太平洋深く、ケイトスに四号機は引っ張られていた。
水圧の圧力がカヲルを襲っていた。
このままでは四号機がもたない。
この機体の圧力では…。
『君だけでも逃げろ。』
声がした。
四号機の中にあるコアの魂の声か。
「いや、そういうわけにはいかない。死ぬときは一緒だ。」
『バカなことを言うな』
「悪いがこれは僕の体でもある。君は僕のいう事を少しの間だけ聞いてくれればそれでいい。」
今ここでなら全力を出せる。
すまないガギエル。
君の魂を解放させるためにも僕を全力を尽くす。
カヲルは両腕を組むを念をこめた。
その時、四号機の赤い目は光輝いた。
カヲルの手にあったマゴロクソードを引き抜いた。
赤い血が海の中に広がった。
そして、ケイトスの前に立った。
その時だった。
口の中にエヴァらしいものがあった。
あれがあるという事はコアもある。
四号機とカヲルは決意した。
「じゃあ、一緒に死ぬのを覚悟するのはどうだい。」
『悪くないな。』
四号機はマゴロクソードを持つと、突き刺すようにかざした。
ケイトスは大口を開けた。
そして、その中にあるエヴァも同じく口を開けた。
食い殺す気か。
そうはいかない。
やがて、ケイトスは四号機を飲み込んだ。
そして、その中にあるエヴァも大口を開けた。
それは四号機を飲み干すほどあった。
だが、そこにあった。
コアが。
四号機はマゴロクソードは持ち一気に力を込めて突き刺した。
ぎゃああああああああああ!!
ケイトスはまた悲鳴をあげるとその体を赤いLCLに変え消えていった。
「まだ死ぬのは遠い先だね。」
カヲルは言った。
海の中に浮かんだ四号機はやがて、海上に上がっていった。
やがて、太平洋艦隊の一つが四号機を持ち上げるのに気が付いた。
その頃、アルゼンチンでは…。
8号機がピンチに陥っていた。
クラーケンの放つ触手は8号機の手足胴体を突き刺していた。
「これで終わりか。」
マリは覚悟をした。
その時だった。
上空に青い物がみえた。
彼女は知っていた。
エヴァ零号機。
「ねえ、あれみえる?」
『死神でもみえたのかしら。』
「あなたにとってのね。」
零号機はクラーケンにとびつくと、プログレッシブナイフを突き刺した。
そして、装甲を切り裂くと中にあるコアをつかみあげた。
マリは右手を刺した触手の力が弱まったのを確認した。
そして、肩に隠していた同じくナイフをつかむとクラーケンのコアめがけて突き刺したのだった。
『ああああああああああああああああ!!』
悲鳴を上げると、クラーケンの体は膨れ上がりまるで電子レンジで焼き過ぎたパイのように膨れ上がり吹き飛んでいった。
「あなた大丈夫?」
零号機にいるレイの声が聞こえた。
8号機を通じてマリはその手をつかんだ。
「私はマリ、あなたは。」
「私は綾波レイ。」
アルゼンチンの民衆は勝利を祝った。
零号機と8号機はその主役となったのだった。
中国では大量に沸いた黄色いエヴァンゲリオンが初号機を囲んでいた。
だが、シンジにもう恐怖などなかった。
勝てる。
圧倒的な自信があった。
黄色いエヴァは初号機を取り囲むと複製されたロンギヌスの槍を四方八方から放り投げた。
「ロンギヌスの槍か、でも君らじゃ僕には勝てないんだよ。」
ビザンオオフネを構えた初号機は一回転をした。
全てのロンギヌスの槍はことごとく打ち返された。
かつて誓った。
力があるなら、僕がその力を使い世界を守ろうという決意。
それは揺るがない。
大いなる力には大いなる責任が伴う。
かつてシンジが見た映画のセリフだ。
こいつらに責任などない。
だから負けることはない。
「力とはこの世界を支えるすべてだ。その力を正しく使うのは責任と正義だ。正義は秩序のことだ。責任とは奉仕のことだ。秩序のない力や責任のない力などに負けはしない。お前らに責任も正義もあるものかッ!!!!」
シンジは叫んだ。
僕たちが戦ってきたエヴァンゲリオン。
その力を利用し人々を虐殺し破壊するまがいものども。
許しはしない。
僕がすべて裁く。
黄色いエヴァは次から次へと雲霞のごとく湧いて出てきた。
ビザンオオフネを構えると、黄色いエヴァは吹き飛んでいった。
その力の差はもはや差がついていた。
すると、不気味なことにその黄色いエヴァたちは合体を始めた。
敗北を悟ったのだ。
ドロドロに合金も肉体も溶けたかのように見えると巨大に大きな姿に姿かたちを変えていった。
そして、巨大な黄色いエヴァは初号機の前に立ちはだかった。
シンジはほくそ笑んだ。
こんな機能までついてたのか。
でも、関係ないよ。
僕は負けはしない。
そして、ビザンオオフネを持つと両手で切りかかっていった。
南アフリカ、基地では大人たちが戦っていた。
1階では高雄コウジとアンドレイが戦っていた。
お互いに取っ組み合っていた。
コウジは少し力負けをしていた。
想像以上に強い。
彼は8トントラック9台をつなぎ10mほど動かしたことがあった。
だが、こいつはそれより重く強い。
「くっ・・・・。」
コウジは歯を食いしばった。
「負けるもんか!!」
だが、アンドレイは呆れたようにため息をつくと130㎏ほどあるコウジの頭をアイアンクローの形でつかみ持ち上げた。
「うおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
コウジの頭に激痛が広がった。
アンドレイの指は鋼鉄のように固く重かった。
その指指がコウジの頭蓋骨と脳に刺激を与えた。
彼は両手をわなわなと動かし、なんとか外そうとしたが、外れることはなかった。
こんなに強い相手は生まれて初めてだ…。
コウジも身長190㎝体重140kgほどあるが、これは倍以上。
アンドレイも気が付いた。
こいつの頭蓋骨は固い。
このまま時間を書ければ砕けるかもしれないが、時間を使う気などない。
簡単に殺そう。
そう判断したアンドレイは怪力を使い、コウジの体を人形のように持ち上げると軽々と地面に放り投げた。
コウジの体は5m先の通路にとんでいった。
ゴンッ!
コンクリートの床がコウジを貫いた。
コウジはそこで気を失っていた。
アンドレイはそれを目で確認した。
動かない、死んだ。
「あんどれのかち、あんどれつよい。」
アンドレイはそう言い、背中をみせようとした。
だが、コウジの闘志はまだまだ終わっていなかった。
震える頭蓋骨を支えながらコウジは立ち上がった。
ここで負けたら加持に合わせる顔がない。
「まだ・・・まだいける!」
だが、コウジはあきらめなかった。
再びアンドレイに腰にとびかかった。
まるで子供と大人の差だ。
「おまえしつこい。」
「しつこいのは上等なんだよォ!!」
アンドレイもまたコウジの力強さ・精神力・タフネスに驚いた。
だが、彼もここで負ける男ではない。
本気で相手を殺さなきゃ負ける。
「うがああああああああああああ!!!」
アンドレイは雄たけびをあげた。
かつてシベリアのカミナリ龍と呼ばれたアンドレイは負けるわけにはいかなかった。
強い、しつこい。
こんな奴中々いない。
本気でやらないといけないな。
確信したアンドレイはコウジ首根っ子を持ち、猫を持ち上げるように掴むとと地面に乱暴に叩きつけた。
ひゅんッ!!
空気を切る音が聞こえた。
「うおっ!!」
コウジは背中から落ちた。
その際に背中を痛めたのがわかった。
3m以上の高さから落ちる。
これだけでも十分痛い。
彼の世界は一瞬、二重・三重にぶれてみえた。
コウジは悲鳴を上げる事もできずのたうち回った。
そして、上体を起こそうとした。
「うごっ!!!」
背中に電撃が走った。
恐らく背骨がいかれてしまったかも…。
「貴様…。」
コウジは天を仰いだ。
強い、強すぎる。
バケモノだ。
「あんどれ、とどめさす。」
アンドレイは足をあげるとトドメをさそうとした。
そして、コウジの腹の近くまで足が付いた。
その瞬間だった。
足が動かない!
「ばかな」
アンドレイはうろたえた。
「なめんなよォ~~~小僧がァ~~~~~~~~!!!」
コウジはアンドレイの足をつかむと立ち上がった。
背中の骨は折れている。
砕けている。
口から血が出ている。
だが知ったことではない。
こんな力と怪力だけのバカに負けてたまるものか。
そして、うろたえたアンドレイの隙をみて彼の腹部にめがけてぶちかましをかました。
「うおらあああああああああああああああ!!!!」
アンドレイの3mを越える体は浮かび上がると壁を何度も何度も突き破りながら外に出ていった。
そして、泥だらけの地面に倒れた。
コウジはその隙を逃がさなかった。
「よく覚えておけ、アンドレイ!でけえってことはなあァ~~~!!足も弱いってことなのよォ~~~~~~~~~~~!!!」
コウジは素早く倒れたアンドレイの膝にとびつくと足首をひねり上げた。
「あああああああああああああ!!!!」
「元柔道経験者をなめてんじゃねぇぇ!!!!」
「ああああああああああ!!!」
アンドレイは悲鳴を上げその足を使い、コウジの頭に蹴りを入れた。
コウジの体は4mほどふきとんだ。
恐らく鼻が折れてしまったかもしれない。
鼻血がでていた。
だが、アンドレイは中々起き上がれなかった。
足におったダメージが大きすぎる。
「しつこいおっさんのド根性、てめえにみせてくれる!」
コウジはまたアンドレイの足にしがみついた。
そして、全身の力をこめて捻り上げた。
「おまえ!!!!」
そして、アンドレイの足に電撃が走った。
やがて骨が折れる音が聞こえた。
アンドレイは悲鳴をあげて地面にのたうち回った。
「うがあああああああああああああああああああああああ!!!」
コウジは息を荒くしながら深呼吸した。
「おまえ・・・おれのあしおった。すごくいたい!!!」
「折ったよ。」
「おまえつよいな!!」
「おまえの方が強いって。力だけなら…。お前はまだ若いだろ。」
「おれ、じゅうく。」
「19か、もっと強くなるよ。技術をみにつけろ。お前は最強になるぞ。」
アンドレイはそのまま、地面に倒れ天を仰いだ。
空がきれいだった。
コウジも同じく地面に倒れた。
「なあ・・・空奇麗だな。」
「そら、きれい。」
二人はそらをみつめた。
こんなに大きい空なのに、俺たちゃ二人そろって何をやってんだか。
「おれもっとつよくなる。おまえをたおす。つぎはわざで。」
「待ってるぞ。」
コウジはほくそ笑んだ。
もう体は動かない。
アンドレイも同じだ。
もう足が動かない。
そのまま、二人は気を失っていった。
地下1階のミサトとセルゲイはお互いに技を繰り出し互角の勝負を繰り広げていた。
セルゲイは膝を何度も何度も繰り出した。
そのたびにミサトはカウンターをいれてきた。
だが、ミサトが蹴りを入れると同じくセルゲイもカウンターをいれた。
気が付けばお互いの足が腫れていた。
そして、そのまま10分も勝負は続いていた。
セルゲイは再び、得意の膝蹴りを入れた。
またミサトはそれにカウンターの蹴りを食らわした。
力は互角。
否、足の力だけならこの女俺より上かも。
「強いじゃねえか…。」
口では余裕だった。
セルゲイは焦った、蹴りでは勝負がつかない。
では拳なら。
「うおらあああああああああああ!!!」
セルゲイはミサトの顔面に殴りを入れた。
その動きは素早かった。
ミサトは対処ができなかった。
「うっ!」
ミサトの顔面は吹き飛ぶとそのまま、調理室まで吹き飛んだ。
その最中受け身をとり、ダメージをカバーするとすぐに起き上がった。
彼女は鼻の形が変形してるのを感じた。
だが、ミサトは余裕の笑みを浮かべていた。
「やるわねえ。」
ふと気が付いた。
歯の1部がとれている。
大したやつだ。
まずい、このままだと負けるかも…。
だが、ミサトは微笑んだ。
危険な状況にいけばいくほど微笑みが浮かんでくる。
それをみたセルゲイも微笑みで返した。
「お姉さんも、大したもんだ。」
セルゲイはオールバックの金髪を輝かせると追撃のパンチを食らわせようとした。
だが、ミサトはそれをすぐにかわした。
素早い。
セルゲイはわかった。
この女の武器はこの素早さ。
彼はミサトを一瞬見失った。
どこだ…。
ふと気配がした。
彼女はセルゲイの0.5m近くにいた。
ミサトの整った顔立ちは輝いていた。
そして、彼女はしゃがむとアッパーカットをセルゲイの顔面にぶちあてた。
「ぶおっ!!」
セルゲイは大きくたじろき、地面に倒れた。
これで終わりなわけがない、ミサトはわかっていた。
その考え通りだった。
セルゲイは数秒後、起き上がると感動するかのように言った。
「やるねえ。」
そして、唾を吐いた。
その中には血が混じっていた。
口からは血が流れているようだ。
「アンタもね。」
ミサトは微笑んだ。
そして、攻撃しようとしたその時だった。
「待ったァ!!!!!!!」
「なに!?」
「腹減った!ストップ!!!」
ミサトは目を白黒させた。
すると自分も空腹だったことに気が付いた。
そして、ここは調理室。
二人の考えは一つだけだった。
腹が減ったので何か食う。
テーブルの上にフライドチキンがあったことにミサトはきがついた。
その一つをとると、ミサトは勢いよくがっついた。
セルゲイは冷蔵庫からローストビーフを取り出して原始人のように食いついた。
「チキン食べる?」
「いや、俺は鶏肉は食えない。アレルギーだから。」
なんだろう、この飄々とした感じ嫌いにはなれない。
両者の中にはそんな感情が芽生えていた。
恋愛でも友情でもない、何か別の感情。
それに憎悪はない。
ミサトとセルゲイはたらふく食べると、そのまま再び向かい合った。
「いくわよ。」
「来い!」
先行はセルゲイだった。
素早く、ミサトの足にローキックを食らわした。
「うっ!!!」
ミサトは悲鳴をあげた。
だが、ここで負けるわけにはいかない。
彼女は冷静にしゃがむと、二発のローキックをお返しで放った。
「うおっ!」
セルゲイは悲鳴をあげた。
足が少し崩れてきていた。
だが、痛みを我慢するとセルゲイは右足を使いミサトの顔面にめがけて蹴りを食らわそうとした。
これで死ぬはず。
だが、ミサトはよけなかった。
それどころか、寸前でセルゲイの蹴りを右掌で受け止めた。
「ぐ!」
ミサトの掌に電撃が走るのを感じた。
だが、受け止められたことで蹴りの威力は相殺された。
「うっ!」
セルゲイの顔に焦りがみえた。
こいつマジで強い。
ミサトはその隙を見逃さなかった。
そして、大きく飛び上がると左膝をセルゲイの顔にぶち当てた。
「おごっ!!」
そして、動きが鈍ったセルゲイの背部に回り込むとそのまま持ち上げた。
「これが…ジャーマンスープレックス!!!」
そう言うと、ブリッジをつける形でセルゲイの背中に大きな打撃を与えた。
「姐さん、アンタ…強い。」
セルゲイはそれだけいうと地面に倒れた。
背骨の一つがひびがいってるのでもう動けない。
ミサトは起き上がると、セルゲイに名刺を渡した。
「アンタ、こんなところでチンピラせずにあたしのところにきなさい。専属ボディーガードとしてこきつかってやるわ。」
「バカな女だ。」
セルゲイはそのまま地面に倒れ気を失っていった。
ミサトは勝利を確信すると、加持を追い地下に走っていった。
加持とモーガンはお互いに構えた。
どちらが先に攻撃をするかわからない。
そんな緊張があった。
加持は素早かった。
44マグナムを持つと、モーガンの顔に向かって放ったはずだった。
モーガンは消えていた。
彼は加持よりももっと素早い。
どこだ。
加持が焦ったその瞬間だった。
「ぐっ!!!」
ふとももが痛い。
激痛が広がる。
切り傷があった。
この一瞬でやるなんて…。
加持は片膝をついた。
「君は大したヤツだ、だが私ほどではない。」
背後だ。
背後にいた…。
老人は背後で刀をもって、ほくそ笑んでいた。
「降参するかね。」
だが、加持には秘策があった。
その顔は余裕の笑みがあった。
「しないさ。」
モーガンは勝ち誇ったようにいった。
こいつ、中々楽しませてくれるな。
こんな奴が数人いれば…もっと楽しいのにな。
「君のほどの逸材を殺すわけにはいかん。私とともに来い。」
「いやだね。」
加持はすぐさま断った。
モーガンは不思議に感じた。
一人聞きなれない声を感じる。
音楽が邪魔をして聞き取れない。
音楽があると、集中力が下がる。
俺のいる周囲では音楽は禁止にしていたのに、なぜだろう。
まあいい、気にすることではない。
モーガンはほくそ笑んだ。
「断るなら、死んでもらおうか。」
勝った。
俺の勝ちだ。
そのはずだ。
だが、次の瞬間加持は笑っていた。
「ハハハハハ!!!」
「その筋肉の動き、笑っているのか。」
「なあ、なぜ俺が余裕かわかるか?俺だけじゃないんだよ。俺は葛城なんかとは違う。素直にお前とのゲームに真正面から参加する気はさらさらないのさ。真っ向勝負?冗談じゃない。」
「なに!?」
「お前の相手はもとより、これからくる連中だ。俺はこいつが来るまでの時間稼ぎなんだよ。」
加持は指を鳴らした。
すると、ドアが開いた。
その中にはギターを持った青年がいた。
加持はこの青年を知っていた。
青葉シゲル。
ミサトの部下で同僚。
「なに!?貴様・・・・どういうことだ。」
モーガンは目が見えない。
何が起きてるかわからないのだ。
「アンタ、目が見えない代わりに音が聞こえないんだろ。だから聴覚がよくなった。わかるぜ。」
青葉は微笑んだ。
その耳にはオールドスタイルなSDATがあった。
「じゃあ、本当の『音』って何か聞かせてやるよ。」
青葉はそして、ギターを響かせた。
ギャーン!!!!
ギターの音はモーガンの周囲を取り囲んだ。
頭に響く音にモーガンはたじろいた。
常人の倍以上に耳がいいモーガンにとっては音は弱点。
加持が考えた策はその長所を逆につくことだった。
「貴様ら・・・・。」
それだけではなかった。
脇には洞木ヒカリがいた。
ヒカリは微笑んでいた。
フライパンを持ったヒカリはお玉とそれを重ねわせて大きな金属音を響かせた。
ゴンッ!
そして、何度も繰り返した。
ゴンッ!ゴンッ!ゴンッ!ゴンッ!ゴンッ!ゴンッ!ゴンッ!
「へっへへ、このためだけにアフリカゾウを観れるなんて夢のようだわ!」
フライパンの金属音とギターの音はお互いに反響し合うとモーガンの聞きすぎる聴覚を刺激した。
「う、頭が・・・・」
モーガンの頭の中には騒音が響いた。
激しい頭痛が彼を襲った。
そう、加持の戦略はこれだった。
ミサトに頼み二人を援軍でよこした。
ウエストは二人を積荷に乗せ馬と運びながらトラックに持ち込んでいた。
見張りを倒したあと、戦っている隙にウエストがこの二人を導くというもの。
「言っておくが、これだけで終わらないぞ。」
その瞬間だった。
「おじさん、なんでアタシがこんなことしたかわかる?」
「なに?」
「あなた向けにスペシャルゲストを用意したのよ。」
ヒカリはそういうと耳栓をつけた。
加持と青葉も同じく耳栓をつけた。
これからなにがおきるかわかっていたからだ。
「秘密兵器だ、喰らえ。」
加持の秘密兵器はヒカリのリュックサックからとびでた。
「くええええええええええええええええええええっ!!!!くええええええっ!!!くわくわくわくわわぁぁ!!!!!!くぅわああああああああ!!!!」
甲高い叫び声が響いた。
ミサトのペットのペンペンだ。
長旅でストレスが溜まっている。
怒りの声だ。
「ぐ・・・・。」
モーガンは頭痛を耐えながら立ち上がろうとした。
そして、ヒカリは小さい黒板を取り出しペンペンの前にもってきた。
「はい、ペンペン。」
すると、ペンペンは怒りを黒板にぶつけた。
長くとがった爪は黒板をひっかいた。
何回も何回も。
ッギギギギギギギギギギギ・・・・・!!!!!!!!
ヒカリも加持も青葉も思わず目をつぶった。
観るだけでその音を思い出すからだ。
だが、モーガンはそれ以上のダメージを受けていた。
彼は耳を抑えて地面に倒れ込んだ。
そして、もがき苦しみながら仕込み刀を離した。
「おおおおおおおおおおあああああああああああああああ!!!!!」
ペンペンの甲高い声と黒板をひっかく音、ヒカリのフライパン、青葉のギター。
これらは地獄のような反響音でモーガンを襲った。
異常聴覚、それは長所であり短所だ。
加持はヒカリからメガホンを手渡された。
「まだいくぞ。」
そして、メガホンはハウリングの音を出した。
ごおおおおおおおおおおおおん!!!!
モーガンの頭中に電撃が走った。
「うわああああああああ!!!!」
モーガンは頭を抱えて悶絶していた。
これで終わりにするわけがない。
加持は叫んだ。
「元気ですかああああああああああああああああああああ~~~!!!」
その声は基地中に響いた。
「も、もうやめろおおおおおおおおお!!!」
モーガンは地面に倒れ込んでいた。
だが、加持はやめなかった。
「元気があればなんでもできるッ!!!!いくぞ!!!いちぃ!!にぃ!!!さぁん、ダァー!!!!!!!!」
加持の大声はさらにモーガンを苦しめた。
おまけにハウリングが続いたのだ。
これのせいで余計に頭痛が広がっていった。
脳が揺れ始めた。
耳を抑えようとしたが、聞こえてしまう。
効果はてきめんだった。
モーガンはこのままでも負けだ。
だが、念には念を入れる必要がある。
「さあ、そろそろくるかな。」
加持はそういった。
同じタイミングだった。
ドアが蹴破る音が聞こえた。
ミサトだ。
今回の作戦の最大の締め、それはミサトだ。
「いい?このことは誰にも言わないでね!!!」
加持はマイクを手渡した。
ミサトは大声で歌い声をあげた。
再びハウリングの音が聞こえた。
ごぼおおおおおおおおおおおおん!!!
思わずその音の大きさにヒカリも青葉もペンペンも吹き飛びそうになった。
その時青葉は気が付いた。
「あ、そうだ。葛城さんって…。」
「なに!?」
ヒカリは聞いてみた。
青葉はヒカリの方に振り向くと頭を抱えていった。
「オンチなんだ。」
「・・・・・へ?」
ミサトはオンチだったのだ。
「ずぁああああああああああああああんんんんんんんんんんんんんんぐぉぉぉぉぉごああああああああああああああうぐぅううううううううううぬわあああああああああああああああああああああでぇぇんじぃいいいいいいいのようにいいいいいいいいいいいいいい!!!!」
ミサトのオンチすぎる声はモーガンの頭を刺激した。
もう耐えられない。
それはモーガンだけではない、その場にいる全員が頭を抱えそうになった。
「そ、想像以上ね…。」
「ずっと前にカラオケいった時はマイクが3本壊れちゃって…。業者から請求書が届いたんだよ。」
「くえー…。」
ヒカリ・青葉・ペンペンはおもわずあっけにとられていた。
加持はそんなミサトをみて笑い死にそうになるほど笑っていた。
「葛城、よかったな!お前のオンチさが世界を救うぞ!」
やがて、ミサトは数分かけて歌を歌い終えた。
そのオンチさは天を揺るがした。
そんな3人の反応をみて、ミサトの顔は赤く風船のように膨れ上がっていた。
もう加持とはしばらく会わない。
「絶対に、こんなことであいつを倒したってみんなに言わないでね!!!」
モーガンは地面に倒れ込んだ。
顔は青ざめている。
加持はほくそ笑んだ。
「俺のが上手だったな、お爺さん。」
狡く卑怯に姑息に相手の弱点・隙をつく、これが俺のやり方。
葛城と俺は全く違う。
加持は勝利に酔いしれた。
「これで終わりだ!」
加持はモーガンの顔面に蹴りを入れた。
モーガンの顔に激痛が走り、地面に吹き飛んでいった。
そして、素早く加持は手錠をして縛りあげた。
「俺の勝ちだったな。モーガンさん。」
モーガンは大きく息を吐いた。
ようやく音地獄から解放されたのだ。
鼓膜が破れそうになった。
頭痛はまだする。
「やるじゃないか…、坊や。卑怯も立派な戦法。人徳は武器だ。俺の負けだ。」
すると、ドアからウエストがやってきた。
少し口から血を吐いていたが、外傷はなかった。
「みんなご苦労だった。あとは俺と小僧の出番だ。」
加持はウエストをみた。
口から血が出ていた。
「ウエスト!」
ウエストの肩を抱くと、そのまま加持は持ち上げた。
「アンタ・・・まさか・・。」
「ガンさ。黙っててすまん。」
ミサトはヒカリ・ペンペン・青葉の背中を押した。
逃げようという合図だ。
ミサトは振り向きざまに加持にあるUSBを渡した。
「ここにリツコと時田さんお手製のウィルスがあるの、やっちゃって。」
「ああ。」
「あとは任せた!」
ミサトは青葉たちを連れるとそのまま姿を消していった。
ウエストは加持に抱えられると椅子に座った。
「よう、モーガン。」
「よう、ハリー。」
「お互い歳を食ったな。」
「それはてめえだけだ。」
ウエストとモーガンはお互いに憎まれ口を叩いた。
その中には友情があった。
加持は微笑んだ。
「タバコ吸うか。」
「てめえはガンだろ。おいぼれ。」
「お前もおいぼれだろ。」
ウエストはモーガンにタバコをくわえさせた。
モーガンは煙草を吸うと大きく息を吐いた。
「おまえの目、俺を庇って…失った。俺のせいだよ、モーガン。すまん。そのせいでお前をこんな仕事なんかに…。」
ウエストは謝罪した。
その語尾には力がこもっていた。
「よしてくれよ。」
「おい、俺にも吸わせろ。」
加持はタバコをもって近くによった。
ウエストは火をつけた。
「お前もおっさんだな、リョウジ。」
「お前は爺さんだろ、ウエスト。」
ウエストと加持は再会して初めて笑顔になった。
「俺を家族として認めてくれるか、リョウジ。」
「ああ…。」
ウエストは力なく倒れ込んだ。
口からは血が出ていた。
そして、大きくせき込んだ。
そこには血があった。
もう長くはないのだろう。
ウエストは覚悟をした。
「早くいってこいよ、リョウジ。」
「ああ、そうだな。」
加持はUSBメモリを持つと、メインコンピューターにつなげた。
そして、開いた。
「これで決まりだっ!!」
やがてすべてのメインコンピューターは一斉にダウンした。
あらゆる新型エヴァは機能停止をした。
その時だった。
ドアが開く音が聞こえた。
そこには警備兵がいた。
手には銃を持っていた。
ウエストはそれに気が付いた。
だが、加持はきづいていなかった。
銃は明らかに加持を狙っていた。
「ちっ!!!」
ウエストは最後の力を振り絞り、加持の前に躍り出た。
彼の体は銃弾を受け止め地面に倒れ込んだ。
銃声は残酷に響いた。
その音で加持は気が付いた。
そして、44マグナムの火を噴いた。
警備兵の胸は吹き飛び、大きく地面に倒れた。
加持は気が付いた。
恩人が、義理の父が、血を流しながら倒れていることに…。
「ウエスト!!!!!」
モーガンは何もできなかった。
ようやく会えた親友。
それが目の前で自分の部下によって死んだのだ。
「ウエスト…。」
モーガンは小さくつぶやいた。
加持は地面に倒れる恩人を起き上がらせようとした。
「ダメだ、まだ死なせない。」
すると、脇をみるとコウジもようやくたどり着いていた。
彼の鼻と口からは血が流れていた。
「ウエスト!!!」
コウジは痛みを抑えながら恩人のもとに駆け寄った。
加持とコウジは恩人のそばへと近づいた。
モーガンも上体を起こすとウエストの近くへ寄った。
「クソジジイが…。」
モーガンは盲目の目から涙を浮かべていた。
ウエストは笑っていた。
「俺は幸せもんだ、最後の最期に親友と家族と再会できた。最低なことをお前らにしちまった。大事な時にはいてやれねえで…すまねえなお前ら。」
加持は震えながらウエストの体を起こした。
「ようやく会えたのに。」
この長い間、スパイになったのもはこいつとの再会を求めていたのも理由の一つだった。
ずっとずっと見捨てられたと思っていた。
だが、俺は傷つけた。
大事な人を。
逃げ続けていた。
責任から…。
こいつを悪く言う資格なんかない。
加持はそう思った。
「逃げていたのはアンタだけじゃない。俺もそうだったさ。アスカが怖かったんだ。アスカの愛が…。でも違った。本当に怖かったのは俺は、責任をとることだ。愛を受け止めることが怖かったのさ。」
義父に慰めの声をかけた。
加持の膝の上でウエストは微笑んだ。
「リョウジ。あの赤髪の女の子を大事にしろ。」
「ああ。」
ウエストはコウジの方に向いた。
「コウジ、お前はこいつの兄弟でいてやれ。」
「わかった!」
コウジは大粒の涙を浮かべながらうなづいた。
彼の涙をぬぐうと、次はモーガンの方を見つめた。
モーガンは怒りの声をあげた。
「こんなことは許さんぞ、ウエスト!お前とはまだ話すことが山ほどあったはず…。なぜだ!!!」
モーガンは怒りで震えていた。
恐らくは自分がやったことへの後悔もあるのだろう。
「すまん、友よ。」
かつての友人に謝罪の言葉を言った。
モーガンは静かに怒りの唸り声をあげた。
悲しみを怒りで隠しているのだと加持は確信した。
そして、事切れようとしてる老人は加持の方をみつめた。
「最後に俺を親父として認めてくれるか?」
加持は涙を浮かべた。
その涙はウエストの頬にもつたっていた。
「ああ、最高の親父だったよ。」
加持は思わず言ってしまった。
「俺をようやく親父といってくれたな。」
ウエストはそういうと、とうとう動かなくなっていった。
息が途切れて寒くなっていくのがみえた。
コウジは大粒の涙を流しながら、義理の父をの死を見送った。
加持はウエストの亡骸を抱いた。
強く、強く抱きしめたのだった。
それと同じくだった。
中国にいた巨大な黄色いエヴァは崩れ落ちていった。
肉塊に、やがてはLCLに…。
余りのことにシンジは面を喰らった。
「何が起きたんだ。」
シンジたちの知らないところで天空に上がっていた他の黄色いエヴァもLCLに代わると海の中に消えていった。
それはオーストラリアにあるゼウスには無関係だった。
ATフィールドは以前、何重にも張り巡らしアスカを押しつぶそうとしていた。
その時だった。
「アスカちゃん。」
声がした。
その声にアスカは聞き覚えがあった。
「ママ!?」
その時だった。
弐号機の目は白く怪しく光り輝いたのだ。
次回、アスカがとうとう覚醒します。
これを書いた後+エピローグを書いて終わりにします。