真・女神転生オタクくんサマナー外伝 -アナザーキリギリス- 作:ローグ5
予想以上の大戦力を襲撃に投入するとはやっぱ怖いっスねヤクザは
常日頃から自分の生きてきた世界が壊れ、紡いできた生が終わる事を人は意識しない。
良くも悪くも自分の人生は続いていく物。
治安の悪化やら謎の怪獣やら、不穏な話の多いこのご時世でも変わらない。
退屈ではあるが、美味しい食事や娯楽、楽しみがある日常が続いていく。
少なくともこの国に生きている人の多くは、そう考えている。
とある病院にて受付を務めている女性はふと、今日は甘い物でも買って帰ろうかなと思った。
何せ季節の変わり目で体が疲れやすい。
仕事にやりがいがあり、環境も安定していても体が重くなる時はある。
こういう時は家の近くの店でシュークリームでも買おう。
ああそうだ。ネット配信のドラマも見ないと。
生真面目に仕事をこなしつつ、なんて他愛のないことを考えていた。
彼女の思考は、少し心配になった事もあるかもしれない。
どうも今日は警備員がいつもより多い気がする。
何処か緊張感を漂わせた若い人間も。
もしかしたらネットで脅迫の書き込みでもあったのかもしれない。
朝から一度か二度はそんな思いが浮かんだ。
それ以上の事は大して考えなかったが。
(あら……?)
女性は待合席のあたりを目の不自由な老婆が歩いているのを見た。
点字ブロックなどの設備は行き届いているが、何かの拍子にそこから外れてしまったようだ。
助け船を出した方がいいかと考えたあたりで、手助けしてくれた子達がいた。
まだ中学生くらいの金髪の子と黒髪の子。
待合席まで老婆の手を引いていくと、お礼に手を振りつつ離れていった。
(いい子達だなあ)
目の前を通り過ぎていく二人に会釈し、相手もにこやかに会釈をする。
距離感の近さからすると姉妹だろうか。
少なくとも二人共可愛らしくて、いい子達だと彼女には印象付けられた。
(さ、定時までまだ長いし私もがんばろっと)
上向いた気分で受付の女性は仕事に取り組む。
帰るまでにやっておくべき事はまだまだあった。
そんな女性を背に歩いていく二人、レイとロゼは足早に歩いていく。
万が一にもぶつからないようにしつつ、困っている人はいないか見まわしながら。
「予想以上に大きいわねこの病院……」
「案内板がなければ迷子になりそうだねー。
あ、弥勒お姉さんいたよレイ」
二人が足を止めたのは産婦人科の近く。
合流しようとしていた少女は、膝をかがめ子供と話していた。
どうやらその子供は母親が出産のため入院しているようで、親身に話を聞いてあげている。
「私いいお姉ちゃんになれるかなあ?」
「そうですわね……お姉ちゃん先輩からのアドバイスとしては、今あなたが感じている幸福。
自分の家族が産まれてくれた時の気持ちを忘れない事です。
そうすればあなたもいいお姉ちゃんで居続けられますわ!」
「おお、紅茶のお姉ちゃんいい事言うねー。
あ、お父さん!」
少しばかりの話が終わると、子供は父親に連れられて帰っていた。
別れ際に手を振ると彼女は向き直る。
淡い色の髪をした溌剌とした少女の名は、
帝都ヤタガラスの所属の防人が一人。
レイとしてもなじみ深い相手だ。
「ごめんなさい、待たせてしまいましたわね」
「ううん、大丈夫。
そっちはどう」
「今の所は平穏無事ですわ」
双方ともに異常なし。大過ないようだ。
「外の人からも……報告は来ないね。
にしても本当に来るのかな襲撃なんて」
髪の下に隠した骨伝導インカムを確かめつつ、ロゼが小首を傾げる。
健康な覚醒者である彼女達が病院に待機している理由。
それは反社会勢力による病院襲撃が予想されている為である。
カジュアルの拠点にあった残存資料や、非合法レルムでのヤクザ襲撃によって得られた情報から導き出される悍ましき事実。
眠り続けるアストラルシンドロームの患者か、新生児の奪取か、それ以外の何かか。
確かに病院への襲撃と言う非道を目論む者達がいるとの事がつい先日に判明した。
故に帝都ヤタガラスやキリギリスの参加者、さらにレイやロゼの様なドリフターズにメシア穏健派の残存戦闘員もが病院への防衛に展開している。
この病院の様な、多くのアストラルシンドローム患者を受け入れている場所を中心に。
不本意ながら広く浅くの防衛線を敷き、事態に備えていた。
「ここ、病院だよ?
いるのは病気の人や赤ちゃんや妊婦さんばかりなのに。
そんな所に押しかけてくるのかな?」
「普通ならあり得ないしあり得てはいけない話ですが……」
ロゼや夕海子は額にしわを浮かべた。
よりにもよって病院という施設への襲撃。
「……分からないわよ。
ええとさ、前一回あなたと共闘したって言ったじゃない?」
「あーあのわたくしが不条理な服装をしていた時の」
過去の自分の信じがたい振舞に、声を潜める夕海子にうなづきレイは続ける。
「あの時なんだけどね、武器COMP手に入れた反出生主義者が病院テロをしようとしていたの」
「は、反出生主義者……? そんな意味不明な人がサマナーなんてなれましたの?」
「当時は武器COMP持っただけのカジュアルみたいのが多かったから。
で、あなたと拠点を制圧したんだけど」
支離滅裂な思想ながらも殺戮の為、驚く程用意周到な計画を立てていたらしい。
物資に関しても悪魔の力を利用した手製の毒ガスや、火炎魔法を延焼させるための燃焼材を大量に用意して結構秒読みの状態だったという。
「正直言ってゾっとしたわ。
世の中には私達とは決して相いれない、人間としてどうしようもなく壊れた奴がいるのよ。
悲しいけどね。だから────」
「戦える人間が護らないとね」
「ええ」
レイの言葉に、ロゼと夕海子もうなづく。
三人共病院の中を見たからこそ、分かる。
懸命に働く職員やこれから生まれてくる子供達、病や怪我から立ち直ろうとする傷病人。
そしてアストラルシンドロームに陥った人達を、微力だろうと護らなくてはいけない。
病院での殺戮なんて願い下げ。
一人の人間として否定せねばならぬ。
貴様等外道の好きにはさせないと。
「その為に装備もアップデートしてきましたわ。
弥勒家の長女として貢献させていただきますの」
「私達も多少は鍛え直してきたわ。
この世界でも戦えるように」
「大変、だったけどね~……」
自信ありげな表情を崩さない夕海子。
対してレイとロゼの目はどこか遠い。
異界での終わりなき仲魔集めにファンドに戦闘。
邪教の館を酷使しての悪魔合体。
そして滅茶苦茶強いゲイリンちゃんによる地獄のブートキャンプ。*1
この世界へ浮上してからの日々を思うと目も遠くなろうという物であった。
「と、とりあえず午後も予定通り待機しますわよ。
来ないに越したことはないですが、油断せず備えないと」
「瞬間移動とかできなくはないもんね」
なんて軽く会話しつつ少女達は、来るべき事態へ備える。
他所の病院で待機を続ける
いつ、何があっても対応できるように。
誠実な少女達の出番は予想より早い。
事態はすぐに動く事になる。
――襲撃は、正面衝突を以て始まった。
帝都の道を二台のマイクロバスが走っていた。
外観も、速度も違和感なく。
傍目からはツアー旅行にもみえる道行。
道行く人も気い止めない、ありふれた光景。
何の変哲もないバスだった。
──尤も、中身は尋常とは言い難かったが。
絶望と罪悪感に息を荒げる運転手。
拘束されているにも関わらず、恍惚とした声を上げる者達。
そして嗚咽する女学生たち。
目を疑う異様な光景。
その中で一人の男だけが平然としていた。
白の仮面にシルクハットを被る男。
仮に怪人と呼ぶべきだろうか、バスの中で一際特異な存在は懐から視線を上げる。
バスの広いフロントガラスの先に見えるのは、白亜の病院。
彼等の目的地である場所だ。
「さあて、行くとしますか。
アクセルを踏み込め。全力でな」
「は、はぁひぃ、わ、わかりましたぁっ!」
運転手に無理やりアクセルを踏み込ませると一気に加速。
バスの中を満たす負のコーラスに男はくす、と含み嗤う。
男は<八部連合阿修羅会>の構成員、正確にはコンプレスという構成員の影武者である。
同時多発的に行う病院襲撃作戦、その中の一つに参加する男は、一部隊を預かっていた。
(今回の成果は如何ほどになるかね?
正面に見える病院を襲撃する部隊は三つ。
内容は以下のとおりである。
第一部隊:正面から突入し爆弾化人間による大量爆殺及び政府機関の信用低下を狙う特攻部隊
第二部隊:裏口より侵入後、魔法による病院内での虐殺を行う破壊工作部隊
第三部隊:屋上から潜入し入院患者の拉致、護衛戦力の排除を行う隠密部隊
綿密な計画を立てた上で、警察組織や護国機関の妨害を想定した戦力。
悪魔人間や合体の術を施した悪魔、漂流者と呼ばれる者でも有用な者をも強化し投入したこの作戦は完璧。
男自身防ぐ手段が欠片も見当たらない程だ。
≪テトラカーン≫
≪マカラカーン≫
「止めれる物なら止めて見ろよこの襲撃を!甘ちゃんの法治国家ァ!」
悪魔と合体したバスが、物理・魔法障壁を展開。
殺戮の予感に高揚する男は叫ぶ。
止められるわけないと繰り返し思いながら。
第一部隊は魔法防壁のみならず人質の女学生を積み、誰を殺すかの極限の残酷な二択を迫るがそれにはとどまらない。
第二部隊は子守り歌*2を使う悪霊くちさけ*3と、レテの囁き*4を使う、夜魔ヒュプノス*5といった強化悪魔を中核として構成。
中核となる漂流者の永眠の誘い*6で病院内を掃討する。
さらに第三部隊は少数精鋭であるが、それ故に効果的な奇襲が可能。
それぞれ魔力相性と呪殺相性のシャッフラー*7使いの異能者二人に、Mag強化でLVを70近くまで上げた漂流者の強者。
右往左往する敵を穿つ楔となりて、白亜の建物を突き刺す。
都市圏最大のアストラルシンドローム病院には及ばない物の、これだけの戦力の悪辣な連携に耐えられるはずもない。
それはこの病院に悪意を持って集いつつある外道達の共通見解だった。
「間違っても停まるなよ? 正面からいけ」
「あ、あっ、あああ~!」
故に彼らは真正面から突っ込んだ。
正門を抜け、生け垣を粉砕し、道の真ん中へいる人間へ。
仮面の下で舌なめずり、幸先良し。
「君は法治国家の無能の証明者!
今日の犠牲者第一号というスターだ!」
笑う男の乗るバスが迫るのは、白い髪の少女。
細面の可憐と言う表現が似合う彼女に対して真向から巨体が突進。
一切の減速もなく、華奢な少女を撥ねて
「──────――――はぁ????」
「今よ! 一気に制圧する!」
「召喚! 魔力の限り撃ちまくって!」
宙を舞うバスに殺到する石化の魔法。
身を隠していた少女二人、レイとロゼが飛び出し、瞬時に仲魔を召喚した故に。
「ウオオオ! セッカフィーバータイム!」
| 邪竜 | バジリスク(合体強化済み)*8 | LV58 | 衝撃・精神に強い 火炎・氷結無効 電撃に弱い |
「車と悪魔合体たあ面妖だなオイ」
| 堕天使 | フォルネウス(合体強化済み)*9 | LV43 | 地変・電撃に強い 火炎・氷結・呪殺反射 |
合体により耐性やステータスを強化した二体によるペトラアイズ*10と石化光線*11が乱舞。
瞬く間にバス二台を中身毎石化せしめた。
バスを止めた理屈は単純明快。
物理反射状態に物理反射ダメージを与えても、
これは見事にバスを吹っ飛ばした。
(まだドキドキしてる……!
病院を護れてよかったけど、二度としたくない)
ほんの二分前、あるキリギリスによって証明された防衛手段。*12
勇敢にもそれを成した少女──
自分の身一つでバスの前に立ちふさがる。
メシア穏健派という斜陽の勢力に属し、強大に過ぎる敵に蹂躙されようとも戦い続ける彼女にとっても、恐怖を感じる行為だ。
天使と融合しても人の心を持っているが故に。
迫りくるバスに対して仁王立ちする等、好き好んでやりたくない。
だが、無辜の人を護る為ならば、やり遂げて見せよう。
(それが、私の信仰ですもの)
精神を切り替え、偽装のコートを脱ぎ剣を構え、レイとロゼと並び立つ。
石化した扉を蹴り飛ばし現れた男を見据えて。
「流石に石化一つで終わりはしませんか」
「思ったより強そうだねアイツ。
雨柳のおじさん程じゃなさそうだけど」
「何にせよやることは一つよ」
悪魔を召喚し、レイは朱い刀型武器COMPの切っ先を仮面の男へ向けた。
戸惑いも不安も自身の中に依然としてある。
だけどこの場でやるべきことは明白だ。
「
打合せ通り行くわよ!」
可憐で、勇ましい声で少女は宣言した。
「舐めRUんじゃネぇぞ小娘どモが!!」
トレンチコートの裾をなびかせて、
仲間呼びによって呼び出した邪神ケモシ*13を飛び石に跳躍。
頭上より
「死ガイをSARAせや!」
禍禍しい光輝が少女達を包む。
高LVによる万能魔法という単純明快な暴力。
如何にテトラマカラがあろうとも関係ない。
「いったあ……けど、まだまだいけるね」
「ええ、あの時に比べれば遥かにましよ!」
「そうですね。何もLVが倍って訳じゃないですし」
だが三人共、仲魔のカバーなり回避するなりでまだまだ継戦可能。
それどころか軽口すら叩いている。
(支援が効いているわね。ありがたいわ)
レイ達は三人と仲魔だけでカイジンと戦っているわけではない。
アリサと言う露出度の高い服装をした女性と、<最後の大隊>と呼ばれるドリフターズの軍人たちが支援を行っている。
アウトレンジからの支援────特殊煙幕弾*14と二度にわたる腕への狙撃*15によって弱体化され、手足の動きに精彩を欠く状態。
じわじわと弱体化が響いていた。
| 外道? | カイジン | LV69 |
攻撃力 | -2 | |
命中・回避 | -2 | |
(仲間の体力も削れてきた。なら!)
レイがCOMPを構え
ほぼ同時に飛び上がったヴリトラがケモシを文字通りの"からたけ割り"*16にて叩き斬る。
「tiっ! 役にたタんな!」
真っ二つになったケモシの下敷きになることを避け、カイジンが後退。
一人になった自分への集中攻撃を意図した動きだが、すでに遅い。
支援攻撃のお陰で耐性はある程度見切れている。
仲間も排除したなら、これの出番だ。
「ファリエルさんが1! ロゼが2! Go!」
レイの声にロゼとファリエルはうなづき、仲魔に指示を飛ばす。
ファリエルがヴァーチャーに
ロゼがフォルネウスに
そして例が使役するバジリスクが仕上げの如く、
三連の魔法を重ねる事で発動するは合体魔法。
その威力はまさに必殺!
| 合 体 魔 法 ア イ ス ク ラ ッ シ ュ *17 |
「がっ────!」
強大な冷気に包まれカイジンは凍結。
宙を舞い後退しようとしたまま、彫像のように指一本すら動かせない。
(馬鹿な、耐性はなしとはいえ、一発で凍結だと!?
クソが、ふざけやがって!)
アイスクラッシュの特異性、凍結確率の高さを知らないカイジンは驚愕。
動けず、一体のみの男と相反するかのように、レイ達は半数以上が行動可能。
此処に大勢は決していると言っていい。
悪辣さやLVの高さと言ったカイジンの強みは。
少女達の勇気と連携によって覆されていた。
(ふざけ、やがって!!)
氷の棺に封ぜられた存在にできる事は、負け惜しみを叫ぶだけだった。
病院の屋上。
放置されひび割れた端末からは、切羽詰まった声が響く。
『畜生! 奴等状態異常を防ぎやがる!
どうなってるのよ!?』
かつて大地の大半が砂漠化し、各箱庭が生きるために奪い合った世界の出身だという漂流者。
永眠の誘いを十八番とする女が率いる第二部隊は、無力化されつつある。
最後の大隊による援護を得たキリギリスや護国の精鋭、その守りは貫き難い故に。
『化け物、異常者共がより集まって、何、を』
血で濁った断末魔の言葉。
答える者はいない。
この屋上でも激戦が繰り広げられていた故に。
男が、剣を振るった。
鮮烈な剣閃が宙を駆ける。
音を置き去りにする、捉え難き速さで。
| 物理スキル | 敵全体に斬撃属性大ダメージを与える 葛葉に伝わる剣技の奥義が一つ |
悪魔の胴を薙ぎ、異能者の頸を斬り裂く剣技。
血をなびかせながら刀を手に駆け抜るは雨柳。
「残り3! 逃さずここで倒すぞ!」
「外道許すまじ、ですわ!」
消耗したダメージを神樹ククノチの魔法で回復しつつ、雨柳が叫ぶ。
その背でサポートを行うのは夕海子。
二人共仲魔を従え、襲撃者と果敢に戦っていた。
(なんだその力は……! 悪魔が混じっているわけでもねェくせに!)
悪魔人間の男は犬歯をきしませる。
屋上からの襲撃は、完璧な奇襲のはずであった。
| 悪魔人間 | リッパ―(Mag強化済み) | LV67 | 万能以外の全てに強い*18 魔力・呪殺無効 |
二人のシャッフラー使いと共に自身をCARD化し、紙飛行機となって屋上に到達した所で解除。
病院へ潜入し、
シンプルかつ確実な多段襲撃の一角を担う彼らを、阻む者等いやしない。
そう思っていた。だが待ち受けていたのは。
| 悪魔召喚師 | 雨柳巧 | LV73 | 破魔・呪殺・魔力無効 神経に強い |
| 悪魔召喚師 | 弥勒夕海子 | LV41 | デモニカスーツ装備 |
リッパ―すら上回る域に達した男と、支援するデモニカ装備の少女。
彼等以外にも遠目にデモニカが何体か動き回り、支援を行う。
そう、飛び込んだのは無防備な屋上ではなく。
入念に準備された殺し間であった。
リッパ―と呼ばれる男は知らない。
雨柳がかつてCARD化によって少女を拉致する異常者と戦った事。*19
防衛部隊は病院の人々を護る為、過去のテロ事件を参考に入念な準備を整えていた事を。
逆転を狙えるシャッフラーは耐性とククノチの
すでに悪魔の大半は息絶え、同伴した異能者も一人が死亡。
不利な状況に、尚追い打ちがかかる。
造魔らしき仲魔からの
リッパ―は厳然たる事実を噛みしめる。
完璧等存在しない。そんなありふれた事実を。
(だが、この程度で死んでいられるかよ!)
他者を踏みにじり奪い、己の手に握る刀にて殺し男は生きてきた。
ならば頼みにするのは、第二部隊の女のように他人ではなく自分の力。
今更変えようもなく、変える気もない生き方。
「やれっ! 奴等を縛れ!」
もう一人の異能者の声と共に、邪神ナラギリがパニックボイスを叫ぶ。
緊縛する咆哮は不発。だが、耐えた一瞬の隙が出来て。
「──────っ!」
ヤクザアサシンである異能者が、影から滑り込むように暗殺拳*22を放つ。
「無粋はさせませんわよ!」
| タリ報Ⅲ | COMP機能 | 敵からの奇襲をかなりの高確率で防ぐ |
刹那夕海子の持つ銃型の武器COMPが閃き奇襲を阻止。
激戦に次ぐ激戦により開発された機能は強力。
であるが、回避に雨柳の姿勢が前傾した。それでいい。
「きぃ、え」
雨柳の頭を焦点に、祈る様に刀を掲げ、全身全霊で踏み込む。
隆起した筋肉に研ぎ澄まされた精神。
全てはこの必殺の一刀が為に。
「エエエエエエエイイッ!!」
振るうは、万能の域に達した雲耀の太刀の一閃。
物理反射の悪魔だろうと叩き斬る剣の奥義。
悪魔と合体し力を強め、Magを取り込んで威力を強めた斬撃。
これがあれば、格上だろうと!
(絶死の斬撃だ! この一撃で死ね!!)
残像を以て振りぬかれる万能剣技。
対する雨柳は、頭上からの凄絶な斬撃を──刀を手放しするりと躱した。
「な……! 貴様、嵌め」
「軌道が読めてれば、これくらいはな」
葛葉一族の悪魔召喚師に伝わる回避術。
無論、これ一つで何でも回避可能というわけにはいかない。
が、敵が単体で、かつ斬撃軌道を誘いが読めていれば回避も可能だ。
前転終了。無手の雨柳が抜刀術*23にて瞬時に小太刀を抜き放ち、リッパ―の腹に突き立てた。
脾腹をぞぶりと、貫く刃が禍禍しく煌く。
「がっ、は」
血を吐くリッパ―から、旋転し雨柳が退魔刀を拾い上げる。
ククノチが刀身に風を与え、夕海子が仲魔のクー・フーリンにタルカジャを唱えさせる中。
絶妙のタイミングで地を蹴り、放たれるは疾風大忠義突。
どぉんと、迫撃砲の如き音を立てて、リッパ―の上半身が吹き飛び転がった。
血をなびかせた上半身が壁にめり込み停まる。
簡単にはずり落ちないことが、損傷の深さを物語っていた。
(…………クソが、俺は此処で死ぬのか。
ついに奪われる側に立つって事かよ。
俺がそうしてきた奴等みたいに)
転がったリッパ―の視線の先で、ナラギリと異能者が砕かれるのが見えた。
これで屋上からの第三部隊は全滅。
この分では正面や裏口も同じような物だろう。
最早悪態すら吐けぬ口からは血のみが流れ出る。
男の脳裏には強さへの畏怖。
(あの召喚師、あそこまでの強さを、技を得るのにどれだけの死闘、を……?
あの小娘も、適切な動きをしてやがる。
LVだけじゃねえ、なんなんだこの周回の奴らは)
自分の生きてきた周回と違いすぎる故に、理解できない。
彼等の強さと、生き方が。
(この周回の奴等は、どいつもこうなのか?
……俺の時とはずいぶん違うじゃねえか)
産まれた世界は、護国組織は無能で腐敗していて、メシアやガイアも場当たり的に自身の主張を掲げ欲望を満たしていた。
だからGPが上がり世界が滅びつつある頃からリッパ―、否地方護国の■■■■は己が生き残るために他者から奪い始めた。
正しさも信仰も信念も意味がない。ただ欲望に塗れた人間がいるだけだ。
ならば俺がそうしても悪くあるまいと嘯き、ばらまかれた悪魔召喚プログラムと刀を手にして悪鬼に身をやつした。
かつて邁進していた退魔剣士としての正道に背を向け、悪となりまだ滅んでいない世界に流れ着いても生き方を変えなかった。
病院襲撃等行う外道に、後悔などある訳もない。
だが、死に際故に思ってしまった。
(俺も、コイツ等みたいに────)
捨ててはいけない物を捨てないで生きていたら、かつて目指していた高みに登れたのかと。
雨柳がとどめを刺すよりも早く、リッパ―と呼ばれていた男は、それだけ思い息絶えた。
377:特撮好きの名無し
あの特撮どう思うよ?
378:特撮好きの名無し
アクションや演出は期待できそう
なお主演が素人臭い模様
379:特撮好きの名無し
奴も半年たつ頃には修羅になっておるさ
380:特撮好きの名無し
特撮は過酷な世界なんだ
空洞虚無になるんだ
381:特撮好きの名無し
ニチアサ見ると序盤と終盤で別人レベルに顔つき変わってる人いるもんなー
382:特撮好きの名無し
あの怪人のデザイン良くね?
383:特撮好きの名無し
車爆弾するあたりダークと言うかノワール路線なのかね
384:特撮好きの名無し
>>382
マフィア風の姿個人的にかなり好き
ただあれ上級戦闘員ポジじゃねえかな
仮面以外の衣装変えれば別ver作れるし
385:特撮好きの名無し
あーデカレンジャー1話のバーツロイドみたいなもんか
386:特撮好きの名無し
アマゾンズSeason2でもやってた奴
387:特撮好きの名無し
>>383
上級戦闘員説信ぴょう性ありそう
SNS見ると○○病院近くでもロケ見たって話し合ったわ
388:特撮好きの名無し
コスプレも手軽に出来そうだし放映が楽しみ
389:特撮好きの名無し
迫力あるのはいいんだけど映像見てちょっとぎょっとしたぜ
今日通ってる病院近くで事故あったから
390:特撮好きの名無し
>>389バス事故ってマ?
ニュースであったかそんなん
391:特撮好きの名無し
>>390
なんか輩がドラッグキメてクソ雑運転してたら事故って病院の門にぶつかったんだってさ
外国人っぽい警備員さんが「ドーモスイマセンネー」って言いながら整理して大変そうだった
392:特撮好きの名無し
げー迷惑な話だな
393:特撮好きの名無し
DQNがよぉ! 真面目に働いてる人によぉ!
許せねえよなあ!
394:特撮好きの名無し
少し前まで首都圏マジで半グレとか多かったからなあ
最近警察働いてるからか減ってきたけど
395:特撮好きの名無し
まあ待ち時間に美少女見れたからいいんやけどな
姉妹っぽい子と友達らしき紅茶ちゃん可愛かった
396:特撮好きの名無し
待てよ此処は特撮好きの集まるスレなんだぜ……決して羨ましい訳じゃないぞ
397:特撮好きの名無し
しっかし最近のCGって凄いな
398:特撮好きの名無し
だな これ爆発どころか車までCGあり得るんじゃないか
399:特撮好きの名無し
キングオージャーとかの奴もだけどウルトラセブンとか見ると未来に来た気がするわ
400:特撮好きの名無し
ウルトラセブン? 最近作品出てたっけ?
401:特撮好きの名無し
>>400
なんか秋に55周年のコンセプトムービーやるんだけど
バーチャルヒューマンて最新技術で当時の人間再現してる*24
ビックリするほど自然に動いてるぞ
402:特撮好きの名無し
見てきた すげえなこれ……
403:特撮好きの名無し
最初「随分似た人探して来たなあ」なんて思ったけどCGで出来んだなここまで自然なの
404:特撮好きの名無し
ローグワンで見たけど日本でもやりだしたんだこの手法
405:特撮好きの名無し
ワイメビウスから昭和トラマンにはまった者
生きる楽しみが増える
406:特撮好きの名無し
いい事じゃないの
「ん-インターネットの方でも騒ぎになってないね今日の事件。
何とか事故って事で納められたのかな」
「なら防衛は成功かしら。
他の病院でも殆ど被害は出ていないみたい」
夜を迎える前の平穏な病院の中。
予備の服に着替えたレイとロゼは、端末で各地からの報告等を確認する。
彼女達の守っていた病院は襲撃部隊を殲滅。
正面、裏口、屋上からの敵を倒し、人質や爆弾化された人も救助できた。
他の病院も同様の結果で、偽装工作もあって社会不安も煽られていない。
まず今回の作戦は成功と言っていい。
「他所だと幹部クラスだっていう八極道も倒されてるようだけど……戦力と規模が明らかにおかしいわ
まるで今回投入された戦力は使い捨てみたいに」
「レイよりLV上の奴が此処だけで三人。
他の病院だとおじさんと同じくらいの幹部も出たのに」
白昼堂々行われたヤクザによる病院襲撃。
なりふり構わない外道行為に投入された戦力は常軌を逸している。
恐らく今回の襲撃は、本命ではない下準備だというのに。
────本命の敵は遥かに強い。
今日勝利した者達の多くはそう推測している。
「もっとLVあげないと、ね」
「そうね」
レイもロゼもまだまだ力不足。
今日かなりの格上を倒したといえ、入念な支援あっての戦果。
仲魔に装備に自身の技術に、さらに高みへ登らなくてはならない。
けれど少女二人の目は穏やかだ。
少女達の眼前に広がるのは、平穏な病院。
職員も患者も色々な事情があるのだろう。
それでも日常が保たれ、理不尽な死が吹き荒れていない。
今日はひとまず、それでよいのだ。
「あっレイ、レイ。弥勒お姉さんとおじさんも交代だって。
僕達も引継ぎしたら終わりだね。今日は疲れたぁ帰ってご飯食べたい」
「ほら、猫みたいにふにゃふにゃしないの。
最後までしっかりしなさい」
「はぁい」
平穏な日常が壊れず続く病院。
それが何よりの戦果だった。
次回も早めに投稿したいと思います
軽めのエピソード一つ挟んで、ロゼかレイの主役エピソードかな?