真・女神転生オタクくんサマナー外伝 -アナザーキリギリス-   作:ローグ5

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今回は悪魔合体回
割といろいろデータを見て決めた結果この様な構成になりました


連続悪魔合体をしよう!

 悪魔合体施設業魔殿は今日も賑わっている。

 

 先日のレイドバトルで出現した計5体のLV90越えの大悪魔に多数の取り巻き。

 それらとの戦いを経た多くのDBは限界突破し、大幅にLVを上げた。

 さらに同時に起きた何らかの出来事の結果、GPの上昇が停滞。

 推定するに3か月程の平穏な期間が産まれた。

 つかの間の平穏を迎えたDB達が考える事は、大きく分けて二つ。

 

 一つ目は平和なうちに休息を取り、英気を養う事。

 2回目のセプテントリオン戦から漂流者の漂着にレイドバトル。

 慌ただしかった此処数か月を鑑み一先ず休み遊ぶ。

 そう考え各種娯楽を楽しむ者も多い。

 

 二つ目は各種の準備を進めておく事。

 平和は一時的な物で、世界を滅ぼさんとする組織が幾つも健在なのだ。

 次の激戦が来るならば、今のうちに色々と体制を整えておく。

 そう考える者も当然多く、体を休めながらも計画を練り、方々へ動いていた。

 装備に道具、仲魔と見直すべき点は多いのだから。

 

「合体チャートの見直しは……これで時間的にも問題なしだな」

 

 悪魔召喚師雨柳巧もその一人であった。

 

 彼らがいるのは業魔殿内にあるレストラン。

 様々な人々が行き合い、席の多くは埋まっていた。

 

「随分と複雑なのですね旦那様。

 目的の悪魔に到達するまでランクダウンも含めて何体も経由するとは」

「これでもそれなりに切り詰めたんだぞ? 

 リソースも時間も限られてるからさ」

 

 雨柳の正面に座るのは妖精ゲフィオンだ。

 普段は本拠地で護衛や家事を担当している仲魔。

 今日は合体によるスキル付与、それと珠には外の空気も吸わせようと思い連れてきていた。

 

「デビルソースも悪魔倒せば必ず手に入るって訳じゃないし。

 もう少し手に入る頻度が高くなればいいんだが」

「でもそのおかげで私も強くなりました」

 

 軽く頭を掻く雨柳に対して、ゲフィオンは胸に手を当て微笑む。

 何の因果か妖精として顕現した仲魔の霊格(レベル)は以前よりも高まっていた。

 

\カカカッ/ 

妖精ゲフィオンLV51(43+8)氷結・電撃にやや強い*1 破魔・呪殺・神経無効

 

 雨柳の活動が活発になった事に端を発した、事務所の防衛力強化の一環として常駐するゲフィオンの強化を行った。

 異界の調査で戦闘に出す他、知古を通じて知り合った腕利きの魔女から魔導書*2を購入。

 霊格を上げて更にデビルソースの付与を今回を行った訳だ。

 

●ゲフィオンスキル

 ・<マカラカーン(味方全体)> 

 ・<フォッグブレス> 

 ・<メディラマ>

 ・<テラダイン>

 ・<マハブフーラ>

 ・<サバトマ>

 ・<トラエスト>

 ・<ドルミナー>

 

 以前雨柳が使役していたのとは別系統の龍王ユルングのデビルソースから、フォッグブレスとメディラマを習得。

 補助と回復の能力を手にした妖精はいざという時の後衛として役立つだろう。

 また前衛となる仲魔についても用意をした。

 

\カカカッ/ 

妖魔ヴァルキリー*3LV60呪殺等に強い 破魔無効 打撃・技反射

 

 以前使役していた鬼女ゴルゴンと用意した悪魔で三身合体した悪魔。

 多くの系統が確認されているヴァルキリーの中でも、物理全般に強く魔法全般系統に弱い個体*4と同様に高LV。

 流石にテトラカーンは真Ⅰの仕様(元の仕様)とはならなかったが、素材となったイルルヤンカシュから高倍率のタル・カジャを継承している。

 基本的には事務所の護衛に回す予定だが、物理に長けた悪魔ゆえに戦闘にも使い勝手がいい。

 

「何分大事な仕事だ。

 これからもよろしく頼む」

「こちらこそよろしくお願いします。

 私の仕える旦那様」

 

 言葉を交わしあい、ゆったりとレストランでの軽食を楽しむ。

 一先ず業魔殿での合体は終わったが、これで今回の合体計画は終わりな訳ではない。

 むしろここからが本番と言えるだろう。

 

(必要な悪魔を揃えるのは今日の交換で終わる。

 ただ欲を言えば妖鬼はもう少し高LVが欲しいな。

 その方が金も時間も削減できる)

 

 甘味を食べ終えた雨柳は再度ノートを見直し、ちらりと腰に差したGUMPを見る。

 彼方の御国の技術でさらに改良され、仲魔を4体まで格納出来る様になった召喚器。

 その中には今日合体素材として呼び出した仲魔も入っている。

 

(明日の予約も問題なし、長めに時間が取れたから予定通り複数合体できる)

 

 今回雨柳が組み立てた悪魔合体計画の主目的は手持ち全体の底上げ。

 アドラメレクとスクルドの主力2体と、他の手持ちのLVの差が開き過ぎた。

 その為対応力の強化も兼ねてサブの仲魔を作成。

 更にはここ半年近く使役してきたククノチの合体を計画していた。

 

 神樹ククノチ。十六代目ゲイリンの仲魔であった悪魔は雨柳と共に戦ってきた。

 しかしLV80越えの悪魔との死闘やセプテントリオンに、<神>相手のレイドを乗り越えてきた雨柳のLVはククノチを大きく超えている。

 これからも待ち受ける敵に対しては力不足。

 ならば合体して新たな姿に生まれ変わり、更なる戦いに挑まん。

 

『元ゲイリンの仲魔とて遠慮する必要がありません。

 幾千万の木々が芽吹き億を超える人々が住まうこの国を護る為ならば、喜んで次へ進みましょう』

 

 ただし天使系統だけは勘弁してほしいらしい。

 ロゼのドミニオン等まともな天使もいるのが分かったがどうにも抵抗がある。

 そう言って高貴な口調の神樹は苦笑した。

 

(これからも仲魔として戦うんだ。

 ならこちらもリソースを駆使するのが誠意だよな)

 

 ククノチの合体先は既に決め、合意も取ってある。

 後は合体素材を調達するだけだ。

 

「デビルソースの取引まではまだ時間があるな。

 もう少しゆっくりしておこう」

「かしこまりました」

 

 デビルソースや素材となる悪魔といったリソースの取引は盛んだ。

 今日はソースを売り、明日は悪魔を交換する。

 雨柳一人に関しても忙しい事この上ない。

 

 追加の軽食を注文して、雨柳は再度合体計画と素材の在庫を確認。

 他方でゲフィオンはジュース──驚いた事にザックームを加工した物らしい*5を口にして、視線を外し近くの人々を見る。

 

 仲魔を引き連れたサマナーや、その他DB。

 連れ合いと親しげに話したり、飲食を楽しんだり。

 裏社会の集会場ではあるが活気はあっても殺気は感じない。

 

(この雰囲気は実に良い事です。

 戦士の方々は死ではなく生を重んじ動いている。

 ヴァルハラの在り方を否定はしませんが……私としてはこちらが好みですね)

 

 この光景を見れただけでも今日業魔殿へ来た甲斐があった。

 不確定だろうと未来へ向け、建設的に動く人間達は中々に好ましい。

 

「造魔のスキル継承って何でこんな面倒なの? 

造魔ちゃんのスキルがまだ定着しないんだけど」

「合体剣って悪魔の運も影響するんだ……逆に何が影響しないんだろ」

「アハハハハ! 揃ったぞガードキル持ち御霊がついに揃ったぞォッ!」

「何故だ! 何故深層スキルが根付かん!? 

このままでは大量のマッカが無駄になるのでああアア」

「ないよ! デビルソースがもうありませんよォ!」

 

 ……殺気は感じずとも狂気は些か感じられたが。

 

 

 


 

 

 

 帝都にあるレルムの一つ、杉並レルム。

 今日も先日のテロの影響もなく賑わっていた。

 

 DBだけでなくその仲魔、漂流者に外国人と多種多様な賑わい。

 とは言っても警備の数は心なしか増えたし、センサーやカメラの類も以前より目立つ。

 

 そんな杉並レルムの一角には他のレルムと同様に邪教の館があった。

 内装からするとカラオケ店を改装したらしき建物。

 中では何人ものデビルサマナーが行きかう。

 

 2階にある休憩所兼素材の交換所。

 雨柳は合体素材となる悪魔の取引を行っていた。

 

「随分と腕を上げたな。

 此間のレイドも参加したのか?」

「うむ。品川でラクシュミと干戈を交えたぞ。

 メギドラオンを相殺する腕利きがいた故美味い具合に戦えたな」

 

 軍装をした時代がかかった口調の男の名は左文字ワーグナー。

 雨柳とも面識のあるDBで、一度は異界へ退避していたがフェクダ戦前に復帰。

 其処から激戦に幾度も参加し今やLVは60半ばまで達していた。

 

 連れ立っているウィッチが外国出身な事もあり、最近は杉並レルムで活動しているようだ。*6

 この邪教の館での取引もすんなりと予定を合わせる事が出来た。

 

「俺は上野でヴァスキ、そっからカルケティーヤだ。

 あのシャドウとかいう野郎、とんでもない害悪だったぜ」

「ウム……あの悪魔以下の狂人だがかなり問題になっているようであるな。

 表の賞金サイトだけでも相当に高額の賞金が掛けられているぞ。

 ……まだ死んでいないのが驚きだな」

「少しやり合ったが相当な強さだった。

 情報を抜いて回避封じて、袋叩きにしないと潰せねえだろうなー」

 

 二人共話すだけで眉間にしわが寄る。

 思い出すだに不快な存在、それがシャドウ。

 なんか雨柳の事を知っているらしいし。

 

「まあいいやそろそろ取引といこう。

 こちらは予定通りイルルヤンカシュとマッカ」

「我輩は会心の眼力*7を備えたセイテンタイセイ*8だ」

 

 情報に相違ない事を確認してCOMPを設置された特製ケーブル繋ぎ、悪魔を交換。

 なんだかポケモンの交換みたいだが、電子的オカルト的セキュリティが徹底されたケーブルを用いるのが安全なのである。

 

 龍神を送信し、更にマッカを送る。

 雨柳のGUMPには破壊神セイテンタイセイが送られてきた。

 本来なら此処で終わりだが、少しばかり聞いておきたい事がある。

 

「このレルムで差し入れに丁度いい菓子とか売っている店はないか?」

「そうさな……甘味系なら、この店と後此処か。

 個人的には隣のアロマもお勧めだぞ」

 

 QRコードで店の情報を左文字から貰う。

 店の場所も邪教の館から近い。

 時間もあるし帰る前に寄れそうだ。

 

「それではな。あの少女にもよろしく」

「おう」

 

 左文字は連れのウィッチと共に去っていった。

 仲良さそうで何よりだ。

 

「雨柳さん、私の方も交換終わりました」

「ありがとうチヒロ。指定通りの氷結ガードキルを持ったスイキ、だな」

 

 雨柳に話しかけてきたのは、群青色の髪に眼鏡をかけたスタイルのいい美少女。

 ヘイローを浮かべた彼女は各務チヒロ。

 雨柳が協力する彼方の御国に属する悪魔召喚師だ。

 

 今回の邪教の館への訪問は彼女も同行している。

 ロゼと共にミクトランテクトリを倒し、その後も鍛錬を続けていた彼女のLVは50を超えた。

 戦力増強の為悪魔合体をしたい所だが、あちらの合体士も忙しい。

 その為この日長めの時間が取れた雨柳の素材確保等を手伝う代わりに、悪魔合体に同行させてもらう様に話を付けていた。

 

「さっきの人と何を話していたんですか?」

「ああ差し入れ買うならどこがいいかと思ってさ。

 ほら魔匠の人達の」

 

 雨柳の返答にチヒロはああ、と納得する。

 

 現在ヤタガラス所縁の魔匠や合体士達は過酷なデスマーチを続行中。

 LV上昇とGP停滞を好機として、DB達がより強力な武器と仲魔を求めているためだ。

 

 忙しさには少し前に【錬剣術】の事を思い出した雨柳も多少責任がある。

 大正時代にヴィクトルが扱っていた悪魔の力を宿した素材に魔晶と魔剣を合成する技術。

 良質な武器の調達を行う過程で雨柳は思いいたり、業魔殿から使われていなかった合体機材をマニュアル込みでもらってきていた。

 幾度かの実証を得て錬剣術と、更に付随した大正の悪魔合体技術の復元に成功。

 今ではどちらも帝都ヤタガラスによって運用されている。

 

 ……その結果何が起きたかと言えば魔匠や技術者達の労働量が若干増加してしまったのである。

 古の技術を復活させた喜びはあるがそれはそれ。

 何人かの魔匠は雨柳の事を感謝と殺意が入り混じった目で見ていた。ごめんなさい。

 

「あの人達がいないと俺も戦えないし。

 せめて差し入れぐらいはしておかないと」

 

 なんせ雨柳自身霧氷月影の錬成から、悪魔合体までお世話になりっぱなしなのである。

 正式な帝都ヤタガラス所属でもないのにだ。

 ならばきっちりと礼は示しておくべきだろう。

 

 悪魔業界という強さが物を言う世界だからこそ誠意は大切。

 そのあたりは忘れないでおきたいと雨柳は思う。

 

 雨柳の言葉を受けてチヒロはクスリと笑う。

 成程、あの子達と思考が似ている。

 

「レイやロゼと同じような事考えるんですね。

 二人も今日休みだからクッキー焼いて持って行くって言っていましたよ」

「流石二人共きっちりしてるなあ。

 ……と、そろそろ時間だ。

 扉近くでスタンバっておこう」

 

 一階に降りて機械で受付手続きを行うと、エントランス奥の扉が開く。

 明るい内装からは不釣り合いな重厚な扉。

 長めの階段、最近手すりが追加された理由を考えると何気に怖いそれを下る。

 

 地下に達すると再度重厚な扉が開く。

 最奥の部屋にいるのは白衣に、濡れ羽色の髪を一房赤く染めた女性。

 杉並レルムにおける邪教の館の主人が彼女だ。

 

「邪教の館へようこそ。

 早速合体を始めるとするか。

 流石の私もそろそろ寝る時間が欲しい」

 

 そう呟く邪教の館の主人の目には珍しく隈があり、内心雨柳は驚く。

 悪魔業界に入ったのは覚醒者を素手でのして覚醒したのがきっかけという武闘派。

 体力も度胸もあり、基本的に泰然としている彼女には実に珍しい。

 

「何というか、随分と繁盛しているんだな」

「地獄の悪鬼の如きDBが毎日毎時間来ていてな。

 こんなに身の危険を感じたのは一晩LV30越え悪魔に追いかけられて以来だ」

 

 杉並レルムも例に漏れず地獄だったようである。

 

「……差し入れ持ってきたけど食うか?」

「ありがたく貰うが今はいい。

 ウィッチドクター謹製のチョコが良く効いてな。

 驚いた事に合法的な物質のみで出来ているらしい」

 

 私は非合法でも構わんがとの言葉を聞き、チヒロが何か言いたげに雨柳を見る。

 雨柳は大丈夫だと言うように頷く。多分だけど。

 

「それじゃ、早速合体をしていこう。

 まずはアヌビスだな」

「合体法則はどれだ?」

「バージョン3を頼む」

 

 まだ新しい培養槽に似た合体装置が励起。

 他方でチヒロは備え付けのタブレットで悪魔合体法則を確認する。

 画面に表示されるのは10個近い合体法則。

 

(合体法則がここまで豊富にあるなんて……この世界の悪魔合体は複雑ね)

 

 此処の様な一部の邪教の館では、合体法則を作成順等から幾つかのバージョンやタイプに分類し管理している。

 例えば2003年に作成された法則はver3、その次の2012年作成の法則はver4と言う風に。*9

 あくまで一部の、比較的新しい邪教の館で使用されている概念であるが少なくないDBからは説明がしやすいと評判だ。

 

 チヒロのいた世界の合体法則は一つだけ。

 かつてを知る身からするとカルチャーショックを感じなくもないが同時に興味深い。

 

(しっかり見学しておこう)

 

 チヒロは眼鏡を直し、見学に集中する。

 貴重な機会を無駄にしないようにせねば。

 

「短い間ではあるが中々に刺激的だったぞ。

 次の儂も戦場ではよろしく頼む」

「ああこちらこそ」

 

 雨柳と短く言葉を交わすと、アヌビスは装置の片方へ入る。

 もう一方の装置には全書から再現されたデータの聖獣ビャッコ*10

 最後にアヌビスが秤を揺らすと、合図の様に装置が起動。

 

 光が瞬き、装置の間にある魔法陣が描かれた出力盤へ悪魔が降り立つ。

 

「合体は成功。出来たのは──女神だな」

 

 合体により現れたのはゆったりとした衣装に優美な顔立ちの女神。

 女神は自身の身体を確かめる様に、踊る様に動く。

 

「私は女神ラクシュミ。

 美しく幸福な世界が為に、あなたに従いましょう」

 

\カカカッ/

女神ラクシュミ*11LV64破魔反射 魔力・精神・神経無効 衝撃に弱い

 

 インド神話に語られる美と幸福の女神。

 主神ヴィシュヌの妻であり、踊りに長けているとも言われている。

 

「合体材料となった悪魔が想定よりも高LVなせいか、予想よりも10は高いな。*12

 スキルはメディアラハンとリカームドラ*13が使える他、ビャッコからジオダインに電撃ハイブースタも継承している。

 回復と魔法攻撃において有能な悪魔だな」

 

 雨柳の計画通り後衛としての能力に長ける仲魔。

 告げられたスキル以外にもアヌビスから継承した審判の光にペトラアイもある。

 普段の異界探索でも活躍してくれるだろう。

 

「高い魔力を活かした魔法の業、期待しているぜ」

「引き続き溢れる力を発揮させていただきましょう」

 

 雨柳へ一礼したラクシュミはGUMPへ格納。

 一つ目の合体は無事に終了、次の合体だ。

 

「次は全書のフウキとキンキ、それとチヒロのGUMPからスイキで特殊合体だ」

「合体法則はどうする?」

「そうだな……TypeSで」

 

 一部の館でTypeSと呼ばれる法則は、シュバルツバース事件のデータから作成された。

 強大な悪魔が出現したシュバルツバースの内部と現行世界の環境は大きく異なる為、流石に当時通りのLVとはいかない。*14

 それでもデビルソースの定着がし易く強力な悪魔を創れる為、この法則を採用するサマナーも最近は少なくないようだ。

 

 今回の特殊合体で作成される悪魔は、手間がかかるだけあって強力な耐性を持つ。

 これまでは訳あって使うのを避けていたが、そろそろ使用してもいいだろう。

 

 スイキとデータ上のフウキとキンキが装置に入る。

 装置が起動し光がまたしても瞬き、出力盤に立つのは黒い悪魔。

 

 何処か忍者を思わせる黒い装束に、赤い目の鬼面。

 双刃の大鎌を小枝の様に操る偉丈夫の妖鬼。

 

「我は妖鬼オンギョウキ。

 お主が今生における御屋形だな」

 

 藤原千方が使役した四鬼の一角。

 各々が強大な四鬼の中でも最強とされる存在。

 赤い目で雨柳をオンギョウキは一瞥。

 

「力の程は理解した。して、頼みがある。

 我と共に戦う仲魔と会わせてくれないか」

 

 邪教の館の主人はいいぞ、許諾。

 ならばと雨柳はスクルドを召喚した。

 

「ふぅむ、随分とまあ強大な仲魔であるな」

「確かにアライメントは違うけど……不満?」

「否。我が思うたのは御屋形が力のみでなく、心を以て悪魔を従える者かどうかよ。

 力のみに訴える者は何処かで躓き、終わる。

 お主のみならず仲魔を直に見て確認しておきたかったのだ」

 

 オンギョウキの目に雨柳は適ったようだ。

 アライメントは違えど、共に戦うに値する召喚師に仲魔と判断した。

 姿勢を低くし雨柳達へ礼を取る。

 

「四鬼の筆頭たる我が力、存分に扱うといい」

「ああ、奮戦を期待するぜ」

「一緒に戦う機会も多いだろうし、よろしく」

 

 雨柳とスクルドも返答。

 スクルドを再度管に戻し、合体を続行。

 オンギョウキの強化を行う。

 

「成程……悪魔合体とは面妖な術だが確かにその効果は魅力的だな」

 

\カカカッ/

妖鬼オンギョウキ*15LV66物理・氷結・電撃・疾風・破魔耐性*16 呪殺無効 銃撃反射

 

 御霊合体で追加するのは破魔耐性に、三分の活泉。

 唯一の弱点を潰し体力をさらに上げる事で、壁となる前衛としての役割を付与。

 またアーマーンソースから狂気の暴虐*17を、先程手に入れたスイキから氷結ガードスキルを取得。

 亡者の嘆きや絶対零度を持つスクルドと連携しての戦闘を想定した構成とした。

 

 これで2体の合体が完了。順調に進めた分、後一体悪魔合体をしてもチヒロの時間もとれそうだ。

 

「次は神樹ククノチと破壊神セイテンタイセイの合体。

 合体法則は4.1ver*18を使ってくれ」

 

 セイテンタイセイをGUMPに差し込まれた端子から合体装置へ送り、神樹へ向き直る。

 かつて葛葉ゲイリンの候補であった雨柳の、先達たる十六代目が使役していた仲魔。

 この神樹とは思えばそれなりに濃密な時間を過ごしてきたものだ。

 

「此処に至っては多くの言葉は不要です。

 貴方がこれからどのような道を歩むかは知りませんが……日本や帝都、貴方と貴方を取り巻く全ての人々に安寧があらん事を祈っていますよ」

「……そうか。人の道を外れないように頑張るさ」

「貴方がそうなるとは思いませんけどね。

 後はそうだ樹に、あの殊更に美しい名と魂の有り様をしている娘にコンゴトモヨロシクと」

「俺もお前もあの子には助けられたからな」

 

 ククノチの目は確固たる意志が宿っていた。

 かつて自分を使役していた十六代目ゲイリンの系譜に、連なる事無く一度折れ。

 なおもあのカンセイテイクンと戦った時の様に、誰かを想い戦い続けるなら仲魔であり続けよう。

 

 例え姿を変え、アライメントを変えたとしても。

 ククノチはそう決めている。

 

「では時間も押していますし合体と行きましょう。

 召喚師雨柳巧よ。暫しの後に」

「ああ。後で」

 

 ククノチが装置に入り、合体が開始。

 この場で作成するのは国津神アラハバキ。

 それ単体でも強力な悪魔だが、あくまで下拵え。

 

 この後チヒロを送りがてら葛葉の里へ行き、古式の悪魔合体を行う。

 大正の分類だと銀氷属のアラハバキを紅蓮属と合体させ疾風属に。

 そこから精霊によるランクアップで作成される悪魔は強力な堕天使。

 現行の合体法則を取り入れた事で作成できるようになった悪魔が雨柳の目的だった。

 

(ククノチの新たな門出だ。

 深夜まで頑張らしてもらおう)

 

 合体の光が瞬く。これはククノチが新生する手順の、ほんの始まりに過ぎないのだ。

 

 

 


 

 

 

 帝都某所にある異界の中。

 その最奥に蔓延るは天使の群れ。

 穢れた黒い翼の雑多な天使達の様相は邪悪。

 

 墜天使と呼ばれるメシア救世主派に連なる天使達が軍勢を形成していた。

 

\カカカッ/

軍勢墜天使の軍勢LV72

 

 醜悪な天使達が蟲の如く群れ集う光景は、見る物に怖気を感じさせる。

 ましてや一体一体がそう強くなくとも一軍を形成しているのだ。

 生半可なDBでは瞬く間に無惨な屍を異界へ晒す事になるだろう。

 

 だが、この日墜天使達の討伐に現れた者達はそうでなかった。

 

≪百麻痺針*19

 

 墜天使達へ無数の針が射出。

 強烈な勢いで迫る針の群れは天使達を過たず貫き四散せしめる。

 どうにか耐えた墜天使も半数が体を硬直させた。

 

 苦悶する墜天使の体表に浮かぶは、黄色い縛鎖の如き紋様。

 即ち、緊縛状態に陥った事を示す。

 

「動けぬまま死んでいきなさい阿呆共。

 サマナー、今です!」

「此処が攻め時だな!」

 

 百麻痺針を放った仲魔に応え、雨柳はバルムンクを構え進む。

 天使達を薙ぎ払う為放つは刃・壊・塵(虚空斬波)

 刀身には前の手番(ターン)で付与された外法真剣の力が宿り、黒紫に煌いた。

 

 呪殺の力を載せた銘刀が一閃! 墜天使の翼より鮮烈な黒が宙を割く。

 

「呪殺が効くならそっちで行くよ!」

「弱点を見せたのが致命でしたわね」

 

 雨柳の一撃で墜天使達の半数近くが潰えた。

 残る敵に対してシロガネが全体高位呪殺魔法(マハムドオン)、ラクシュミがペトラアイ*20を放つ。

 

 弱点を続け様に疲れた墜天使の群れは崩れ、そのまま攻めの呼吸に乗った雨柳達に殲滅された。

 

 エネミーソナーに反応がない事を確認してから雨柳は一息つく。

 異界の空気も変わっていく。

 予想通りあの天使達が異界を蝕んでいたのだろう。

 

「異界を占拠した墜天使共の排除完了……気配からするとボスもいないようだな」

「汚らわしい気配も消えていく。

 少しはこの異界も綺麗になりましたか」

「相変わらず天使嫌いだなお前は。

 俺も墜天使は特に嫌いだけど」

 

 苦笑する雨柳に歩み寄るのは高位の堕天使。

 緑色の銃士めいた服装に同じ色の帽子。

 四方にラッパを浮かばせ、手にはマスケット銃を携えている。

 

「当然です。国と人を汚す天使共は駆逐するのみ。

 合体を経ようとも変わりませんとも」

 

 それはククノチが悪魔合体により新生した堕天使。

 ソロモン72柱の一柱にして、30の軍団を率いる偉大なる公爵。

 

 堕天使バルバトス──――神樹ククノチの新たな姿であった。

 

\カカカッ/

堕天使バルバトス*21LV73(69+4)火炎・呪殺耐性 衝撃無効 銃撃反射

 

 百麻痺針やテンペスト*22といった強力な銃撃・衝撃スキルを扱う他にデバフ等も可能な仕様。

 その他には外法真剣と疾風真剣による雨柳のサポートも可能。

 総じて器用で、幅広い状況に対応できる優秀な仲魔となった。

 

 最も作成には毎度の事ながら時間がかかり、雨柳も合体士の姉弟もバルバトスも大層疲れたが。

 悪魔合体って奥が深いけど本当に大変。

 

「それもそうだな。ま、これからも仲魔としてよろしく頼む」

「私からも宜しくお願いします。

 この世界で戦い続ける、悪魔召喚師よ」

 

 雨柳の言葉に堕天使は同意する。

 ククノチと変わらない丁寧な、されど太い芯を感じさせる口調。

 

 ククノチが雨柳の仲魔になったあの日から変わった物も、変わらない物もある。

 だがそのどちらも悪くはない。

 少なくとも堕天使と悪魔召喚師は、双方共にそう思っていた。

 

 

 


 

 

 

 悪魔合体で手持ちの多くを更新したので、合体で作成したデータを載せておきます。

 機会がありましたらお使いください。

 

仲魔データ(49話版) 

 

 

 ◆妖精ゲフィオンLV51 マカラカーンや攻撃魔法で支援を行う純後衛型。また非常時にはサバトマやトラエストを用いて住人の退避等も行う。 

 ◆妖魔ヴァルキリーLV60 物理スキルと高倍率タル・カジャを搭載した純前衛型。普段は雨柳の事務所で住人の護衛を担当。

 ◆女神ラクシュミLV64 メディアラハンやリカームドラ(真Ⅲ)という強力な回復魔法に、ハイブースタ付きジオダイン等の魔法も扱う援護用の仲魔。 

 ◆妖鬼オンギョウキLV66 強力な耐性と三分の活泉を活かした壁となる前衛。氷結ガードキルや狂気の暴虐等作中でもある通りスクルドとの連携を想定したスキル構成となっている。

 ◆堕天使バルバトスLV73 銃撃・衝撃・デバフを幅広く使う器用な仲魔。その他にもテトラカーンや外法・疾風の真剣2種で雨柳やパーティのサポートも可能。

 

このうちゲフィオン・ヴァルキリー・バルバトスは管での使役、ラクシュミとオンギョウキはGUMPによる使役となっています 

*1
耐性倍率は62%

*2
SH2仕様 LVアップに必要な経験値の30%を取得

*3
ソウルハッカーズ出典

*4
P2罪・罰のヴァルキリー どちらもLV60

*5
姫の護衛は地底人《ケガレビト》 真・女神転生オタクくんサマナー外伝(気力♪ 様著)『 ちょびっとお散歩業魔殿』より 加工に手間がかかるがオレンジに近い味で美味らしい

*6
杉並レルムは黄金の花園の影響が強く海外出身の覚醒者も多い

*7
真ⅣF出典 自身が次に行う物理・銃撃が必中クリティカルとなる

*8
破壊神セイテンタイセイはLV58で会心の眼力を習得する

*9
独自設定 ⅢやⅣ等の合体法則に数字を振った物

*10
DSJ仕様のLV48

*11
基本的には真Ⅲ仕様

*12
真ⅢのラクシュミのLVは54 真Ⅰの64や真ⅣFの77と比べると低め

*13
真Ⅲ仕様 驚くべき事にHPのみならずMPも回復する

*14
アレックスの過去回想や<学園受胎編>でのホウザン先生の仲魔から、作中世界のシュバルツバース系悪魔は原作ゲーム+10~20と推定 この邪教の館での合体では原作ゲーム通りのLVとなる。

*15
DSJ仕様

*16
御霊合体で付与

*17
DSJ出典 ランダムな敵に物理相性ダメージを1~3回与え、60%の確率で恐怖を付与

*18
真ⅣFの合体法則

*19
敵複数に1~3回の銃撃属性中ダメージを与え緊迫を付与する

*20
真Ⅲ仕様 呪殺相性で敵1体を石化させる

*21
基本はⅣF仕様だが葛葉式の悪魔合体と管使役によりライドウ系のスキルも得ている なおLVが真ⅣFのバルバトスLV69より高いのはククノチが非常によく鍛えられていた事による上ぶれだと想定

*22
アバドン王出展 直線状の敵に衝撃属性特大ダメージ




次回は可能なら年内に投稿したいと思います
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