真・女神転生オタクくんサマナー外伝 -アナザーキリギリス- 作:ローグ5
今回は聖華学園での防衛戦の一幕となります。
先日の模擬戦の後も、聖華学園の生徒達は研鑽を続けている。
外で活動しているDB達────謎のイケメンやサツバツナイト、強力なガキ使いの召喚師に、やたら素早い人にボ卿軍団と個性豊かな恐ろしい大人共。
彼等に分からせられながらも青春を生きる若者達は今日もひたむき。
現地出身も漂流者も問わず、チームを組んで情報を集め、研鑽を続けていた。
彼等の研鑽の一環として先日程の規模でないが、外部のDBを招いた講習や模擬戦も継続中。
貴重な経験を得る為、授業のない土曜の今日も生徒達が集まっていた。
今日行われているのは"肝試し"と称される物。
異界化させ、簡易的な壁や障害物を備えた体育館を進んでいき。
DB扮する襲撃者達から身を護りつつゴールを目座す形式のイベント。
レクの中に突発的な戦闘への対処訓練を織り交ぜた形式である。
「まーたトラップあんぞ!?
一体何個仕掛けてんだ?」
「変に避けていく方が危ない気がするな……」
「なら私が解除する。
奇襲警戒してて」
体育館の中をチーム毎に分かれた生徒達は慎重に進んでいく。
互いの死角に配慮した堅実な動き。
先日の模擬戦の教訓が活かされていると見えた。
「おやおやおやおやァ~!
イキのいいガキ共が大量ですねェーッ!」
ではあるが、遊びを入れつつも大人たちは容赦なく襲い掛かる。
「これは実験材料の確保が捗りますよォ~。
行きますよミューディィィィ!」
明らかに方向性を間違えたボ卿が、何か出てきた。
\カカカッ/
| 超人 | エアプ2号 | LV58 | 備考:物理反射装備着用中 |
明らかに原作を知らない言動の恰好だけボ卿。
怪異ムラサキカガミを連れた男はそのまま突進。
絵面を見ると完璧に不審者である。
「うわっ! 変なのが出てきて突っ込んできた!?」
「ムラサキカガミって事はスプリガンベストあたり付けてんぞ!
通常攻撃しつつ、ガードキルだ!」
「りょーかい! そう簡単に負けないわ!」
だが、エアプ2号の物理攻撃に耐えつつ生徒達は対応を開始。
先手は取られたがそう簡単に負けはしない。
「やってくれますねェガキ共ォ!
……この様に魔法反射と物理反射の組み合わせにはガードキルが有効です。
反射も貫く貫通はレアですし、ガードキルならチーム全体で通用する攻撃が出来ますからね。
ですが私はそう簡単に負けませんよォッ!
欲しいんですよねェ! 新鮮な材料がァ~!」
「その寸劇いつまで続けるんです?」
紆余曲折を挟みつつ行われる模擬戦。
順路のあちこちで襲い掛かる襲撃者役。
中には襲撃者を倒した生徒達へ襲い掛かる者あり。
「俺はキャプテン・カラスだあっ。
まだ生き残ってるなんて君達には期待しているよ」
\カカカッ/
| 導師 | キャプテン・カラス | LV80 | 備考:神道系悪魔召喚師 |
現れたのは
鴉めいた仮面を被った男はポーズを取り刀を抜く。
隣に立つ
(……絶対雨柳さんだよなあこれ)
他方対峙する少年、
声は変調されているが自分と同じ管使いで、体格からすると間違いないだろう。
「今使っていたのは技芸属の<擬態>ですか?」
「その通り。髪の毛等の素材を元に対象に擬態する。
管使いの使う仲魔以外にも、訓練で技を身に着ける悪魔や異能者はいるな」
久緒と同じチームの棗イロハの問いにキャプテン・カラスは返答。
既に倒れていた生徒への擬態からのアンブッシュ。
寸前で
「最近暴れている極道の中にも擬態を使う幹部がいるそうだ。
見分けるには通常の犯罪者もそうだが細かな違和感を大切にする事だな。
さて、医療班が行ったらやろうか」
キャプテン・カラスの言葉にイロハが構える。
その前で刀を抜いた久緒はかすかに緊張。
先日受けた講習で見た通り、明らかに自分より格上の管使い。
そして3年の岸波先輩の言葉によれば、かつてのゲイリン候補筆頭。
今も尚前線で力を発揮し続けている一流。
やれるのか? という思いは否めない。
緊張にごくりとつばを飲み込む、少年の背後を医療班が通り。
「頑張ってね久緒君」
そっと自分に伝えた言葉が聞こえた。
彼女は京都から避難してきたお姉さん達の一人。
色々辛い事があった彼女達、それ以外にも護られるべき生徒は多い。
自分より強い人間が居ようと居まいと、護りたいと思う。
友達とか家族程の関係じゃなくても、知っている人には平和に生活を送っていて欲しいから。
「……よぉし! お手柔らかに、いや固めでお願いします!」
「私の方もお願いします。
高LV管使い相手の貴重な機会を逃すわけにいきませんからね」
イロハもまた管を抜き放つ。
自分も
この世界で戦い生き抜く力になれる。
二人の若き管使いの意気に、キャプテンカラス──もとい雨柳はふっと口元を緩める。
彼等の在り方は若者と言えない自分には眩しく感じられた。
「ならば行くぞ。俺は管使いのキャプテン・カラスだあっ」
「所でその仮面や言葉使いは何かの漫画の真似なのでしょうか?
掲示板でも似たような言葉遣いの人が何人もいましたが」
「あっその辺は知らないままの君でいて」
世の中には純粋な若者に知らせてはならぬ事もあるのだ。
「あー、何か目がヒリヒリする。
フォッグブレスの後遺症か何か?」
「念の為目薬差しておきましょう。
白魔女さん謹製の奴だから花粉症にも効きますよ」
他方、体育館の外に設置された救護スペースにもまた生徒達がいた。
模擬戦だろうとそこは真剣勝負、少々の怪我は発生する物。
故に何名かの生徒が手当を受けていた。
「内傷の心配は無し、これで大丈夫でしょう」
「うむ、手当感謝するぞセナ殿」
看護服姿の少女がもう一方、長い黒髪に時代がかかった言葉使いの少女の顔を拭う。
雰囲気からすると二人共、同じ学校の生徒というだけでなく、私的な知り合いであるようだ。
「いえ、普段私も普段お世話になっておりますのでお気にせずに」
「そう言われるとこそばゆいものだなあ。
この学校に来て良かった良かった」
うむうむと黒髪の少女はうなづく。
相手も怜悧な表情のまま、まんざらでもなさ気。
白髪の少女の名前は
\カカカッ/
| 悪魔人間/ナース | 氷室セナ | LV59 | 備考:聖華学園3年 |
\カカカッ/
| 悪魔人間/剣士 | 本条二乃 | LV54 | 聖華学園2年 |
前者は京都に囚われていた地方の家からの避難者達、の一人で急看護を得意とするまとめ役。
後者は第二次セプテンの後、紆余曲折あって聖華学園に転入したDB。
二乃も元は京都系の出身という事もあり、互いに繋がりを持ち、色々助け合っているようだ。
「しかし、久緒殿と戦っているDBの御仁、実に強い」
「確かにあの悪魔も並々ならぬ力を感じます。
法山先生の依頼で来た方ですし著名な方なのかもしれませんね」
二人共画面に映る戦闘を真剣に見る。
外のDBの戦いは見るだけでも貴重。
ゆとりがあるなら見ておくべきだ。
(何処かで見た気もするが……実に鋭い動き。
これは私としても参考になる)
セナも二乃も以前より遥かに強くなった。
それでも過酷な戦況ではまだまだ。
弛まず研鑽を続けなくてはならない。
外のDBや、他の生徒達の様に。
「そろそろ次の生徒達が来そうです。
準備しておきましょう」
「なら私も手伝わせていただこう」
セナと二乃は薬を集め出す。
画面の向こうでは久緒の他にも生徒達が今も戦っている。
決着がつくまで時間はかからないだろう。
『流石に強いけど……まだまだやれるぞ!』
『退路は確保しました。
危なそうなら撤退を!』
『此処は通さんよ。
何分耐えるのは得意でね……!』
だがそれでも、強力な外のDB達に抗っているように見えた。
そう、聖華学園の生徒達も着実に備えている。
悪魔や社会の敵となる勢力に対して、自分や学友を護る為に。
真摯に頑張り続けていた。
そして彼らの努力は、<混沌の奇禍>と呼ばれる事件の最中、試される事になる。
その日聖華学園では、幾度なく爆音がとどろいた。
<混沌の奇禍>と呼ばれる、東京霞が関を中心とした阿修羅会との最終決戦。
日本全土を巻き込んだ戦いの最中に<新世塾>、その残存部隊の一部が襲撃を仕掛けて来たのだ。
新世塾と同時に攻め込むは三体の魔人。
鮮血の騎士、麗人を装う異端の修羅、そして若く美しき大淫婦。
いずれを万人へ死をもたらす一騎当千の強大な人型悪魔共。
並の悪魔組織なら瞬く間に灰燼に帰す大戦力。
それが子供が集う学び舎に向けられる。
普通なら絶望的な事態である。
『確かにアホみたいに強かったけど』
『攻撃がワンパターン』
『どぉおおおていでぇ死ねるかぁ!!』
幾度なく立ち上がり戦い続ける勇者姉妹に、人の心を持ち続ける修羅。
更には表裏十三生徒会と悪魔使いに銃使い。
彼等は魔人達へ果敢に戦いを挑み、その進撃を抑え込む。
『だけど、戦える! まだ負けてねえ!』
『 こちら、Xシリーズ撃破完了!』
『スレッタからのデータリンク確認。
援護射撃、優先度をつけて行っていきます』
『負傷してるようなら 収容出来るって伝えておいて。
敵は人間、魔人、それ以外にも色々いる、全部気を配って』
他の生徒も負けてはいない。ある者は魔人との闘いを支援し、ある者は新世塾の戦力を排除する。
数か月前に比べ各段に良くなった動きで生徒達は互いに協力し戦っていた。
彼等は堂々と侵略者共に立ち向かっていった。
その堂々たる戦いぶりは確かに誇らしかった。
これはその最中の一部を切り取った記録である。
◇
鋼鉄の足が聖華学園の敷地を踏みしめる。
聖華学園の裏側より、2体のX-1が侵入した。
戦力の多くは警備員に排除されたが、その中をすり抜けて来た機体。
「ぐあっ……! 流石にこっち相手はきついな……!」
裏側の防衛にあたっていた生徒も押され気味。
負傷し後退しつつある。
「いいぞX-1! そのまま敵戦力を駆逐しろ!」
X-1の随伴歩兵を務める天誅軍が歓声を上げる。
予想以上の抵抗だが、自軍のX-1はやはり強力。
(卑劣な奇襲を喰らった時はどうなるかと思ったが。
これならば目標への到達が出来る。
我ら新世塾の悲願がかなうのだ……!」
侵入する天誅軍は忠君愛国、古き良き大日本帝国を至上とする、新世塾の下部団体の構成員。
頼みとしていた獅童の逮捕を不服に想い、現政権を生温いと誹る。
不満をため込んでいたそんな彼等にとって今回の作戦は渡りに船だった。
詳細は機密の為知らされてないが、劣勢を挽回する乾坤一擲の作戦だという事は知っている。
故に生徒達が今もいる学園を襲撃する事に迷いなどない。
そもそも聖華学園は貴重な戦力となる生徒を独占し、無駄飯くらいへ貴重な資源を割き。
あまつさえ国を脅かす敵に成り兼ねない者達すら多く抱えている。
奴等も日本の新生を阻む敵なのだという言説は、新世塾の煽動もなく瞬く間に燃え上がった。
「義は真の護国たる我らに有り!
邪魔する者あらば切って捨てろ!」
生徒達へ軍刀を向け声を張り上げる。
「X-1を前面に出し一気────」
| 爆裂5連ドリフト*1 | 100%属性スキル | 敵単体に100%相性ダメージを与え、戦闘から逃亡する |
「がああっ!?」
宙を舞う天誅軍その中を駆け抜ける車はドリフトしながら生徒を回収。
一気に加速し学園内まで走り抜ける。
(慢心していたようで上手く虚を付けましたね)
後部座席で早速セナは治療に取り掛かる。
この車は彼女の所有、否仲魔である。
\カカカッ/
| RUMOR | 呪いのタクシー(マシン合体済)*2 | LV43(33+10) | 全体的に強い(75%) 神聖・暗黒・精神・神経無効 |
セナが契約を結んだ悪魔である呪いのタクシー。
それを最新技術であるマシンとの合体で実体を与えた存在。
内部へ器具や医薬品を運び込み、移動治療基地としてセナは扱っている。
「安那さん、ヒフミさん状況は?」
『正面の魔人は法山先生やダンシ先輩が対応しています。
あ! その変態感がする魔人銃撃が効きますよ!』
『伏兵は黒の騎士団に任せてください!
新世塾は今九頭龍組が順調に駆逐中です』
後輩が持つトランシーバーからは後方にいる茅野安那や阿慈谷ヒフミの声。
防衛は今の所成功しており、急を要する看護を要する所はない。
ならば一度戻るかとセナは頭の中でルートを計算。
背後で響く戦闘音、されど少女は動じない。
この程度なら京都で人質の面倒を見ていた時の方がよほど怖かった。
(それに……彼等ならあの程度の戦力にまず負けませんから)
自身とは入れ違いに新世塾へ向かった彼等。
その有り方と強さをセナは信じている。
裏側の防衛に参加するのは計4名。神道系召喚師の北竜久緒。
防御に長け指揮能力も高い
道具の扱いに長けた
さらには臨時で編成に加わった本条二乃。
対人戦経験もある4人が前に出る。
「サンダーバード!」
裏付けるかのようにX-1へ久緒は挑みかかる。
仲魔たる霊鳥が<雷電真剣>により電撃を付与。
人型戦車の鈍色の装甲が照り返す。
雷を伴う斬撃、装甲が削られ内部が焼かれる。
硬直したX-1へ集中攻撃が浴びせられ1機が撃破。
もう1機が天誅軍と共に後退し、銃撃を敢行。
「無粋な銃撃は止めさせてもらおうか」
全身をヤクトスーツで装甲し、盾を構えた辰砂が
銃撃はさしたる効果もなく防がれ、正実と二乃が即座に反撃。
其処へ再度、久緒が切り込む。
「これでとどめだ!」
剛切断*3による頭上からの兜割。
頭部を粉砕されたX-1はよろめき倒れ込む。
「あの天誅軍って奴等は逃げましたか。
感心するぐらいの逃げ足ですね」
「みたいですね。
次はどうします?」
正実に返答する久緒の身は鋼鉄で覆われている。
何処かX-1に似た武者らしき造形。
それは彼が所有する特殊装備である。
| X-1アーマー改・不知火 | 全身装備防具 | 全体的に弱い 神聖・暗黒・精神・神経無効 電撃弱点*4
| 聖華学園での知古が所有していたX-1の改修機を譲り受けた物 本人の低い耐性を補い限定的な空戦をも可能にする 聖華学園には外部聖務や緊急時のみの使用を条件に許可を取り付けた |
キュイィと音を立ててカメラアイが駆動。
周囲に敵影は無し。
他のチームと合流するべきか。
「この近くにいるのは白野殿とイロハ殿
ある程度連携が取れる位置に移動するのは?」
「そうだな……表の魔人戦に加勢したい所だが新世塾の動きが気がかりだ」
其処まで辰砂が言った所で無線機へ入電。
新世塾への偵察を行っていたスレッタからだ。
恐らく造魔が何かを捉えたのだろう。
『すいませんっ! 新世塾の新手、今度は悪魔が来ました!
そっちにも一体行きます!』
「了解、来た奴はこちらで仕留める。
そちらも気を付けて。
……全く小休止する暇もないな」
仲間の雰囲気を和らげるように辰砂は苦笑。
大身の槍を担ぐ瞬間にも重い足音が伝わってくる。
最もそれで臆するような人間は一人もいないが。
「普段は居食いの身、ここらで働かせてもらうとするぞ」
「今が学んだ事を活かす時、です!」
「相手が誰だろうと、俺もこれ以上の狼藉は許しはしません!」
陣形を取り的に備えると同時に、壁を飛び越降り立つ悪魔。
血に飢えた敵に対し学生達は一歩も引かない。
「我ハ! 血ト騒乱ガ大好キダアアアッ!!」
侵入してきた悪魔は青黒い土偶の様な個体。
半ば暴走した国津神の荒魂。
\カカカッ/
| 国津神 | アラハバキ*5 | LV72(57+15) | 物理・銃撃・破魔・呪殺耐性 四属性に弱い |
合体事故で誕生した個体が帝都を満たす愚瓶に当てられ、正気を失った存在。
新世塾内で持て余していた神は、窮状に陥った者達によって投入された。
「中々の強敵だな。
だが単騎ならやりようがある」
戦闘開始、同時に辰砂の
強化を以て敵と渡り合わんとする。
「マハ、ジオダイィィィンッ!」
アラハバキの頭部から放たれる
敵全体を捉える電撃の網が展開。
強力な魔法であるがそれのみで斃れる者はいない。
彼等は怯む事なく荒ぶる神への攻撃へと移る。
「耐性チェック! 行かせてもらおう!」
まずは二乃がアラハバキの腕へ槍を突き込む。
固い表皮を貫き、内部にダメージ。
鈍い手ごたえからすると物理耐性持ち。
だが無効ではない故に
「物理耐性持ちなら四属性弱点のタイプか?
マカラカーンはこっちが展開する、久緒は属性のチェックを!」
「了解っ!」
急加速で電撃を回避した久緒はブフーラストーンを投擲。
アラハバキの体表で氷華を咲かせる。
「ノォォ!? 冷タイゾコレハァ!?」
凍結はしなかったがアラハバキは弱点攻撃に悶える。
体表に霜が降り、関節部分が軋んだ。
(反応からすると氷結弱点……!
なら次からは銀氷真剣で)
霊鳥が
更に
敵の攻撃に対して防備を固める。
「血ガ足リナイァッ!」
アラハバキは叫ぶと共に目を光らせる。
獣の眼光、瞬間的に加速し2度動く。
≪混沌の海≫
≪風神撃≫
万能の波動が生徒達を捉え、同時にアラハバキが巨体を震わせ跳躍。
体重を乗せて拳を放つ矛先は正実。
何を思ったが彼女に狙ったようだ。*8
「殺戮! イッパアアアツ!」
「悪いがそれはキャンセルだ」
この中で一番脆い少女を狙った残虐な拳。
装甲と盾を持って辰砂が防ぐ。
| 鉄壁 | サマナースキル*9 | 敵の攻撃による被ダメージ時、低確率でガード効果が発動 |
| カバー | 自動効果 | 敵の攻撃によるダメージと追加効果を自身へ差し替える |
中空からの大質量が激突。装甲車をも破壊する一撃を受け止めた辰砂は後退。
されど姿勢を崩すことなく受けきって見せた。
「重い一撃だがそれだけだ。
俺を砕くには至らないな」
≪デスカウンター≫
「隙を見せたら、即反撃!」
≪慈愛の反撃≫
瞬時に盾で殴りつけ、久緒が背後から切り裂く。
物理耐性によりダメージは重くない。
だが着実に蓄積している。
「猪口才! ナァァッ!?」
「人間は基本悪魔より弱いんだ。
細工や連携をしないでどうする」
最も現在の戦況を見ると人間が弱いという言説は、信憑性が怪しいのではあるが。
負傷はしていても彼らの動きに淀みはない。
ターンが回り、攻勢へ移る。
「もう一回牙折り入れておくぞー。
魔法威力も下がりお得ゆえ」
其処へ霊鳥の≪銀氷真剣≫を受けた久緒が突貫し、銀に煌く刃が振るわれる。
「せええええやああああっ!」
| 風神剣*10 | 武器装備 | 高い攻撃力と2~4回の攻撃回数を誇る剣 |
| 銀氷真剣 | 合体技 | 2ターンの間対象の剣が氷結属性を帯びる |
| 双手*11 | 自動効果 | 通常攻撃が、小威力+通常の2回攻撃になる。 |
| アドバイス*12 | 自動効果 | クリティカル率が上昇する |
三連撃からの急旋回、四連撃がアラハバキを刻む。
体表のあちこちに霜が降り、国津神は凍結。
その前方を久緒は悠然と飛び退った。
「凍結したなら此処はアイテムだな」
「回復は私がします。
アイテムなら通販で揃えていますので!」
油断せず動き続ける生徒達の顔には頼もしさ。
この世界で生きていた者も、この世界へ流れ着いた者も関係なく。
同じ場所に集った者が交流し連携する。
仲間がいる事の頼もしさ、そして喜びを彼等は改めて知った。
独りよがりに堕ちた新世塾にも、血に酔った神にも彼等は負け等しない。
アラハバキが斃れるまで、そう長い時間はかからなかった。
・
・
・
戦いは終わったが、魔人の爪痕は大きい。
バシュ、と空気が抜ける音と共にX-1改の頭部ユニットが解放。
損傷した機体から久緒は抜け出す。
「う、わあ……」
少年の目に映るのは半壊した校舎。
圧倒的な破壊の跡であった。
詳細は後で知った事だが三体の魔人の内一角が
圧倒的な力ですべてを薙ぎ払ったとの事だ。
援軍により撃退に成功したが、残されたのは半壊した校舎。
一般生徒が軽傷なのは不幸中の幸いだが、衝撃は大きい。
鉛を飲み込んだかのような重い気分。
暗鬱とした不安が少年の胸を刺す。
(……結局俺は、僕達は守り切れなかったのか?
校舎がこんな、こんな事になるなんて)
悪魔業界の残酷さは、現在の戦況の厳しさは知っていた。
だがまさか平和だったはずの学園に、此処までの破壊が付きつけられるとは。
精強な警備員達に加え、学生達の努力も連携も全て、圧倒する敵がいるなんて────―。
「 せめて……せめて……お名前と電話番号と SNSとLINEのアドレスをおおおおおお!!」
そこまで考えた所で
本人としては真剣な、聞く側からすると気が抜ける叫び。
「……あっちは大丈夫そうだなあ」
いつも食堂で聞いている、賑やかな先輩の叫び。
日常を構成する要素が沈みゆく意気を取り戻した。
「……よし、救護と避難手伝いに行きましょう」
「ああそうだな。
この手の活動は時間との勝負だ。
私達も手伝うべきだ」
辰砂の言葉に正実も、二乃もうなづく。
被害は出たが自分達は闘い生き延びた。
なら次にやるべき事を成すだけだ。
既にセナ達救急医学部も活動を始めている。
既に大体の蘇生は完了し、負傷者の治療と生徒の確認を行っている。
自分達でも手伝える事はあるならば動き出そう。
「ダンシ先輩は大丈夫として……回復できる仲魔出しておきますね」
「私は倉庫から予備の道具取ってきます」
「なら同行しよう。まだ新世塾が潜んでないとも限らない。
治療にも護衛が必要であろう」
「私は九頭龍組と合流し校舎内の確認に回る。
逃げ遅れた生徒を見落とすわけにはいかないさ」
4人ともそれぞれの能力や得意分野、立ち位置に沿って歩き出す。
失った物があっても立ち上がる事は出若い彼等はそれぞれまだ生きているのだ。
学園での実戦を超えて、生徒達は進み続ける。
一度や二度挫折を経験しようと、若者達の歩みは止まらない。
彼等の戦いはまだまだ始まったばかりなのだから。
◎登場人物紹介
・北竜久緒<神道系悪魔召喚師> LV58
北陸の悪魔使いの家に産まれた神道系召喚師。この春から聖華学園に転入したが、周囲のレベルの高さには驚愕した。
だが腐る事無く、京都避難者の護衛をしつつ修練と工夫を重ねて励んでいる。
なお同学年の伊予島杏にほのかな恋心を抱いているが、彼氏持ちである事にはまだ気づいていないので哀しき未来が待ち受けていると考えられる。
・景崎辰砂<顕現者><コマンダー> LV64
毎度おなじみカスのヤタガラスに所属していた漂流者の一人。
かつての世界では名家でも
経歴もあり部下以外にも久緒の様な年下に対する面倒見がいい。
・黒羽正実 <悪魔人間><ガンスリンガー> LV50
本作『少女異界探索録≪ガイア再生機構前哨戦≫』より登場した護国系漂流者の少女。
バルツァー先生の授業に感銘を受け、道具の扱いを磨いた事で得た高いサポート能力には定評がある。
・本条二乃<悪魔人間><剣士> LV56
『邪悪よ、灰へ還れ 花々が幸ふ為に』より登場した元DBの少女。
陰惨な過去を魔剣Xの力によって忘れ、聖華学園での学生生活を謳歌している。
古風な物言いだが、意外に乙女な一面もあるとか。
・氷室セナ<悪魔人間><ナース><マシンオペレータ―> LV60
救急看護部の部長と、京都避難者の一部の取りまとめをしている3年生。
京都へ各家から人質が集められた際、人質の健康を守る為自ら立候補し、攻略戦の際には見張りを倒し自ら脱出の指揮を執った傑物。
怜悧な表情と裏腹に年相応の少女らしい顔を見せる事も。
次回は掲示板回か1話短めの話の予定となります。