SAOが好きすぎる俺がSAOの中に入っちまった。それもホロウフラグメントなんだけど   作:クラッカーV

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嫌な夢を見た。最悪な夢だ

 

 

「なあ、見てくれよこれ!カッコよくないか!?」

 

俺は今日手に入れたチャクラムを上に持ち上げて大声を上げる。今回のクエストをクリアした喜びを全力で表さなくては

 

今この場には俺を含めフィリア以外は全員いる。勿論ストレアもだ。周りがガヤガヤと騒いでる中俺もそれに負けじと騒いでいる。因みに自慢はこれで3周目に突入にしていた

 

「ほら!なあ、ユイちゃん!」

 

チャクラムを向けるとユイちゃんはニッコリと笑って返してくれた。その様子に隣にいたアスナも微笑み、そのまた隣のキリトはこちらを横目で見て笑いながら飲み物を口に運ぶ

 

その反応を見て俺は満足し、次はシノンさんとリズベットが座っている方へ向けた。視界の端にはクラインだ

 

シノンさんはやれやれ、と言った感じで息を吐いて料理を口に運ぶ。リズベットは机に肘をついて苦笑いしていた。視界の端のクラインは知らない、きっとカッカッと笑ってるんだろう

 

「しかもマフラーまで貰ったんだぜ!」

 

次にシリカとピナ、リーファの方へ向ける。二人ともリズベットと同じように苦笑い。まだ3周目だぞ?頑張れ頑張れ

 

………そうだ!

 

「ストレア!チャクラムがあれば石とか拾わなくて済むな!」

 

今度はストレアに向けてそう言った。ストレアとはこの前俺の投擲についてちょっと話をしたので一応の報告だ。これで剣を取りに行かなくてもよくなるしな

 

そしてその言葉にストレアは満面の笑みで答えてくれる。後ろからエギルが歩いて来て、まだやってるのか、と言わんばかりに肩を竦めた

 

「なんだよエギル〜、お前はまだ1周目だろ?ほら!」

 

遠くで見てたのかもしれないがエギルに自慢するのはこれが最初だ

 

エギルにグイグイと押し付けているとストレアが店の入り口に向かって手を振る

 

「ん?」

 

誰か来たのか?気になって俺は手を振る先を見た

 

「…………お!フィリアじゃん!」

 

そこにいたのはフィリアだった。俺もストレアと同じように手を振ると小さくだが返してくれる

 

……あれ?ストレアとフィリアはいつの間に知り合ってたんだ?いや、周りの雰囲気を見るに皆知ってるぽいけど………まさか俺がいない間にフィリアと会ってたんだろうか。交友関係とはどこで広がるかわかりませんなぁ……

 

そうだ!フィリアにも自慢しよう!

 

「どうよフィリア!これ俺がクエストクリアして貰ったんだぜ!」

 

こちらに歩いてくるフィリアにチャクラムを見せる。ジッとチャクラムを見た後、周りの様子を見て何だか察したようで肩を竦めたが、少し微笑んでくれた

 

その後に俺の横を通る。シリカが手招き、その隣に座った

 

「てか、皆フィリアのこと知ってるっぽいけどさ、いつの間に知り合ったんだ?」

 

俺がそう聞くと皆顔を見合わせる

 

?俺なんかおかしいこと言ったか?

 

「あぁ、それと」

 

もう一つ疑問があるんだった

 

「…………なんで皆、何も喋らないんだ?」

 

さっきからずっとそうだ。自慢ばかりしていたが、誰も何も言ってくれない。返ってくるのは笑顔や苦笑い、呆れた様な表情だけだった

 

俺がそう言うと又もや皆顔を見合わせ、困ったような顔をした

 

それに、他にもつい今し方、違和感を感じている

 

「フィリア、お前カーソル……」

 

フィリアのカーソルがオレンジではなく緑色だったからだ

 

つい一昨日まではオレンジだったはずだ。カルマクエストを受け、クリアしたと言うのならわかるが…………言わせてもらうと、そんなことはまずない。だってそんな簡単に緑に戻れるのならわざわざホロウエリアでオレンジカーソルでいた必要性がない。ホロウフラグメントと言うゲーム的に、だ

 

一見喜ばしいことだが、逆に今の状況じゃ違和感がありすぎる

 

そこまで考えると同時に、エギルが背を向けて歩き出した

 

「ちょ、待てよエギル」

 

カウンターに戻るつもりなんだな?だけどまだ話は終わってないぞ!

 

呼び掛けても止まらないエギルを追いかけ、肩に手を置こうとしたところ

 

パリィン

 

「え?」

 

エギルの姿が、ポリゴン片となって砕け散った

 

「…………え?」

 

エギルだったポリゴン片が床に落ちて消えていく

 

それを見た瞬間、言い得ぬ恐怖が俺を襲った

 

パリィン

 

「っ!!」

 

後ろで先程と同じ音が聞こえ、慌てて振り返る

 

皆が俺をジッと見つめていた。…………いや、皆じゃない

 

「クラインは!?」

 

クラインの姿が失くなっていた

 

「皆!クラインが!!」

 

パリィン、パリィン

 

「っ!!」

 

又もや音がした。急いで向くと、そこにはさっきまであったシリカとピナの姿がない

 

「シリカッ、ピナ!」

 

これは、これは一体どう言うことだ!?何が起こってる!?システムのバグ?エラー?わからない!!

 

「皆!なんで座ったまんまなんだよ!!」

 

俺は叫んだ。この状況なのに、誰一人としてなに食わぬ顔で俺を見ている

 

「何してんだよ!!今何が起こってるか理解出来てないのか!?」

 

俺も完全に理解出来ているわけじゃないが、何かヤバいことが起こってるってことはわかる!!

 

俺が叫ぶと、ゆっくりと立ち上がり始める

 

「くそっ、何が………」

 

俺はシリカがいた場所に何かないか見てみる。………何も無い

 

「リーファ!何かシリカに変化とk(パリィン)え……」

 

今度はリーファがポリゴン片となり砕け散る

 

少しの間呆然としていると、リズベットが俺の目の前に来て俺の肩を叩き

 

パリィン

 

砕け散った

 

「っ………!?」

 

俺はその場にへたれ込む

 

なんなんだこの状況、訳がわからない。涙が溢れてきた

 

「…………ストレア」

 

手を持ち上げられた。持ち上げたのはストレアだった

 

フィリアも心配してか俺の横で膝をつく

 

「ストレア、何が起こって……」

 

俺はストレアを見る。ストレアは俺に微笑んで、手をギュッと握ってくれた

 

パリィン

 

「フィリアっ!?」

 

今度はフィリアがポリゴン片になった。ストレアの手を力強く握りしめ、言い得ぬ感情に耐える。目からは涙が溢れ出し、顔はグシャグシャになっているだろう

 

ストレアの力を借り立ち上がる

 

「ユイちゃん……キリト、アスナ……シノンさん……」

 

まだ残っているだろう四人を捜した。すぐ近くに見つけ、安堵の息を漏らす。キリトとアスナ、そしてユイちゃんに近付き、ストレアと握っていない方の手を伸ばした

 

そんな俺を見てキリトとアスナは微笑んで、ユイちゃんはニッコリと笑う。そこにシノンさんが歩いて来る。キリトとアスナと同じように微笑んだ

 

パリィン

 

そして四人はポリゴン片となった

 

「あ………あぁ……ああぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

触れようとした瞬間、ポリゴン片となり俺の手を素通りして落ちて行く

 

「なんで………なんだよ、これ。なんでこんな……」

 

ストレアに縋るように泣き付く。訳がわからなかった。涙が溢れてくる。皆はどこに消えてしまったんだろうか?…………死んだ?やめろ、考えたくない

 

「……………大丈夫」

 

不意に、ストレアに頭を撫でられた

 

「シンは、もう大丈夫だよ」

 

大丈夫?何がだ。皆消えてしまった。なんで消えてしまったんだ。なんで俺とストレアだけが残ったんだ

 

「アタシがいなくても、大丈夫」

 

「……………え?」

 

パリィン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

俺は叫びながら跳ね起きた

 

「ハァ、ハァ…………あれ?」

 

周りを見渡す。ここは俺の部屋だ

 

「今のは………夢、だったのか」

 

息を整えて頭の中を整理する

 

「ハ、ハハ………よ、良かった。あんなこと、夢じゃないわけが…………あれ、どんな夢だっけ?」

 

夢の内容を忘れてしまった。思い出そうと必死に唸るがどうも思い出せない。何かここまで出かかってる気はするんだが…………何故だか思い出すのを拒否するかの如く何も出てこない。おかしい、起きた直前は確かに覚えてたっぽいのに

 

まあ、恐い夢だったのだから思い出す必要も無いか

 

「汗びしょびょだな………。まあ着替える必要もないから良いけど」

 

頰に流れる汗を拭い立ち上がる。手早くウインドウを開き、操作してマフラーを着用した

 

グシャグシャになっている布団を直して部屋を出る。現在の時刻は朝10時、完全に寝過ぎだな

 

「…………あ」

 

階段で一階に下りるとシノンさんが座ってお茶を飲んでいた。カウンターにはエギルではなくNPCがいる

 

「………あれ」

 

頰に何かが伝うのを感じた。触ってみると濡れている

 

…………泣いてる、のか?俺

 

「シンじゃない。おはよう」

 

シノンさんが俺の存在に気付いたらしく挨拶をしてくれた

 

「お、おはようシノンさん!」

 

慌てて顔を拭って笑顔で答える

 

シノンさんの顔を見て、シノンさんの声を聞いて何故か物凄く安堵している自分がいる。一体どうしたんだ?夢の内容が何か関係あるのかもしれないな………

 

…………まあいい

 

「シノンさーん、見て見て!マフラーだぜ!」

 

「はぁ………また?あんた昨日も散々自慢してたのにまだ足りないの?」

 

夢の内容なんか気にする必要は無い。深く考えるのは辞めだ、ユイちゃんに言われたからな

 

楽しく、笑って、また今日を過ごそう

 

 

 

 

「わかってないな〜、シノンさんだから自慢してるんだよ!」

 

「なにそれ、どういうこと?」

 

「シノンさんも是非マフラーを!」

 

「嫌よ、あんたとお揃いだし」

 

「そ、そんな………」

 

「ちょ、ちょっと、そんなに落ち込むことないじゃない」

 

「じゃあマフラーを!」

 

「それは嫌」

 

「……………orz」

 

「……………はぁ」

 




急に砕け散って行く仲間達、俺なら精神崩壊起こしてるかもしれない
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