気が付いたら魔法が使える世界に居た件について   作:awtntn

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難産だったので初投稿
難しすぎた故に強引なのはご愛嬌ということで



稲妻少女は信じたい

2095年8月1日

 

本来であるならば翌日から始まる九校戦へ向けた調整の日、または今日ある懇親会へ向けた準備の時間である。

しかし、一色家の令嬢である一色愛梨はそのどちらもしていなかった。いや、することができなかった。

 

「申し訳ございません。遅れました。」

 

原因はそう、目の前の男である。相手の名前は焔火鳳華。

最初お見合いの話が来た時は焔火家という名前を聞いたことがなく断ろうと思っていたが、お父様曰くかつては魔法師業界の第一線で活躍していたとのことである。

堕ちた名家ということもあり、今の息子が優秀と知るや否や復権を狙うために優秀な家系へ縁談を複数申し込み娶ろうとしていると噂だ。もっともこの噂は一部でしか出回っていないのであるが。

しかしその噂は本当であることを知ったのは申し込みを受け入れた後であった。

 

「いえ、大丈夫です。そちらこそ事故の方は大丈夫だったのでしょうか。」

 

穏やかじゃない心を隠し、平静を装いながら返答する。実際完全にイラつきを隠しきれているわけではない…。

ただでさえ複数娶ろうとする、血を残すために申し込んできた家だ。まるで女性を子を残すための道具でしかない、そのように考えているのではないのかと悪印象を持っていた。

それに重なる形で一時間以上の遅延で開始されたお見合い。お見合い相手が九校戦の選手であると知り、情報を抜けるだけ抜いてポイしてしまおうと元々思っていたこともあり乗り気ではなかった。だからこそ遅延に関しては相手が悪くないとは知っているものの、イラつきを隠さずにはいられなかった。

 

そんな不機嫌なこともあってか会話はなく沈黙の空間が流れる…と思っていたのだがそんな空気を無視して鳳華が自己紹介をし始める。

 

「焔火鳳華です。今回は話を受けてくださりありがとうございます。」

 

しっかりとした礼儀と淡麗な容姿、それに加え入室時の微かにあった息切れ。遅刻を少しでもなくすためなのか。

ほんの数十秒、たったそれだけだが相手を待たせないための行動。最初のイメージよりかは印象が良くなっていた。ただ印象が良くなっていた原因の7割はその容姿の良さであるがその見た目が愛梨自身に刺さっていたのも幸いである。

人の印象は最初の5秒、容姿が7割とはよく言ったものである。

 

……もしかしたらこれが一目惚れというやつですか。

 

ただそんな一目惚れをもってしてもイメージはプラスマイナスでいうとちょっとプラス程度である。

それほどまでに最初のイメージが悪すぎた。

 

「コホンっ、失礼しました。知ってはいるとは思いますが一色愛梨です。今日はよろしくお願いします。」

 

最初の緊迫した空間からは抜け出した環境、そうなれば少なからず会話が生まれる。そして二人の共通項といえば九校戦である。

 

「すいません、あまり見る暇がなく…焔火さんは選手で出場と伺いました。差し支えなければ何の種目に出るか教えていただいてもよろしいでしょうか?」

 

当初の目的通り情報収集へと移る。出場種目については事前のパンフレットによって公開されるため必要ないが、知りたいのはその先。何を、どうやって勝とうとしているのか。間抜けな人間なら話してくる。

自慢ではないが自身の容姿はかなり良いといえる。下世話な男であるならばこの容姿につられペラペラと喋ってくれるかもしれない。

 

「自分はアイス・ピラーズ・ブレイクに出場します。一色さんはクラウド・ボールとミラージ・バットだよね、クラウド・ボールの方は担当してないけどミラージ・バットはエンジニアを担当するからもしかしたら戦うかもね。」

 

「そう…それはご愁傷さまですね。」

 

それは本心からの言葉であった。何故ならば三校の同じ種目の出場選手に十師族である一条将輝が出場しているからである。

彼がどんなに優秀だろうがあのクリムゾンプリンスを倒せるわけがない。

 

しかしエンジニアを兼任しているとは……この鳳華さんは思った以上にデキる方なのかもしれませんね。

相手も情報漏洩を警戒しているのか、それ以上のことを聞き出すことができずにいた。

その他にも他愛もない会話を続けていた。愛梨も女の子である。自身の好みの見た目の男子と時間はそれなりに楽しかった。

 

「焔火家は…複数の家から娶ろうとしているとの噂をお聞きしました。それは本当でしょうか?」

 

「本当だよ。今の時点で二人との婚約が決まっています。」

 

楽しかったからこそ聞かなければいかなかった。その噂は嘘だと言ってほしかった。もし嘘ならば喜んでこの婚約の話を進めてたのかもしれない、それほど彼への感触が良かったのである。

やはりこの男も同じように女性をただ子孫を残すための道具にしか思っていないのだろうか。

先ほどとはうって変わり雰囲気が変わったのを感じ取ったのだろうか、目の前から移動し隣に座ってきた。

 

「婚約ってね、自分の人生を相手に託すことじゃないですか。それに自分の場合は嫁入りしてもらっている立場ですから。だからこそ婚約者を必ず幸せにすると約束するよ。」

 

そういいながら手を重ねてくる。その仕草にドキリとしたが騙されない。口では何とでもいえるもの。

 

「それなら…見せていただけますか。何人もの(奥さん)を守るんですもの、せめて守れるくらい強くないといけないですもの。」

 

「もちろん。優勝したら婚約の件、考えていただけますでしょうか。」

 

重ねた手をぎゅっと握って見つめてくる。それに耐えられずに目を背けると17時を知らせる鐘がちょうど鳴った。

 

「もうそろそろ懇親会の時間ですね、お開きにしましょうか。一緒に行きましょう、一色さん。」

 

ゆっくりと立ちながら手を差し伸べてくる。吸われるかのように手が伸びる。

 

「愛梨で結構です。私も鳳華さんと呼ばせていただきますね。」

 

婚約の話はまだ全然決まっていない。しかし彼の不思議な魅力なのだろうか、まるでカップルかのような雰囲気をまとった二人がそこには居た。

 

 

懇親会の会場に到着して30分、私は質問攻めにあっていた。

ぼーっとしてしまっていたのが原因で手を繋ぎながら会場に入ってしまったのである。

 

「そうかそうか、いよいよあの堅物の愛梨にも春がきたんじゃな。」

 

そう言ってきたのは目の前でふんす、とふんぞりかえっている四十九院 沓子(つくしいんとうこ)

よくあるお見合いよ。と一言だけ言って逃げるように食事をとりに行く。

まったく…浮かれちゃって懇親会を別の何かと勘違いしているのかしら。見当違いな考えをしながら周りを見渡し。

周りを見渡すとそこに彼が居た。もしかすると無意識のうちに彼を探していたのかもしれない。

 

見つけた先ではメイド姿の女の子と鳳華さんが話していた。

別に話が気になったわけではない。取りたかったものが近くにあったから向かったのだ。そう自分に言い聞かせて彼らに近づく。

 

「ねぇねぇ鳳華くん、さっきの女の子って~一体誰なのかな?リーナが怒っちゃうんじゃない?」

 

「お見合い相手だよエリカ、それにこれは家庭の事情だってリーナは知ってることだから。」

 

お見合いにしては仲良さそうだったけどね~と言いながら替えのドリンクを渡して去っていった。

彼女はもしや一高の生徒だったのかしら、それにしてはなぜ制服ではなくメイド服を着ているのか…。

それに加えて鳳華さんを見つめるあの少女、あの一条くんが見惚れている様子が見れるほどの美少女。彼女がさっき言っていたリーナという子かしら。

 

頭の中にはもう彼のことで頭がいっぱいであった。こんな調子で明日から始まる九校戦大丈夫かしら……。

 

 

「ここで魔法協会理事、九島烈様より激励の言葉を賜りたいと思います。」

 

突然のアナウンスとともに一部の照明が落ちる。その暗闇が急に現実へと引き戻してくる。

しかし登場すると思われる残っている照明の先を見ても女性しかたっていなかった。

 

「何かのトラブルかしら……」

 

「ううん、これは干渉魔法だね。ほら、見えるようにしてあげるよ。」

 

近くに寄ったせいであろう、鳳華さんが横にきて話しかけてくる。

突然のことにびっくりして声を上げなかった私を全力でほめるべきである、それほど心臓が止まるかと思った。

その言葉とともに女性の後ろにいる老人を認識した。

 

「烈さん…久しぶりに会ったな。」

 

小さくつぶやく言葉を聞き逃さなかった。もしかして過去にあったことあるの?そう聞こうとするがそれは阻まれることになった。

 

「驚かせてすまない、今のはちょっとした余興だ。魔法というよりは手品の類だ。だが、手品のタネに気が付いたのは7人…教えてもらったのが1人といったところかな。」

 

------もし私が君たちの命を狙うテロリストで、手榴弾なり毒ガスなりを仕掛けたとして…動けるのはたったの8人さ。

 

といっても前回した時よりは多くなってはいるのかな。そう付け加えながら演説を続ける。

8人…私はただ手品のタネを教えてもらっただけ。しかし彼は違った。

 

優勝したらといった彼は本当に優勝する気でいるのかもしれない。




イッチ「今回の安価は…なんやイッチの思い通りって、好き勝手やれってことか。やべ、安価してたら改めて伝えた時間からさらに遅れちゃう。すこし走らないと…」



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