SAOが好きすぎる俺がSAOの中に入っちまった。それもホロウフラグメントなんだけど   作:クラッカーV

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初めてのガチ戦闘

「……………へ?」

 

突然の質問に間の抜けた声を出す信一。いや、SAO内ではシンと呼ぶべきだろう

 

「キリトに会いたいんでしょ?」

 

「え?あ、ああ………会いたい、会いたいです」

 

顔を覗き込まれ少し仰け反りながら答えるシン

 

「(えーと、これはどういう状況だ?俺が蜂に殺されそうになってたところをこの人が助けてくれた、ってことでいいんだよな?)」

 

心の中では必死に状況の整理をしていた

 

「(………この人、何処か見覚えがある。てか多分あの人だ)」

 

助けてくれた人物にどうやら心当たりがあるらしい。シンはジロジロと命の恩人を見回す

 

命の恩人に対して失礼だと思われるが、状況も状況なのでしょうがないだろう

 

「どうかした?」

 

「(青いポンチョみたいな装備に金髪。あのギザギザした剣。間違いない………)あー、もし命の恩人さん。お名前をお聞きしても?」

 

「……………」

 

急に訝しむ様な目線に変わった。それを見てシンは何故だ?と言う風に首を傾げる

 

「…………まあ、しょうがないか。オレンジだし」

 

「オレンジ?…………はっ!(成る程、そう言えばこいつはオレンジプレイヤーだと公式サイトに載っていた。もしや俺がカーソルを見てオレンジだから怪しんでるとか思ってるのか?)」

 

「私はフィリア」

 

「(あ、自己紹介はしてくれるのね。てかやっぱフィリアだったか)俺はシンだ。お礼が遅れてごめんなさい、助けてくれてありがとう」

 

シンは立ち上がってフィリアに深々と頭を下げる

 

フィリアはそれを見て少し驚く、まさか命の恩人と言えど犯罪者の証であるオレンジカーソルのプレイヤー相手に頭を下げるとは思わなかったのだろう。本人もそう割り切ってすぐに立ち去ろうとしていたのだが………

 

「…………別にいいよ。助けて、って聞こえたから駆けつけてみたら殺されそうだったから助けただけだし。大したことしてない」

 

「それでも俺にしたら大したことだ。なんせ命を助けてもらったんだから」

 

「相手がオレンジプレイヤーでも?」

 

「いやいや、オレンジでも恩人は恩人だし。お礼を言わずに名前を聞いたことは悪いと思ってる、ごめんなさい」

 

再度頭を下げるシン

 

「…………変な奴。これ飲みなよ」

 

「え?わっ、ととと………ふぅ」

 

フィリアはそんなシンを見て緑の液体が入った瓶を取り出し放った。急に投げられたので慌てて瓶を取る

 

「(POTか………)ありがとう、いただきます」

 

そして蓋を開けてPOTを煽る。レモンジュースみたいなのに苦い、そんな味にシンは顔を顰めた

 

「(マジで苦いレモンジュースじゃん。こんな味始めてだ)」

 

「その味、慣れないよね。私ももう二年になるけど慣れないんだ」

 

「え?あ、ああ」

 

慣れるも何も初めて飲む物なのだが………、そう言うと話がややこしくなるので伏せておく

 

POTによりシンのHPが回復する。それを見て少しだけ安堵した

 

「…………それで、もしかしてあんたも強制転移でここに来たとか?」

 

「強制転移?…………ちょっと待ってくれよ、色々と整理をさせてくれないか?」

 

そう言ってさっき躓いた樹の幹を少し恨めしそうに見て、一発蹴りを入れてそこに座った

 

 

 

 

======================

 

 

 

 

…………まずわかったことを整理しよう。フィリアはさっき二年と言っていた

 

SAOが始まって二年の時点で七十五層はクリアされ、皆現実へと戻っているはずだ。だけど実際にクリアはされてないみたいだ

 

ここから導き出されるのはただ一つ。このSAOはホロウフラグメントでのSAO。つまり七十五層でクリアされなかったifの世界

 

「……………(すごく集中してる)」

 

そしてフィリアはキリトのことを知っている。と言うことはゲーム内でのストーリーはもう始まっているってことだ

 

俺はそこに介入する形でここに来たってことになる。多分それで合っているはずだ

 

俺はフィリアに目線をやる

 

「………なに?」

 

最後にフィリアの言っていた"強制転移"

 

俺は公式サイトはキャラクター情報と他を少しだけ見たが、話自体はよく知らない。インフィニティ・モーメントも先がわかったら面白くないので攻略動画などは見ないようにしていた

 

"強制転移"と言うことは………俺の予想が正しければここはホロウエリアと言うことになる。どれ、確かめてみるか

 

「なあフィリア。ここは何層だ?」

 

「何層?違うよ、ここはホロウエリア」

 

「ホロウエリア………」

 

やっぱりか

 

てか今思ったけどフィリアの話し方可愛いな

 

「…………ねえ、体の何処かに紋様とか出てない?」

 

「紋様?」

 

俺は自分の体を見回してみる。どこにもそんな物は見られない

 

「いや、無いけど」

 

「そう……」

 

なんだ?紋様があったらなんかあるのか?てかそんな物を俺に求めるな、キリトにでも求めてくれ

 

「取り敢えず安全な場所に行かないか。いつモンスターに追われるかわかったもんじゃない」

 

「わかった。着いて来て、近いから」

 

「何から何まですまんな」

 

俺はフィリアに着いて行くことにした。もう死にそうなるのはごめんだ

 

ここがホロウエリアならレベルも相当高いはず、それも今の俺の倍近くはな。きちんと安全マージンとってからじゃないと…………

 

ズドォォォォン!

 

「「っ!」」

 

俺達の後ろから何かが落ちてきたかのような音が聞こえる

 

……………おい、おいおい、まさか……

 

『シュロロロロロ………』

 

骸のような頭に、ムカデみたいな身体…………

 

「こいつ………さっき戦った………!」

 

4本の鎌状の腕…………。公式サイトにも載っていた、こいつは……

 

「ホロウ・リーパー………!」

 

「………知っているの?」

 

「知っているというかなんというか…………取り敢えず逃げるぞ!!」

 

俺はフィリアの手を取って走り出す。ハラスメントコードがどーだか出るかもしれないがそんなの知るか!

 

てかなんで俺はこんなにも追いかけられるんだ!?何か呪いでもかかってるんじゃないのか!

 

「フィリア、こっちで合ってるんだよな!?」

 

「う、うん!」

 

「それと!さっき戦ったって言ってたけど、どう言うことだ!?」

 

「さっきはキリトと一緒に戦って倒したの!多分二人で掛かれば勝てると思う!」

 

「無茶言うな!俺のレベルは43だぞ!?あいつのカーソル真っ赤通りこして黒だっつうの!」

 

「えぇ!?だ、だから走るの遅いんだ……」

 

「それを言わないでくれ!」

 

こっちも必死に走ってんだよ!

 

フィリアの手を離すとフィリアは俺と並行して走る

 

「フィリア、俺に合わせなくていいから先行っててくれ!」

 

「それこそ無茶言わないで!見捨てたら見捨てたで寝覚め悪い!」

 

くそぉ、めっちゃ良い人じゃんフィリア!

 

「見えた!あれで圏内まで跳べる!」

 

フィリアは前方にある紋様の刻まれた黒い物体を指差す

 

「ラストスパートだ!」

 

ホロウ・リーパーはまだ追いついて来てない!いったい何をしてるのか知らねえが好都合だ

 

「よし、起動してくれフィリア!」

 

「わかった!」

 

なんとか黒い物体のところまで辿り着き起動する

 

「「……………」」

 

…………あれ?

 

「起動しない!?」

 

「ええぇぇぇぇぇ!?」

 

マジかよ!!じゃあどうするってんだ!?

 

『シュロロロロロ!!』

 

ホロウ・リーパーが追い付いて来た。鎌を俺とフィリアに一本ずつ振り下ろす

 

「っ!来たぞ。避けろ!」

 

なんとか回避に成功した

 

「フィリア、相手のレベルは!?」

 

「89!!」

 

おう、マジかよ。俺の倍はあるじゃねえか

 

俺はなんとか態勢を立て直す。俺と反対側に避けたフィリアもなんとか立て直したみたいだ

 

『シュロロロ…………』

 

ホロウ・リーパーは俺達の様子を伺っているのか動かない

 

その間に俺はフィリアの元へと走った

 

「大丈夫か!?」

 

「私より自分の心配して、一撃でももらったら即死だよ」

 

「ああ、わかってる………」

 

フィリアは剣を抜く。俺も剣を抜こうとしたが、柄に手を置いた瞬間固まった

 

「……………」

 

「?」

 

剣を抜かない俺を見るフィリア

 

…………この剣を抜いたら、戦わなければいけない。もしかしたら死ぬかもしれない

 

そんな考えが俺の頭に過ぎった

 

「……………私が引き付けるから、あんたは逃げて」

 

「え?」

 

「出来るだけ遠くに!」

 

「あ、おい!」

 

フィリアはホロウ・リーパーに向けて走り出した

 

…………なんだよ、逃げろって。自分はどうするんだよ

 

「俺が……足手まといだからか?」

 

フィリアは、俺が足手まといだから自分一人で戦う決意をしたんだ

 

普通俺を置いて一人だけ逃げるもんじゃないのか?なんでそれをしない

 

まさか勝機があるとか言うんじゃないだろうな

 

「ああ、もう。今日は何て日だ?」

 

あんな女の子が戦ってるのに俺は何をしてるんだ?ただ見てるだけか?それで次は自分が殺されるのを待ってるだけか?

 

「ラッキーデイかアンラッキーデイかわかりゃしねえ」

 

……………ああ、もうどうでもいいや

 

「俺を舐めんなよ………!」

 

俺が死ぬなんて、そんなことこの際もうどうでもいい!!

 

俺は剣を抜き、柄を逆手に握って肩に担いだ

 

 

 

 

======================

 

 

 

 

「くっ………!」

 

流石に一人でホロウ・リーパーを相手にするのはキツイのか段々押され始めるフィリア

 

彼女は斬撃を受け流しながら思った

 

「(ああ、なんであんなカッコつけたんだろ)」

 

一人で戦って勝つなんて無理なのに、と心の中で自重気味に笑う

 

「(もしかしたらあいつに感化されたのかも)」

 

ついさっき出会い、そして一緒に戦った黒い剣士のことを思い出す

 

「……………そうだ、あいつを呼べば!」

 

その考えが頭に過る。キリトを呼んで二人で戦えば勝てるだろう

 

「くっ、でも………そんな暇ない……」

 

メールを打つ時間をホロウ・リーパーはくれないだろう。どうするか………、そう考えるフィリアは気付かなかった

 

左上から丁度死角になって迫っている鎌に

 

ザシュッ!

 

「っ!」

 

右肩を切られる

 

「(油断した!剣で死角になってわからなかった……!)」

 

今のでフィリアのHPは2割が持って行かれた。攻撃を受けた反動で一瞬だが体の自由が効かない

 

ホロウ・リーパーにとって、フィリアに追撃をくらわすのにはその時間だけで事足りた

 

『シュロロロロロ!』

 

鎌が振り下ろされる

 

「っ…………!」

 

フィリアは目を見開いた

 

……………だが、その時

 

「うおおおおおぉぉぉぉらああぁぁぁぁ!!」

 

シンの雄叫びが聞こえた。ホロウ・リーパーはその声に反応して攻撃を中断する

 

刹那、ホロウ・リーパーの顔面へと青い軌跡が走る

 

ズガァ!!

 

「…………クリーン、ヒット」

 

突き刺さったのはシンの剣だった

 

「………………はっ!」

 

放心していたフィリアはすぐに我に返る。そして手早くウインドウを開き、メールをキリトへ打った

 

「オラ、来いよムカデ!俺が相手だ!!」

 

シンが吼える

 

「(派生スキル、《威嚇(ハウル)》。みたいにはいかないが十分憎悪値は上がったはずだ)」

 

剣を肩に担いだ動作はさっきさり気なくスロットに入れていた投擲スキルを発動するための予備動作だった

 

『シュロロロ…………』

 

狙い通りホロウ・リーパーはシンをターゲットする

 

「あんた、なんで……」

 

「知らん!てかフィリア、後でてめぇは説教だ!!一人で突っ走りやがって!」

 

ホロウ・リーパーを引き付けながら叫ぶシン。そこらへんに落ちている小石を拾い投げつけている

 

「もうすぐキリトが来るはずだから!それまで粘って!」

 

「マジか、りょーかい!」

 

シンはホロウ・リーパーの脇を通り落ちている剣を拾いに行く

 

「…………!」

 

そして力いっぱいに振り抜き、腹を切る

 

「くっそ、やっぱあんま効かねえか」

 

ホロウ・リーパーには大したダメージになっていなかった

 

「(出来るだけ距離を取らないと……)」

 

一撃でも食らったら即死、掠るだけでも危ない。そんな状況下、シンの感覚は研ぎ澄まされていく

 

ホロウ・リーパーが鎌を振り上げる。位置と角度からある程度の場所を絞り、その範囲を大幅に転がりながら避ける

 

そして態勢を整えまた走り出す

 

『シュロロロ!』

 

ホロウ・リーパーは鎌を横に振る

 

「マジかよ………」

 

ここに来て初めての横振り、急なことに対応出来るほどシンは戦い慣れしていない

 

「はぁぁぁ!」

 

ガキィィィン!

 

そこにフィリアが割って入った。フィリアの剣と鎌が火花を散らしながらせめぎ合う

 

「うおおぉぉぉ!」

 

シンも加わる

 

「「がっ!」」

 

だが弾き飛ばされてしまった。シンは黒い物体に、フィリアは近くの樹に叩きつけられる

 

「…………チッ、やべえな」

 

今のでシンのHPは残り2割程度に減っている。全損しなかっただけマシだろう

 

立ち上がり走り出そうとするシン

 

『シュロロロロロロロ!!』

 

無情にもホロウ・リーパーの攻撃範囲内だった

 

ホロウ・リーパーは鎌を横薙ぎに振る

 

「(あ、これ死んだ……)」

 

流石にこれは避けれない。シンは死を覚悟する

 

……………だが

 

ガキィィィン!!

 

大きな火花を辺りに散らしながら、二振りの剣が鎌を受け止めていた

 

「待たせたな。よく頑張った」

 

ギィン!

 

鎌が弾かれる

 

突如現れたのは漆黒のロングコートに身を包み、白と黒、二対の剣を携えた剣士だった

 




※2020/02/14 視点変更箇所に
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