SAOが好きすぎる俺がSAOの中に入っちまった。それもホロウフラグメントなんだけど   作:クラッカーV

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覚えた違和感

 

 

「スイッチ!」

 

アスナの声が響いた

 

前でキリトが牛人間みたいなデカイモンスターに一撃を入れてアスナと交代する

 

「はあぁぁぁぁぁ!!」

 

そしてアスナの剣が輝きを纏って牛人間の喉を抉った。その後も数発刺突が打ち込まれる

 

更にフィリアが横から追い打ちをかける

 

牛人間はバシャァン!と音を立てて消えた

 

「……………」

 

…………俺、いらなくね?

 

 

 

 

======================

 

 

 

 

 

「ふぅ………大分倒したな。シン、結構レベル上がったんじゃないか?」

 

キリトが流れる汗を拭いシンに聞く。狩りを始めて二時間程度が経過した

 

その間ずっとモンスターと戦っていたのだ。目的はシンのレベルを最低限安全な場所まで上げること

 

普通ならば圏内でこなせる生産系クエストでレベル上げをしてもらうのだが、シンは他のプレイヤーと違いホロウエリアに入ることが出来る

 

ホロウエリアを攻略するに辺り、いつキリトとフィリア、それとキリトのパーティ一人の三人では倒せないような的が現れるかわからない。だからシンには強くなってもらわねばならないのだ

 

「……………」

 

「シン君?」

 

「………俺、いらない子です」

 

シンは体育座りをしてのの字を書き始めた

 

「ど、どうしたの?シン君」

 

アスナがシンの肩に手を置いて聞く

 

「だって………俺の援護無くてもすぐに倒しちゃうし」

 

「そ、それはいいんじゃないか?すぐ終わればそれだけレベルも上がっていくぞ?」

 

「人がやるRPGを横で見るほどつまらないことはねえですよ……」

 

この発言に全員はどうしたものか、と頭を悩ませる

 

キリト達側としてはレベルアップに付き合っている方なのでこんなことを言われるのは本当はお門違いなのだが、全員一応ゲームをしている人間としてわからないこともない

 

「………………だから」

 

シンはのの字を書く手を止める。そしてその手をキリトに突き付けて言った

 

「次からは、初撃は俺が入れる!」

 

「「「………………はぁ?」」」

 

 

 

======================

 

 

 

「次からは、初撃は俺が入れる!」

 

俺は三人に向かって指を突き付けて宣言する

 

「「「………………はぁ?」」」

 

う……思った通りの反応を返されたぜ………

 

確かにキリト達に任せていれば俺のレベルはどんどん上がっていくだろう。現に今もうレベル50まで来ている。キリト達のおかげでマッハに近いスピードだ

 

「こんなことを言うのはお門違いかもしれない。だけど……どうしても、俺も戦いに混じりたいんだ。それになんか寄生してるみたいで嫌だしさ」

 

折角皆と肩を並べて戦えるんだから戦いたい。自分だけ側で指を咥えて見てるだけなんて嫌なんだ

 

「はぁ………あまり我儘言わないの。優先すべきはレベル上げでしょ?」

 

「フィ、フィリア…………いや、その通りなんですけどもね?ほら、今言ったじゃん」

 

「それこそ何言ってんのよ。命を危険に晒さずに強くなれるんだから儲け物じゃない」

 

…………いや、だからさ

 

「それが俺は嫌だって言ってんの」

 

少しばかり語気を強くして言ってしまう

 

「だから、嫌でも安全を考えなさいって言ってるの」

 

むむむむ…………なんでわかってくれないかなぁ。いや、まあフィリアは俺じゃないんだから俺のことなんかわかるはずないけどさ

 

わかるわけねえよなぁ………

 

フィリアはこの世界の住人で、キリト達のことなんか出会うまで全く知らなかっただろうけど、俺は違うんだ

 

SAOのことを知ってから俺は毎日のようにキリト達のことを見ていた

 

毎日小説を読んだ。アニメだって何回も見直した。携帯ゲームも毎日ログインして、イベントにだって積極的に参加してた

 

だから俺にはわかる。この世界が繰り広げられている紙の外で、液晶の外側で見ていた俺だからこそわかるこの気持ち

 

 

 

一緒に肩を並べたい。一緒に戦いたい。力になりたい。助けたい。見ているだけなんて嫌だ

 

 

 

折角俺はこの世界にいるんだ。なのに、この世界に来る前と同じでどうする?そんなの駄目だ。何も変わらない

 

「それでも見てるだけなんて嫌だ」

 

俺はフィリアと目を合わせて言う。声とこの目に、絶対なる意志を乗せて

 

「……………はぁ、勝手にすれば?」

 

フィリアは溜息を吐きながらもそう言ってくれた

 

「!ホントか!?」

 

「ただし、危なくなったら引くことを忘れちゃ駄目だよ」

 

「うん、うん!」

 

力強く頷く

 

いやっほぅ!俺も戦闘に参加出来るぜぇ!

 

「二人も、それで良いよね」

 

俺が喜んでるのを他所にフィリアはキリトとアスナに同意を求める。キリトとアスナの方を見ると顔を見合わせてやれやれ、と言った風に首を振り

 

「わかったよ」

 

「でも、危ないことはしないでね?」

 

了承してくれた

 

「ありがとう!」

 

いやー、最高だ。今ならどんな敵でもドンとこいだ、俺がねじ伏せてやる

 

「お!早速獲物発見!!」

 

向こうに猪がPOPするのを確認!よく見れば俺がここに来た時に一番最初に会った猪だ。今度こそ猪鍋にしてやるぜ!

 

シン、行きます!!

 

「あ、シン君!あんまり調子に乗ったr「イェェェェェガァァァァァァ!!」シン君!?」

 

そして俺は、猪を一匹残らず駆逐(猪鍋)する為に剣を抜き放った

 

 

 

 

======================

 

 

 

 

 

「イェェェェェェガァァァァァァ!!」

 

「シン君!?」

 

向こうに猪型モンスターを発見するや否やシンは何かを叫びながら突進を始めた

 

イェーガー、確かドイツ語で猟師と言う意味だとリーファ……もといスグが自慢気に言ってたことがあったな

 

「あれ、大丈夫?」

 

フィリアが今丁度モンスターに斬りかかったシンを見て眉を寄せて言う

 

「ど、どうだろう……」

 

もはや苦笑いしか出来ない。さっき本当に落ち込んでいたのかと言うくらいテンションが高い

 

戦いたいと言っていたところから見て戦闘狂の気がちょっとあるのかもしれないな。俺も人のことは言えないけど………

 

「どわぁ!?」

 

「あっ!」

 

シンが危なげにモンスターの攻撃を避ける。今のは直撃かと思ったぞ、よく避けたなあれ………

そしてお返しとばかりに弱点である首の付け根を攻撃している。集中して狙っているのを見ると弱点だと知っているのだろう

 

アスナは心配そうにシンを見ている

 

何故だかアスナはシンのことをよく気にかけている。昨日と今日でよくわかった

それが他の男に対して、であると言うことに少しばかりシンに嫉妬心を覚えるが、どうも見ているとシンを弟のように見ているというか………今でもすぐさまスイッチと叫んで入れ替わりたいのだろう。それをしないのは戦況がスイッチ出来る状況に無いからだが

 

フィリアも少しは心配しているようだ。シンの紙回避(誤字では無い)を見るたびに目が揺らいでいる

 

「シン君、スイッチ!」

 

「お?……お、おう!」

 

アスナが無理矢理スイッチと叫んだ。ひじょうに微妙なタイミングだが……流石《閃光》。素早い突きでモンスターのHPを刈り取った

 

「ふぃー………ナイス、アスナ!」

 

シンは拳をアスナに突き出す

 

「うん?…………うん!」

 

アスナは最初は意味がわからなさそうだったが、さっき俺とシンがやっていたのを思い出したのだろう、シンの拳に自分の拳を重ねる

 

「よっしゃ次だ!」

 

シンは次の獲物を探してキョロキョロし始めた

 

 

 

……………シンは愉快な奴だ。それでいてなんだかほっとけない感のある奴でもある

 

実を言うとアスナがシンを弟のように見ている、ってのには俺もわからないでも無い

 

シンは俺より背が高く、見た目も俺と同じくらいなのだが………ユイと一緒に話をしているのを見ると兄妹が話をしているようにしか見えないのだ。しかも歳が近い。精神年齢が低いのかどうかわからないが

 

しかし、それだけじゃない

 

「おっ、いた」

 

「ちょっと、あんまり突っ込まないでよ」

 

「わかってるよ、心配すんな。…………どういう風に攻めるか」

 

新たに現れた剣を持つ亜人型モンスターを見据えてシンは呟く。その顔は真剣だ

 

…………シンをほっとけない理由、そのもう一つはあれだ

 

シンは考え始めると結構深いところまで考えてしまうみたいだ。エギルの店で見せたあの集中力、頭を痛める程とはどれぐらいなのだろうか

 

そして、その時のシンの印象はガランと変わる。まるで別人みたいに

 

歳相応、が正しいだろうか。どっちが本当のシンかと迷うくらい雰囲気が変わるのだ

 

「よし、決めた。フィリア、援護頼む!」

 

「わかった!」

 

モンスターへ向かってシンとフィリアが走り出した。亜人型モンスターは二人に気付き剣を構える

 

「オラ!」

 

シンはまず初撃に肩から下にかけて斬りかかる。その後に剣を返して左斜め上へと斬り払った

 

…………あの形、《バーチカル・アーク》に似てるな。スキルアシストが無いと言うことはまだ習得してないんだな

 

「もういっちょ!」

 

次にシンは《ホリゾンタル》を放つ

 

スキルも含め与えたダメージはごく少量だが、後はフィリアの援護でなんとかなるはずだ

 

「はぁぁぁぁ!」

 

フィリアのソードスキルがクリーンヒットしてモンスターのHPがガリガリ削られる

そこに硬直が解けたシンがダメ押しとばかりに剣を振り回す

 

……………そう、振り回している

 

「……………?」

 

その光景に俺は違和感を覚えた

 

今のといい、さっきのといい、シンはどうも剣を振っている、という感じじゃなく、剣に振り回されている、という感じなのだ

 

シンは確か中層プレイヤーだったと言っていた。と言うことはある程度戦い慣れしているはずだ

剣に振り回される、というのはまず無い。俺はそう思っている

 

なのにシンは違う。アスナから貰ったシンの武器が重いのかと考えたが、さっき弄んでいたところを見たのでそういうわけじゃなさそうだ

 

更に言えばアスナとのスイッチの時にスイッチの仕方が明らかに不自然だった。まるでやったら出来た、みたいな感じに………

 

「なんだ?この違和感………」

 

シンを見てると、まるでつい最近《始まりの街》から出てきたみたいな。いや、それとはちょっと違う。そんな人間がモンスターの攻撃を避けれるわけがない。それにシンは猪型モンスターの弱点を知っていた

 

でも戦闘は初心者。まるで………

 

 

今まで(・・・)誰かが戦うのを(・・・・・・・)横で見てきただけ(・・・・・・・・)みたいな

 

 

「キリト〜?どうしたんだ?」

 

「へっ!?え、あ………ごめん」

 

「俺レベル上がったぜ!これで51だ!」

 

シンは二カッ、と笑い言う

 

「そっか、やったな!」

 

「おう!次はキリト、援護頼むぜ!」

 

「おう、任せろ!」

 

シンが出す拳に拳を重ねる

 

…………ま、今はどうでもいいか

 

 

 




初めてのキリト視点、上手く書けてるといいな………

※2020/02/14 視点変更箇所に
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