取りをしている間にVTOLは一つの大型船にたどり着いた。
そこではタキシードを着た男女が多くいた。
「おい、着替えろ。ドレスコードとやらに合わせる必要がある。」
ソーンバーグはタキシードを手渡した。
加持は手早く着替え、無線を耳につけると外に降りた。
「無線で常に連絡するぞ。オークション会場はすぐそこにある。」
そんな時だった。
「加持くん。」
聞きなじんだ声だ。
葛城ミサト。
ミサトはなんと赤いドレスを着ていた。
髪はまとめてポニーテールにしていたようだ。
「あなたが髭なんか剃ってくるって珍しいわね。」
「売られてる商品が何か知ってるか。」
「アダムでしょ。」
「そうだ。」
「なんでアダムが売られてるのかしら。」
「このオークションの主催者はゼーレだからな。こうやって俗物に売り飛ばして利権をむさぼってるのさ。」
ミサトは周囲をにらんだ。
父を殺したアダムがこうやって売りに出されている。
悪党どもめ。
「前の方向をみなお二人さん。」
無線越しにソーンバーグの声が聞こえた。
ミサトと加持がみると、そこには白髪をはやした白スーツの男がいた。
「あれはかつてアメリカを震え上がらせたイタリアンマフィアの大ボス、ドン・フルチだ。アメリカを追われてイタリア母国で組織を作ってる。その組織はゼーレとは長年対立してたが、呑み分けたんだろうよ。」
マフィアか?
マフィアまで絡んでいるのか。
「おっと、ありゃお前らのが詳しいんじゃねえか。日本の暴力団「虎畑連合」の若頭だ。日本の暴力団とゼーレの仲は相思相愛ってもんだ。」
ヤクザまできている。
「となると、世界中の反社が集まってここで懇親会を開いてるのさ。気を付けたほうがいいぜ。」
やがて二人はオークション会場に入った。
そこで金属センサーの探知を受けた。
加持はすでにこの警備会社に賄賂を渡している。
ミサトも加持もソーンバーグも銃を持っていたが、センサーは反応することはなかった。
やがて、3人は約束された席に座った。
「おっと、あれは本日の主催者だな。」
ソーンバーグは皮肉を言った。
ミサトは目を鋭くした。
そこには人類補完委員会のメンバーであった男がいた。
「加持くん、あれ。」
「ああ、『左様の爺さん』だ。」
フランス代表、やせ細った常に『左様』という男だ。
「あいつはコンラッドに情報を流していた。そのおかげでヤツはこっそり生き残っていたのさ。卑怯なやつだよな。」
やはり、生きていたのか。
じゃあまだゼーレの幹部でいるんだろう。
左様の男は一際大きい席に座るとオークションを見つめた。
司会の男が入ってくると声を上げ始めた。
「では、皆さん。次の商品は今回の目玉です。あの第一使徒『アダム』でございます。」
そこにあったのはアダムそのものであった。
小さな透明の冷蔵庫にあったアダムは怪しく輝いていた。
周囲の客からは歓声の声が漏れていた。
「ではまず、始めましょう。4億ドルからで…。」
そんな時だった。
外で銃声が響いた。
「なんだ?」
加持は振り返った。
すると、銃を持った大男たちが続々とやってきたのだった。
その真ん中から杖を突いたサングラス姿の老人がやってきた。
人種はアフリカ系だ。
グレーのスーツを着ていた。
「私が戴こう、無論無料でな。」
盲目であったのか、足元がよろしくはないようにみえた。
だが、加持には感じた。
この男には有無をいえない凄さがある。
「ご紹介が遅れた。私はモーガン・ジャクソン。」
「なんですって!」
ミサトは思わず声を出した。
「知っているのか、葛城。」
「モーガン・ジャクソンといえば、世界最強の暗殺者といわれた男よ。数多くの戦地にいって将校を殺していった伝説の殺し屋。まさかそいつがここにいるなんて…。」
モーガンは嬉しそうに言った。
「どうやら、我が前方20m先にいる女史は私をご存知のようだ。わかっているぞ、目は見得なくても心臓の鼓動・筋肉の動きの音でわかる。君は恐らくここにいる連中の中で1番強い。銃も持っているだろう、君だけじゃない君のツレもそうだ。だから大人しくそこで寝ていることだな。」
モーガンと名乗る老人は杖を使い階段を上がると、手元にあったアダムを奪い取った。
「これが最後のアダムか。ありがたく頂戴する。」
すると、主催者席にいた補完委員会の生き残りの老人が思わず声を漏らした。
「な、なにをするのだ。」
モーガンは老人の声を聞き逃さなかった。
「ほう、機械混じりの心臓の男が聞こえる。焦っているな。そして臭いでわかる。アンタは委員会で、その生き残り。悪いな貴様は殺すリストに入ってるんだ。君の部下は君を疎んでいるんだよ。」
モーガンは来ていたタキシードから銃を取り出すと、老人の頭を撃ちぬいた。
最後の人類補完委員会の生き残りはとうとう死に絶えた。
そして、重たそうに歩きながらモーガンは階段を下りていった。
「さて、諸君邪魔して申し訳ない。これさえ手に入ればあとはどうでもよいのだ。あとそうそう、私の部下がここで待機をする。もしも何か粗相があれば君たちは皆殺しだ。では、また会おう。」
モーガンは手を振るとそのままオークション会場を後にした。
数分間の沈黙の後、部下たちは銃を持ちながら、にらみを利かせていた。
「なあ、姉ちゃん俺といいことしねえか。そしたら」
部下の一人がミサトに声をかけた。
だが、ミサトは冷静だった。
肘をL状を曲げると、男のみぞおちにぶち当てた。
「おべっ!」
男は地面に倒れた。
そして、男の銃を奪うと男の頭に突き付けた。
「お仲間が死ぬわよ、それでもいいのっ?」
加持はため息をつくと、身を乗り出した。
「お前なあ…。」
「ちょっと待て、加持ちゃん。お、俺そういうゴチャマンは苦手なんだよね…。」
ソーンバーグの愚痴を無視すると加持も銃を構えた。
そして、近くにいた傭兵の一人を捕まえるとそいつの頭に銃を向けた。
「どうするんだ、葛城…俺にこんなことさせて。」
加持がそういうと、ミサトはアゴで周囲の客を指した。
客の反社たちも続々と後に続き始めたようだ。
「楽しいパーティーだな。」
加持は皮肉をいうと手に持っていた銃で人質にしていた傭兵の一人を射殺した。
ミサトもこれに続くと同じく傭兵の男を射殺した。
ソーンバーグも舌打ちをすると銃を向けて、あちこちに撃ち始めた。
日本のヤクザの男も銃を奪い取ると、傭兵の群れに銃を放った。
イタリアンマフィアの男も同じくだった。
「葛城、俺はアダムを追いかける。だからお前はここであいつらの相手を頼む。」
「任せて!」
ミサトは机を蹴り上げると脇に隠れ銃を乱射し始めた。
加持は走って、アダムを持ち去ったモーガンを追いかけた。
「待てッ!」
加持はドアを蹴破り、外にでた。
そこは死体の山であった。
加持はそれを無視すると、ヘリポートにたどり着いた。
ヘリにはモーガンがいた。
「これはこれは若人よ。私とやりあう気でいるならまだその日ではない。加持リョウジ君…。」
「俺を知っているのか。」
「君のことはよく知っている。」
「なら生かしておけないな。」
加持は銃の引き金を引こうとした矢先だった。
バチィン!!
加持の手に痛撃が入った。
鞭だ。
思わず銃を落としてしまった。
鞭を持っているのは女だ。
顔は整形をしているのか、表情が固まっている。
黒い髪に厚化粧のアイメイクをかけていた。
「ご紹介しよう、彼女の名前はキム・ソナ。韓国から来た暗殺者だ。年齢は42だがまだ若いだろう。ソナ、このボウヤの相手をしてあげなさい。」
モーガンは勝ち誇った笑みで両手をふるとそのまま去っていった。
「あら、かわいいボウヤじゃないの。アタシのタイプだわ。ますます殺したくなってきちゃった。」
「俺はアンタみたいな加工食品は嫌いだけどな。」
ソナは加持の皮肉を微笑みで返した。
そして、鞭を振るうと加持の首に絡みつけた。
「ぬぐっ!」
そして、力任せに引っ張った。
加持はそれをつかもうとしたが、力負けして地面に倒れてしまった。
ソナは加持の首に絡みついた鞭を持ちながら加持の頭を踏みつけようとした。
だが、加持は足を腕でつかんで、なんとかそれだけはカバーした。
しかし、首に絡みついた鞭は思っているよりも強い。
ソナは笑っていた。
だが、加持は冷静だった。
「おばさん、アンタの横になにがいるかわかるか。」
「え?」
ソナは思わず振り返った。
そこには加持の相棒であった葛城ミサトがいた。
大きくジャンプすると、ブーツを使いソナの顔面を蹴り飛ばしたのであった。
「ああん!」
ソナは悲鳴を上げるとそのまま甲板の外へと落下し、海の中へと消えていったのだった。
「助かった、流石は葛城だ。」
「アダムは?」
「やられたよ、あの女がいなければ…。」
「なぜあの男がアダムを奪うのかしら。」
「あいつを操ってる黒幕がいるのは間違いないな。」
加持は天を見上げた。
ヤツを操っているものがいる。
それはゼーレか、それとも別の物か。
いずれにせよ、新しい悪は動き始めたのだ。
数時間後、アフリカ大陸某所。
そこはある男の秘密基地であった。
モーガンを乗せたヘリはそこにたどり着いた。
「商品は手に入れてまいりました。」
モーガンは冷凍保存されたアダムを手渡した。
受け取った男は不気味にほくそえんだ。
「最後のアダムはわが手にある。」
その背後には黄色いエヴァンゲリオンがいたのであった。