真・女神転生オタクくんサマナー外伝 -アナザーキリギリス- 作:ローグ5
今回は戦闘前の導入回となります
夜の街中にパン、と乾いた発砲音が連続して響く。
帝都にある漂流者居住区域に跋扈するは悪相の武装した男達。
多くが銃器に悪魔召喚アプリを持つ彼らは、阿修羅会傘下のマンハント。
上の命令で漂流者達を狩り集める邪悪な狩人。
装備や悪魔といった支援を受けた彼らは、漂流者達をつけ狙う。
現行周回の地獄的戦況に対応した覚醒者は強すぎ、そうでない覚醒者も前者とのつながりがある場合が多くリスクが高すぎる。
だからこそ弱く孤立した漂流者とは美味しい獲物。
上も下もそう考えている点では一致していた。
故に阿修羅会傘下の者達は警察への報復計画と同時して、漂流者狩りを推し進めていた。
既存の社会を破壊し、日陰者だった自分達が上位となる社会へ変える為なら非道行為への呵責もない。
今日も自身の栄達が為に
「アバーッ!」
マンハントの一人が爆散した。
爆弾状態*1の所へ銃撃を受けた事による起爆。
魔力を伴い血肉が飛散、爆炎に衝撃波と共に周囲の仲間を傷つける。
「畜生! また爆発しやがったぞ!」
「馬鹿言ってねェで撃て!」
後退しながら銃撃をマンハント達。
その顔には嗜虐よりも恐怖と焦り。
それもそのはず、襲撃を仕掛けたはずの彼らは逆に追い詰められていた。
「クソが、なんなんだあの化物共は!?」
マンハントを追い詰めるのは統一された装備のDB達と、彼らを率いる何人かのより高位のDB。
ドリフ狩りを行わんとしたマンハント達の前に現れたのは、<ブラックフィエンド>と呼ばれる組織のメンバーである。
<ガイア再生機構>を始めとした様々な組織から護る為に結成された人民防衛組織。
漂流者現地民問わず集められた彼らは、既に組織立って動いている。
素養ある人員に優秀な情報網、装備に資材が揃った彼らは襲撃を的確に察知。
マンハント達の迎撃に成功したという訳だ。
精鋭揃いと言う風評に偽りはない。
マンハント達の銃撃を巧みに遮蔽を取って防ぎ、すぐさま撃ち返す。
計算された射撃で、じわじわと動きを封じ押し込めていく。
其処へ響くのは複数の硬質な足音。
何人かのマンハントが合流してきたのだ。
「っ来たか! 遅せえぞ! 何やってたんだ!?」
「こっちも襲撃喰らってたんだよ!
愚痴ってないで連携すんぞ!」
装備や動きからして合流した者達は幾らか質が上。
カジュアルがアプリを起動し、召喚師上がりが妖樹ザックームを召喚。
≪S的中の秘法≫*2
≪Mr.サプライズ≫*3
彼等の傍らに控える悪魔は妖樹ザックーム*4に鬼女イシュタム*5。
精神等相性ではなく個別のバステ抵抗率で判定されるタイプの状態異常をばらまき、死神の点呼*6で敵の数を削る。
場数を踏み連携を組み立て、これまで幾度なく獲物を狩ってきた経験の証明。
悪辣さを錬磨した彼らは
「────悪いが連携はさせん」
熟練の動きと戦闘速度にて、
高いステータスを以て、誰よりも高速で動き魔力を励起。
蒼い雷が瞬く間に膨れ上がる。
≪マハジオダイン≫
視界を埋め尽くす膨大な雷。
それがマンハント達が見た最期の光景であった。
・
・
・
微かに焦げた匂いが漂っている、先程まで戦場だった空間。
事後処理に何人かのメンバーが走り回る中、尾之辻へ副官がそっと耳打ちする。
「襲撃を受けた漂流者達の死亡はゼロ。
負傷者については救援マニュアルの通り治療とケアに当たっております」
「そうか。大事がないのは何よりだな」
「それと他のチームですが」
尾之辻は追加の報告を聞き頷く。
ブラックフィエンドは複数のチームがドリフ狩りへの迎撃に当たっている。
他のチームも随所でマンハントを殲滅しているが、それ以外も戦ったようだ。
「E地区のマンハントは漂流者が倒したのか?」
「はい。偶然護国系と関係があるDB近くにいたようで過半数は彼等が。
敵の数が多かったのですが、大勢はすぐに決したようです」
こちらにと向けられたタブレット──ブラックフィエンド技術部の手によって改造がなされている端末には此処と同じような光景。
所々が破壊された人気のない街中に、散らばる襲撃者の死体。
違いと言えば死体は黒いデモニカを纏っていた事だろうか。
映像に移るデモニカの死体にはタグの様に、LV等のアナライズ情報が添付されている。
ブラックフィエンド製COMPと端末を連動させたことによる処理だ。
「LVは37,41、39か。
そこそこの部隊の様だが」
「現地のチームによると明らかに軍系の訓練を受けた動きだったそうです」
「漂流者か、現地の人間か。
LVがそう高くないといえ軍事集団とは剣呑だな」
そう呟いて尾之辻は副官の他、柿色装束の男と目線を交わす。
ブラックフィエンドの成り立ちを
(大した事ではないが予想外が続く世界線だ)
多くの構成員はともかく、尾之辻や副官達はデモニカを纏った者達の正体を知っている。
彼等は漂流者で構成された悪魔系PMC。
ある程度の規模と戦力から適度に社会を騒がし、適度に漂流者達を脅かす、手ごろな敵としての役割を期待されガイア再生機構の支援を受ける勢力であった。
長くはないだろうな。
彼らの運命を尾之辻は、そう淡々と結論付けた。
東京都某所の喫茶店。
まばらな席の一つに座っていた少女が顔を上げた。
「おはようレイブン」
「おはようレイ。
少し待たせたか?」
雨柳とレイはこの喫茶店で待ち合わせをしていた。
この近くにある護国組織所有の施設に直接ではなく、レイが雨柳と落ち合った上で連れていく。
多少の用心ではあるが、越した事はない。
「丁度休憩したかったし大丈夫よ。
頭使った分甘い物も食べておきたかったし」
少女────レイはくるりとペンを回した。
立てかけた端末にはキリギリス掲示板、ノートには属性や悪魔の相性について。
見た所降魔や神聖といった単語が見えた。
実に勤勉な事である。
「
この辺りの内容未だに頭痛くなるのよねー……」
「確かに、なあ」
半目で答えるレイに雨柳も肯定する。
悪魔やスキルの仕様は複雑怪奇だ。
念動や水撃、その他諸々のマイナー寄り属性も数知れず。
各種の状態異常についても日々知識が更新されている有様だ。*7
(レイはあの子達と同じでよく頑張っている。
今のうちにロゼ達と何処か連れていってあげたいもんだが)
特にレイが元いた世界は万能含め属性は8つ程とシンプルだったという。
この世界の混沌具合に困惑するのも無理はないが、良く学びついていっている。
「もう少し待ってて。
これ食べたら終わりにするから」
「まだ時間があるしゆっくりしていこう。
俺もコーヒー飲んでいきたいしな」
雨柳も注文し、レイは注文していた軽食をゆっくりと食べる。
派手さのないセンスのいい音楽を背景にした、落ち着いた静かな時間。
悪くないしむしろ心地がいい。
それはまるで、まだレイが今よりも幼く、こまどりにいた頃の様で。
「そろそろ行こっかレイブン。
皆集まってたら悪いから」
そう言ってレイは立ち上がり雨柳も少女へ続く。
会計を済ませたら拠点へ行って仕事の話だ。
雨柳が会計するのを見ながらレイは思う。
少し思い出してしまった事もあったけど、悪くない時間だったなと。
5分ほど歩いて、到着した施設はありふれた駐車場付きのテナント。
既定の回数と間隔でノックすると扉が開けられた。
3階の会議室らしき部屋にはミスリルの構成員や数人のDB。
機材のセッティングをしているのは彼方の御国の構成員だろうか?
やや年下の少女に指示を出しているチヒロが雨柳に気付き会釈した。
「今日ロゼはいないんだな」
「あの子は今地方にゲイリンさん達と出張中。
だけど今回は代わりに来た人がいるの」
レイの言葉と共に近づいてくるのは、何処となく陣羽織を思わせる黒装束の男。
炎を思わせる赤髪に鋭い眼光。
静かな脚運びを始めとする動きや雰囲気からすると凄腕。
「この人はクサカベさん。
私達と同じ彼方の御国の召喚師よ」
「よろしく頼むこの世界のレイブン」
\カカカッ/
| 巫蠱師/悪魔召喚師 | クサカベ | LV64 |
クサカベの力量はレイと推定するに同格。
並ならぬ凄腕だ。
「こちらこそよろしく。
流石に彼方の御国は腕利き揃いだな」
彼方の御国は高い技術もそうだが、召喚師が少数な分レイやカンナを始め腕利き揃い。
あちらのヤタガラスは腐敗しきっていたというが、相応しい実力とソウルを持っていた者達は確かに存在していたようだ。
「クサカベさんは巫蠱師の末裔で、レイブンに次ぐゲイリン候補だった人だからね。
私やロゼも色々教わったわ」
「こちらとしても教わる事は多かったさ。
しかし……」
クサカベはそこで言葉を切った。
「レイから少し聞いたが相変わらずレイブンは複数の女性から好意を抱かれていて……同時に付き合っているというのは本当なのか?」
「え、あ、うん。相変わらずなのか。
まあその5人な、うん」
レイの目の温度が少し下がった気がするのは気のせいに違いない。
他方でクサカベの目は真剣だった。
「なら一つ聞いておきたいんだが……複数の女性と同時に付きあうコツって何かあるのか?
今すぐにと言う訳じゃないが、将来的に必要になりそうなんだ」
クサカベが声を潜めて語った事によるとそういう動きがあるのだという。
彼方の御国のレイやロゼを始めとする何人かは、葛葉一族に加われるだけのソウルの強さと意志を認められている。
で、そうなれば数少ない男であるクサカベは自然と今後の事もある訳で。
白羽の矢が立つとまではいかないが、白羽の矢がつがえられている位にはなっているらしい。
それで先日弦一郎とお互い顔を見合わせたとか。
「それは……そうだな。どの子も大切にするとか、自分が強いからとか稼いでいるからとか。
それだけの理由で自分が上と思いあがらないとかその位じゃないか?」
とは言っても雨柳に思いつく事等この位である。
特別な事をした覚えはないのでだ。
しばし沈黙。クサカベが重い口を開いた。
「それはなんというか、例えばアクションゲームでボスの動きをよく見るとか、その位の、当然の事じゃないか……?」
「まあ、そうなんだが。
……この手の話題なら佐々木とかに聞いた方がいいと思うぞ。
アイツ俺と比べ物にならない程モテるからな」
銀ちゃん達もあっちにいるしな、と陰鬱に呟く。
雨柳とシロガネの脳はあの男のお陰で破壊され続けている。
これ以上の事が起きたら……考えたくない。
「美森も佐々木さんの事大好きだからねー。
あの時も屋敷から幸せそうな顔で出て来たし」
「その話は止めろレイ。
俺は未だに滅茶苦茶ダメージを受けてるんだ。
いやあの子達が元気なのは嬉しいんだが」
「何があったかはある程度知っているが深入りしたくないな……」
主に雨柳によってその場の空気がスクンダをかけられたかのように重くなる。
と、丁度良く依頼説明の時間になった。
(ありがとう時間。お陰でこれ以上思い出さずに済んだ……!)
内心感謝しながら着席し少し待つ。
会議室へ入室してきたのは仕立てのよいスーツを着た瘦せた眼鏡の男。
宮内庁における悪魔事案担当の職員らしい。
資料が参加者に配られた後、男が軽く礼を述べ説明が始まった。
今回の依頼主は神社庁及びドリフ保護を行っている島田家等の護国の家。
内容は悪魔組織の討伐であるが、対象となるのは。
「<ウェランドガーディアンマーセナリーズ>と呼称される漂流者と思わしき悪魔系PMC。
この勢力の討伐を依頼させていただきます」
資料には銃を構える骸骨のエンブレムに、ブラックデモニカを着た兵士達の写真。
「ウェランドガーディアンマーセナリーズ、通称WGMは軍事訓練を受けたデモニカ装着者を主戦力とした勢力です。
正確な位置や時期は不明ですが、彼等は漂着以降非合法な活動を開始しました」
渡された資料をめくると内容はそれなりに詳細。
内容は暗殺や破壊工作、拉致と多岐にわたり先日のドリフ狩りにも参加。
先日のレイドバトルにおいても裏で宮内庁への破壊工作を行おうとしていたようだ。
その多くは護国組織やキリギリスに阻止されているようだが。
なお漂流者と断定されたのはそれなりの練度と武装にも拘らず、数か月前以降の活動痕跡がなかった事等が理由らしい。
「幾度かの交戦から彼らの潜伏場所の一つを特定。
先日彼方の御国及びミスリルの方々による強襲作戦を行いました。
結果敵勢力を掃討し情報の入手に成功」
この点についてはチヒロを始めとする彼方の御国のメンバーの貢献も大きい。
無論WGMも情報を物理、電子両面で抹消しようとしたが其処は高度に発達した世界の出身。
電霊等も駆使して敵の想定より遥かに大量の情報を得る事が出来ていた。
「此処で問題となるのは彼等の独自技術。
悪魔と人間の合体に関する技術です」
嫌悪感を滲ませながら職員の男は語った。
続くページに乗っている概要に雨柳は眉を顰める。
(……邪悪な事を考えやがる)
記載されていた内容は悪魔召喚師なら、否正気の人間なら眉を顰める物。
曰く悪魔を電磁的・薬物的手段によってスキルやステータスを保持したまま弱体化。
それら機能を備えた専用装置を以て人間と合体させる事で、低リスクの悪魔合体を実現する。
この技術は過去に培ったノウハウとこの世界で拉致した漂流者等への人体実験を以て、既に確立されているらしい。
装置の製造には希少な素材も必要ない為、しかるべき資材と設備があれば量産可能。
もうすでに量産と交渉が軌道に乗り始めている。
悪魔業界ではありがちではあるが、邪悪な振舞に会議室の温度が下がる。
酷いわね、と傍らに座るレイが小声でつぶやいた。
「追加の調査で判明した事ですがWGMはこの装置を海外への輸出も視野に入れ量産を計画。
その為に阿修羅会等の組織の支援を受けているとの事です」
成程道理でミスリルや彼方の御国のみならず雨柳の様な高LVのDBも呼ばれる訳である。
阿修羅会の幹部構成員にはLV70代も複数確認されており、厄介極まりない。
ドリフ狩りに協力していた事からしても戦力を送り込んでいると予想していいだろう。
参加する予定戦力は雨柳と彼方の御国のメンバー。
更にミスリル、護国の家に協力するDBとそれなりの数だ。
WGMの構成員のLVは現行世界では高いとは言い切れない。
だが統制された軍事集団は正面戦闘とは別に厄介。
ただでさえ不安定な社会へ悪影響を与えないよう早急な討伐が必要となる。
「WGMという火種の鎮火を、どうかお願いします」
説明の最後に頭を下げる男。
この場にいる誰も、WGMを討伐する事について、異論はなかった。
千葉県の某所、街から外れた場所には閉鎖された工場があった。
数年前経営再編の為閉鎖された工場は、最近また買い取られたようだ。
時たま車両が行き交い、人の姿もまばらに見えた。
少し離れた所に住む住民は何処の企業かと噂していたが、残念ながら工場を買収したのは真っ当な組織ではない。
ウェランドガーディアンマーセナリーズと呼ばれる非合法PMCであった。
高い塀の先、異界化した敷地の中を銃器で武装したデモニカ兵が哨戒し防備を敷く。
現行世界における彼らの本拠地だけあってその防備は厳重。
「んんー悪魔混じりも悪くねえもんだな。
手荒に扱っても壊れねえし」
「全くだ。人間に捨てる箇所無しって所か?」
もっともその厳重は腐臭を中に閉じ込めておくためとも思えたが。
通路を通る二人組の男はそれぞれラフな装い。
片方などはベルトを締めながら歩いていた。
二人の横を研究員がストレッチャーを押して歩いていく。
厳重な拘束から垣間見える体は激しくもがいているが二人共気にも留めない。
むしろ下卑た興味を向けるだけだ。
「来た時はどうなる事やらと思ったが、此処の生活も悪くねえな」
「ああ。世界が滅びてねえ分物資も豊富。
死んだ奴もいるが中々に」
其処まで言った所で二人は姿勢を揃え敬礼。
向かい側から歩いていくるのは彼等の上官、それも部隊のトップ。
「うむ、励めよ」
直立不動の二人へ声をかけ通り過ぎたのは若い女。
黒のミリタリーコートを着た女は20前後、茶色の髪を括り前髪の一部が一房ずつ赤青黄の三色に染められている。
顔の造り自体は柔和な物の、目つきは鋭く見る者に威圧感を感じさせる雰囲気。
女はそのまま通路を通り執務室へ向かい、ノック無しで扉を開く。
扉の先、手入れされ整えられた部屋にいるのは、女とよく似た金髪の少女と数名の護衛。
それと離れた所にいるフード姿の男。
「遅かったわね姉さん。
先方との交渉はどう?」
「アジア圏を中心に何人かの資産家が興味を示した。
連中も遅まきながら手勢が欲しいようだ」
業突く張りな事だなと女は冷笑した。
「父上の言っていた五情五欲だったか?
感情と欲を読み解けば人を操るのは簡単……。
まして小金を持つだけが取り柄の成金ならな」
「流石お父様の一番弟子だった姉さんね。
戦闘だけじゃなく交渉も出来るなんて」
父上、お父様。そう呼ばれる男は彼女達の父でありWGMの創設者であったDB。
卓越した銃の業により、<銃皇>と呼ばれた歴戦。
シュバルツバースが消滅した後も、なおも荒廃し続けた世界にて輝いた
彼が死した後その勢力はこの世界へ渡っていた。
「そうでもないさ。私にとってはほんの余技。
退屈過ぎて銃を手に戦うのが待ち遠しいくらいだ」
\カカカッ/
| 悪魔人間/ガンスリンガー | ハノカ・ウェランド(Mag強化済み) | LV71 |
「この世界の人達にも、ウェランド一族の業を教えてあげなくちゃいけないしね」
\カカカッ/
| ガンスリンガー | シエラ・ウェランド(Mag強化済み) | LV62 |
不敵に笑い合う彼女達は己の強さを信じている。
この世界が混沌とし、多数の強者がひしめく地獄であろうとも。
自分達はなおも強いと。
かつての世界、<銃皇>を中心に構成されたウェランド一族は悪魔業界では名高かった。
人類の武器たる銃を用いた技巧に、財界との繋がりを以て仕入れたデモニカ等の各種装備。
多くの組織は正面切って戦おうとせず、掣肘せんとしたリコリス、ひいてはDAは壊滅させた。
戦乱の時代の王が如く阿る者には栄光を、歯向かう者には破滅を与えてきた。
「そうだ。この世界でも金と発言力を確保し我々の戦力を強化する。
最初は面倒が起きるだろうが、すぐに
自分達が誰に逆らったのか」
彼女達の認知は、この世界でも変わる事はない。
「そうして私達はこの世界の力を吸収して」
「<デヴァローガ>の簒奪者共を撃ち滅ぼす……!」
二人の目には極大の殺意。
かつての世界に現れ、あらゆるものを喰いつくした悪鬼。
奴等をウェランド一族の生き残りは激しく憎む。
不当な簒奪者と。
「あー……ちょっといいか?
俺も何度か聞いた事あるんだけどさ、デヴァローガだっけ?
その化け物共がアンタ達の世界を滅ぼしたんだったか?」
これまでと異なる声が姉妹の間に入る。
糸目の何処か気だるげな雰囲気のフードの男。
「……そうよ<アコーニ>。数か月間にわたるGP上昇の最後に奴らは現れた。
ユーラシアを皮切りに世界中が襲われたわ」
アコーニと呼ばれたフードの男はスポンサーの一つから派遣されたエージェント。
元ファントムで腕利きとの事だが、LVからすると紹介に偽りはないだろう。
\カカカッ/
| デビルバスター? | アコーニ | LV69 |
「聞いた感じだと会話不能の化け物だったようだが、デヴァローガって名前はアナライズで出たのか?」
「いや当時戦列に加わった者の一部が奴らをそう呼んでいたとか。
妙に確信をもって呼んでいたらしいが、それ以外は私も知らん」
「ふぅん、別の世界にも漂流者がもいたのかね。
で、そいつ等が蔓延って世界が滅びたと」
世界が滅びた。漂流者の多くが経験した、絶望的な体験。
思い起こさせる言葉にハノカの歯がギリと軋む。
「私達の世界は滅びた。
だがな、あれは間違いなんだよ」
「間違い?」
「私の一族はっ銃皇は最強なんだ!
他の有象無象の雑魚が負けるのはいい、だが父や母が負けてるだと!
そんな事は異常で、間違いなんだよ!」
端麗な顔を歪めハノカは怒りをあらわにする。
過去に起きたあの惨禍はあってはならない事だ。
故に否定しなければならない。
「そうよ、間違いは出さなければいけない……!」
「デヴァローガを殲滅し世界を正す。
それが我々のなすべき事だ……!」
膨れ上がる怒気に護衛の側近達が息をのむ中、アコーニも又黙り込む。
ただし男の抱く感情は呆れであった。
(……だーめだこりゃ。
これ以上は面倒くさいし放っておこう)
アコーニの知る限り悪魔業界のみならず、こういうタイプの人間は時たまいる。
昔何処か読んだ戦記物の表現を借りるなら「自分の願いが何でも叶うファンタジーな世界に生きている」タイプである。
ごく限られた身内以外は話し合う気が無く、社会や他人に合わせる事を知らない。
むしろ相手側が自分に合わせるのが物理法則の様な前提と思っている。
端的に言えば──幾ら話しても無駄な
(それなりに工作に利用してきたけどそろそろ限界かねー。
もう少しピエロやって、あの装置も方々へ出して欲しかったけどここまで馬鹿じゃなあ)
元ファントムのエージェントというアコーニの経歴は
アコーニの本来の所属は<ガイア再生機構>、ひいては<エデン>。
ローマレルムで暗躍していた<白蘭>同様に、秘かに送り込まれたエージェント。
ドリフ組織の扇動による東京不安定化工作が任務だ。
(来た相手にもよるが……程々に邪魔者を殺して点数稼ぎしておくかね)
気勢を上げる姉妹をよそに、アコーニは目に湿った殺意を灯した。
次回もバトルの内容はある程度考えているので近いうちに投稿したいと思います