加持とアスカが世界を守るために戦う話   作:井上ああああ

9 / 10
エピローグ

新型エヴァとの戦いが終わった。

 

加持とコウジはアメリカの墓地に訪れ、ウエストを家族の墓の中に納骨した。

その際に、彼の親族とあうことができた。

 

ウエストの遺族は妹であった。

牧場をしていたらしく、加持は南アフリカで連れてきた馬を引き取ってもらうことにした。

 

 

彼には妻はいなかった。

忙しい状況であったのか、できなかったのか。

いずれにせよ、彼には子供はいなかった。

本当に加持とコウジが子供代わりだったのだ。

それどころか、ウエストはもう30年以上、アメリカに帰っていなかったのだ。

 

 

葬儀には手錠をかけたモーガンも参列していた。

モーガンは暗殺組織を解散にした。

やがて、彼が知っている今回の一連の騒動に関わったリストの公表を恐れた権力者の手によって、モーガンは死刑を免れた。

 

 

これらの計らいもすべて、ソーンバーグのおかげだった。

どうやら彼も粛清を免れたそうだが、左遷されることとなった。

加持は彼を友人として認めることにした。

そして、友人としてこれからは間接的に情報をくれるそうだ。

知人を介して。

 

 

彼がつかんだ情報によるとアメリカ政府は国連軍からの脱退を検討し、その段階的な策としてヴィレに近い人物を牽制していくのではないかといわれている。

ソーンバーグはその上司の代からウエストと連絡を持ち、加持のことを知らせてくれたそうだ。

 

 

 

やがてモーガンの一味の多くは刑務所に送られた。

コズロフ三兄弟は三人そろってアルカトラズ刑務所に送られ、そこで仲良く暮らしているそうだ。

だが、兄弟の内二人はリベンジに燃えているという事を加持とアスカは聞いていた。

 

ソナだけは行方不明となっていた。

彼女だけは捕まらなかった。

 

 

フリッツは死刑判決を受けた。

彼の持っている知識を恐れた多くの人間が決めたことだ。

彼に全責任を負わせて消えるだろう。

加持は結局、彼と繋がった多くの人間が雲隠れすることを歯がゆく感じた。

結局のところ、真実は全てわかるわけではない。

 

 

そして、悪が消えることもない。

ゼーレのメンバーの多くは新陳代謝とともに新世代に移行されるだろう。

 

 

加持はふとそう考えながら、ドイツのある地方へやってきた。

車の助手席にはアスカがいた。

 

 

「いってくるわ。」

 

 

「あぁ…。」

 

 

加持はふとアスカを見送った。

後ろの席にはケンスケとマリがいた。

二人も気になるようで窓から心配そうにみていた。

 

 

アスカはゆっくりと歩いていった。

周囲は野原で溢れていた。

その先にレンガ作りの古風な家があった。

 

アスカはこの家に見覚えがあった。

ほかならぬ生家、アスカが幼いころに過ごした家であったのだ。

ここに来るのは10年近く久しぶり。

日本にいってから、アスカは父や義母のことなど忘れていた。

 

 

今回、父と会う事を決めたのは加持の事もあったからだ。

加持は義父とその死の間際に和解した。

加持さんに相応しい女になるための最終テスト。

 

それは父を許すことだった。

加持さんは許したのだ、私も許そう。

 

 

 

自然が戻ってきたのか、野原には緑色が広がっていた。

 

 

その先にはドイツ表記で「ラングレー」と書かれていた表札があった。

 

 

アスカは息をのんだ。

連絡はしていない。

まだ生きているかはわからない。

遠いうわさで死んだのではないかとも聞いたことがある。

 

 

アスカは連絡などできなかった。

誰ができるのだ。

母を捨てたと勝手に見捨ててしまった父に擦り寄ることなど…。

 

 

だが、今回祖父は生きていた。

悪人であったが、彼のおかげか…母のことを知りたくなった。

知っているのはもう一人しかいない。

 

 

 

アスカはドア近くまでくると、ベルを押そうとした。

 

 

 

が、腰が引けた。

今更来て、許してくれるのだろうか。

 

 

 

「逃げちゃダメでしょ、アスカ。」

 

 

自分にそういうと、アスカはベルを押した。

 

 

やや数刻あり、ドアは開いた。

そこには、父がいた。

すっかり、白髪が見え始めていた。

だが、顔立ちのくっきりしたハンサムな顔は相変わらずだった。

 

 

 

 

「やあ、アスカ。」

 

 

 

生きていた。

噂は噂でしかなかった。

父は生きていたのだ。

 

 

「パパ…。」

 

 

「アスカ…。」

 

気が付けばアスカは父を抱きしめていた。

 

 

 

アスカはふとみた。

脇には義母がいた。

彼女もすっかり老けていた。

 

二人の間にできた子供も、14歳になっていた。

小さい子供は美少女になっていた。

 

 

捨てたはずの家族。

それらは彼女を温かく迎えた。

 

彼女はふと、後ろをみた。

そこには車の中から加持と友人たちが見守っていた。

加持たちは車を停めると、ぞろぞろと歩いてきた。

 

 

アスカはようやく気が付いた。

エヴァパイロットでなくても自分を受け入れる存在。

 

 

それはここにいた。

 

 

アスカはずっと否定ばかりしていた。

だが、覚えた。

許すことを。

加持がそうしたように、自分も許そう。

そして、彼が死ぬ前に一度あっておきたい。

 

 

やがて、加持とアスカの友人たちもアスカの家に入り込んだ。

 

 

 

「ママのことが気になるか。」

 

 

「お祖父ちゃんにあったの。」

 

 

「実はボクもあの人は好きじゃなかったな…。いつもキョウコをなじっていた。可哀想なぐらいに…。ボクもなじられた。甲斐性なしだってね。」

 

 

アスカの父はしんみりと語った。

その目には涙が浮かんでいた。

 

 

「もしも、ボクがしっかりしていれば…キョウコはエヴァに取り込まれずに済んだ。」

 

 

「いいえ、パパのせいじゃないわ。」

 

 

アスカは拳に力を入れた。

父のせいではない。

 

祖父のせい。

全ては祖父が仕組んだ罠だった。

祖父は都合のいい駒を作るため、母をあえてエヴァに取り込ませた。

そして、その結果母の魂の1部は吸われてしまった。

精神崩壊を起こしたのは祖父のせいだ。

 

 

 

「だが彼女を見捨てた時点で罪があるんだ。」

 

 

 

 

確かに見捨てたかもしれない。

だが、年齢を重ねてようやくわかった。

 

父は寂しかったのだ。

母が狂ってしまったあの時、父はさみしくなったのだ。

その時に義母とであった。

愛し合うのは仕方ない事だった。

 

愛の形はそれぞれだ、父は今でも母をいろんな形で愛している。

それだけは間違いない。

 

 

「なら、その罪を私と一緒に清算していきましょう。」

 

 

 

アスカは父に声をかけた。

もう子供ではない。

父を許すときがきた。

 

 

 

 

 

「アスカ…パパを許してくれるか?」

 

 

「ええ…。」

 

 

加持はそんな二人のやり取りを黙ってみていた。

ケンスケは思わず泣いてしまい、マリに慰めてもらっていた。

義母はそんな二人をみて、釣られて泣いていた。

 

 

「あの子があんなに…。これもすべてあなたがたのおかげです。」

 

 

加持は否定した。

 

 

「自分たちは何もしていません、彼女がみつけた結果に過ぎないのです。」

 

 

本当だ、謙遜ではない。

加持は何もしていない。

アスカは自分で答えをみつけた。

だが、彼女の義母は否定した。

 

 

「いいえ、違います。あの子はあなたに愛されて大人になったのです。」

 

 

加持も少し考えなおした。

 

 

「かもしれません。ですが、自分には何もわかりません。」

 

 

 

その夜、アスカと加持たちはアスカの父たちと和解のホームパーティーをして過ごした。

 

 

 

 

 

午後1時、周囲はもうすっかり眠っていた。

ケンケンとマリは同じベッドで。

アスカの父と義母も。

アスカの義妹も眠っていた。

起きていたのは加持とアスカのみ。

 

 

 

加持はふと車の上で夜空をみていた。

アスカはココアを持ってくると加持に手渡した。

 

 

 

「飲む?」

 

 

「寝れなくなるぞ。」

 

 

「寝なくていいよ。」

 

 

星々が戻ってきている。

季節が戻ってきているからだ。

 

 

 

「お前に渡すもんがある。」

 

 

加持は空を観ながら話した。

すると、彼は恥ずかしそうにアスカの手に何かを渡した。

それは指輪だった。

婚約指輪だ。

 

 

アスカが断る理由はなかった。

 

 

 

「不器用な人ね、あなたって‥。」

 

 

 

加持はアスカを肩に抱き寄せた。

アスカは加持の腰に手を巻き付けた。

二人は毛布もきずに、車の上で過ごした。

 

 

 

 

数日後、イタリア・・ローマ。

ヴィレEU支部に再びサイレンが鳴り響いた。

 

 

 

「今度は何だ!!」

 

 

加持がかけよった。

モニター席にいたケンスケは叫んだ。

 

 

「エヴァでも使徒でもない、ロボットだ。」

 

 

加持は目を見開いた。

 

 

「ロボット!?」

 

 

すると、モニター上に巨大なロボットの怪獣が暴れているのがみえた。

まるでハリウッド映画の怪獣のようだ。

怪獣は巨大なゴリラの姿をしていた。

恐らくはテロリストグループがエヴァやJAの技術を応用して用いたもの…。

 

 

 

「加持さん、オーバーザレインボウから連絡だ。」

 

 

 

ケンスケはモニターの画面とパソコンの画面をつないだ。

 

 

 

「加持くんかね。」

 

 

「お久しぶりです、艦長。」

 

 

「国連から出動要請だ。イタリアンマフィアがイタリア政府と揉めて報復としてあのバケモノを街に解き放った。300人をすでに殺している。あのままではとんでもないことになる。」

 

 

すると脇からアスカが来た。

 

 

「私の出番ね。」

 

 

アスカは勝ち誇ったように微笑んだ。

腰に手を当てていた。

すっかり自信が戻ってきたようだ。

艦長はアスカの顔をみると力強く微笑みうなづいた。

 

 

 

「そうだ。君の出番だ。やってくれ。」

 

 

アスカはピースサインをした。

艦長もそれに無言でピースサインをして答えた。

加持はアスカに微笑んだ。

 

 

 

「任せるぞ。」

 

 

 

 

アスカは加持に了承のサインを送ると、ケイジへと向かっていった。

 

 

 

その頃、ローマでは巨大なゴリラのロボット怪獣が暴れ狂っていた。

80mあるそれは巨大な腕を振るい街を破壊していた。

その口から機械音交じりの声が響いた。

 

 

 

『愚かな市民どもよ、この怒れるゴーグ様が裁きを与えてくれる。』

 

 

 

国連軍はミサイルや爆撃機で応戦したが、効果があるようにみえなかった。

 

 

その時、赤いシャツを着た少女がでてきた。

母親は悲鳴をあげた。

少女は玩具のライフルを向けると、ゴーグと呼ぶそれに応戦しようとした。

 

 

 

『ふはははははは!!愚かな小娘よ、ここで死ぬがよい!』

 

 

 

ゴーグはそういうと、掌をかかげ光線を浴びせようとした。

だが、その時だった。

 

 

 

 

「アンタの相手はこの私よッ!!!!」

 

 

 

スピーカーの音が響いた。

ゴーグは振り向いた。

そこには天空から降っていたエヴァ弐号機がいた。

 

 

 

「私がいない間、ありがとう!今は退避しててね。」

 

 

弐号機は少女に向かってピースサインをした。

少女の母親は娘を抱くと遠くへと逃げた。

そのわきに抱かれた少女もそれに応じるかのようにピースサインをした。

 

 

『仲良しぶりっ子、楽しいかい!?』

 

 

女の声だ。

音声回路を通じて加持は言った。

 

 

「その声、モーガンの手下だった。ソナって女だ。行方不明になったが、まさかここでロボット怪獣に乗ってくるとはね…。そいつに聞きたいことがあるから生かして連れてきてくれ。」

 

 

アスカは弐号機を通じて指を指した。

 

 

 

「アンタ如きにやられはしないッ!!!」

 

 

 

その声を聴くと民衆は歓声や拍手を出した。

拍手と歓声はうねり声になるとアスカを称えた。

アスカは両手をあげて、その声にこたえた。

 

 

 

「いやー、あたしってもうヒーロー?」

 

 

 

そして、ゴーグに向き直って聞いてみた

 

 

 

「あ、そうだ!降伏をするなら、無傷でその機体も傷なしで許してあげるけど…どう?」

 

 

『フハハハハハ!!!降伏などしない!!!アンタはここで死ぬんだよ!!!その後でここにいる全員を殺してやる!!!私はこの宇宙の支配者になるのよ!!!』

 

 

「あっそぉ~か、じゃあ、戦いってことでいい?」

 

 

『もちろん!!!』

 

 

 

ゴーグと呼ばれるロボット怪獣はナックルウォークで歩きながら弐号機に向かってきた。

アスカは微笑みを浮かべた。

 

 

 

「かかってきなさい。」

 

 

 

両者はコロッセウムを前に向かい合った。

そして、二体の拳は重なり合った…。

だが、強いのは二号機であった。

弐号機の拳はゴーグの拳を砕き、顔面に到達した。

やがて、ゴーグの顔面は1部が砕けるのがアスカはみえた。

 

 

それをみて、アスカは微笑んだ。

強く、誰よりも強く微笑んだ。

プライドなどどうでもいい。

今はただ、この目の前にある世界を守るために自分は戦う。

 

 

アスカはそう誓ったのだった。

民衆は赤い色の守護神を歓声とともに迎え入れた。

 

 

 

 

 

アラスカ。

そこにはフリッツ専用の独房があった。

強力な硬化ベークライトでできた鉄格子と鎖は彼を縛り付けていた。

その前を装甲をみにつけた特殊部隊が見守っていた。

アダムの腕は切り落とされた。

死刑になるともいわれている。

 

 

 

だが今に観ていろ、必ず帰ってくるぞ。

 

 

フリッツはそう誓っていた。

そんな矢先だった。

サイレンは鳴り響いた。

 

 

フリッツも困惑の表情を浮かべた。

何事だ。

誰の差し向けた考えだ。

 

 

 

そして、巨大な鉄格子でできていたドアは無理矢理こじ開けられた。

 

 

「止まれ!何者だ!」

 

 

警備兵は銃を向けた。

だが、中から出てきた男は片手を持ち上げた。

 

 

「構わん、撃て!」

 

 

警備兵たちが銃を浴びせたが、その男の片手は銃弾を次々と粉砕していった。

そして、フリッツの目にすら止まらない素早さで動くと次から次に警備兵たちを殺害していったのだった。

フリッツを助けたその男は片目しかなかった。

そして、その片腕は義手。

 

 

 

「フリッツだな、私はアーノルド・ウィルソン元大佐。お前に手を貸してほしいことがある。」

 

 

 

義手の男はそう言った。

フリッツはほくそ笑んだ。

 

 

 

「第一始祖民族を滅ぼした奴らが帰ってくるかもしれん。共に手を貸せ。これは宇宙の命運がかかっているのだ。」

 

 

 

フリッツは高笑いをあげた。

やはり、その時が来たか。

 

 

 

現実と虚構が混ざり合った世界より破壊的生命体…否、神が迫ってくる

かつて第一始祖民族を滅ぼしたがごとく。

最後の戦いの時はきたれる。

私が多元世界への侵略を始めようとしたのは、この生命体を滅ぼすため…。

 

いや、生命を越えた生命。

神。

 

 

破壊の神は海から現実と虚構の世界からやってくる。

その下僕たる四つの王たちとともに。

その時空が光り輝き、もう一つの神がくる。

 

 

 

「いこうか。」

 

 

 

 

 

その時が近い。

 

 

 

 

 

to be continued….

 

 

 

 

 




次回、ということで、別枠でシリーズ最終作をします。
最終作はある作品とのクロスオーバー。
主人公はカヲルとレイ、マリ…そして意外な人物!?
お楽しみにしてください。


次で本作の設定・登場人物紹介・最終章の告知で本作は完結ということにさせていただきます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。