SAOが好きすぎる俺がSAOの中に入っちまった。それもホロウフラグメントなんだけど   作:クラッカーV

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真剣勝負だ

「……………は?おいおい、何のつもりだ?」

 

クラインは剣を抜いたシンへ向かってヘラヘラと笑いながら言う。冗談だと思っているのだろう

 

「攻略組との差を知っておこうと思ってな。"風林火山"は攻略組ギルドだろ?中層でも話は聞くぜ。それのリーダーのクラインは攻略組でも指折りの実力を持ってるんじゃないのか?」

 

出来るだけ当たり障りの無いように話す。これまでで変な発言をして怪しまれることが何回かあった為か自然な言葉を選んでいるようだ。その度に嘘を吐いている、と自分で感じ嫌な気分になる

 

「別にいいだろ?減るもんじゃないし」

 

「まあそりゃそうだがよぉ……」

 

クラインは困ったなぁ……と言って頭を掻く。シンは本気だと感じるとやれやれ、とウインドウを操作して刀を装備した

 

「(クラインの主武装の刀、リーチは俺の剣より長い、スピードも力もレベル的にクラインの方が上かな。…………はっ、勝ってるもんが何も無いなおい)」

 

内心で笑いながらクラインの刀をじっくりと観察する

 

「いいかクライン、これは所謂システム外デュエルだ。攻撃が当たっても《アンチクリミナルコード》によって弾かれるだけ、他人が見ればただ剣を振り回してる馬鹿どもだ」

 

ニヤリ、と笑みを浮かべるシンに対しクラインは苦笑いを浮かべる

 

「おいおい、そこまで言うかぁ?」

 

「…………ま、お互い手加減無しで行こうぜ」

 

そう言ってシンは更に笑みを深める

 

実は、シンはさっきから笑いが止まらなかった。それはただ楽しい、と言う感情からでは無い

 

「(あー、わっけわかんねえ。なんでだろ、笑みが止まらん)」

 

正直自分でもわかっていなかった

 

剣を抜き、クラインと対峙しているこの状態がシンの心を昂らせる

 

それは今まで体験することの叶わなかったことから来る高揚感であり、クラインに仲間と認められたことからの嬉しさからであり、ライバルの様に剣を交えれる。対等であるということから来るモノだった

 

だがそれに本人は気付いていない

 

剣を持ち戦うと言うことは初めてでは無い。経験は浅いが既に数匹のモンスターと戦っているのである。ただ状況が状況なだけにそんなことは感じられずにいた

 

「デュエルってことは、決着は初撃決着で付けるんだよな?」

 

「何言ってんだ。そんなんじゃあすぐ終わっちまうだろうが。決着はなぁ………」

 

そこまで言ってシンは地面を蹴る。クラインとの距離は僅か5m程度、1秒足らずで距離は詰めれる

 

「俺が諦めるまでだ………よっ!」

 

青く輝く刀身が横薙ぎに振り払われるのと同時に、勝負の幕は切って落とされた

 

 

 

======================

 

 

 

まずは《ホリゾンタル》をクラインに叩き込む。これで目にもの見せてやるはずだったんだが………

 

「まあ、そう簡単には行かねえよな」

 

まだスキル硬直の解けないままクラインを見る。クラインは俺の斬撃を慌てることなく後ろに跳ぶことによって避けた。結構距離が空いちまったな………

 

「くっ、余裕な顔しやがって…………」

 

「いや、でも今のは危なかったぜ。あと一歩だったな」

 

「ちぇっ…………んで、いつまで動かないつもりだ?クライン。俺のスキル硬直は解けたぜ」

 

「観察ってもんをよくしないと駄目だぜ。初見の敵にはよ」

 

はっ、よく言うぜ

 

「観察なんざしなくても大体わかるだろ。それに気付いてるんじゃねえのか?俺がなんでホリゾンタルを使ったのか」

 

「あんなにわかりやすくされちゃ嫌でもわかるってもんよ」

 

…………そう、俺が最初の一撃にホリゾンタルを選んだのには理由がある

 

クラインは明らかに格上、幾ら武器が刀と言えど片手用直剣の初級スキルなんてこれまで敵や仲間が使っているのを散々見たことがあるだろう。それだけにどんなものかもよくわかっている

 

だからクラインに俺の全てのソードスキルは通用しない。ステータス的にもな

 

スキルを使うにしても突進系の《レイジスパイク》が無難だろう。同格相手なら初手を取れるかもしれないが、この場合は違う

 

だったらなんでソードスキルを使ったのか?

 

それは、俺がこの勝負に対して本気だということを伝える為だ。冗談なんかじゃなく、お巫山戯なんかじゃなく、真剣であるということを

 

その思いを込めて一撃を放った。そしてクラインはその思いに気付いた

 

「わかってるんならよ、応えてくれるんだよな?」

 

「……………はぁ、しゃあない野郎だ」

 

クラインが刀を構えた

 

………そうだぜ、それでいいんだ

 

「ビビってションベン漏らすなよ?」

 

「ここはゲームだからそんなことならねえよ」

 

「違いねえ……………行くぜ」

 

ダンッ!

 

地面を蹴る音が聞こえた。そして次の瞬間、クラインが俺の目の前に現れる

 

「っ!」

 

刀の刀身が輝いてる!?やべえクラインの斬撃が来る!

 

俺は剣でガードしようと腕を動かす。だがその行動も虚しく、轟音と共に視点が一気に空へと移った

 

「ぐ………ぉ……!」

 

今の俺は仰け反った状態だ。コードによって守られていることで吹っ飛びはしないが………ソードスキルだったらノックバックくらいは発生するとか書いてあったなぁ、この野郎!

 

「んな、ろぉ!」

 

尻餅を着きそうになるのを剣を持って無い方の手で体を支えてなんとか凌ぐ

 

次が来る前に横に手の力を使って転がり距離を取った

 

「おぉぉぉ!」

 

すかさずレイジスパイクを発動してクラインに迫る。発動するかどうか不安だったけど、発動して良かった………

 

クラインは今スキル硬直で動けないはずだ。俺の読みが正しければ威力的に考えてあのスキルは中級スキル。もし解けても避けることは出来ないだろう

 

「よ、っと」

 

「はぁ!?」

 

だが、そんな俺の考えとは裏腹にクラインは前に跳ぶことで躱した。俺のスキルは不発になり、射程距離ギリギリの場所で体が硬直する

 

「ス、スキル硬直は…………」

 

「そんなに長く続かねえよ、あんな初級スキルじゃ」

 

「な……ぐぉっ!?」

 

さっきと同じスキルをクラインに叩き込まれた。またノックバックが発生し俺は仰け反る。今度はそのまま重力に身を任せ、地面へと腰を落とした

 

…………嘘だろ、あの威力で初級とか巫山戯てんのかよ。スキル硬直時間を短くするスキルは知ってるが………くそ、完全に読み違えた

 

「どうした、もう終わりか?」

 

「は、はは………んなわけねえだろ」

 

剣を握り直して立ち上がる

 

「行くぜクライン!」

 

俺はクラインに向かって剣を中断に構えて突っ込む

 

クラインが受ける態勢に入った。それに構わず俺は何度も剣を叩きつける

 

「くっそ………おぉぉぉぉぉ!!」

 

何度斬りつけてもクラインには軽くいなされるだけだ。まるで親と子供が紙で作った剣でチャンバラごっこしてるような、そんな感じがする

 

「ふっ!」

 

「あっ!」

 

下から振り上げられた刀に俺の剣は弾き飛ばされる。今の衝撃で手を離してしまった

 

「もういっちょ行くぜ、シン」

 

クラインがスキルの初動モーションに入った

 

や、やべえ………!なんとか避けないと!

 

俺は必死に体を避けることに専念する。だがクラインの持つ刀は容赦無く俺へと向かってくるだろう

 

「ぬ……あぁぁぁぁぁ!」

 

それでも諦めるわけにはいかない。そう思って体を必死に捻じる俺の右腕が青く輝いた

 

「は?」

 

そして次の瞬間、俺の右手が手刀の形をとり、そのまま突き出された

 

……………と言っても、突き出された方向はクラインの頭よりも上、突き出すモーションに合わせて俺の体も動き、思い切り態勢を崩してしまう

 

「おぉ!?」

 

クラインも驚きながら僅かに仰け反る

 

空を見上げる形になってしまった俺の真上を刀が通り、突き上げられた形になっている右腕に見事クリーンヒットした

 

その所為で右腕だけにノックバックが発生し、右腕を起点に俺の体は回転して叩きつけられる。右腕のなんとも言えぬ不快感が半端じゃない。腕が切断された時ってこんな感じなんだろうか。多分痛みでわからないとは思うけど

 

「シ、シン。お前ェ、体術スキルなんて習得してたのか……」

 

「う、腕が………」

 

クラインが何か言ってるがそんなことよりも腕の不快感がヤバイ。だがあそこで体術スキルが発動したのはラッキーだった

 

腕をぎゅー、っと握ってこの不快感を振り払う。因みにこれはアスナがキリトにやってあげたやつの引用である。俺も誰か可愛い子にやってもらいたい。今はどうでもいいことだけど

 

「………………よし、治った」

 

不快感が無くなったことを確認すると俺はダッシュで剣を取りに行く

 

そして拾うと同時に肩に担いだ。剣は青い光を纏う

 

「くらってくれよクライン………」

 

俺は切実にそう願い思い切り振りかぶり、クラインへと投擲した

 

「なぁ!?」

 

その行動に目を剥くが、すぐさま刀で防御する。流石にソードスキルを弾くのは困難なようで、刀はクラインの頭より上へと上がっていた

 

…………………掛かったな

 

「おぉぉぉぉぉらぁぁぁぁぁ!!」

 

「なっ………!」

 

俺は剣を投げた瞬間、ウインドウを開いて剣を装備していた。まだ派生スキルである《クイックチェンジ》は習得できてないが、昨日の晩に必死に練習した。操作をミスることもなかった為上手く行ったようだ

 

そして俺はレイジスパイクを発動してクラインに迫っていた

 

「くっ……!」

 

クラインはなんとか防御しようとするがもう遅え!

残り距離1m程度。今から防御しようとも無理だろう。俺はそう確信した

 

……………だが

 

ギャリィィィィィン!

 

視界を白い閃光が埋めた

 

「……………何を、しているの?シン君。クラインさんも……」

 

俺のスキルは目の前に現れた人物によって止められていた

 

「ア、アスナ…………さん……どうして、ここに?」

 

「クラインがあまりにも帰って来るのが遅いから、来たのよ」

 

そう、俺のスキルを止めたのは、『閃光』こと『血盟騎士団』副団長、アスナ様であらせられた

 

「……………そ、そうでせうか」

 

「それで、これは何をしてたのかな?」

 

やばい、これはひじょうにやばい…………アスナ様からゴゴゴゴゴと効果音が出そうな程の気迫が漂っている。後ろにキリトの姿が見えた。俺がキリトを見た瞬間に勢い良く目を逸らしやがった

 

「何をして、いたのかな………?」

 

「ちょ、ちょっと模擬戦をですねぇ………クライン、さんと……はい」

 

「へぇー、皆を心配させてるのに、それを置いてクラインと模擬戦してたんだ」

 

ちょ、マジ辞めて!恐い、恐いから!そんな黒い笑顔で迫らないで!

 

「まずはエギルさんの店に行こっか。ここじゃあれだし」

 

「は、はい…………」

 

そして俺はアスナ様に周りからの奇異の視線に晒されながらエギルの店まで引き摺られていった

 

その後正座をさせられ説教をくらった。終わった後にシノンさんが「バーカ」と言って俺の横を通りすぎて行ったことで俺のライフが0になると共に、よくよく考えればシノンさんさっきの可愛かったなぁ、と回復する俺だった

 

……………最後、なんか戻ってきたシノンさんに割と本気のビンタをくらい机に突っ伏した

 

俺が何をしたって言うんだ…………

 

 

 




結局あまり熱い展開にはならなかった

※2020/02/14 視点変更箇所に
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