魔法武闘伝Gの劣等生   作:ガノタなエクセル

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さて皆さん!

国立魔法大学付属第一高等学校の入学式を終えた土門!

これから多くの友と切磋琢磨しあう楽しい高校生活が始まろうとしていますが

何やら不穏な空気を感じますな。

それでは!マギクスファイト!レディー……ゴー!


見よ!流派東方不敗王者之風

入学式が終わり、新入生は続々とIDカード兼生徒証を受け取りに窓口へと赴く。

土門は入学式の時に自己紹介をしあった千葉エリカと柴田美月。そしてその隣にいた司波達也と行動を共にしているがほとんど口を開かず、仏頂面なままなのではたから見ると不機嫌にしか見えない。

デフォルトの表情がそれだというのもあるが確かに不機嫌と言えなくもない。

さすがに学校に通うにあたって友人はいたほうがいいだろうと考えて一人帰らずにいるが、さっさと帰って鍛練でもしていたい。

殺意というほどでもないが少し気を張り詰めさせた隣の男(司波達也)に気を向けながら会話を聞いていると

 

「お兄様!お待たせいたしました!」

 

とどこか聞き覚えのある声が聞こえその方向に目を向ける。

そこには先ほど壇上で答辞を読み上げ、その美貌で多くの人間を魅了していた少女がいた。

壇上では神々しさ感じさせた少女がまるで思い人に会えたかのような晴れやかな表情を浮かべていることに美月もエリカも目を丸くしているが、土門はもはや趣味とまでなっている瞑想をしていたため彼女の姿を見ておらず何も驚きがない。

だが、達也の隣にいるエリカ達を見て「早速デートですか?」と兄に聞く姿には少し肝が冷えた。

笑顔でありながらあそこまでの殺意を放つとは中々のものだと見当違いなことを考える。

女三人寄れば姦しいという言葉通りに早速打ち解けおしゃべりに講じる深雪とエリカと美月にほんとに帰ってしまおうかと考えたところで

 

「深雪。生徒会の方々の用は済んだのか?」

 

と達也が声をかける。

 

「大丈夫ですよ。今日はご挨拶させて頂いただけですから。詳しい話はまた日を改めてします。」

 

この言葉に隣にいた男が驚愕するが真由美は意にも返さない。

これは自分がどれだけ言っても取り合わないだろうと諦めた男はただ達也をにらみつける。

 

「ではいずれまたゆっくりと…」

 

そう言って帰ろうとする真由美だが、その帰り際に

 

「魁斗君もまた今度ね♪」

 

と言葉を残す。

周りはざわざわと喧騒に包まれ、今まで達也をにらみつけていた男のヘイトが土門に移り、今まで以上の殺意が向けられる。

やはりさっさと帰っておけばよかった。と後悔しながら帰っていく真由美の背中を見送る土門なのであった。

 


 

土門が教室に入った瞬間クラスメイトの注目が集まる。

普通ならばすぐに興味など消え、皆自分達の活動に戻るが、一向に視線が消えない。

なんとなく理由を察してげんなりしながら席に着こうとしたところでエリカから声をかけられた。

 

「お、生徒会長の彼氏さんおはよー!」

 

「あの女の恋人ではないと昨日説明しただろ。」

 

「まあ確かにそう聞いたけどもう結構噂広まってるわよ?それこそこの学校で知らない人なんていないぐらいじゃないかしら?」

 

やはりか…だからここまで皆の注目が集まっているのだろう。

これも全てあの女の策略なのだとしたらかなり悪どい。

これからの生活に多少の不安を抱きながら自分の席に着き受講登録を行う。

その後カウンセラーである小野遥が教室に入ってくるまで彼への視線はなくなることはなかった。

 


 

土門は現在、人気のない校舎裏で一人、何かと戦っていた。

だが、彼以外に人はだれもおらず、はたから見れば変な人にしか見えない。

しかし、実力のある人間が見れば彼の目の前で相対する人間を幻視することが可能だろう。

土門が放つ無数の拳の連打を目の前の幻影はそれを涼しい顔でいなしていく。

この攻撃が数十秒続き、突き出された拳が万を超えたあたりでその動きを止めた。

 

「シャドウであってもやはりまだ師匠には勝てる気がしないな。拳打の速さはましになってはいるがスタミナが問題だな……午後はスタミナトレーニングを中心にしよう。」

 

今の時間は昼休み

達也達と食堂で昼食を食べていたが、鍛錬欲と周囲から向けられる視線によってさっさと切り上げて、人目のつかない場所で東方不敗を想定したシャドウファイトをしていた。

取り敢えずもう一度ファイトを行う前に五分ほど休憩しようと思ったところでもはや因縁の相手といってもいい女の声が聞こえてきた。

 

「お疲れ様♪そこの自販機で買ったやつだけどいる?」

 

「またお前か七草真由美……貴様のせいでだいぶ面倒なことになっているんだぞ。」

 

「あら。いつの間にここにいたんだって聞かなくていいの?」

 

「気配自体は少し前から感じ取っていた。それに俺がここに来た時ぐらいから視線も感じていた。」

 

土門のこの言葉に真由美は今までのいたずらな笑みから一転、驚愕の表情に染まった。

 

《マルチスコープ》

七草真由美が得意とする魔法の一つであり、離れた場所を様々な視点から同時に知覚するという効果で、鍛錬していた土門のことも最初はこの魔法を使って見ていた。

もちろん魔法なため視線というものは感じにくいものであり、真由美自身もそこには気を付けていた。しかし、いま彼は視線を感じていたと言ったのだ。

真由美の土門に対する興味がまた増していく。

 

「へぇ……魁斗君はそうとう敏感なようね。それともそんなにお姉さんのこと想ってくれているのかしら?」

 

「まあ確かに昨日、今日、ほかの人間よりかはお前のことを思いながら過ごしているかもな。」

 

「……へ?」

 

もちろん土門としては真由美のせいで生じた誤解を解かなければならなくなったので煩わしいと思っているぐらいなのだがそれがちゃんと伝わっていないのだろう。

数舜惚けていた真由美はその後顔を赤く染める。

 

「あの、魁斗君が私を想ってくれてるのはうれしいけど私七草家の長女だから一般魔法師とそういった関係になれないし。あ、けど学生の間の恋人関係とかだったらいけなくも……いやいやそれでも……ってあ、そうだ!私生徒会でやらないといけない仕事があるの忘れてたからここで失礼するわね~おほほほー。」

 

そのまま早口でブツブツ言いながら目にもとまらぬ速さで帰っていく真由美を土門は見送りながら昨日もこんなことあったなと感じたのであった。

 


 

放課後

 

達也・エリカ・美月と今日知り合った西城レオンハルトと一緒に帰宅しようとしたところで深雪と合流。

だがその深雪の後ろをついてきていたA組の面々が深雪が二科生と行動を共にすることが許されずに難癖をつけてきた。

土門はすぐに出て鍛錬をしていたため知らなかったが、昼食の時も似たようなことがあったらしい。

その為もう我慢の限界だったのだろうかここで啖呵を切ったのはまさかのあのおとなしい美月だった。

だが一科生になれたというプライドにまみれている彼らにはそれが許せない。

ほぼ駄々をこねるだけで、口を開けばウィードごときがなどと蔑むことしか言えない。

そしてそれに皮肉げにA組の意見に返していくエリカとレオ。

段々とヒートアップしていく口論だが、一科生の怒りに油を注ぐ出来事が起きた。

 

「おい土門。どこに行くつもりだ?」

 

「悪いが俺は帰らせてもらう。この程度の奴らに時間を取られるぐらいなら早く帰って鍛錬をしたほうがずっと有意義だ。」

 

「……おい、お前。今僕たちのことをこの程度と言ったのか?」

 

「ああ。はっきり言ってお前たちからは強者の気を感じない。俺が求めるは自身のさらなる成長。その為には貴様らのような弱者共に割く時間はない。」

 

自分を強者と信じてきた者達にとってこの土門の言葉は彼らの怒りを買うには十分だった。

そして怒りで我を忘れた人間が取る行動は一つ。

土門曰く弱者の集団の中心的存在であった森崎駿は自身の懐から拳銃型のCADを取り出し背中を向けている土門にその銃口を向ける。

引き金を引き、自身の想子(サイオン)を送り込み起動式を展開する。

森崎の突然の行動と魔法発動の速さに誰も反応できない。

このまま森崎が発動した魔法が土門を襲うと思われた瞬間、森崎の手からCADが消えた。

それを見た全ての者達が驚愕し、土門の方を見やると彼の手には何の変哲もないタオルと先ほどまで森崎が持っていたCADがあった。

 

「魔法師というのはこれがないとろくに戦うこともできんのだろう?武器というものは自分の半身といっても過言ではないのだからなによりも気にかけたほうがいいぞ。」

 

そう言ってCADを投げ返すがまだ誰も反応出来ず地面に落ちて、カシャンという音が静かな空間に響く。

そのまままた背を向けて歩く土門を見送ることしかできなかった。

 


 

司波家

 

四、五人の家族ならば普通に生活できるほどのこの家には達也と深雪の二人しかいない。

母親は死に、父親は再婚相手の所に入り浸っているためほとんど二人だけの空間となっている。

いつも二人で他愛もない会話をしているが今一人の男について話している二人に笑顔はない。

 

「お兄様。彼はいったいどうやって森崎君のCADを取り上げたのでしょうか?」

 

「……正直、あいつが何をやったかは分かったんだが、どうやったのかが全くわからなかった。」

 

「それは……どういうことなのでしょうか?」

 

「方法自体は単純だ。あいつは右手に持っていたタオルをCADに巻き付けて奪い取った。常人には視認することすら困難な早さではあるが説明だけなら簡単なように感じるだろう。」

 

「だが、タオルの長さを超える距離だったはずなのに移動することなく届かせたんだ。何の変哲もないタオルを伸ばしてな。」

 

「何より一番の問題はそれらを行う際に魔法式が視えなかったことだ。」

 

達也のこの最後の言葉に深雪は驚きを隠せなかった。

司波達也は精霊の眼(エレメンタル・サイト)と呼ばれる特殊な知覚能力を持っている。

現代魔法において世界の全ての情報が記されている次元とされている《イデア》

そのイデアに直接アクセスし、そこからただの情報である魔法式や起動式を読み取り、瞬時に解析する事が可能なのだが

そんな達也ですら視えなかったということはまるで魔法かのようなその一連の行動は魔法に頼らずに行われたことだということになる。

それは即ち魔法師以外の人間でも扱える可能性があり、誰でも魔法師と同程度になれるということになり、今までの魔法師の地位がくずれる危険性がある。

 

土門魁斗

彼の力について色々調べなければならない。

そして深雪の安寧の障害となるのであれば全力をもって排除する必要があるな。

と達也は土門にたいして警戒を強めるのであった。




皆さんお待ちかね!

流派東方不敗の力の片鱗を見せた土門!

生徒会に呼び出された彼は

様々な思惑が蔓延る中、魔法師とのファイトがついに始まります!

次回!魔法武闘伝Gの劣等生!

『激突!魔法師対武闘家』に

レディー……ゴー!

注:実際の内容と異なる可能性がございます。
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