SAOが好きすぎる俺がSAOの中に入っちまった。それもホロウフラグメントなんだけど   作:クラッカーV

2 / 45
わかった、ここはSAOの中だ

「のぉォォォぉぉぉおお(シュンッ)ゔぇ?」

 

ドサッ!

 

「いたっ!………くねぇ」

 

空中からスカイダイバーもビックリのスカイダイビングをしていた俺はいきなり瞬間移動紛いをして地面へと尻から着地した。尻に違和感はあるが痛くはない、なんでだ

 

「それよりもこれは」

 

俺は自分の服装を確かめる

 

無地の白いシャツに胸当て、そしてズボン

 

この服装、どっかで見たことあるぞ。しかし、なんで胸当てなんか着けてんだ?

 

「いやいや、そんなことは問題じゃあない……ことはないけど、なんで俺の服装が変わってんだよ」

 

俺はさっきまで黒いジャージを着ていたはずだ

 

「それにさっきの0と1は………」

 

0と1の波はなんだったんだ?考えられるとしたら二進法、だったか?なんだが………

 

ああもう、わけがわからん。これじゃあ慌てようにも慌てようがない

 

「0と1と言えば、この服と………この剣も、だな」

 

背中に担いでいる剣を引き抜いて見てみる

 

「ん〜………本物、か?」

 

形状としては普通の剣なんだよな。でも触ってる感じが違う

 

いや、本物の剣を持ったことがあるわけじゃないけど、でもなんか違うってわかるんだよな

 

「取り敢えずなんか切ってみるか」

 

近くにちょうどいい樹がある。取り敢えず突き刺してみよう

 

ガッ!

 

「…………わお」

 

本気で突き出したら樹に深々と刺さった

 

「本物ってか」

 

なんでこんな物騒なもんが俺の背中にあったかは知らねえが………まあいいや。引き抜くか

 

「よっ、と…………ぐぬぬぬぬぬ!」

 

ぬ、抜けん!なんだこら、抜けないぞ!!

 

「うおおおおおぉぉぉぉぉ!!」

 

樹に両足を着けて引き抜きにかかる。これでどうだ!これで抜けなければ勇者の剣と名付けてやる!

 

スポンッ

 

「あっ」

 

抜けた…………のはいいが

 

「おおおぉぉ!?」

 

勢いがありすぎて後ろにゴロゴロと転がる

 

「ぉぉぉぉぉ………お、止まった」

 

やっと止まった、ここから綺麗な空が見える。こんな森だ、鳥の囀りが聞こえてもいいかもしれない

 

『プゴッ』

 

そうそう、こんな感じで………プゴ?

 

いや、プゴはおかしいだろ。鳥ってプゴ、って鳴くっけ?

 

「ん?」

 

俺は仰向けのまま顔を上げて後ろ側を見る

 

『プゴ』

 

そこには猪がいた

 

「……………ハ、ハロー」

 

成る程、プゴ、とはこの猪か。ここはこの森の先住民である彼?彼女?とコミュニケーションを計ってみよう

 

『……………』

 

猪は無言で俺のところまで歩いてくる

 

そして右前足を上げて…………

 

「おわああぁぁぁぁぁ!?」

 

なんと振り下ろしやがった!!

 

俺はすんでの所で転がって避ける

 

「あ、あっぶねえー」

 

どうやら先住民とのファーストコンタクトに失敗したみたいだ。なんとも遺憾だがまあ猪と人間がコミュニケーション取れるところで色々おかしいわな。うん、僕気付いてたよ、ホントだよ

 

「しゃあない、こんなわけわからん場所に放り出されて食糧もどうすればいいかわからない状況だ。今夜は猪鍋で手を打とうか」

 

別にさっきの行動に腹が立ったとかそんなんじゃない。ただこのままだと殺されそうなんだ

 

俺は剣を構える。剣道など学校の授業でしかしたことないが………まあ大丈夫だろ

 

『ブルルル………(ザシュッ、ザシュッ』

 

猪はヤル気満々らしい

 

…………それよりさっきから気になってることがあるんだが、あの猪の上にあるドス黒い赤の……矢印?はなんだ?

 

見覚えがあるな………、よくゲームとかであるカーソルみたいだ

 

「ちょっと待てよ………カーソル?」

 

もし、もしあれが本当にゲームとかであるカーソルだとしたら………、そしてあのドス黒い赤のカーソルは…………

 

「っ!」

 

ダッ!

 

俺は思考の先に辿り着くと同時に踵を返して走り出した

 

『(ダッ!』

 

猪が地面を蹴る音が聞こえた。俺は一瞬だけ後ろを見た

 

気付くと10m程離したはずの距離が既に2m程まで縮まっている

 

「え、速…………うおおおおお!!」

 

雄叫びを上げながら必死に横に跳ぶ

 

猪はそのまま樹にぶつかった

 

「っ…………」

 

猪が追撃を始める前に俺は走り出す

 

「くっそ………なんてこった」

 

なんてこった、なんてこった!ここは、この森は………!

 

「ゲーム……、それもSAOの中だっつうのかよ!」

 

自分で言っていて信じられない。だがさっきの猪にあったカーソルを見るとそうとしか思えない

 

「それに、この服装は………くっそ、どっかで見たことあると思ったら………!」

 

SAOの初期装備だ。だとしたら今俺の右手に握られてる剣は《スモールソード》なんだろう

 

「しかもあの猪のカーソル………」

 

ドス黒い赤だった。確かレベルの違いによってカーソルの色が変わるとかキリトが言っていた

 

「ここは第何層のどこかは知らねえが………初期装備じゃとても勝てる相手じゃねえ!」

 

ここは逃げるしか選択肢はない!生憎この中はゲームだから疲れることはないはずだ

 

「あとは他のモンスターに気を付けないと……」

 

チラッと後ろを見てみる。どうやら猪は撒いたらしい

 

「ふぅ………」

 

これで一先ず安心だ。俺は樹の幹に座って一息吐いた

 

「しかし、ここからどうするか………」

 

どんな経緯、方法でここに来たのかは置いとくとしよう。そんなことを考えていたらどれだけの時が経つかわかりゃしない

 

それよりも今考えるべきことは安全な場所や今後のことだ

 

どれ、まずはこのゲーム内での俺の情報を得なければいけない。レベルがわかればここが第何層なのかはある程度の予測は出来る。まあほんのちょっとだけど

 

「…………」

 

無言で人差し指を振る。小気味の良い音と共にメニュー画面が現れた

 

「ふむ、やっぱ俺の予想通りだな。ここはSAOだ」

 

メニュー画面もアニメで見たものと同じ、メニュー画面の出し方も同じだ

 

「なになに………プレイヤー名、Shin。レベルは43………か」

 

初期装備なのにレベル43とはどういうことだ?

 

「アイテムは……………POTが5つ、回復結晶が一つ、それ以外は無し。おいおい、流石にこれは少ないだろ。レベルの違いを考えろよ」

 

しかも転移結晶が無いときた。転移結晶さえあればアルゲートなり始まりの街なり跳んでいけるんだけどな………

 

「武器・防具が…………なんだ、こっちはちゃんとあるじゃねえか」

 

良かった。初期装備以外にもどうやらあったみたいだ

 

「これを………こうか。んで、これをこうだな」

 

ウインドウを操作して新しい武器と防具を装備する

 

「うん、初期装備よりステは遥かに高いし、レベルには合ってるんじゃないか?」

 

立ち上がって自分の服装を見てみる

 

白色のレザーにボトムス、スニーカーみたいな靴。見た目もだいぶマシになったろ

 

「次はスキルだな」

 

ウインドウを操作してスキルの欄を開く

 

「……………あ?なんだ、これ」

 

スキル

 

片手用直剣 0

 

武器防御 0

 

体術 0

 

索敵 0

 

「全部0だな………」

 

まあしょうがないか。俺は元々プレイヤーじゃないんだから

 

「しかし、スロットもまだ余ってる。それに体術?なんで体術が?」

 

体術は確か二層のとあるクエストをクリアしたら手に入るスキルのはずだ。それを俺が習得してるなんて………

 

いや、そもそも俺がここにいるのといい、おかしいことだらけなんだ。今更気にすることないな

 

「……………」

 

もしこれが一時的なものなら時間が経てば俺は家のベッドの上で気が付くだろう。もしかしたらこれは夢なのかもしれない

 

「出来れば夢であって欲しくはないな〜」

 

空を見上げて呟く

 

ここはSAO、それはもう確実だろう

 

「だったら、楽しむしかねえよな!」

 

そうだ、楽しむべきだ!楽しまなきゃ損だぜ損損!!

 

「それにキリト達に会えるかもしれねえしな〜」

 

SAOならやっぱキリト達がいるだろ。一方的な知り合いだけど話しをするのも良いかもしれない

 

それにキリトだけじゃなくアスナやシリカ、リズとかにも会える。ピナをモフりたいぜぇ

 

『ブブ…………ブブブブ………』

 

「っ!」

 

後ろから何かの羽音が聞こえた

 

「………蜂!?」

 

そこにいたのはドデカい蜂。その複眼で俺を真っ直ぐ見つめている

 

「早速戦闘かよ………!」

 

俺は剣を引き抜いた

 

相手のカーソルはさっきの猪と同じドス黒い赤。勝てるか………?如何せんレベルがわからないからな……

 

このままやり過ごすのも一手だが………駄目だ、完全に俺をターゲットしてる

 

「まずは様子見だ」

 

そこらへんにある石を拾い上げる

 

「出来るだけくらってくれよぉ!」

 

そして蜂へとシュートした。投げた石は青い軌跡を描きながら蜂の顔面へと吸い込まれる

 

…………投擲スキルが発動したのか、一発で発動なんて俺やるぅ♪

 

「どれ、相手のHPは…………はぁ!?」

 

一ミリ程度しか減ってねえじゃねえか!?

 

『シャアァァァァ!』

 

うおっ!?突っ込んできた!

 

「速っ………とぉ!?」

 

すんでのところで避けることに成功した。脇腹に少し掠ったがこれくらいは大したことな…い………なに?

 

俺は自分のHPを見て目を疑った

 

「う、嘘だろ!?」

 

たった一撃、たった一撃だ。それも掠っただけだぞ、なのに………なのに………!

 

「なんで3分の1も減ってんだよぉ!!」

 

叫びながら俺は走り出す

 

くそっ、予想外だ。こんなにくらうなんて………!俺の考えが甘かった。相手のレベルがどれだけ上か考えもせずに攻撃したのが間違いだった

 

「はっ………はっ………」

 

しないはずなのにまるで息切れしたかのような感覚に陥る

 

『シャアァァァァ!!』

 

「ひぃっ!」

 

殺される、その恐怖が俺の体全体を覆う。その恐怖がひたすら足を動かしていた

 

「早く、早くタゲ解いてくれよぉ」

 

半泣きになりながら懇願するように言う。なんとも情けない、普段の俺がこの姿を見たらそう言うだろう

 

だけど体験してる側はたまったもんじゃない。後ろから死が迫ってきているんだ、今にも俺は殺されそうなんだ

 

情けない?かっこ悪い?なんとでも言え。こんな醜態を晒してしまった後悔なんて後でいくらでもやってやる

 

だから………だから…………!

 

「誰かぁぁぁぁぁ!!助けてくれぇぇぇぇぇ!!」

 

俺は走りながら必死に叫んだ

 

誰でもいい、なんでもいい、どんなヒーローでも、どんな犯罪者でもいい!俺を助けてくれ!

 

ガッ!

 

「なっ!」

 

樹の幹でつまづいた。俺の体は投げ出されて転がる

 

『シャアァァァァ!』

 

その間にも蜂は俺に迫っている。逃げなければいけない

 

「くそっ!」

 

なんとかして立ち上がり前を向く

 

『……………シャァァァ』

 

だが、既に俺の前には蜂が回り込んでいた

 

「っ………!」

 

きっと俺の顔は絶望の色に染まっているだろう。そしてそれと同時にこれから起こりうることを考え、ただ蜂を眺める

 

蜂は針の付いた尻を振りかぶる

 

その蜂は、どこか不敵に笑っているような気がした

 

「……………」

 

ああ、俺の人生はこんなわけのわからないままで終わってしまうのか

 

まだホロウフラグメントだってちゃんとプレイしてないのに、まだSAOの2期があるってのに

 

俺はこんなとこで終わるんだな

 

「…………ああ、出来ることなら少なくとも、キリトだけには会いたかったぜ」

 

そして俺は目を閉じる

 

ザシュッ!

 

そんな音が耳に響いた

 

バシャァァァァン!

 

次に破砕音が聞こえる

 

「…………あれ?」

 

何かおかしい、そう思い目を開く

 

「今、キリトって………そう言った?」

 

そこにいたのは青を基調としたポンチョの様なのを着た金髪の美少女だった

 

「………へ?」

 

いきなりの質問に俺はそんな間の抜けた答えを返していた

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。