真・女神転生オタクくんサマナー外伝 -アナザーキリギリス- 作:ローグ5
本スレで明示された通りヒュージ=ニンゲンとして描写しております。
天地を埋め尽くす汚濁の紫。
第六のセプテントリオンミザールとの戦いは。
未だに帝都東京でも続いている。
東京所か世界中をも覆い尽くす程に増殖を続ける群体に。
津波への対処に高レベルの多くが動員されても、これまで生き抜いたDB達はしぶとい。
バフデバフを駆使し場を整え、低レベルの漂流者を
無限とも思える数に対して一進一退の攻防を続けていた。
そんな中、東京において異なる戦いを続ける者達も居た。
「せやあっ!」
二連の斬撃が胴を薙ぎ。
ずぅん、と重い音を立て、怪物が沈んだ。
陥没した道路にめり込むように倒れた異形。
悪趣味な、シュールレアリズムを思わせる姿。
常人なら見ただけで"不安"を感じるような。
そんな怪物が巨体を横たえ死んだ。
「はあ……はあっ……!
ようやくこれで、ひとまずラスト、かな?」
息も絶え絶えに少女が得物を降ろす。
刃が軽く舗装にぶつかり、ちいさな音を立てた。
周囲には同様の巨体が幾つも転がっていた。
グランギニョル社周辺から流れた悪魔ならざる怪物群。
突出した強さの個体はいないがその数は脅威。
防衛線を食い荒らす前に阻止する必要があった。
「その様ですね。あの怪物は食い止めたかと」
「他の地区でも流入は減少しているらしい。
グランギニョル社周辺での討伐が進んでいるとようだな」
紺色のジャケットに眼鏡の少女と、裾長の蒼い制服を着た
漂流者である二人は、怪物の漸減に一役買っていた。
\カカカッ/
| ジエレーター | アルファ4 | LV56 | 備考:漂流者*1 |
\カカカッ/
| サムライ | ゼカリヤ | LV57 | 備考:漂流者*2 |
最前線、一線級のDBには劣るが戦闘経験豊富な漂流者。
この過酷な世界で鍛え上げられた彼等は、困難な戦況でも戦い続けていた。
「じきにこっちにもミザールがなだれ込んできそうですが……大丈夫です?」
アルファ4が話しかけたのは聖華学園の制服を着た少女。
若草色の髪に柔らかな体つき、軽薄さよりも快活さを印象付ける雰囲気と顔立ち。
「あーいや、あたし怪我とかは大丈夫なんですけど。
どうもアイツ等見てると気分悪くて。
一緒に着た子も苦手みたいなんですね」
「悪魔にもそういない奇怪な造形だからな」
「私の世界でも北米に似たようなのが出てましたが。
胸が悪くなりますよね、あれ」
ゼカリヤにも少女の言葉は理解できる。
あの化物にはどうも本能的な忌避感を感じた。
それは相棒とも呼べるアルファ4も同じで。
少し気になる事があった。
「所でさっきあの化物を<ヒュージ>って呼んでましたよね?」
「はい。仲間のアナライズでそう出てました」
若草色の髪の少女も何処か釈然としない感がある。
以前調べた所によるとヒュージとは、ある世界で造られた人工悪魔群。
聖華学園での知古もそう、認識していた物だ。
この世界に流れ着いた個体も多数いたが、その殆どが既に滅ぼされたという。
それが何故、明らかに別物の、化物と同じ名で認識されたのだろう?
「……前の世界で一度だけ、あの化物がヒュージでも悪魔でもない。
別の名前で呼ばれていたのを聞いた事があるんですよ」
気がかりな疑問に対し、真剣な面持ちでアルファ4は口を開く。
「その娘は奇怪な化け物を、<ニンゲン>と呼んでいました」
ニンゲン、音読みは人間と同じ名前。
肌が泡立つような、不吉な名だと三人共感じた。
しばしの沈黙、何処か淀み重い空気が流れていた。
「────所でグランギニョルの方誰か行くか?
さっきスゲエ光してたぞ」
「掲示板見るにドラゴン倒したっぽいし大丈夫だろ。
後はDATが自力で何とかすればいいさ」
「……ま、なるわな。
あれこれ稼いでいるわけだし」
沈黙を切り裂いたのは防衛戦の構築を急ぐDB達の言葉。
グランギニョル社にはドラゴンの他にも複数の強大な反応が確認されている。
そこでDB達が現在進行形で死闘を繰り広げているようだ。
まさしく周辺の
そこで何があったかはこの場の誰もまだ詳しくは知らぬ。
「
今回グランギニョル社の防衛に、後輩と共に携わっている友人。
その安否に微かな不安を覚え────少女の肌が泡立った。
「何……?」
第六感とも言うべき直感。
不条理への本能が、彼女に危険を訴えていた。
「あっちだ!」
高所に陣取った弓使いのDBが一方を指さす。
先程化け物を投下したのと同じ、空の裂け目が。
またしても発生していた。
「あの方角は……?」
「今照合した。方位と推定距離からすると」
ゼカリヤがガントレットを操作し、東京のMAPを検索。
裂け目の直下にあるのは。
「湾岸……御台場地区だ……!」
セプテントリオン戦の後半、帝都東京が御台場にて。
更なる激戦が始まろうとしていた。
不自然な程に白く、白く染められた空間。
何処ともしれぬ地に涼やかな声が響く。
「何とまあ、予想以外の結果ですね」
微かな驚きを湛えた女性の声。
その眼前には幾つかの画面が展開しており。
剣閃の果て、斬り滅ぼされていくドラゴンが。
巨人の一撃で粉砕される巨大な卵殻が。
更には数を重ねても、少女達に駆逐されていく怪物達が。
英雄達が刻む勝利が映し出されていた。
「まさか<カーラクータ>に加え<プルシャ>まで撃破されかねないとは。
事実、目の前の光景は意外に過ぎる結果であった。
常より長期間生存している原生種を壊滅させる為。
投入が許可された二つの兵器は多くの世界を滅ぼしてきた代物。
雑多な地表等、
しかし現実には<カーラクータ>は滅び、<プルシャ>も敗色濃厚。
廃棄されたニンゲン群ならともかく、あの二体が返り討ちにされようとは。
「おやおや、海洋の方も戦況は芳しくないようですね」
横合いに展開された二つの画面に映る戦場は海上。
そこでも海竜と潰竜が傷つき、疲弊している。
対するDB側は傷つきながらも堅実に大胆に、優位を維持した立ち回り。
何かイレギュラーでもない限り、勝敗は決まったと見えた。
「アレらは私どもの存ぜぬ話ですが……これでは今回の作戦は失敗でしょう。
もし原生種がミザールを乗り越えれば、この後も生き残る。
いやあこの度は実にしぶといですね。お見事です」
声には残念さも苛立ちもなく、むしろ期待に弾んでいた。
そう、本命が終わったならば多少好きに動く余地があるのだ。
共通チャンネルと言うべき物を開き、高らかに宣言する。
「今回の作戦では地表の壊滅に至らない可能性が高い。
ならば今後の作戦を見据えた下準備が必要でしょう」
白い空間の主は、朗らかに言葉を紡ぐ。
「故に私────<文明観笑者>は、今週回の原生種に対する威力偵察作戦を提案します」
威力偵察という名の人形遊び。
長い生では中々の楽しみだ。
『文明観笑者による威力偵察作戦を承認。
独自裁量における活動を許可する』
「ありがとうございます」
提案はほぼ瞬時に可決されたが、そこには元よりの地表への関心の薄さもある。
薄汚れた、ありきたりな生体と文明に価値はない。
今地表に展開している
この、<シティ>に住まう者の多くがそう感じている。
なればこそ、自分は変わり者であり、同時に芸術の新たな地平を開きうる。
誇らしい事だと<文明観笑者>はそう、自認している。
「さぁて、今回はどれを使いましょうか」
新たに呼び出した画面へと目を走らせる。
瞳に移るのは、種々のニンゲン。
今回の作戦が即座に承認されたのは、日頃の根回しもあるが。
それ以上に消費されるのは全体のリソースでないというのは大きい。
地表へ投下するニンゲンは全て彼女の個人的なコレクションだ。
「No.10ホモ・フロット及びNo.11ホモ・ホプキ。
No.17からNo.21に、それから
近場に
文明観笑者はリリィが結構好きだ。
中々に可愛くて勇敢で、多くが必死に戦ってくれる。
そんな彼女達の悲劇的な最期は脳に良い刺激を齎してくれのだ。
特定のお気に入りはいないが、今回も頑張ってくれるといいなと思う。
「はい、投下っと♪」
選んだニンゲンをタッチ一つで投下開始。
目的地はサクっと選んだ御台場という地区。
地形がちょっと面白かったのと。
何回か前腕自慢のリリィが集まっていて。
割と楽しかった記憶がある。
ただそれだけの理由で、大量の
鼻歌混じりに取り出したキャンバスと絵筆。
長い生における束の間の楽しみを。
心から楽し気に満喫していた。
・
・
・
御台場に地響きが幾重にも鳴り響く。
さながら急な豪雨の様に。
怪物が地を、質量で叩いた。
地響きの主は空の裂け目から投下されたニンゲン。
投下されたのは御台場を囲む様に5地点へと。
それぞれ雑多な個体が十数体から数十体。
更にその中心に巨体がそびえる。
「対象を<アナライズ>したDBより報告!
グランギニョル社周辺の個体同様ヒュージとの事です!」
「よりによって囲む様に来るか、畜生め」
「ギガント級の反応が複数。
よりによって海底トンネルの近くにも……!」
避難所の警備に付いていた自衛隊員達が遠方の巨体を視認。
デモニカ装着中故表情は分からないが、三人目の女性隊員の声には確かな驚愕。
少し前の話だが、ヒュージと呼ばれる存在にはグランギニョル社を中心として戦力等級が設定されていた。
所属DBの交戦経験や、保護した漂流者の証言を基に作成された等級は5段階。
不幸中の幸いで最上級のアルドラ級はいないが、複数展開したギガント級及び多数の敵からの防衛は容易い事ではない。
話を戻そう。御台場を囲む様に出現したギガント級は全5体。
5体ともアナライズでの測定レベルは70代。
ボス級故の耐久の高さを含め、即殺できる相手ではない。
(現在の戦力で何処までやれるか……)
敵の布陣を見て、女性隊員の額を汗が一筋流れる。
海底トンネルや東京へ架かる橋の付近にギガント級は布陣している。
これでは仮に付近の自衛隊から増援を抽出しても、加勢には時間がかかるだろう。
六六六部隊には装備練度共に及ばないが、それでも二度のセプテントリオン戦や阿修羅会の掃討により経験を積んできた自分と同僚。
個々の練度にも個人の戦闘技術にも自信はある。
それでも市民を護りながら、ギガント級含むヒュージ群を掃討するのは困難に過ぎた。
「三尉!」
「どうしました曹長?」
学生時代からの知古である曹長がこちらへと駆けて来る。
私生活ではのんびりとすらしている彼女の声は、これまでになく切羽詰まっていた。
「沿岸部に展開していたDBから連絡が来ました。
海上よりさらに2体、より大型のギガント級が御台場へ接近していると!」
後輩の連絡を受けた女性隊員は息をのむ。
更なる敵の増援は、死を思わせるには充分にすぎて。
「それと、ドローンでの観測を行っていた班から」
アームターミナルに表示された場所を指さす。
避難所から離れた区域だ。
「まさか、先程の件で……!」
不吉な感覚に、更に胸が重くなる。
この場の自衛隊員の誰もが、深く憂慮していた件があった。
ミザールの襲来より20分程前、避難所付近で漂流者の小規模な蜂起が発生。
無論短時間で鎮圧されたが問題はその中で起きた。
逃走しようとした漂流者のトラエストーンが暴発し、付近の民間人が巻き込まれ行方不明。
状況が状況な為満足な捜索が出来ておらず、未だ少女達は保護されていない。
「観測ドローンのカメラに付近の建物へ逃げ込むのが……映っていたとの事です」
曹長の声も重い。御台場でも避難所から離れた区域。
逃げ遅れた人の捜索にあたっていた分隊が急行しているとの事だが。
恐らくヒュージの一部が到達する方が早い。
「……沿岸部のDBと連絡を。
彼等と連携して防衛線の再構築をしなくては。
それと移動系のスキルを持つ方へ協力を要請を」
「了解しました。今無線を」
今自分達に出来るのは奇跡を祈る事ではなく、市民の生命が為最善を尽くすのみ。
不吉が重なる事態に、膝を屈する事無く動こうとして。
「──────!」
何処かで何か、重い物が斃れる様な。
重い振動を二人は感じた。
────こんな不条理があってたまるか。
御台場の某所、人気の絶えた地下駐車場。
片隅には怯え切った人々が数人固まっている。
庇う様に立つ、
黄金色の蟲に近い姿の異形、それが十数体固まっている。
吐き気を催すような嘲笑を、奴等は輪唱した。
\カカカッ/
| 軍勢 | 小型ニンゲンの群れ | LV23 | 耐性??? |
「桂……」
「絵未は下がってください」
友人を手で制す自身の声は、驚く程力がなかった。
親友を始め、何人もの人を庇っているのにだ。
この様な状況になっているのは不条理に過ぎる不運の連続だ。
まず避難所へ着く間際に暴動へ巻き込まれ、暴発した
避難は最早間に合わず地下へ逃れ幸運にもミザールに襲われる事は無かったが、場所が場所故連絡も取れず救助が来る事もなかった。
更に地響きが起きたと思えば、小型の化け物共がなだれ込んできた。
悪辣にも複数の入り口から侵入してきたせいで、桂達は瞬く間に追い詰められてしまった。
化物の一体一体は現行周回の基準では、一蹴出来る程度の強さに過ぎない。
しかし此処に居るのは全員が民間人で、戦えるのは桂一人のみ。
手には自身と同じように飛ばされた剣が数本。
恐らく漂流者の誰かの持ち物で、それ以外に頼る物はない。
かたり、と桂が握った刃が震えた。
戦いの心得はある。だが、護り切れる自信はなかった。
桂は友人を護り切れなかったからだ。
体感で言えば三年ほど前、まだ前の世界に居た時の話だ。
桂は護国の家によって集められた孤児の一人であり、幼少の頃から悪魔と戦う手ほどきを受けていた。
師範だった女性は自分達に丁寧に知識や技術を教えると共に、いつかヤタガラスの復興をしたいと言っていたのを、まだ覚えている。
桂や他の友人も成長した後悪魔や外道と戦うという未来には乗り気であった。
訓練を受けるのはあくまで希望者のみで、内容も覚醒者である彼女達の護身に重点を置いた物。
何よりもカジュアルサマナーや悪魔によって家族を失った皆は、自分達の様な者をこれ以上出すまいと確かな意思を抱いていた。
だから皆で頑張って、成長した後は共に戦おうと誓っていたのに。
世界が滅びる日、襲い掛かる悪魔共から誰も護れなかった。
引きずられる様にして入ったシェルターでの数年間も、この世界に来てから里親に引き取られ学校に通うようになっても。
何度も何度も、自分が護れなかった友人達の死に顔を夢に見て、飛び起きた。
そんな自分が今度こそ友人を護れるか? また失うのではないか?
心傷から湧き出す不安を、拭い去る事は出来ない。
「奴等は桂が命に代えても倒します。
だから……大丈夫」
それでもなお、少女の胸には誰かを護りたいと思う心がまだ燃えている。
孤独だった自分に話かけてくれた親友を、戦えぬ人々を護る事。
それは決して間違いじゃないと、魂から言えるから。
「やあああっ!」
不安を超え、一歩を踏み出しヒュージへと斬撃を見舞う。
流麗な一閃が、橙色の残光を残した。
| レイズスラッシュ | 物理スキル | 敵全体に斬属性の物理攻撃で中ダメージを与える |
| ヒートアップ | 自動効果 | 物理スキルの攻撃力が10%上昇 同系統の戦士がいると、さらに攻撃力が上昇*4 |
一閃により何体かのニンゲンが両断される。
幼少からの訓練の賜物。
されど敵に足を止める人間性等無し。
屍を乗り越えて爪や牙を振るう。
「ぐっ……!」
一撃目は躱したが、二撃目と三撃目は確かな傷を桂に与える。
だが咄嗟の見切りによって、
| 達人の見切り(劣化中)*5 | 自動効果 | 敵の物理攻撃でクリティカルを受ける確率が大幅に低下する 彼我の力の運動性を見切る、英雄の超感覚が片鱗 |
傷つこうとも的確に見切り、反撃し斬撃を見舞う。
血を流し、肌を赤く染めても少女は剣を振るうのをやめない。
耐えて躱し、剣を振るい続ける姿。
それは悲壮ながらも、人々を護る
混迷を極める御台場に、更なる脅威が迫る。
沿岸より現れるは地を踏みしめる脚。
所によっては数メートルに達する水深を優に上回る巨体。
海上に出現した2体の怪物が、上陸しようとしていた。
ヒュージとも、ニンゲンとも呼ばれる怪物。
その中でも巨大な個体が今、御台場へと侵入する。
同じ人型ではあるがそれぞれの姿は大きく異なっていた。
一体目は赤と青の斑模様の鎧に硬質な白い髪。
憤怒を浮かべた顔面は目も耳も何もかもが尖っている。
背負った錆色の大剣が、より危険な雰囲気を高めていた。
| ニンゲン | ホモ・フロット | LV83 | 相性:??? |
二体目は黒緑色の体色で、何処か鳥を思わせる造形。
のっぺりとした白い仮面の様な頭部をかぎ爪で抑え。
時たま叫び声をあげる様は嫌悪感を煽る。
| ニンゲン | ホモ・ホプキ | LV84 | 相性:??? |
唸り叫ぶ二体のニンゲンはそれぞれ別の方向へと歩を進める。
どうやら互いに連携する気はないらしい。
『NuU……?』
ホモ・フロットは足を止め遠方を凝視した。
悪鬼の視界に移るのは避難していく人々。
何人かの民間人が自衛隊員やDBに連れられ避難していく光景。
楚々とした印象の黒髪の少女が、青髪の少女を支え。
明るい印象の少女が年少の少女を庇い連れていく。
それは速水桂が死力を尽くし、奇跡を起こした証。
何処か噛みしめる様な表情の彼女は、人々を守り抜いたのだ。
『NuunN……!』
だがホモ・フロットは何かが気に食わなかったようだ。
背に帯びた大剣を引き抜くと避難する一団へ向けて大股で歩き出す。
他方ホモ・ホプキは速度を早め自衛隊の陣地、ひいては避難所へ向かう。
『aA! aaaAa!』
まるで制御を失った暴走車の如き歩み。
嘆く様な叫びが不吉極まりない。
現在御台場に展開した少数のDBは津波と他のニンゲンの対処。
自衛隊は避難所の防衛にあたっている。
故に二体のニンゲンが引き起こす暴虐を阻止する術はないと思われたが。
「――――避難民を追っているな。割って入るぞ」
ホモ・フロットの前に立ちふさがるのは三名。
全身鎧に赤い飾り布、長大な斧槍を携えた戦士。
退魔刀を携えた中性的で小柄な少年。
淡い色の髪を一房空色に染めた美女。
「あれが敵のボスか。随分な巨体だな」
\カカカッ/
| デ■トロ■ヤー | ウォルム | LV73 | 備考:漂流者 |
「見た所物理型ですね。
俺も前に出ますのでもしもの時は回復お願いします」
\カカカッ/
| 悪魔召喚師 | 北竜久緒 | LV62 | 備考:神道系召喚師 |
「かしこまりました。
まずは耐性情報から確認していきましょう」
\カカカッ/
| 顕現者 | アイリス・ビショップ | LV73 | 氷結・電撃・衝撃・魔力・神経耐性 呪殺無効 破魔吸収 精神反射*6 |
彼等は付近から急遽招集されたDB達三名。
即席での連携だが戦意は高い。
ホモ・フロットが大剣を構え彼等と相対。
その隙にホモ・ホプキは歩を進めようとする。
丁度よく進路上には新たになだれ込むミザールや、雑多なニンゲン。
目指す方向は同じであり、合流の動きを見せんとするが。
「────残念だが、これ以上は行かせん」
| 奥義一閃*7 | 物理スキル | 敵全体へ物理呪殺属性大ダメージを与え、低確率で即死を付与 |
| 外法真剣*8 | 合体技 | 対象の刀に2ターン呪殺属性を付与する 堕天使バルバトスが使用 |
その殆どが、死を齎す一閃にて斬滅された。
地に降り立ち、残滓を振り払った男はフゥと息を吐き立ち上がる。
自身に追随する者を背に、敵を見据えた。
黒いコートに刀、纏うのはマグネタイトの淡い緑の燐光。
「噂のヒュージ……か? 映像で見たのより奇怪な姿をしているが」
\カカカッ/
| 悪魔召喚師 | 雨柳巧(疲労により弱体化中) | LV77(87) | 全体的に強い*9 電撃*10・精神・破魔無効 魔力・呪殺反射*11 |
「サイズもやたらと大きいですね。
でも私とニッカリさんなら!」
\カカカッ/
| 顕現者/魔術師 | 忽那光織 | LV71 | 氷結・電撃・核熱・呪殺耐性 火炎・疾風・破魔無効 精神・神経反射 地変弱点 |
仲魔を従えた雨柳巧と忽那光織、この二人がニンゲンと相対した。
足を止めた怪物へ恐怖はない。
だが、身体が何処か軋む気がした。
(正直言うとキッツいがこの状況だ。
やるしかねえな……!)
体は重く、何処か神経が昂った気配がある。
何せ数十分前まで魔人と戦闘していたのだ。
好調には心身ともに程遠い。
しかし、それでも御台場への増援は、無理を重ねてようやく実現できたのだ。
きわめて短い時間の中、各戦線から戦力を抽出。
転移系のスキルを所持した悪魔から、カルトマジックの使い手まで動員し。
ようやくギガント級への戦力を投入できた。
『ラージ級以下の全滅を確認!』
『ギガント級を倒すわよ!
強力なデバフを持ってる、デクンダを使える仲魔を出すわ!』
通信越しに届いた通り、レイとロゼもまた戦っている。
痛みと疲弊を押して、なおも戦線に立つ事を少女達選んでいた。
(ならば、後少しだけ頑張るとするか)
巨大な敵へ真っ向から対峙する。
畏れは最早ない。
共に戦う光織や少女達の為に、まだ戦える。
誇大妄力のニンゲン、ホモ・フロット。
浅罪逃避のニンゲン、ホモ・ホプキ。
2体の化け物へと、英雄の片鱗を魅せる戦士達が対峙する。
世界は救われておらず、新潟における魔城の決戦も未だどうなるか分からない。
それでも戦士達は踵を返さず、未来へ逃避せずに戦い続けていた。
今を生きる為に、誰もが戦っているのだ。
次回はVSニンゲン戦×2、可能な限り8月中に投稿したいと思います。