加持とアスカが世界を守るために戦う話   作:井上ああああ

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アスカと加持がそれぞれの大事な人と再会する話

ガレキの山。

町中がガレキの山だった。

食料も不足していた。

空は曇っていた。

 

全てを失った少年はそのガレキの山をとぼとぼと歩いていた。

 

やがて、少年は地面に倒れた。

 

弟や自分の友人たちとともに国連軍の食糧庫を襲った。

そこにいた連中は海外からきたあくどい連中だった。

 

弟たちを見殺しにして自分は生き延びた。

 

もう死ぬだろう。

死ぬことなど怖くはない。

 

足が見えた。

 

 

 

 

「坊主。」

 

 

声が聞こえた。

少年はみあげた。

 

 

「腹減ってるか。」

 

 

白人の男だった。

弟たちを殺した国連軍の兵士のような。

時代錯誤なテンガロンハットと黒いジャケットを着ていた。

セイウチのようなヒゲが口元に生えていた。

髪は長く伸ばして、先を侍のように巻き付けていた。

年齢は中年にみえた。

日本語は流暢だった。

 

 

「消えろ。」

 

 

少年は睨んでそういった。

 

 

「腹減ってるだろ。」

 

 

男はパンの一切れを渡した。

 

 

「消えろっていってんだろ!」

 

 

「ここに置いてくぞ。」

 

 

男は冷たく言った。

ガレキの上にパンが落ちていた。

男が去るのを確認すると少年はパンを手に取った。

すると、先ほどと同じ男が来た。

 

 

「家族はどうした。」

 

「お前に関係ないだろ。」

 

 

「そうか、なあ坊主…うちにこねえか?もっとパンがあるんだ。食いきれなくてな‥。」

 

 

カウボーイ姿の男はそういった。

少年は少し考えた。

飢えている、腹が減っている。

 

「アンタなんて名前なんだ。」

 

 

男はニッと笑った。

 

 

「…ハリー・ウエスト、お前は」

 

「加持リョウジ」

 

 

 

雲は消えていくと、太陽が見えた。

ふと、周囲は明るくなっていった。

 

 

 

加持は目を覚ました。

 

 

 

「夢か…。」

 

 

 

夢、すべては夢。

否現実だ。

加持リョウジが経験した現実。

 

セカンドインパクトが起きて、親を失った自分と弟は泥棒になるしかなかった。

弟は命を失った。

そこで、俺は男に出会った。

ハリー・ウエスト。

 

彼は元米軍将校で加持と会った時はスパイをしていた。

彼に10年ほど育てられた加持はそこで高雄コウジと出会った。

同じくウエストに育てられた孤児だった。

ウェストは学校にもろくにいけなかった二人に教育を施した。

色んな人にもあわせてくれた。

その中には日本の政府関係者やアメリカ政府の関係者、国連関係者などもいた。

 

そして、ある日大金を置いて姿を消した。

 

その結果、加持は大学に行けた。

コウジは戦略自衛隊に入った。

 

噂ではウエストは死んだといわれていた。

加持はウェストを探そうとしたが、やめた…。

それ以上に追いかけたい真実がいるから。

それに捨てられたのだと思った。

 

 

「加持さん。」

 

 

執務室にアスカが入ってきた。

 

 

「ああ、アスカ…なんだ?」

 

 

アスカは微笑んでいた。

 

 

「加持さん、こんなところで寝てるから顔にインクついてるよ。」

 

 

加持はアスカの言葉に気が付くと手鏡をみた。

 

 

「あっ…。」

 

 

急いで拭こうとした矢先だった。

アスカは加持をみるとハンカチを渡してきた。

 

 

「すまないな、いつも。」

 

 

「ホントだらしないところあるよね、加持さん。」

 

 

「悪いか?」

 

 

加持のイヤミをアスカは無視すると、ふと気が付いた。

 

 

「加持さんって、いつも髪巻いてるよね。なんで?」

 

 

「さあな、忘れちまった。」

 

 

嘘だ、加持は嘘をついた。

この髪をまくのはある男のマネ。

大事なことを隠すのもその男のマネ。

ハリー・ウエスト。

俺たちを捨てた義父もどき。

あいつを真似てスパイになればいつか会えると思っていたが、それも大きな間違いだった。

 

 

「なあ、アスカ…お前家族に会いたくなるって思った時あるか。」

 

 

「毎日思うわよ、ママには。」

 

 

アスカの母は正気を失い自殺した。

父親は母を捨て他の女とくっついたが、もう最近は顔すら合わせていない。

向こうも負い目を感じているのか連絡はなかった。

 

それでいいのかもしれない。

お互いが傷つくことはないのだから。

 

 

「お爺ちゃんは?」

 

 

祖父、そういえば知らない。

いるのかどうかもわからない。

特に母さんの父は。

話は聞いたことがある。

科学者だった惣流・キョウコ・ツェッペリンの父親。

アスカの祖父。

聞いた話では碇ユイや母キョウコ以上の天才科学者だったらしい。

 

だが、姿を消した。

 

 

 

「あったこともないわ。話を聞く前にママがいなくなったもの。」

 

 

 

そんな時だった。

執務室にケンスケが飛び込んできた。

 

 

「加持さん、アスカ!!!とんでもないニュースだ!!いい方と悪い方、どっちを聞く?」

 

 

「悪い方から先に聞かせてくれ。」

 

 

加持はぶっきらぼうに言った。

 

 

「悪いニュースは俺のオークションアカウントが凍結したこと、いいニュースは…なんだと思う?」

 

 

「もったいぶらずに言えよ。」

 

 

「いいニュースはね…。」

 

 

すると、ケンスケを押しのけて老人が入ってきた。

身長は高かった。

髪はなく、メガネだけがあった。

よれよれの白衣を着ていた。

 

 

「アスカ…。」

 

 

老人は目に涙を浮かべて言った。

 

 

「アスカ、わが孫…。」

 

 

老人はアスカにとびついた。

アスカは面食らった様子だった。

いつもなら、はねのけるはずだった。

だが何か違う。

 

 

「お爺ちゃん?」

 

 

老人は抱擁をとくと、アスカに顔を近づけた。

そして、首元にあるネックレスをとるとそこから写真をみせた

 

 

「これが証拠だよ、アスカ…。」

 

 

そのネックレスの写真にアスカは見覚えがあった。

赤い髪、青い目…間違いない。

 

 

惣流・キョウコ・ツェッペリン

 

 

「ママ?」

 

 

「そうだよ。」

 

 

老人はしきりにかぶりをふると、アスカを強く抱きしめた。

 

 

「すまなんだな、アスカ…なんでもっと早くこれなかったのか。悲しいのォ。悲しい。」

 

 

老人は目から大粒の涙を流しながらアスカをただ、ただ強く抱きしめた。

アスカは気が付けば老人を抱き返していた。

 

 

「お、お爺ちゃん!?」

 

 

「私を許してくれ、アスカ…こんなふがいない祖父をジジイを許してくれェ…。」

 

 

加持とケンスケはお互いに顔を見合わせた。

それはあまりにも唐突だった。

 

 

 

「いいニュースはアスカの家族がみつかったことだよ。」

 

 

ドアの横にはシンジがいた。

身長は少し高くなっていたが、シンジであった。

 

 

「バカシンジぃ?」

 

 

「へへへ、アスカ久しぶり。」

 

 

「シンジじゃないか!!」

 

 

「やあ、ケンスケ。それに加持さんも。」

 

 

「シンジ君?」

 

 

やがて、5人は食堂にたどり着いた。

アスカは食堂で山盛りのアイスを持ってくると祖父に食べさせた。

アスカの祖父を名乗る老人は涙を流しながらアイスを食べていた。

 

 

「悲しいのォ…。」

 

「なにが悲しいのよ。」

 

「キョウコにもこんなことをできなんだ…わしは最低の父親であり祖父だったのじゃ。」

 

「じゃあ、これからいーっぱいさせてあげるわ!家族として一緒の時を過ごすの。」

 

「うう、悲しいのォ…。」

 

 

加持はいい加減に口を開いた。

 

 

「あのお爺さん、お名前は?」

 

 

「ほっほっほ、若いの。名前が気になるかね?」

 

 

「ええ…まあ多少は。」

 

 

「わしはフリッツ・ツェペリン!生まれはドイツじゃ!」

 

 

加持は面食らった。

老人の動きはあまりにも芝居がかっていた。

シンジはにこやかにほくそえんでいた。

 

 

「へへへ、本部に彼から連絡があったんだ。アスカはいるかって。でミサトさんと僕がいったらそこにいたのがこの人だったんだ!」

 

 

「バカシンジったら気が利くわねえ!でも、連絡ぐらいくれればよかったのに。」

 

 

 

フリッツはアスカに涙を浮かべながら笑った。

 

 

「違う違う、わしが内緒にしてくれと頼んだんじゃよ。かわいい孫が驚く姿がみたかったからのォ…。」

 

 

「今までどこにいっていたのですか、ツェペリンさん。」

 

 

加持は冷静に告げた。

すると、老人はさらに涙を浮かべた。

 

 

「ドイツはのォ、ゼーレの息がかかっておったのじゃ。怖くて怖くて震えてのォ…ちっと25年ばかりドイツから姿を消していたのじゃ。その合間にセカンドインパクトがおきてしもうた。そして聞いた話ではキョウコが姿を消したと…。わしがふがいない父だったんじゃ。きっとキョウコは…わしがおれば…。」

 

 

フリッツはそういうと、地面に地を伏せさらに泣いた。

そのなき音は食堂中に響いた。

アスカは泣いていた。

 

 

「だから、爺ちゃんいってるじゃない。私がいるって。ママにできなかったことを私にして。ね?」

 

 

「そうじゃ、もうわしはどこにもいかん!!!アスカぁ!わしはお前から離れぬ!離れぬぞイ!!!」

 

 

シンジはその言葉に釣られると同じく泣いていた。

ケンスケは首をかしげていた。

加持も少し妙に感じていた。

 

 

 

わざとらしい。

なぜだろうか、この老人何かが怪しい。

加持のスパイの本能が告げていた。

ふと、加持は何かサムサムしい物を感じたので振り返った。

 

 

そこにはマリがいた。

 

 

「あ…あ…。」

 

 

恐怖だ。

 

 

マリの表情が恐怖に満ちていた。

彼女は震えあがると、まるで逃げるようにその場から去った。

あいつは何かを知ってる。

加持はわかった。

 

 

「すみません、少し用事があるので。」

 

 

加持はそういうと、食堂から席をたった。

彼は人ごみをかきわけてマリを追いかけた。

やがて、マリに追いつくと加持はその肩をつかんだ。

 

 

「おい、お前…。」

 

 

加持は言った。

 

 

「あいつをあの爺さんについて何か知ってるのか。」

 

 

「加持さん、痛い。」

 

 

「なにか教えろ、あいつはなんなんだ。」

 

 

マリは口つくんだ。

だが、ようやく口を開いた。

 

 

「あれは…。」

 

 

 

そんな時だった。

サイレンが鳴り響いた。

 

 

「まさか…まさか…。」

 

 

加持はサイレンの音をする方を振り返った。

 

 

「使徒!?」

 

 

加持が言った。

だが、マリは否定した。

そしてモニターを指さした。

 

「違う、エヴァだ。」

 

 

モニターにはうつっていた。

黄色いエヴァンゲリオン。

色は黄色であったが、四号機・三号機に似ていた。

 

 

「あれは何だ?」

 

 

 

なんだあれは、俺は聞いていないぞ。

あんなエヴァなど存在していない。

何かおかしい、タイミングがよすぎる。

 

 

 

『大西洋上陸に謎のエヴァンゲリオンが出現!!ッ』

 

 

 

そうか、あれが新しい悪が生んだエヴァか。

 

 

 

「話はあとだ!あとでたっぷり聞かせてもらうぞ!」

 

 

加持は急いで発令所に向かった。

マリは震えを抑えた。

 

EU支部発令所にたどり着いた加持とケンスケは急いでモニターをつないだ。

そこにはミサトがうつっていた。

 

 

「加持くん?聞いた。」

 

 

「ああ、聞いたよ。エヴァだろ。」

 

 

「未確認のエヴァンゲリオンよ。大西洋で国連軍の艦隊を破壊して進んでいるから間違いなく悪意はあるわ。」

 

 

「動けるのはアスカだけだな。」

 

 

「そうよ…。」

 

 

ミサトと加持の話を聞いたアスカは高飛車に笑った。

 

 

 

「ふっふーん、ちょうどいいわね。成長したアタシの力、とくとみせてあげるわよ。」

 

 

老人は震えあがっていた。

それが演技か真実かはさておいて。

 

 

「アスカよ、わしは怖い。」

 

「お爺ちゃん心配いらないわ、私がいるんだもの。」

 

アスカはフリッツを勇気づけた。

 

 

「そうですよ、お爺さん。アスカは僕よりも先輩なんですから!」

 

「フフフ、バカシンジだったら気を利かすようになっちゃって、成長したなァ!」

 

 

アスカはシンジの首を腋でやさしくまくと頭をコンコンと叩いた。

シンジは照れ臭そうに笑っていた。

 

 

「悲しいのォ、キョウコにもアスカの成長をみせてやりたかったもんじゃ…。わしが、わしがふがいないばかりに…。」

 

 

「もういいのよ、お爺ちゃん。じゃあ二号機をミサトにつねげて置いて加持さん!」

 

 

そういうとアスカはEU支部の整備班や技術部と共に去っていった。

加持はフリッツをみた。

その顔は笑っていた。

泣いたり、笑ったり…こいつは一体なにものなんだ。

 

 

 

同刻、アフリカではモーガンがほくそ笑んでいた。

複数のモニターをみながら腰かけたモーガンは不気味に笑った。

目は見得ない、だが音でわかる。

二号機とは音が違う。

 

 

「さあ、皆様どちらにかけますかな?赤い奴か黄色い奴か?」

 

点字で書かれた台本を読んだ。

色などもうわからぬ。

 

 

その背後には様々な軍需企業やグローバル企業の重役が立ち並んでいた。

 

 

モーガンは高笑いをした。

二号機とはわけが違う。

恐らくいるのは最新鋭のエヴァンゲリオン。

とはいえ、あれはまだ予備がある。

そして、それは複数作られている。

 

 

 

「みさせてもらうぞ、アスカ・ラングレー。そしてキョウコ・ツェペリン…。お前たちの力はいかほどかをな…。」

 

 

モーガンの盲目の目は怪しくサングラスの中で光輝いた。

 

 

 

そんなころ、同じくドイツにはある男がたどり着いていた。

テンガロンハットをつけた老人は周囲をギロリと睨み、唸り声をあげた。

 

 

「リョウジ、久々に会うな。」

 

 

そして、男は予約していた車の中に去っていったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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