過去と未来に送れる手紙があった時、どうするか
それによってどんな影響があるのか


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思い付きで書いたウマ娘の短編小説です。
作者は時間改変系の小説は初めてなので結構ガバいと思いますが、隙間時間にでもどうぞ。


テイオー「未来と過去に送れる手紙?」

 三冠ウマ娘になったボクはご褒美にトレーナーが「三冠になったその時に開けてくれ」と言った箱を開けることを決心する。トレーナーは今入院中だ。少し前から体調が悪いのに無理してボクの試合を見に来たから倒れてしまったのだ。だから、トレーナーがいない今、一人で開けることにする。

 中に入っていたのは封筒だった。その中には紙切れが入っていた。

『この封筒の中に入っているピンクの紙は過去へと送られる手紙となり、青の紙は未来へと送られる手紙となります』

 どういうこと?とボクは思って、更に封筒を漁ってみると、ピンクの紙と青い紙が何枚か入っていた。

 そうだ。よく分からないけど取り合えず書いてみよっと。

 ボクはピンクの紙に「ボクは三冠ウマ娘になれたよ」と書いて封筒に入れた。その後確認すると入れたはずのピンクの紙は消えていた。間もなく頭痛が走った。ボクは安心した。

 もっと書いてみよう。今度は青い紙だ。「ボクは今すっごく嬉しいです。全部トレーナーのおかげ!トレーナーが大好きって気持ち、伝わってるかな?」と書いて封筒に入れた。その後ピンクの紙は消えた。

 ボクはその封筒を持ってトレーナーが入院している病院に向かった。トレーナーはボクが思ってるよりずっとキツそうだった。それにもかかわらず笑顔でボクを迎えてくれて、「おめでとう」「ごめんな」と言って頭をなでてくれた。お礼を言いたいのはボクの方だよ!

 家に帰った。封筒を漁ると、手紙が入っていた。青い手紙だ。「今すぐトレーナーの元を去って。契約も解除して。疑うだろうから次のマックイーンが出る試合の順位の結果をここに記します。一着――、二着――、三着―――」

 意味が分からない。ボクはこの手紙の存在を信じられなくなった。元々そんなに信じていたわけじゃないけど。でも、あれ?ボクはトレーナーにこの封筒の事を聞きたいんだったでもなんで聞かなかったんだろう。

 次のマックイーンの試合を見に行くと、その順位は手紙と全く同じだった。ボクは怖くなった。

 ボクはピンクの紙に「トレーナーに無理をさせないで」と書いて封筒に入れた。その直後、足がズキンと痛んだ。でもトレーナーの痛みに比べたらへでもないや。

 青い手紙がやってきた。「必死にテイオーが俺との距離を離さそうとしてくる。ありがとうな」手紙にはそう書かれていた。字からしてトレーナーの書いたものだ。

 トレーナーのお見舞いに行った。トレーナーは少し良くなっていた。今日も封筒の事をトレーナーから聞けなかった。

 足の痛みが酷くなっていった。ボクは入院することが決定した。主治医はいきなりお注射をうったり、雰囲気が怖いから嫌いだ!対するトレーナーは体調がどんどん良くなったらしく、ボクの見舞いに来るようになった。

「俺とお前の契約はこれで解除だ」

「え?」

 話し合いは一瞬だけだった。反論する間もなくその会話は終わった。そしてボクが少しずつ歩けるようになった頃、正式に解約が決まった。

 ピンクの手紙がやってきた。「今すぐトレーナーの元へ向かって!場所は――」ボクはたまらなく怖くなっていつの間にか駆け出していた。

 

 

 

 俺はテイオーのトレーナーだ。あの日テイオーに出会い、三冠を誓い、達成できた。もちろん凄く嬉しかったけど、それ以上に恐怖を感じた。俺なんかではテイオーに釣り合わないのだ。

 二冠を成し遂げたころ、過去と未来へと送れる手紙を見つけた。疑心暗鬼だったが、不思議とすぐにそれが本物だと理解できた。数日後、未来から手紙が送られてきた。

「テイオーから距離を取れ」

 俺の字だった。既に感情が揺れ動いている時期だったため、これが決め手となったのだろう。俺は距離をおき始めた。程なくして、体調が悪くなってきたのでもっともらしい理由もできた。俺は入院することが決定した。

 テイオーが足を怪我した。落ち込むものだと思ったが、「未来のボクは三冠ウマ娘になってる」と連呼し始めたので、俺はテイオーが未来から手紙を受け取ったのだなと思った。

 テイオーが三冠を取ってから数日後、俺がお世話になっていた主治医に俺の余命を告げられた。それも僅かだ。体調が悪くなってからも無理を続けていたからだろうか? 

 俺は絶望したが、真っ先に思い浮かんだのはテイオーだった。アイツは俺のことを大事に思ってくれてる。どうすればいいだろう。

 主治医も認めてくれたので、俺は退院を決意した。また、テイオーが足の痛みで入院することになったから、見舞いに来るようになった。俺のせいだ。俺がもっと頑張っていたら、テイオーに「無理しないで!」と何度言われても頑張っていたらテイオーはケガをせずにいられたのに。

 俺はトレセンに向かい、理事長や同僚達に俺の症状のことを話した。

「……否定! 君は、大切な人間だ……! 何か、何か方法はないのか!」

「そんな……!」

 俺は首を振った。皆が泣くので、俺も泣いてしまった。涙はここで枯らしてしまおう。

 テイオーが尊敬するシンボリルドルフにも会いに行った。テイオーをよろしく。そう頼んだ。シンボリルドルフは見たこともないくらい幼い行動をした。泣いて俺を優しく叩いたり、どうにか解決策が無いか質問攻めにしたり。俺はシンボリルドルフが疲れて眠るまで抱きしめていた。テイオーをしょっちゅう気にかけてくれたシンボリルドルフはもう一人のテイオーの保護者のような感じだった。テイオーが忙しくて俺の元へ見舞いにこれない時は代わりに俺の病室に来て、色んな話をしてくれたし、トレーニングメニューを聞いてくれて、代わりにテイオーのトレーニングを手伝ってくれた。

 シンボリルドルフは唯一、持ち上げられがちの俺がただの凡人だということを理解してくれていた。その上で俺と仲良くしてくれていたのだ。

 俺はテイオーの前から姿を消すことにした。俺は最後に封筒とピンクの紙と青い紙を箱に入れてその中に一通、ピンクの紙に「三冠を取った時にテイオーが読めるようにしてくれ」と書いておいた。

 俺は自殺を試みることにした。テイオーはこんな俺でも大切に思ってくれている。だからこそどうせ死ぬならテイオーが真実を知る前に、心配をかける時間を与えてしまう前に死ぬ。

 今まで大量に渡されてきた睡眠薬を大量に飲むことにした。最後にテイオーが未来で元気にやっているかが心配になった。もしもあの時俺がテイオーから距離を取ることを決意してなかったら今頃どうなっていただろう。恐らく俺はもう少しだけ長い時間を生きて、もっと絶望して死んでいった。どうせならテイオーが引きずらないように酷いことを言ったり、嫌なことをしたりすればよかったかなと思うけど、俺にはそんな勇気が出なかった。本当にどうしようもない男だ。

 

 

 

 ボクは足の痛みも気にせず全力でトレーナーの家に向かった。涙で前が見えなくなっていったからハンカチがびしょびしょになるまでぬぐった。幸いトレーナーの家の鍵が閉まってなかったので中に入ることに成功した。意識を失いかけているトレーナーを見つけた。その横には大量の睡眠薬のパッケージ。

 ボクはもう、トレーナーは助からないことは知っていた。だからボクは――

「トレーナー……これ」

 ボクはトレーナーにピンクの手紙を渡した。

『今、ボクは幸せに生きてます』

 大人になったボクの写真と共にそう書かれてあった。

「そう、か……。よかったぁ……」

 トレーナーの息が絶えた。

「うわああああああああああああああああ」

 悔しい。悔しいよぉ! 三冠を取っても、一番大事な人を失うなんてそんなのあんまりだよ!!

 トレーナーの死を知った人達は皆ボクと同じくらい泣いていた。トレーナーは皆に好かれていたんだ。何人かはトレーナーが死ぬことを知っていたみたいだけど、そんなの関係ないと言わんばかりだった。当然だろう。ボクだってその立場でもそうなる。

 泣いて。泣いて。泣いて。泣いて。泣いて……。

 ボクは子供なんだ。だからしつこいくらい泣いてもいいはずだ。大人になるまでは、泣き続けよう。それともボクが泣き止んだ頃が、ボクが大人になった時なのかもしれない。

「とれえなあ……」

 あと一度だけでいいから頭を撫でてほしいなあ。

  

 

 

 

 大人になったボクは、数々の記録を作った伝説のウマ娘として、後輩の育成に専念していた。凄く楽しい日々だ。結局ケガのせいで無敗は成し遂げられなかったけどね。

 いつもどおりトレセンで皆の練習風景を眺めていると、空から青い紙が降ってきた。「ボクは今すっごく嬉しいです。全部トレーナーのおかげ!トレーナーが大好きって気持ち、伝わってるかな?」と書かれている。

 ボクは全ての記憶を思い出した。

 前の時間軸でのボクはトレーナーの死に絶望して、自殺を何度も考えるほどに追い込まれていた。だからトレーナーの家にあった過去に送れる手紙にこう書いた。

「今すぐトレーナーの元を去って。契約も解除して。疑うだろうから次のマックイーンが出る試合の順位の結果をここに記します。一着――、二着――、三着―――」

 でも、記憶が変わらない。いや、正確には「昔青色の手紙を受け取った」という記憶が増えただけだ。多分過去のボクはそれを読んでも行動に移さなかったのだろう。

 過去のボクが「トレーナーに無理をさせないで」と書いたことを思い出した。気づけば私はトレセンに立っていたんだ。そうだ、トレーナーに無理をさせないようにした結果、ボクはケガをし、トレーナーはそれを負い目に感じたんだった。

 ボクは家に帰ると、封筒に2枚のピンク色の手紙を取り出し、それぞれ「今すぐトレーナーの元へ向かって!場所は――」「今、ボクは幸せに生きてます」と写真と共に書いて送った。

新しい記憶が追加された。

 トレーナーの死は変わらなかったけど、トレーナーの最後の表情は笑っていたことを思い出した。トレーナーが大好きって気持ちは伝わっていたんだろう。だってあの時笑ったのも、ひっそりと死のうとしたのもボクを思ったが故の、ボクの気持ちを考慮した上での行動のはずだから。

 どうしても変えられない運命は存在する。だったら、最後には笑ってほしい。きっとそれが一番大事だから。

  封筒の中に紙は1枚も残っていない。もう過去を変えることも、未来の自分からメッセージを受け取ることも出来ない。だからこそ、トレーナーが選んでくれたこの世界を幸せに生きないといけない。

 ボクはこれからも夢を駆けるよ。トレーナーよりも凄いウマ娘(ヒト)になるんだ。

 ボクは新しい夢へステップを踏んだ。




この小説は最近読んだ小説をリスペクトしながら書きました。
アバウトな内容しか思い出せませんが、メールを過去に送れるって設定の作品だったと思います。そちらの方は本当に感動するので、興味を持った方は調べてみてください。

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