土門魁斗と生徒会副会長である服部刑部との模擬戦は土門の勝利に終わりました
ですが、まだファイトは終わらないようです
今度の相手は土門のクラスメイトであり劣等生の烙印を押されている司波達也
この二人の闘いはどれほどの熱狂を生み出すのでしょうか
それでは!マギクスファイト!レディー……ゴー!
演習室は静寂に包まれていた。
生徒会の中でも実力者の立ち位置であり、模擬戦においてこれまで無敗の実績を持つ服部の敗北もそうだが
なにより土門の力が彼らから言葉を失わせるに足りた。
男性一人を手刀の風圧だけで吹き飛ばすほどの筋力
魔法の直撃をくらっても無傷ですます頑丈さ
そして一瞬のうちに相手を気絶させるほどの力を持つ彼曰く『流派東方不敗』
もはや人間なのかも疑問に思えるほどの実力に頭が回らない。
「取り敢えず勝負は決した訳だがこれで十分か?」
土門の問いかけでやっと我に返る者達。
「えっと……今のが流派東方不敗?っていう魔法なのよね?」
「流派東方不敗は魔法ではない。天と地の霊気を父母とし、天地自然の大いなる力をうけて生まれた拳法の流派だ。」
真由美の問いに対する土門の返答に聞いた者達全員が驚愕した。
一世紀以上の歴史を持ち、今やあらゆる武器・兵器よりも強力とされる『魔法』
一部の血族、才能を持つ者にしか使うことができない能力
だが、それを上回るほどの力があることを証明されたものが鍛錬を積めば誰でも扱うことのできる拳法なのだ。
何かの冗談だと疑いたくもあるが、土門は軽々しく冗談を言うような男ではないことは付き合いの短い彼らでもわかる。
わかってしまうからこそその事実を認めたくない。
特に七草真由美は日本でもトップレベルの権力を持つ『十師族』の一つである『七草家』の長女であるため、この力を危険視していた。
まずは流派東方不敗について色々と知る必要がありそうだ。そう考えまた質問をしようとしたところで別の人物から土門への質問が飛んでき、開きかけた口をつぐんだ。
「流派東方不敗……あまり聞いたことがない流派だが、所謂一子相伝の秘伝流派なのか?」
司波達也もまた流派東方不敗に土門魁斗に危険性を感じていた。
誰でも魔法師を超えることができるほどの力
彼自身に魔法師を脅かす気がなかったとしても魔法師を敵対視する者が流派東方不敗を修めていたのであれば深雪の安寧のために排除する必要がある。
そのための情報を手に入れる必要がある。
そのための達也の質問に対する土門の答えは
「一子相伝?いや、俺と師匠の間に血縁関係はない。まあたしかに今この世界で流派東方不敗を扱えるのは俺と師匠だけだから似たようなものかもしれんが。」
「お前と師匠だけか。道理であれだけの実力を持ちながら名前を聞いたことがないはずだ。因みにお前の師匠はどのような人物なんだ?」
「師匠か?そうだな……師匠はとにかく強い。もはや規格外だと言わざるを得ないほどにな。」
お前が言うなとこの場にいた全員が思ったことだろう。
「そして何よりも優しい。地球を、自然を、そして人類を愛する心を持っている。まあ悪人に対しては師匠は苛烈になるがな。」
「そうか。」
これならば少しは信用してみてもいいかもしれない。
まだ様子を見ようと質問者である達也と土門の返答を聞いた真由美は考えた。
「うっ!」
「目が覚めたのね!大丈夫はんぞーくん!?」
「は、はい!自分は大丈夫です!」
呻き声をあげながら目を覚ます服部
それに気が付いた真由美が心配そうに顔を近づけるが服部は焦りながら立ち上がり距離をとる。
そして自分を見つめる土門を睨む。
だが、そこに今まで程の殺意はない。
服部の土門への印象は自分が思いを寄せる会長を悪の道に落とす悪人から恋敵へとなった。
「取り敢えずお前の実力は認める。これほどの力があるのであれば風紀委員でも活躍できるほど……そうだ!こいつを風紀委員に推薦するのはどうでしょうか!?会長!渡辺委員長!」
服部のこの言葉にあっけにとられる一同。
そういえば司波達也を生徒会推薦枠に選んだことをまだ伝えてなかったことに気が付きばつが悪い表情になる。
雰囲気の変化に気付きはしたがなぜこうなったのかがわからずにきょとんとする服部。
「えっと……生徒会は達也くんを推薦することに決めてるのよね~……」
「達也?そこにいる男ですか?二科生のようですが……勿論土門のような例があるのでもしかしたらかもしれませんが……土門を推薦したほうがいいのではないでしょうか?」
「確かに実戦能力があるのかわからない司波君よりも副会長との模擬戦で実力が判明した土門君を推薦したほうが建設的かもしれません。」
服部の意見に鈴音が賛成を示す。
あずさや摩利までもがそれに賛成の意を示し、やはり土門を生徒会推薦枠として風紀委員に任命させようかという風潮になっていく。
しかし、それを認めることができない人間が一人
司波深雪である。
彼女はなによりも兄である達也を尊敬・恋慕しており、達也の実力を理解されてないことに憤りを感じていた。
折角達也の実力を正しく理解してもらうチャンスなのにそれをあのような男に不意にされたくはない。
反論をしようとしたところで男の声が響いた。
「ならば達也の実力が分かればいいのだろう?」
「……そうです!ここは演習室ですしお兄様も模擬戦を行えばいかがでしょうか!?」
「いや……別にそこまでしなくても……」
「対戦相手は俺がやろう。達也とは一度ファイトをしたいと思っていた。」
「俺は別に風紀委員に入らなくてもいいんだが……」
「それじゃあ魁斗君は連戦になっちゃうし10分程休憩をとってからにしましょう。」
「……」
こうして急遽達也対土門の模擬戦が執り行われることとなった。
自分の意見を聞かれることなく勝手に決められたことに無表情ながらも不機嫌になる達也だった。
少し距離を離して向かい合う達也と土門。
武器を持たずに構える土門に対し達也はアタッシュケースから取り出した自身の拳銃型CADを左手に持ち突っ立っている。
またも審判を務める摩利の「はじめ!」の合図の直後轟音が鳴り響いた。
その音の方に視線を向けるとそこには右の拳を突きつける達也とその拳を右腕で受け止める土門の姿があった。
「CADを持ちながら初手が打撃とは驚かされたぞ。」
「当然のように受け止められながらそれを言われても嬉しくはないがな。」
笑みを浮かべながら一言会話を交わす二人
そしてまた格闘の応酬が始まる。
左手に持っていたCADをホルスターに収め、両拳による連打を始める達也。
土門はその全てを受け止め、いなし、躱していく。
土門が返しで放つ拳もまた達也にいなされる。
まさに一進一退の攻防を繰り広げる二人。
格闘戦では埒が明かないと考えたのか達也は一足で土門から距離を取り周りを走り回りながら魔法を使用する。
使用する魔法は《
手元で圧縮空気弾を作り、それを打ち出す魔法であり、比較的簡単に使用することができる魔法なうえ、達也が持っているCADである《シルバー・ホーン》は魔法の連続発動に最適化されており魔法の発動速度が遅い達也でも弾幕を張ることができる。
前後左右、更には上から無数に飛んでくる空気弾に回避をとることで精一杯になる。
だが、土門の表情に焦りはない。
「毎秒六発といったところか……達也よお前が六発の弾丸を放つのならば!俺は六人の俺でお前の攻撃を止める!」
「秘技!
そう叫びながら自身の前面に突き出した掌を円のように動かすと『十・二・王・方・牌・大・車』の文字と火の玉が浮かび上がり掌を突き出すと火の玉は小さな土門となり空気弾を打ち消しながら達也へと殺到する。
魔法ですらできるわけがない有り得ない光景にさすがの達也も無表情を保てず困惑顔で動きを止めてしまう。
その一瞬を土門は見逃さない。
一瞬のうちに距離を詰め手刀を首元で寸止めをする。
二人の間に生まれる静寂
それがこの戦いの終わりを告げた。
皆さんお待ちかね!
司波達也との模擬戦を終えた後日
クラブ活動勧誘期間に入りまさにお祭り騒ぎの様相になります!
ただ闘いを望む土門はいったいどのようなクラブに入ることになるのでしょうか!
次回!魔法武闘伝Gの劣等生!
『歓迎!マーシャル・マジック・アーツ部』に
レディー……ゴー!
注:実際の内容と異なる可能性がございます。