気が付いたら魔法が使える世界に居た件について   作:awtntn

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加湿器を出したので初投稿

これで朝起きたときの喉の痛みともおさらばだ!!!


九校戦8日目・決着

8月10日 新人戦八日目

 

調整器具だけがある白い空間、その場所で一人黙々とCADを調整している鳳華の姿があった。

 

コンコンコンという音の後に扉が開く。そこには同級生である光井ほのかが居た。

 

「失礼します。小腹がすいているかなと思って軽食を持ってきました。」

 

そう言った彼女の手には大きくはないがサンドイッチが二つあった。

 

「ありがとう、丁度調整がひと段落して休憩しようと思ってたんだよね。コーヒーを今から入れようと思ってたんだけどほのかちゃんも要るかい?」

 

コーヒーポットへ向かう彼を見て今までのことを思い浮かべる。

 

彼との出会いは入試の時、出会いといってもやや一方的なものである。

鳳華を見つけたのはたまたまであった。

 

試験中不安で周りをキョロキョロとしていたほのか、そんな中誰もが視線を奪われていた人がいた。

今では友人として接している司波深雪である。容姿もさることながら披露された魔法技術は誰もが釘付けであった。

その後目にしたのは彼女の兄である司波達也。一見するとどこにでもいるような魔法師であったが彼女の眼には無駄のない洗礼された魔法が写っていた。

周りばかりを気にしていた際にうかうかしていたほのか、試験官の受験番号を呼ぶ声が耳に聞こえるともう少しで自身の番が近づいていた。

 

「ハンカチ落としてましたよ。」

 

これが鳳華との初邂逅であった。

 

「すみません、私ぼーっとしてて。」

 

はい、どうぞ。と渡されたハンカチ。その時はまだぼーっとしており顔まではよく覚えていなかったが顔を知るのはすぐ後のことだった。

決してストーカーをしていたわけではない。たまたま自身の番号の列の目の前には先ほどの彼、鳳華が居たのであった。

 

彼をしっかりと認識したのはその時であった。

 

綺麗。

 

容姿もさることながら達也にも勝るようなその洗礼された技術に対しての彼女の感想だった。

 

スコアは傍から見ても良くなかったもののその美しさに「彼はきっと合格する、私も合格して教えてもらおうかな」などと考え、気合が入り無事合格を果たした。

もっとも、入学後に達也含め彼らが二科生と知ったときは残念な気持ちになっていたのは彼らの知る由もないことだ。

 

彼女の心境が変化したのは九校戦の練習期間中にあった。

ほのかは夜な夜な鳳華の家を訪ねていた。これは決していやらしい意味としてではなく、ミラージ・バットの練習のためであった。

まだ公開されて間もないばかりの歩空魔法を練習していたのであった。

なぜ鳳華がそんな高等技術を習得しているのか聞きたいのだが今の時代あまり踏み入って知ろうとするのはいくら友人関係でもタブーなことが多い。

 

調整しては練習、調整しては練習。

何度も繰り返していくうちに真剣な眼差しで調整している鳳華に目が移っていく。

以前部活動勧誘の際にOBに勧誘もとい連れ去られたほのか。それを颯爽と助けた鳳華。ただその助け方が問題があり、大衆の面前でお姫様抱っこといった恥ずかしい恰好で助けてもらったのだ。

彼らの関係性を知らないはたからしたら面白いことこの上ないため少々の辱めを受けた。そこからか、無意識に鳳華への好意が生まれ始めたのは。

 

ある意味練習は地獄だったかもしれない。鳳華の家へ訪れるということは鳳華とリーナが同棲していることをしっかりと認識したうえでやはり彼らがカップルであるという現実を突きつけられてしまう。

にも拘わらず彼のその真剣な眼差しにどんどんと惹きつけられてしまう。

無意識に鳳華を意識しまっていたほのかにとってつらい空間だっただろう。

ただそのつらい経験を乗り越えたことによりバトルボード新人戦優勝、そして世界初歩空魔法を実用的に発動させたという名誉とミラージ・バット優勝を得たのだ。

 

シーンは現実へと戻る。今の彼女はそんな地獄を乗り越え転換期へと入っていた。

それは九校戦前日で知った事実。鳳華が複数人と婚約を前提として生活している。これを聞いてもしかしたら私も……と思ってしまったのだ。

 

「コーヒーも入れたし一緒に食べよう。二個はちょっと多いからさ、ずっと一人だったし話相手もほしくて。って大丈夫?ほのかちゃん。」

 

心配するような鳳華の言葉が聞こえてくる。

 

「だ、大丈夫です。鳳華さんも決勝戦の準備大丈夫ですか?」

 

誤魔化すように話をする。実際次は決勝戦であり相手は第三高校。あの一条を携えてくるのである。

一度鳳華がアイス・ピラーズ・ブレイクで勝利しているものの、今度は実戦形式である。過去一条将輝は一人で戦場を殺しまわった経験があり流石に鳳華が不利であると誰もが思っている。

それに加えてメンバーは共に二科生である。決勝戦までこれただけでも大金星である。

 

「大丈夫だよ、俺は負けないからね。」

 

不思議とその言葉に不安はない。

今この場は鳳華とほのか二人だけの空間である。恋人であるリーナに対して若干の後ろめたさがあるものの、この状況をほのかは楽しんだ。

この気持ちに整理がつくのはまだ先かもしれないが、今は楽しもう。優勝したんだからそれくらい大丈夫だよね。

 

達也たちチームメンバーが来るまでこの和やかな空間は続いたのであった。

 

 

***

 

 

各校にはアップのためにある程度の練習用の敷地が用意されている。そこにいるのは一条将輝である。

彼は何度も決勝戦で使う魔法の確認をしていた。十師族としてもう敗北は許されない。その責任感からかこれほど以上ないほど入念に確認をしていた。

 

「将輝、そろそろ時間だよ。」

 

ジョージの言葉に耳を傾けて決勝戦への準備を始める。といってもほとんど完了しており、あとは控室に向かうだけだ。

焔火鳳華。俺を唯一倒した男。完全勝利をされ一条の名は落ちた。それに加えて初恋ともいえるような相手、司波深雪と手を繋ぎ表彰式に入場してきたときには心が荒んでいた。嫉妬に狂っていたのである。

おそらく彼女は彼の婚約者なのだろう。もちろん一条家の権力を使えば奪うことができるかもしれないが、負けた上に権力を行使して奪うなど言語同断である。

 

「ありがとう、ジョージ。絶対に勝とう。」

 

彼の瞳には慢心という文字はなかった。幸いにもステージは草原ステージ。ギミックもなければただの正面からの打ち合いとなる。

そう仕向けるように決勝に進むまで俺個人の力のみで勝ち進んだ。それは鳳華も同じである。

 

「絶対に負けない。」

 

これは男としてのプライドなのか、十師族としてのプライドなのか。それは彼にも分からない。

が、しかし男には負けられない戦いというものがある。

 

父上からの連絡をもらった。「十師族として完全な勝利を収めよと。」

おそらく鳳華が出場しているのは勝ち逃げを許さないための一条家の圧力によるもの。少々卑怯かもしれないが、この場を借りてしっかりと借りを返さないといけない。

 

「将輝、時間だよ。」

 

刻一刻と迫っている決勝戦。その瞳には慢心など一つもなかった。

十氏族として、そして一条将輝のプライドとして決して敗北は許されない。

 

「行こう、完全勝利を目指して。」

 

そこには十師族ではなく、ただ一人の男としての一条将輝がそこにいた。

 

 

***

 

 

部隊は草原。見晴らしの良いステージはその性質上魔法力の高いものが勝つのが定石である。

それを分かってなのか、スタート位置の時点で一校の選手は最初から離れた位置でスタートしていた。

 

開始の合図がなる。それと同時に鳳華がCADを操作して地面に手を付ける。

何かされる、そう察知して一条はすぐさま魔法で攻撃を仕掛ける。が、その攻撃が鳳華に届くことはなかった。

 

術式解体。

 

今までの試合でほとんど鳳華が決着を決めていたため、司波達也の術式解体は警戒できるものでは無かった。

その一瞬の動揺が鳳華の魔法を許す。

 

魔法が発動すると地面から氷が徐々に生え始める。それはとどまることを知らずおよそ高さ三メートルほどの無作為に生まれた氷の木が試合会場を覆うほど、そこら中に形成されていた。

 

ーーーしまった。

 

完全に対面で戦おうとしていた三校にとって、そこら中に生えている氷の迷宮に狼狽えていた。作戦通りと言わんばかりに一校選手がそれぞれ動き始める。

まずは幹比古の古式魔法の一つである幻惑魔法。それにより複数の幹比古の姿が現れた。これにより氷の反射と合わさりまるで傍に居るかのような錯覚に陥る。

そんな幻惑はカーディナルジョージの周りに映し出される。幻惑に惑わされながらはまずい、そう思い本物を探すべく魔法を繰り出すカーディナルジョージ。

がしかしその魔法は達也によってすぐに打ち消される。

 

達也と幹比古の二人を相手にしてジョージは冷や汗をたらしていた。

 

場面は変わり鳳華と一条。鳳華は持ち前の身体技術をつかい氷の枝から枝を渡りながら魔法で攻撃をする。それを何とか防ぎつつ反撃をする。

 

ーーーくそっ、爆裂が使えたらこんな氷一瞬で壊せるのに。

 

殺傷ランクの高い爆裂は最初から使えずCADに入れることすらできない。

だかしかしそれで諦める彼ではない。経験則から移動先へあらかじめ魔法をセットしておくなどし膠着状態が続いた。

一条の魔法に対してすぐに鳳華も術式解体で応戦、鳳華の魔法も防ぎながら一条の反撃。しかしその膠着状態はすぐに崩された。

 

これは俺の勝ちだ。そう確信したのは鳳華が技を避けるために枝へ飛び、その枝からとんだ先が空中であったことである。攻撃魔法を撃っていた鳳華は減速することができず一定時間落ちる。その落ちる地点に合わせて魔法を打てば確実に魔法を当たるからだ。

機転を利かせて攻撃を落下地点に仕掛けるが、鳳華が落ちてくる様子はなかった。

それもそのはず、鳳華はほのか用に歩空魔法の調整をしていたのである。自身の調整をしていないわけではない。

 

それを瞬時に理解するも一条の行動の前に鳳華が自己加速術式で空中を蹴り、一条の背後を取る。通常自己加速術式は自身の把握できる範囲でかけるのが常識であるが、歩空魔法により、空気が壁になるため極限までスピードを高めることができる。それは一条が目に追えないほどのスピードを出していた。

そのスピードから背後を取り、このまま攻撃をしたら鳳華の勝利。とはならなかった。

伊達に戦場を経験してはいない。経験則から背後を取られると覚悟していた一条は、既に何もない空間に魔法を展開していた。そのため背後には一条が仕掛けておいた魔法が二つ仕込まれており今にも発動しそうである。伊達に戦場を渡り歩いた男ではない、瞬時に判断し背後を取られると判断したのだ。

 

勝った。

 

仮に術式解体で魔法を消せたとしても一つまでであろう。残り一つさえあれば気絶させるには十分だ。しかしその瞬間魔法は二つともすぐに打ち消された。鳳華自身術式解体を使えるため一つは消されると予想していたが、二つ消されるのは予想外である。

がその真実はすぐに判明した。

 

「ジョージっ!!!」

 

一緒に出場していたジョージは地に伏せられており、そこから司波達也による援護によって魔法がかき消されていた。

決勝戦に渡るまで鳳華のみに力で勝ち上がっていたため司波達也が術式解体を使えることを把握していたのは対峙したジョージだけであった。しかしその彼は既に床に伏せてある。

多勢に無勢である。その一瞬が命取り。鳳華はもう一方の魔法を消すと一条に対して魔法を放つ。それは以前に達也が服部副会長に行っていた三半規管を酔わせる魔法。一瞬であるが隙が生まれた一条に畳みかけるように重力操作魔法を使用する。

 

それにより、体が完全に地に伏してしまった。かろうじて指先を動かせる程度であるものの、反撃しようとするとすぐに術式解体で打ち消されてしまう。

 

モノリス・コードのルールは相手が全員戦闘不能になる、もしくは500字以上のコードを打ち込むことで勝利となる。

現在一条以外の選手は気絶しているものの、一条はまだ意識がはっきりとしており、また反撃もできる状況である。つまりは詰み状況であるものの、試合がまだ終わっていないのである。

 

「達也、さっさとコード入力してくれ。」

 

鳳華は既に一条なぞ眼中にないように話す。一条は打破しようとするも鳳華に完全に対処され、彼はただただコードを打ち込まれるのを見ているしかなかった。これなら気絶していた方がマシまであるだろう。

 

この状況を打破しようとするもすぐに解体術式で打ち消される。

 

「第一高校 WIN」

 

この文字と共に一校の選手が電光掲示板に映し出される。そしてその後健闘を称えるためか三校の選手が映し出されるが、それは良くなかった。

そして文字通り顔に泥を塗られた一条将輝の姿が世間の目に映し出されたのだ。

 

一大イベントとなった一条将輝VS焔火鳳華の勝負は焔火鳳華の完全勝利として幕を閉じた。




イッチ「せや、手加減の仕方わからんし適当なやつ参考にしてそれよりちょっと下くらいの成績にしたろ!」

なおイッチの参考が達也のため実技成績ドベ



掲示板今夜20時投稿予定!!!
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