気が付いたら魔法が使える世界に居た件について 作:awtntn
優等生の二話は…森崎が凄かったですね。
#森崎を救いたい
修羅場勃発!?
「暇ね、ホウカ。まだ誰もいないわね」
それもそうでしょ、だってまだ開場の時間まで結構あるんだから。
新入生はおろか在校生すらまだ来ないだろうね。
「どうにかしてよホウカ、このままじゃワタシ退屈で死んでしまうわ!」
人間そんな簡単なことじゃ死なないよ。
朝起きて時計針見間違えて家飛び出たじゃん。人がまだ時間問題ないからって言っても聞かないで…自業自得でしょ。
文句言わないの。
「うぅ~ぅ~」
そんなにかわいく唸ってもダメなものはだめだからね。
「ベンチかどこか探してそこで時間潰そうか」
リーナは小さくうなずきながら手を握ってくる。それを確認して歩き始める。
そこには二人だけの空間が生まれていた。
空は二人をほほ笑んでいるかのような晴れ、祝福するかのような桜の花びらが舞っていた。
試験の際に一度だけしか訪れていないこの場所をゆっくりと歩いている。
それだけでもなかなか楽しいものだ。
―――納得できません。何故お兄様が補欠なのですか!
どこからともなく声が聞こえてくる。
この声…どこかで聞いたことがあるような気が。
声の方向を見てみるとそこにはこの間デパートで出会った兄妹がいた。
幸い、向こうはこちらに気が付いていないようで続きの会話を続けている。
―――入試の成績はトップだったじゃありませんか!本来ならばわたくしではなく、お兄様が新入生総代を務めるべきですのに!
あの子が新入生総代なのか。
―――自分じゃあ、二科生徒とはいえよくここに受かったものだと、驚いているんだけどね。
二科生…ってことはもしかして同じクラスになる可能性があるってこと?
もしそうなってしまったら一年間あの殺気を浴びながら生活しないといけないってことでしょ。何その地獄。
「いったいどうしたのよホウカ。まだ講堂の開場時間じゃないわよ」
講堂の方向を眺めていた鳳華に対しリーナが尋ねる。
「いや、何でもないよ。向こうに行こうか」
ここで鉢合わせしてしまってはそこに地獄が生まれてしまうのは明白。
そうならないためにも早くここから去らなければならない。
彼らが居た逆の方向へと歩いていく。
気が付かれずに離れられることが出来た。
しばらく歩くとベンチの置かれた中庭に到着した。丁度よく周りに人は見られなかった。
「えへへぇ~」
座った途端にリーナが肩に顔を乗せてくる。以前にもこんな状況になったがその時に「ワタシは周りの目なんて気にしないから」といって離れようとはしなかった為、今何を言っても離れようとしないだろう。
可愛い。
―――あの子
―――隣にいる子は
―――彼氏が雑草なんて見る目がないのね。
中庭を通る生徒、恐らくは一年生ではないだろう。その生徒たちの会話が聞こえてくる。
それはリーナにもしっかりと聞こえており、さっきまでの幸せそうにしていた表情はどこにもなかった。
「全く何が雑草と花冠よ。あんな試験じゃ何もわからないじゃない」
なんかめちゃくちゃ怒ってるんだけど。
十中八九言葉の先は自分に来ているけど、なんとも思わないから怒らなくてもいいのに。
慰めるように頭を撫でると目を細めながら、というよりも目を閉じている。完全に寝ようとしている。
なんか猫みたいになってるな。
まだ時間がかなりあるので問題ないだろうと放置して読書をしようと端末に目を落とす。
今更だがリーナと一緒に生活してからかなりポンコツになったんじゃないだろうか。
「すみません、隣いいですか」
「どうぞ」
男の声が聞こえてくる。
自分で言うのもおかしいがよくこの場所を選んだな。座ろうとしていたのが目的ならばここの他にはベンチがなかった為苦渋の決断だったのかもしれない。
隣を使っているわけではないので別に聞かなくても問題ないのだが、この人は律儀だなこの時は呑気に思った。
読書に没頭するあまりに完全に失念していたことをこの時に後悔する。
先ほどまで講堂付近に居た男がそこにいた。
ふぁ!?なんでここにお兄様がいるの?
相手もようやくこちらの事を認識できたようで驚いた表情を浮かべている。
先ほどまで顔を下に向けていたため気が付かなかったのだろう。
「ありがとう。自分は司波達也と言う。よろしく」
しかし意外にも彼からは睨みという名の殺意ではなく友好的な自己紹介が来た。
この間のはどこに行ったのやらと不思議に思う。彼女が説明してくれたのだろうか。
「焔火鳳華という、こちらこそよろしく。それでこっちで寝ているのが…」
気持ちよく寝ている
結構がっつりと寝ているし…
「いや、問題ない。寝ているのを起こすのは忍びないからな。それと謝らせてくれ」
謝る?
「先日は気が立っていた。妹を助けてくれたと知らずに無礼なことをした。申し訳ないことをした」
そのことね。こっちはもっと謝らないといけないことがあるのですが()
そのことについては言及されていないし黙っておこう。あとで妹さんには謝っておかないと。
「問題ないさ。これからよろしく、どうやら同じ二科生同士らしいし」
「こちらこそ、よろしく頼む。達也と呼んでくれ。名字で呼ばれると妹と被ってしまうからな」
「わかった。こちらも鳳華と呼んでくれ」
そんな会話があり、何とか和解?することができた。
そのあとリーナが起き、寝ぼけているところを見られるといったちょっとした事件があったが平和に時間が過ぎていった。
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「新入生ですね。開場の時間ですよ」
聞きなれた声が聞こえてくる。
しかしいつもの声よりも少し優しい。
今猫被ってますね。
顔を上げると予想通りに真由美さんが居た。制服姿見るのは何気に初めてである。
よく似合ってますね。
そう口走りそうになったがいけないと思い口を閉じる。鳳華と真由美の関係を周りに知られないために、学校では初対面のフリをするようにと言われていたからである。
何故そんなことをしなければならないといけないのかと思っているが十師族として色々と大変なんだろうとねぎらいの言葉をそっと心の中で呟く。
もっとも鳳華自身が二科生となったことが原因であるのは伏せられている。
「ありがとうございます。すぐに行きます」
達也はそう言うと講堂へと向かおうとする。
それについていくようにベンチから腰を上げ、立ち上がる。
そうしている間にどうやら達也は真由美さんに捕まったようだ。
何やら携帯情報端末についての話のようだ。
自分は読書の際は毎回紙で見たいと思うがペーパーレス時代にほとんど紙での書籍はない。探せばあるがどれも通常よりも高いのをどうにかしてほしい。
「あっ、申し遅れました。私は第一高校の生徒会長を務めています、七草真由美です。」
勿論知ってます。
自己紹介を終えると最後によろしくねとウインクをする。
それをされると勘違いをしてしまう人が出てきてしまうのでやめてください。
「俺、いえ、自分は司波達也です」
初対面を装っているためここで一緒に挨拶をしておく。
「自分は焔火鳳華と言います。七草会長、よろしくお願いします」
わざとらしく七草会長と呼んでみると顔を変えてはいないが一気に不機嫌のオーラが出てきた。
あれは数年付き合ってわかることだがそこそこ怒っているな。
「あなたが…焔火鳳華くんですか。入学試験での魔法理論と魔法学が満点、それに対しての魔法実技の成績が合格者の中で最も低いと噂の…」
なんで人の成績を喋ってるんですかね。これは結構怒っていますよ。
それに合格者の中で実技最下位って本当ですか?
どうやってそのような結果を出したのだろうか。これが自分にも分からない。
「そろそろ時間ですので…失礼します」
なんか達也が若干引きながらもこの場から立ち去ろうとする。
「えぇ…そうね。私もそろそろ行かなくっちゃ」
またねーと小さく手を振りながら去っていく。
達也からは「災難だったな」と労いの言葉が、リーナからは「自業自得よ」と厳しい言葉を貰った。
講堂に入るとそこには異質な光景が広がっていた。
「何というか…」
ここまでなのか。
前列が一科生、後列の席が二科生と綺麗に分かれていた。
話に聞いていた差別意識が朝の一件により想像以上に根付いていると分かってはいたが、一年生それも入学式の時点でここまでとは想像もしていなかった。
流石にこの状況で二科生が前列に、もしくは一科生が後列に行くと目立ちかねない。特に元から目立つようなリーナなら尚更である。
その為、ここで別れようと提案したときに駄々をこねられたのは言わなくても分かるだろう。最終的にはしぶしぶ承諾してくれたが。
そんなわけで現在、隣にいる達也と話をしている。
(男と二人っきりは嬉しく)ないです。
「あの、お隣空いてますか?」
こんなむさくるしい状況が一転する。
メガネをかけた少女と赤みがかった髪の少女が座ってきた。
座るやいなや、互いに自己紹介を始める。
さっきから思ったけど出会ったらとりあえず自己紹介ってコミュ力高いよね。陰キャの自分だと確実に無の空間がそこにできてしまうから分からないや。
それになんか名前の語呂合わせがどうとかって言ってる。千葉に柴田に司波。
あの…何だろう。仲間外れにしないでもらってもいいですか。
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それにしても凄かったなぁ色々と。
一丸となってとか等しくとか魔法以外でもとか、かなりやばいことを混ぜ込んだ答辞。
この状況には焼け石に水なような気もするが。
それとは別に
これはリーナの良いライバルになりそうだ。そう考えながら自分のIDカードを受け取る。
っと自分のクラスは……
「俺はE組だな」
「やたっ!同じクラスね」
「私も同じクラスです」
先ほどから一緒に居るメンバーと同じクラスらしい。
話せる相手がいるようで一安心だ。
「どうする?あたしらもホームルーム行ってみる?」
一応リーナと待ち合わせをしているためそちらを優先すべきだろうが彼女は昔から人気があり、
もしかしたら今質問攻めにあってるのかもしれない。
そうすると待っていてもしばらく来ない可能性が出てくる。
さてどうしたものか。
「悪い。妹と待ち合わせているんだ」
朝から思ってたけど達也妹さんとめちゃくちゃ仲いいよね。もしかしてシスコン?
そんなくだらないことを考えながら、合流地点の予定である講堂の入口付近まで歩いていく。
入口を見るとリーナが誰かと話している。早速友達ができたのだろうか。
「ホウカ!こっちよ」
「お待たせ、遅れてごめんね。そちらの方々は?」
そこには明るい色髪が特徴的な少女と、その子よりも少し小さめの少女が居た。
なんか小さい子はこっちを物凄く見つめてくるし、もう一人の子も達也の方を凝視してるんだけど。どうして?
それにしてもどこかで逢ったことがあるような…
「私は北山雫と言います。こっちは幼馴染の…」
「光井ほのかと言いますっ!リーナさんとは入学式の時に席が隣でした。」
挨拶を終えても北山さんがこちらを見てくる…あ、もしかして。
「沖縄の時の…」
「やっぱりっ!」
そのおとなしい見た目からは考えられないような声が響く。
やはりそうだったのか。あの時助けた子がここにいるなんてなんて偶然なのだろう。
それにしても達也は沖縄というワードを聞いた時に何か驚いてる様子だったな。いや、あの場にあの子が居たということは一緒に達也も居たのだろう。
「なになに!?知り合いなの?」
事情を知らないエリカが尋ねてくる。
「こっちの自分を名前で呼んでくるのは」
「工藤莉奈と言います。リーナと呼んでくださいね。一応…その、ホウカの彼女です」
照れながら小さい声で付き合っていることを話す。これを聞いていた者たち(達也を除く)は少なからず驚いている表情を浮かべていた。
彼女というワードが出た瞬間に視線が集まる。
「一応は余計だよ。それで北山さんとの関係なんだけど少し旅行先でトラブルがあってね…その時にたまたま助けたのが彼女なんだ」
補足として一瞬の出来事だったからほぼ初対面みたいなものだけどね、と付け加える。
「なるほどね~、そうだ。私は千葉エリカ、そしてこっちの子が柴田美月って言うわ。よろしくね北山さん、光井さん、リーナ。それにしてもこんな可愛い彼女なんて隅に置けないわね~」
肩で横腹をぐりぐりとしてくる。
「私も雫でいい」
「わ、私もです」
いま気が付いたけどここの男女比率やばいよね。男子が二人に対して女子が五人。しかも全員レベルが高いから周りからの視線が痛い。
「お兄様、お待たせしました」
紹介が一通り終わったところで丁度良く司波さんが来たらしい。
完全に忘れていたが彼女に対しては大きな
だがそれは叶わずに出会ってしまう。
おわりだ…
……あれ?
心ここにあらずと言わんばかりに自分に熱い視線を送っている彼女がそこにはいた。
とりあえずよく分からないが助かったのだろうか。
だがリーナがその視線に気が付かないわけもなく、一体何をしたのかと小さい声で聞き、きたy「雫」…雫さんからの視線が明らかに強くなってる。
達也も達也で、こうなってしまったかと小さい声で呟きながら目を押さえている…おいお兄様何を知ってるんだ教えろ!!!
謎の修羅場が形成されてる。
この地獄の中に生徒会の勧誘のために真由美さんがやってくる。
ナイスぅ!!!この状況をどうにかできるのは貴方様だけだ!!!
そう歓喜したのもつかの間、これを見るやお前は一体何をしたんだという視線が送られてくる。
あの、誤解なんです。何が誤解か分からないけど誤解なんです。
ほら、ほのかさんもものすごくアワアワしてる。
この悪魔すら逃げ出してしまうほどの空間は、美月さんの「あの…生徒会のお話は」という一言によって幕を閉じた。
あらすじの方に小説用に作ったtwitterアカウントのURLを貼りました。
興味がある方はぜひそちらの方からフォローの程よろしくお願いします。
また現在でも見てみたい勘違いや、ヒロインの募集をしております。
ヒロインの募集と一緒に見てみたいイチャイチャ等も書いてもらうと参考にしやすいのでぜひともよろしくお願いします。
皆さまからの感想、評価非常に励みになります。これからも応援の程宜しくお願いします。
今月私生活の事情により投稿頻度が圧倒的に減りますがご了承ください。
必ず書くかどうかは別としてよろしくお願いします。
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